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倒幕はなった。だが恩賞と官位の亡者が跋扈する建武の新政に、明日があるとは思えなかった。乱がある――播磨に帰った円心は、悪党の誇りを胸にじっと待つ。そして再び、おのが手で天下を決する時はきた。足利尊氏を追って播磨に殺到する新田の大軍を、わずかな手勢でくい止めるのだ。赤松円心則村を中心に描く漢たちの軌跡。 第七章 白き旗のもと 第八章 征夷大将軍 第九章 砕けし時 第十章 旗なき者 第十一章 野の花 解説 亀田俊和
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Posted by ブクログ
鎌倉幕府の時代が末期に差し掛かっている。幕府から政治の実権を取り返そうと抵抗する帝が在り、反乱と鎮圧が繰り返された中、比叡山に在った法親王(僧籍に入った皇子)が「武家政権の後の構想」を胸に幕府への抵抗を各地の諸々の勢力に呼び掛けている。赤松円心はそれに共鳴する。そして、水銀の取引を巡って争った経過も...続きを読む在った河内の楠木正成が帝側の陣営に加わり、巨大な軍勢を向こうに回して抵抗戦を続けているという情報も気になって来る。 やがて隠岐に流されてしまっていた帝も救出され、幕府を倒そうという勢力が擁して戦いを展開する。そういう中で赤松円心は幕府を倒そうとする勢力に与する。法親王も還俗して大塔宮となり、幕府を倒す運動に邁進するようになる。 幕府側は京都の六波羅で指揮している軍勢では足りないと、関東の名族の軍勢を差し向けるようになった。足利高氏が出馬した。そして足利高氏は如何するのか? こういうような状況下での赤松円心の生き様が描かれるのが本作である。自ら「悪党」を号する男は何を目指して如何生きるのか?そんな物語だ。そして行き詰った鎌倉幕府の体制が壊され、新たに生み出されようとした体制が混乱し、それが清算されるという複雑な時代の中で「何を目指して生きたい?何のために死にたい?」というようなことも主題になっているような気がした。 作者の北方謙三には所謂「『太平記』の時代」(=鎌倉幕府末期から建武新政、南北朝時代となる14世紀)に題材を求めた時代モノの小説が幾つか在る。それらにも触れた経過が在って、何れもなかなかに好かったことから、眼に留めた本作も手にした。 作中には、主人公の赤松円心の他、足利高氏(途中から「尊氏」と改名する…)や楠木正成のような或る程度知られた史上の人物をモデルにした劇中人物も、彼らの配下の忍者や、大塔宮の運動に協力する「山の民」と言われる人達のような創作と判り易い劇中人物も入り交じっているのだが、何れも「リアルな存在感」を感じる。緊迫する戦乱の中での、自身の価値観を貫こうとするやや年嵩な武人、策士という感じの赤松円心が描かれる。 なかなかに引き込まれる物語だった!
赤松円心、楠木正成、大塔宮、足利尊氏… それぞれの生き様が描かれた下巻。 倒幕から一気に駆け抜ける物事の流れに、上巻のゆっくりと流れていた時間が恋しいほど。 権謀術数巡らせ、どう動くかの判断するにはやはり大塔宮は若すぎた。 それぞれ敵味方になりながらも魅力溢れる人々に引き込まれるお話だった。
R4.9.24~10/10 (感想) 北方謙三が描く赤松円心の心… 彼がなぜ朝廷に背を向け、楠木正成とたもとを分かち、尊氏についたのか? 北方の解釈はなかなか良かったと思います。 「悪党」とは何か? 非常に考えさせられる本でした。
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北方謙三
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