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文京区の長い路地を抜けるとバーだった。大学教授の曽根原は、ふと気づくとバー〈スリーバレー〉に足が向いている。女性バーテンダー・ミサキの魅力なのか、文学談義のせいなのかは判らない。ある晩、まだ客の少ない時間にミサキが繰り出した質問は、川端康成の『雪国』についてだった。登場人物の行動から『雪国』はミステリではないか、というミサキの疑問に、途中からまたしても入店してきた宮田が、珍妙な説を披露し始めて……。『雪国』に加え、田山花袋『蒲団』、梶井基次郎『檸檬』、三島由紀夫『金閣寺』と、日本文学界の名作の新解釈で贈る、鯨統一郎最新作。
...続きを読むPosted by ブクログ 2024年01月14日
川端康成の雪国、田山花袋の蒲団、梶井基次郎の檸檬、三島由紀夫の金閣寺といった文学作品について、その深層に秘められた真意を推測しようとするもの。架空の話との注釈が巻末に付されているが、本質をついている部分もあるように思われ、興味深く拝読した。なお、登場人物の一人、宮田は各章の終わりに、必ずカシスシャー...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年10月26日
川端康成「雪国」
田山花袋「布団」
梶井基次郎「檸檬」
三島由紀夫「金閣寺」
どれも知っているけど、深く見解を持ってこなくて、自分て浅いなーって思い知らされる一冊。
ここまで議論できると楽しかったり悔しかったり新発見があったり…
急に大学時代の先生が出てきたのは驚き。
著者は色んなこと考えてるんだな...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年03月18日
文豪たちの怪しい宴
邪馬台国のスリーリバー、歴史はバーでつくられるのミサキが話題にゆかりの酒とツマミを用意して、文学談義をエンジョイするというストーリー。鯨本の突拍子なさが楽しいところだが、そんなに突拍子なくもないのが、ちょっと寂しいところだが、短くてちょっと昼飯時にながら読みするのに良い感じだった...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年02月05日
文学ミステリー第2弾。
原典を知らないこともあり「雪国」「檸檬」はすんなり納得させられました。雪国の冒頭で国境を越えて、長いトンネル、たどり着いたのが白い世界ですから異界感ありますし、檸檬はそのままなるほどと感心してしまいました。歴史ミステリーとも「ビブリオ」とも違った文学ミステリーでジャンルとして...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年01月11日
スリーバレーといえば、鯨統一郎の出世作『邪馬台国はどこですか?』の舞台になった店ではないか。同書を何度も読み返した自分としては、否が応でも期待が高まる。
バーテンダーが松永からミサキ嬢に交替したのは、早乙女静香を欠いてヒロイン成分が不足したせいだろう。
『雪国』は未読なのでピンと来なかった。そ...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年08月19日
『文豪たちの怪しい宴』の続編。前作と同じスタイルで、宮田の切り口は面白いが、やはり曽根原の心の声が鬱陶しい。
今回のテーマは四つ。
川端康成『雪国』は怪談。
田山花袋『蒲団』はラノベのはしり。
梶井基次郎『檸檬』は文壇デビューへの確信。
三島由紀夫『金閣寺』はクーデターの予告書で、自決は『金閣寺』...続きを読む
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