作品一覧 2014/12/24更新 居酒屋の世界史 試し読み フォロー 「棲み分け」の世界史 欧米はなぜ覇権を握ったのか 試し読み フォロー 1~2件目 / 2件<<<1・・・・・・・・・>>> 下田淳の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 「棲み分け」の世界史 欧米はなぜ覇権を握ったのか 下田淳 ・サイエンスは時に人類に制御不能なのものをつくってしまう。それでもサイエンスは自己増殖することをやめることができない。資本主義と連動しているからである ・もともとユダヤ教は現世信仰。イエス・キリストの時代に、律法(生活規範)のみを権威とする正統派のサドカイ派に対して、天使、悪霊、霊魂の不滅、肉体の復...続きを読む活を信じる異端のパリサイ派が現れる。彼らは死後の世界、すなわち来世の存在を想定した ・ある程度「裕福」であれば、その国の一般市民は、戦闘になるような「本当の独立運動」を支持しない。ゆえにスコットランドの独立はありえない。日本でいえば、大阪は東京に強いライヴァル心を抱き、対抗的なアイデンティティをもっているが、独立を唱える人間はいないだろう ・1480年モスクワ大公イヴァン三世がキプチャク・ハン国はの忠誠を拒絶。それまで(1240年〜1480年)をロシア史では「タタール(モンゴル)のくびき」と呼ぶ ・クリミア戦争(1853年〜56年)はロシアが黒海方面への進出をもとめてオスマン帝国を攻めたものであったが、この地域の権益を狙うイギリス・フランスに徹底的に敗北 ・工業化とは、工場・機械などをもつ自国の資本家が、原則自国在住の賃金労働者を使って工業製品を大量生産させ、自国の国民(労働者も含めて)に利益・儲けを還元させるシステムづくりに成功すること。原料調達地や販売市場は自国以外でも構わない。特に販売市場は自国以外の方が良い(収奪する) ・「資本主義」「サイエンス」「能動的棲み分け」は適合的で相性が良いが、この三者は合体して意味もなく勝手に自己増殖して制御不能になりつつある Posted by ブクログ 「棲み分け」の世界史 欧米はなぜ覇権を握ったのか 下田淳 著者の本は偶然二冊目であるが、着目点が他と異なる事が多く、細かい事を考えなければ面白く読める。 強引な解釈も、根拠が不明確な断定も、「なぜなのかは不明である」と感性的な自説を展開するところもニヤニヤしながら読み進もう。 著者の概念、ヨーロッパ史の下部構造である棲み分けによって語られる異説は、既存の歴...続きを読む史概念では不明確であったヨーロッパが先進国となる過程を解き明かして行く。 逆説の日本史の様だとは言わないが、著者の視点で眺めると、「そうかもしれないな」と思わせてくれる面がある。 ある程度西洋史に詳しくなければ鵜呑みにするため危険である。しかし、著者の新しい視点は大いに面白く検証されてしかるべき深みを持っている。もっと評価されてしかるべきと思われる。 Posted by ブクログ 居酒屋の世界史 下田淳 学生の頃、ローマのオスティア遺跡で居酒屋の跡を目にして「こんな時代にもあったのか!」と酒好きの私はずいぶんと感激したものだったが、この本を読んで、今の時代とは全く違う存在だったのだと今更ながら理解した。冒頭で”つまみ食い的に紹介”とあるように、時代も地域も幅広に扱われ、全体的につれづれとした構成とな...続きを読むっている。雑学を身につける感覚で、気になる章からパラパラめくって読んでもいいかもしれない。 ☆以下覚え書き☆ ・居酒屋はもともと下層階級向けだった。 ・上流階級は居酒屋を軽蔑。お酒はお客に対し無償で振る舞うもの。お金をとるなんて無作法という考え方。 ・居酒屋は宿泊施設を兼ねていた。 ・居酒屋は銀行、就職斡旋、エンターテイメント、など多機能を備えていた。大衆が集まる公共の場だった(日本においては多機能型は産まれなかった)。 ・教会ではワインやビールが造られていたが居酒屋も併設していた。巡礼者がお酒を飲んだ。結婚式などの宴会も開かれた。その後、居酒屋機能は分離し、教会の隣に作られたりした。 ・そのむかし、西洋の人はベッドに入る際、シラミや蚤が服につかないよう裸になった(帽子は被った)。ナイトキャップは体を温めるために飲んだのか? ・古代ローマ人はマナーとしてワインを薄めて飲んでいた。 ・キリスト教徒は飲酒に関して甘い傾向が。宗教改革の頃、プロテスタントの台頭により厳しくなっていったようだ。 ・イスラム教もお酒が絶対だめということではないらしい。 ・農村に居酒屋ができるには貨幣の流通が不可欠。 Posted by ブクログ 居酒屋の世界史 下田淳 久々に良書を読んだという感想。 居酒屋の発展を世界史の中で辿ることによって、貨幣経済がどのようにして農村まで広まったかということを論じる。貨幣がなければ居酒屋というのは成立しづらいし、さらに農村まで居酒屋が広がるには様々な条件が必要だった。ヨーロッパでは酒造りをしていた教会が、宗教改革によって聖俗...続きを読む分離が起きて、都市部に居酒屋が生まれたということ。地方では巡礼者のための宿屋兼居酒屋が出来て、それが貨幣経済の浸透にともなってコミュニティーの中心的な施設になっていった。また、中国では都市に茶館という居酒屋が出たものの、農村までは普及しなかった。韓国では貨幣経済が制限されていたのと、家造酒の文化があったので居酒屋文化が生まれたのが日本統治時代になってからということ。日本では江戸時代末期になって農村まで居酒屋が現れ始めたということが語られている。 近代化のパラメーターとしての居酒屋という視点は斬新で、こういう新書が沢山出るようになればいいなぁと思う。また、採り上げられている時代と地域の範囲が広く、参考文献も豊富なので、この方面を調べる際のとっかかりとしても最適ではないだろうか。 Posted by ブクログ 居酒屋の世界史 下田淳 無償で提供するのが当たり前だった酒が、貨幣経済とともに農村部に普及していく、そして多機能だったものが棲み分けされていく変遷史です。 日本においてはこの多機能さが生まれなかったということで、我々が感じる居酒屋というものと、世界での位置づけは全く違うと思ってもいいのかもしれません。 酒そのものの本ではな...続きを読むく、居酒屋的機能を通じた文化史で、素直に面白いです。 ヨーロッパの記述が多いので、ヨーロッパ渡航予定の方で酒好きはぜひ予習を。僕は復習になってしまいました。知っていたらいっそう楽しく飲めたかな。 Posted by ブクログ 下田淳のレビューをもっと見る