海岸沿いの北方の小さな街での孤独な男が百円ライターがきっかけで出会う貧困と堕落した家族との物語
この小説は2部構成になっており1部は造船会社でリストラに会って間もない孤独で無職の達夫と貧乏暮らしでバラック小屋に住んでいる拓児と姉千夏と母親、痴呆の父親の4人家族に出会って何故かこの家族に惹かれてゆく
...続きを読む達夫、特に娼婦である千夏に愛情を抱き初める、千夏は離婚暦があり夜の仕事で疲れ果て家族だけの為に生きていると割り切っているが達夫の事が気になり始める。
そんな二人の心からの遣り取りが夏の海岸と相まって実に鮮やかに描かれている。まさに”そこのみにて輝く”のは社会的にはちっぽけな存在である千夏と達夫の小さな愛です。
2部では二人が結婚しつつましくも暖かい家族を築いてゆく、弟拓児にも慕われ、平和で単調な生活にある時から達夫は水晶を掘る山仕事に興味を持ち始める。
有名な作家ではありませんが、この小説は人と人の出会い、心の深層にあるもの、その描写が実に鮮明で輝いている。登場人物や背景に読者をぐっと惹きつける魅力が有ります。