■生きづらさの果てにあるもの、その究極形態の一つが自殺といえる。
自殺した本人の遺書や遺族らへの聴き取りをもとに厚生労働省が集計した過去10年間の自殺原因・動機別の統計がある。それを見ると成人の場合、ずっと「健康問題」が第1位であるが、20歳未満ではその割合が年々減少し代わって「学校問題」が第1位
...続きを読むとなっている。また、小中学生を中心に「家庭問題」も増えている。
近年の日本では経済格差の拡大が大きな社会問題となっているが、それとともに「経済・生活問題」も自殺原因としてよく指摘されるようになった。事実、成人の場合ではそれが全体の2~3割を占めるようになっている。しかし20歳未満ではそれほど多くはなく、5%にも達していない。こうしてみると若年層の自殺では健康問題や経済問題よりも人間関係に関わる問題の比重が大きいと言える。
■人間関係に関わる問題に通底しているのは孤立状態の深刻さであるといってもよい。
■配偶者と死別した人・離婚した人・未婚の人は結婚して家庭を持っている人と比べると自殺率が3倍以上も高くなる。自殺が孤立の病であるといわれる所以である。
■2020年は20歳未満の自殺者も際立って増加した。自殺率の上昇はすべての年齢層で見られた現象であるがその倍率は若年ほど高い傾向を示している。20歳未満では前年比の2倍で過去最多となった。特に10代の女性で増加率が凄まじかった。
人間関係の孤立感と人生の不遇感は男性より女性の方が強く刺激されやすい構図になっている。2020年はとりわけ若年層の女性において社会的孤立が深刻化した年であった。
■「居場所がないと感じること」にストレスを覚える人は男女ともに年齢が低くなるにつれて多くなっており、20歳未満で最高値を示している。
■ニーチェも言っているが「その人にとっての一番の弱点がその人を救う」ということがある。