ちょっと前に読んで、ブッククラブの7番目の男に献上してからしばらく経って再読の1冊。
表題作しか読んでなくて、あとに続く短編がこんなにすごいなんて聞いてない。
ティファニーはもうオードリーヘップバーンの映画のイメージが先行しちゃってるけど、主人公のホリー・ゴライトリーはもっとめちゃくちゃな女で自由
...続きを読む奔放であけすけで揺るぎない行動規範を持ってるキャラクター。ニューヨーク、ライ麦畑でとご近所の舞台(マディソンアベニューとかレキシントンあたり)の社交界のなんやかやを売れない作家が描写してる構成がとにかくおしゃれ。初めて主人公の作品が掲載されたお祝いに飲むマンハッタン私も飲んでみたい。
最後麻薬仲介に関与してた罪で連行されるホリーが「猫に餌をあげてね!」って叫んだシーンが大好き。
でももうとにかくとてつもなく良かったのはホリーの兄フレッドが戦死したニュースを聞いて、ホリーが伏せった時の医者と主人公の会話。↓
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「彼女の病気はただの悲しみなのですか?」
「悲しみがただの病なのですか?」
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続く短編集は作家が変わったんじゃないかってくらい作風もシーンのトーンも違ってトルーマン天才やん...ってなった。
ティファニーみたいなニューヨークの話を描いたと思ったら黒人コミュニティが舞台になった話も描けちゃう。『花盛りの家』は恋の盲目性を描いてるって読みはまだ浅い気がする。
最高だった一文↓
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恋をしたときってどんな気持ちになるわけ?と彼女は尋ねた。ああ、それはね、とロシータは目をうっとりさせて言った。まるで心臓に胡椒をふりかけられたような気持ちになるんだよ。
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心臓に胡椒をふりかけられたようなって比喩がすごすぎて一回ページ閉じた。天才。
トニ・モリスンの「青い目が欲しい」を連想するような決して裕福とは世界から見た心情表現と日常描写がたまらんかった。
最後に収録されてた『クリスマスの思い出』は何で初読の時読まなかったんだろうって後悔するくらいの最高の短編。何度も読み返したくなるって言うよりは、読み終えると結構しんどいから次の日休みじゃないと仕事できなくなりそうなタイプの話。
61歳のおばあさん(年寄り老けてる感じがするのでおばあさん)と7歳の子供(少年というには幼すぎる感じはする)の2人の親友が毎年お金を貯めて11月末にフルーツケーキを作る。仲良い人に配るんじゃなくて「ルーズベルト大統領はクリスマスに私たちのケーキをテーブルに並べてくれるかしら」って思いながら作るのが、純粋混じり気ないピュアさでやられる。でも子供は成長するし、おばあさんは老いておく。お願いだからずっと2人が毎年11月末にフルーツケーキを作り続けられる世界があることを心底願っちゃう。
いい読書した〜!