「私生活」という割には、結局普段は具体的に何してたの??という疑問は残ったが、
滅びゆく清朝の最末期の皇帝の人生や人となりを垣間見ることができた。
知れば知るほど
「鶏カゴに入ったら鶏になれ、犬小屋に入ったら犬になれ」
という諺をそのまま恐ろしいほどに体現した人だったんだな、と思った。
哀れでもあ
...続きを読むり、同情すべきでもあり、
滑稽で嘲笑に値するものでもあり、
怒りや軽蔑の感情をもこちらに抱かせる人物だった。
非常に良くできているドキュメンタリーだが、この一冊だけで溥儀の人物像を固めたくないので、彼の英語教師だった人物が書いたとされる本も読んでみようと思う。
また、この本により、
溥儀の皇后・婉容、
溥儀の弟の溥傑とその2番目の妻・浩(日本の華族出身)にも興味が湧いた。
こちらもなかなかに溥儀とは違う波乱万丈の人生だったようだ。
なお、清朝において切っても切れない宦官制度についてもかなり詳しく書かれている。
宦官制度については
オスマン帝国の後宮(ハレム)での愛妾と宦官についての歴史本、
「ハレム〜女官と宦官たちの世界〜」小笠原博之
も有名だが
あくまで歴史書としての立場から考察した「ハレム〜」と違い、ノンフィクションタッチで進められる本書は臨場感があり、よりわかりやすい内容だった。
わかりやすいだけに内容としてはショッキングなものも多かったが。