ユーザーレビュー PIHOTEK 北極を風と歩く 荻田泰永 / 井上奈奈 雑誌「ダ・ヴィンチ」で紹介されているのを見て手に取り。 カバーはシボ感というかぽこぽこした紙の質感を感じ、雪が厚いという感覚が伝わるような装丁。本文の紙の質も手に柔らかく、遊び紙は極地圏の宇宙を思わせるような濃い藍に近い蒼色。装丁にこだわっているのが伝わります。 ピヒュッティってどういう意味かな、...続きを読む何語なんだろうと思いましたが答えは後書きに。著者は探検家の方だったんですね。 絵の線、色使い、人物や動物たちの描き方、全て短く詩のような文章によく合っています。 汗をダラダラかくまだ暑いこの時期に読めてちょっと涼しくなりました。 「初めての今日」という言葉が染みました。誰でも朝目覚めたら今日は初めての今日だ、と思えるのは子供よりある程度の大人の方かもしれませんね。味わい深い一冊でした。 Posted by ブクログ PIHOTEK 北極を風と歩く 荻田泰永 / 井上奈奈 人生で北極に行くことはないだろうけど、どんな感覚なのだろう、と思う。 寒さの度合い、孤独の度合いを想像する。 北極にうさぎたくさんいることは知らなかった。 紙や印刷、色調にもこだわっている感じで、カバーにはややエンボスがあり、夜明けのシーンが特にきれいだった。 Posted by ブクログ PIHOTEK 北極を風と歩く 荻田泰永 / 井上奈奈 感想 シンプルな色合い。北極の写真や映像は見ることがあるが、この絵本の色合いから自然の厳しさ、命のやりとりが伝わってくる。白の世界に青、赤、黄色のページがはさまれ、北極の動物たちの息吹が聞こえてくるよう。『PIHOTEK』はPANTONE社の特色4色のみで表現された特別な色合いの絵本とのこと。 「空...続きを読むが紫色に染まる一瞬、光は世界に力を与える。夜が明ける」 のページの色合いが素敵だ。 ぜひ手に取って欲しい。カバーを外して、描かれた冒険の足跡を辿ってみるのもいいのでは? <書籍情報> 日本絵本賞大賞受賞!造本装幀コンクール日本書籍出版理事長賞受賞! 「植村直己冒険賞」受賞の極地冒険家、荻田泰永×「世界で最も美しい本コンクール」銀賞受賞の井上奈奈による絵本。 北極をたった一人で歩く”僕”の一日を描く。 頬を叩く風、北極での生き方を知る動物たち、空から降りる暗闇、そして……。 北極を歩く”僕”を追体験できる、命と死を感じる美しい絵本。 (巻末エッセイより) イヌイットについて 「彼らにとって自然と自分との境界は曖昧だったのではないだろうかと感じさせる。自分の命は周囲の自然環境と全く同一である。イヌイットもいまでは現代的な生活様式を得ているが、根底に生きている観念は未だ自然の中にある。」 「その土地で生きるということは、その土地から命を得ることだ。」 (中略) 「すべての命も存在も関係性の中に生まれ、死んでいき、また生を形づくる。」 「環境問題とは数字の問題ではない。命の問題だ。自分の命はもちろん、隣にいる大切な人の命であり、会ったこともない遠い土地の誰かの命であり、時代も異なる動物の命のことだ。命を切断して物事を考える思考こそが、最大の問題である」 「北極を冒険することは、生きることだ。そして、死を感じることだ。その死とは、誰かの命であり、いつの日か自分の体も分解されて、空に舞い、風に吹かれて誰かの命にたどり着く。」 「北極に吹く風の中には、きっと誰かの命が舞っている」 Posted by ブクログ 井上奈奈のレビューをもっと見る