滝沢カレンのレシピ本(?)
レシピと言ってもまるで物語のような描写で、メルヘンな料理絵本みたい
分量の表現がとても感覚的
「料理なんて人それぞれでいいんだよ」というメッセージ性を感じる
例えば
「鶏肉一つ一つにアクセサリーをつける気持ちで」
「二の腕を気にして触ってるくらいの力で揉む」
「糸を通
...続きを読むして遊んだビーズくらいの大きさ」
「キャピキャピ音が高くなってきたら、ほんとに出してくれの合図」
「お砂糖は、きっとここを踏んだらややジャリジャリしそうな程度」
「個人差♪個人差♪」
「包丁を信じてそれぞれ思い思いに好きに切っていきます。口にこんな形だったら運んでもいいなを見つけてください」
自分の感覚でいいという表現と共に、大きさを揃えなければいけない部分では
「誰もが同じレベルであるように、細い棒切りしてください。1人だけひいきするとそれはそれで実力派の気を曲げますからご勘弁ください」
という感じでやんわりと忠告してくれる表現も優しい
テレビ番組に出てたときも、フードプロセッサーに入れる牛乳の量を「金魚が一匹飼えるくらい」と表現したり
人それぞれの感覚だけれどもなんとなくわかる表現が面白い
全力脱力タイムズで、読み間違えだらけのナレーションを思い浮かべれば近いかも
そう言えば、千鳥の大梧も「砂糖は思ってる倍」って言ってて、それでいて美味しい料理が出来上がったりと
感覚的な料理が最近は注目されてるのか?(笑)
メニューも最初の唐揚げに始まり、肉じゃが、ぶり大根、サバの味噌煮、シューマイ、ロールキャベツ、ラザニアなど一般的なものがほとんど
ひき肉や玉ねぎを使ったものが多い印象
多分、玉ねぎのみじん切りに対する恨み節の描写の印象が強いのかしら?
でもまぁ、玉ねぎは常備野菜で使い勝手がいいのがよくわかる
そんな一般的なメニューなんだけど、料理を作るのは一つの物語を紡ぐような行為に思える
ロールキャベツは、包まれたい欲の強い乙女なひき肉と、包みたい欲が強い男気溢れるキャベツとのウェディングストーリー
豚の角煮は圧力鍋との小旅行
肉じゃがは、「カレーかと勘違いされがちメンバーも行き先変えたらこんなに違うんだぞ」と大御所の本領を発揮するベスト料理
この本を読んでから、自分で料理するときも食材が何か喋っているような妄想を繰り広げながら作るようになってしまった
そんな中毒性の高い本かもしれない
でも、あとがきでは、読み終わったらキッチンの片隅にでも置いてと、読み返したりレシピを参考に作る事を推奨しない姿勢も好感が持てる
料理をできる人にとっては「そんな表現をするかー」という面白さを感じるし、料理したことない人にとっては料理することのハードルを下げるものだろうと思う