ユーザーレビュー 朱子学と陽明学 島田虔次 朱子学と陽明学の基本的な考え方をわかりやすく簡潔に説明している入門書です。 1967年に刊行された本ですが、長年にわたって読者の評価を得ているロングセラーで、今なお優れた入門書と言えるのではないかと思います。もっとも、現在では木下鉄矢による厳しい批判がなされており、また垣内景子の『朱子学入門』(2...続きを読む015年、ミネルヴァ書房)や小島毅の『朱子学と陽明学』(2013年、ちくま学芸文庫)などのわかりやすい入門書が刊行されていますが、本書のコンパクトな叙述のスタイルには類書にない魅力を感じます。 とりあつかっている内容としては、朱子学と陽明学の概要のほか、「儒教の反逆者」として李卓吾に一章があてられており、その「童心説」について紹介するとともに、仏教との関係にかんする著者自身の疑問が提起されています。 Posted by ブクログ 朱子学と陽明学 島田虔次 程明道、程伊川の思想が発展することで朱子学に至り、さらに朱子学の問題意識を突き詰めることで陽明学に至るという流れがつかめる。問題意識の在り処に注目することで、朱陽の思想の概観が判る。 Posted by ブクログ 朱子学と陽明学 島田虔次 [ 内容 ] 仏教の汎神論的思想を容れて宋代に確立した朱子学、心即理・致良知・知行合一を説く明代に生まれた陽明学。 両者とも近世中国を支配した儒教哲学であり、また唯心論的実践哲学である。 日本人の倫理観にも大きく影響を与えたこれらの学説の成立過程と歴史的役割を明らかにし、中国思想史におけるその位置づ...続きを読むけを試みる。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ] Posted by ブクログ 朱子学と陽明学 島田虔次 朱子学と陽明学の解説書。 朱子学と陽明学って何?という本では無く、 ある程度知っている人のための解説書である。 朱子以前の宋学から始まり、 陽明学の成立とその後の影響までを解説する。 性即理と心即理の具体的な違いや、 陽明学が自己否定に至ってしまうことなど、 分かったつもりで分かっていなかった...続きを読む 新たな発見の連続だった。 四書と近思録と伝習録を読んでから この本を読めば、そういうことだったのか! という新しい発見があることだろう。 Posted by ブクログ 朱子学と陽明学 島田虔次 書名から勝手に概論的な内容だと思いこんでいたが、全く違った。性即理の朱子学と、心即理の陽明学を対比させ、どのような思想的変遷を辿ったのかを考察したもの。かなり専門的な内容だった。思想というものは突然変異的に出現するものではなく、どんなに対立する思想にも何らかの繋がりがある、という主旨。 万物が本来持...続きを読むつ”あるべき姿”を性とし、それが世の構成原則(理)になっているという朱熹の『性即理』理論。心は性と情から成り、性は人に元来備わっている(=未発)”善なるもの”で「体」、情は物質である「気」が動いた結果(=已発)としての「用」であり、これらは別物という考え。事物の「性」を正しく理解することによって物事の道理が見極められる(格物致知)。 一方で陽明の考える『心即理』は、性と情とを区別せず、人欲も理性もまとめて心=理なのだ、という思想。心=良知=天理であり、良知をもって事物を正しく見ることが格物致知の真の意味だという。 素人的にはそれほど隔たりがあるように見えないが、中世以降の二大中国思想の片鱗を少しだけ理解できた。 Posted by ブクログ 島田虔次のレビューをもっと見る