1979年の米中国交正常化・鄧小平訪米から現在に至る米中関係を丹念に調べ上げた点で白眉の出来と思います。さらに、こうした事実を振り返り、米国側の対中意識の変化を論じた優れた著作です。
1979年の米中国交正常化により、米国は中国の成長を支援する「関与政策」を立ち上げ、「しぶとく」支援を続けた
...続きを読むとあります。これには、中国の経済成長による「三つの期待(政治改革、市場化改革、国際社会への貢献、への期待)」が米国側にあったためですが、その後、①「三つの期待」は習近平政権によって裏切られた、②中国経済がここまで成長するとは予想せず米国側が焦燥感を持った、ことから米国内での意識が変化。そのなかで、オバマ政権末期の中国での人権や安全保障問題によって軋みが生じ、トランプ政権になって決定的に「米中対立」に至ったという分析です。
中国側はこうした動きに「受動的に」対応とのことですが、本書は米国からの視点中心であり、中国側の意識変化などもあればさらに良いかと思いました。また、日本の対応についても、もう少し記述が欲しいとは思いましたが、いまの米中関係を紐解くには最適の1冊と思います。