渡辺錠太郎は2.26事件で非業の最期を遂げました。学者将軍と言われていた渡辺錠太郎。そんな彼は非戦思想を持っていました。
そんな渡辺錠太郎と、同じ日に殺害された高橋是清が、もし生き延びていたら、と思います。
「もしもあの時、父が青年将校たちの手で殺されていなかったら、後年キリスト教の洗礼を
...続きを読む受けなかったかも知れないし、その結果として修道者となり、岡山に派遣されることもなく・・・」と、渡辺和子シスターは語っています。
この本ではまた、渡辺錠太郎の命を奪い処刑された青年将校の弟と、渡辺和子シスターとの交流も少し描かれていて、そのくだりにも心打たれるものがあります。
起こって欲しくないような悲惨なことが現実には起こる。自然災害や病気。人の罪が引き起こした悪事。「どうして」と問いたくなることがたくさんある。納得できないことだってある。
それでも、それを悲惨なままに放置しておく神様ではない、ということもこの本を通して思いました。