多田駿伝~「日中和平」を模索し続けた陸軍大将の無念~

多田駿伝~「日中和平」を模索し続けた陸軍大将の無念~

1,683円 (税込)

8pt

4.5

戦後日本人はなぜこの男の存在を忘れたのか。

「圧倒的な事実で迫る昭和秘史」――古川隆久・日本大学教授推薦
昭和13年1月15日、首相官邸において「大本営政府連絡会議」が開かれた。蒋介石率いる中華民国との和平交渉を継続するのか、それとも打ち切って戦争に突き進むのか、日本側の最終決断がいよいよ決せられようとしていた。近衛首相、廣田外相、米内海相らが居並ぶこの会議で、たった一人「戦線不拡大」を訴えたのが、参謀次長・多田駿だった。
「声涙(せいるい)共に下る」――多田は、日中間で戦争をすることが両国民にとっていかに不幸なことであるかを唱え、涙ながらに日中和平を主張したという。しかし、その意見が受け入れられることはなく、以後日本は泥沼の日中戦争に嵌っていくことになる。
陸軍屈指の「中国通」として知られ、日中和平の道を模索し続けた多田駿。だが、これまで評伝は1冊もなく、昭和史の専門家以外にはその名を知る人はほとんどいない。
「多田駿とは何者か?」著者はその疑問を解くために、厖大な数の文献を読み漁り、遺族を訪ねて未発表史料を発掘しながら、その足跡を丹念にたどっていく。
戦後日本人が忘れていた一人の“良識派”軍人の素顔がいま初めて明らかになる。

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多田駿伝~「日中和平」を模索し続けた陸軍大将の無念~ のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    1937年の盧溝橋事件後も戦争の不拡大を主張した中国通で知られた陸軍中将・多田駿参謀次長の名前を覚えている人はそう多くない。結局,不拡大の方針は採られず,近衛文麿は「国民政府を対手とせず」の声明をだしてしまったからだ。また東條英機とも対立し,太平洋戦争前には予備役に編入されたことも関係するのかもしれ

    0
    2017年08月17日

    Posted by ブクログ

    よく調査されており、戦時中の歴史に残る傑物を発掘されたことは大変なお仕事をされたと敬意を表したいと思います。
    ただ如何せん表現や構成に稚拙な点もあり、ノンフィクションの読み物としては今一つと感じました。ただ対象を見つめる視点は鋭いものがあると思いますので、ぜひ次回作に期待しております。

    0
    2017年05月16日

    Posted by ブクログ

    戦前・戦中の海軍=善玉、陸軍=悪玉の印象公式が揺らぎます。と云うのも著者があとがきでも綴って居た通り。
    こんなにマトモな人が中央に居乍ら、日中関係硬化・悪化の後の太平洋戦争だったのなら、それこそ何かの見えざる手だとか、時代の気風の魔力としか言いようが無い。
    禅僧の様な佇まいに日本古来からの武将の様な

    0
    2017年05月13日

    購入済み

    読み応えある評伝

    名前こそ知っていたが漸く評伝が出た。日中戦争を扱った戦史研究は数あれど近衛第一次声明からの近衛改造内閣と参謀本部の動向についてはあっさりと済まされることが多く、多田駿という人物とその内面は良く知られていなかったと思う。
    僧侶が何故か高級軍人になってしまった人である。書簡にある日本や日本人への諫言が

    0
    2017年03月28日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     多田駿の名前は参謀次長として聞いたことはあるが、ぞの前後での活躍は見た覚えがなく、どのような人なのか気にはなっていたが知りようがなかった。
     だからこの新鋭の作家によって、まさに伝記が発刊されたのを知り、喜ぶと同時に地味なこの人の伝記におもしろいところはあるのだろうか、と余計な心配もした。
     この

    0
    2020年09月05日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     対中不拡大派の多田駿氏の評伝。近衛内閣が蒋介石率いる国民政府に対し、相手とせずという声明を出す前、陸海両相、外相を相手に、閣議で交渉継続を訴えた中国通の軍人。
     本書を読むと、対中国については、陸軍と海軍というよりも参謀本部の不拡大派(主に作戦実務を司る二課)に対して、拡大派が陸軍その他ならびに海

    0
    2019年09月23日

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