作品一覧 2024/03/19更新 赤星鉄馬 消えた富豪 試し読み フォロー 首里城への坂道 鎌倉芳太郎と近代沖縄の群像 試し読み フォロー 街を泳ぐ、海を歩く カルカッタ・沖縄・イスタンブール 試し読み フォロー 琉球切手を旅する 米軍施政下沖縄の二十七年 試し読み フォロー 歴史に消えたパトロン 謎の大富豪、赤星鉄馬 試し読み フォロー わたぶんぶん わたしの「料理沖縄物語」 試し読み フォロー 1~6件目 / 6件<<<1・・・・・・・・・>>> 与那原恵の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 首里城への坂道 鎌倉芳太郎と近代沖縄の群像 与那原恵 大正末期から昭和初期、大々的な『琉球芸術調査』を行い、貴重かつ膨大な資料を残した研究者・「鎌倉芳太郎」。稀代の記録者の仕事を紹介する本邦初の評伝であるとともに、彼に琉球文化の扉を開いた人々の姿、そしてそれが現代に繋がるまでの熱きドラマが描かれる。第二回河合隼雄学芸賞、第十四回石橋湛山記念早稲田ジャー...続きを読むナリズム大賞をダブル受賞! Posted by ブクログ 赤星鉄馬 消えた富豪 与那原恵 アントニン・レーモンド設計の旧赤星鉄馬邸の一般公開が終わる5月16日直前の日曜日に慌てて吉祥寺に向かいました。ものすごい行列でしたが、でも戦前の富裕層の日常生活の空気をちょっとでも吸った気持ちになり大満足でした。レーモンドのお師匠さんのライトの設計による自由学園明日館の公共性や、現在、庭園美術館にな...続きを読むっている旧朝香宮邸のアールデコの芸術性とまた違う、人の暮らしを感じさせる建造物でした。と、いうことでここを建て、生活していた「赤星鉄馬」という人物に俄然、興味を持った訳です。ん?その人の本、だいぶ前に積んでいたよな、ということでの本書。めちゃくちゃ労作の名作です。以前、考古学者の本(たぶん「生命の大進化40億年史 古生代編」…)を読んでいて、今、化石として見えるは骨とか甲殻とか硬い部分だけであって体液とか内臓とか柔らかい部分は消え去ってしまい、想像するしかない、みたいなことが書かれていたような気がするのですが、まさに「邸宅」は化石であり(それも、維持が難しくなっていますが…)その中の放っておくと永遠に見つけられなくなるものがこの本には満ち満ちています。今は誰も知らない、たぶん行列している人のほとんどが知らない「赤星鉄馬」というお金持ちの人生がインタビューや資料の掘り起こし、そして想像も含め丁寧に復元されています。そもそも著者が向き合ってきた沖縄文化研究の先達の資金援助をしてきたのが彼の創設した「啓明会」という学術団体である、という発見がこの本が生まれる発端なのです。「売り家と唐様で書く三代目」という揶揄の言葉がありますが、意識的に消えようとした二代目の人生は、まさに富裕層ネットワークの記録でもありました。体液、内臓というより国内外を超えた人間関係という神経系を一本一本蘇らせています。部分的に言うとエスタブリュッシュメントにとってのゴルフの意味を改めて感じました。なんで今でも偉くなった人が東京ゴルフ倶楽部に入りたがるのか、わかります。武蔵野市が旧邸宅をどう活用するか、と、この本が出たことで「赤星鉄馬」はたぶん、次の時代にも「化石」として残っていくはず。 Posted by ブクログ 首里城への坂道 鎌倉芳太郎と近代沖縄の群像 与那原恵 本書は、鎌倉芳太郎の事績にスポットをあて、彼の生涯を軸に、琉球王朝の時代から続く、貴重な琉球・沖縄の芸術・文化などの調査・継承・発展に尽力した人々を描いた本です。 かなり読みごたえはありますが、沖縄にルーツを持つ、著者・与那原恵さんの描く沖縄の風景や人々は生き生きとしており、目の前にその光景が浮か...続きを読むび上がってくるような本です。 この本の物語は鎌倉を中心に展開しますが、同時に、多くの琉球・沖縄文化に携わる人々が描かれ、その人々の沖縄に対する愛情と情熱を感じずにはいられません。 また、本書には書かれていないけれども、沖縄の文化を守り伝えることに力を尽くした、多くの名もなき人々にも思いが及びます。 Posted by ブクログ 琉球切手を旅する 米軍施政下沖縄の二十七年 与那原恵 シリーズ作の「美麗島まで」と対をなす沖縄にルーツを待つ著者の作品。 「美麗島まで」が母方の医師であった祖父の人生を追いかける形でロシア、台湾、そして沖縄へと戦前・戦中・戦後と歴史に翻弄される中での沖縄の人々の営みが著者自らが現地に足を運び聞き取った詳細な証言とともに語られる。 全く知らなかった、思い...続きを読むもかけなかった形での琉球とロシア、台湾との関わり、繋がりに心を打たれる。 そして本作はまさに「戦後」の米軍統治下から「本土復帰」までの時代を「琉球切手」発行者たちの歴史と重ねて丁寧に聞き取り、膨大な資料から明らかにしていく過程は「琉球・沖縄の戦後史」そのもの。 ここでもまた「台湾」と「琉球」の関わりが重要な役割を示す。 今、「台湾有事」との関わりを念頭に置く、として先島に進められている自衛隊の駐屯は、決して「戦後」が終わっていないこと、台湾は琉球のすぐそばにある、ということを如実に示している。 この2作品を通じて全く新しい視点での「琉球の歴史」を教わったような気がする。 Posted by ブクログ 琉球切手を旅する 米軍施政下沖縄の二十七年 与那原恵 米軍施政下に置かれた沖縄で1948年から、 1972年の本土復帰まで発行された259種の琉球切手。 琉球切手の旅をテーマに語る、本土復帰までの人々の歩み。 第一章 琉球切手の旅へ 第二章 琉球切手誕生 第三章 一九五〇年の沖縄 第四章 文化財復興とペリー来琉百年 第五章 コロニア・オキナワ、琉球芸...続きを読む能の復活 第六章 島ぐるみ闘争とドル切り替え 第七章 屋良朝苗と復帰運動の一体化 第八章 オリンピックとベトナム戦争 第九章 返還合意 第十章 琉球切手 主要参考文献有り。 日本から米軍施政下の沖縄に帰ることが、困難だった時代。 沖縄から運ばれた「言葉」と貼られた琉球切手が、 故郷との縁となっていた、家族の歩み。 沖縄での、その親族の歩みは、戦後沖縄の歩み。更に、 琉球切手に関わった人たち、原画を描いた画家たちの、歩み。 それらは芸能と芸術の活動と文化財の復興の、歩みにも。 米軍施政下の制約された生活から本土復帰までの道程の中には、 B円からドルへの切り替えの混乱が切手にも及んでいたこと、 記念切手発行の裏事情、切手の図柄への米側の圧力や不発行も。 沖縄から各地に送られた琉球切手は、 家族や親族のみならず、切手に関わった多くの人々の間をも、 繋げて、本土復帰への歴史の変遷を旅していたように感じました。 また、本土復帰までの道程も分かり易く書かれていました。 琉球・沖縄の存在を示す図柄に籠められた、 ウチナーンチュの想いも熱いものでした。 但し、各章の扉の切手の画像がカラーでないのが残念。 Posted by ブクログ 与那原恵のレビューをもっと見る