琉球切手を旅する 米軍施政下沖縄の二十七年

琉球切手を旅する 米軍施政下沖縄の二十七年

2,090円 (税込)

10pt

3.7

私の目を引いたのは、沖縄から届く封筒に貼られた美しい切手でした。
「琉球郵便」の文字、額面はセントで表示されている切手の図柄は多彩でした。見たことのない南国の植物、鮮やかな色をした魚、紅びん型がた紋様、琉球舞踊、文化財や工芸品……。いつも異なる図柄の切手だったので、手紙が届くとまっさきに確かめるようになりました。いきいきと描かれている動植物はとてもきれいで、友だちに「沖縄のお魚は青いの」と言っても信じてもらえなかったのですが。琉球舞踊の切手には県人会で見た演目が描かれていてうれしくなりました。
ふだん目にする日本の切手とはまったく違うそれらの切手は「琉球切手」と呼ばれるもので、沖縄で作られているということでした。
米軍施政下に置かれたのち一九四八年七月から七二年四月まで、普通切手・記念切手・航空切手など二百五十九種(再刷含む)の琉球切手が発行されていたと知るのはのちのことです。(第1章より)

……………………

琉球切手はいまも沖縄の家に多数残っているという話を耳にします。切手としては使えないけれど、手放したくないという人や、ブームのさなかに買い、売りそびれてしまったという人。どこかの家の古い箱に忘れられたまま、ひっそりと眠っている切手もあるでしょう。
そんな琉球切手は、こんなふうにつぶやいているのかもしれません。沖縄が米軍施政下だったころ、私たちは「言葉」を運んで、旅をしたのだよ、と。
「Final Issue」の切手が発行されてから五十年。けれどいまも沖縄には米軍基地が広がり、米軍統治時代の終止符が打たれたとはいえない状況です。そんな沖縄からの「言葉」は、本土に届いているのでしょうか。(第十章より)

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琉球切手を旅する 米軍施政下沖縄の二十七年 のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    シリーズ作の「美麗島まで」と対をなす沖縄にルーツを待つ著者の作品。
    「美麗島まで」が母方の医師であった祖父の人生を追いかける形でロシア、台湾、そして沖縄へと戦前・戦中・戦後と歴史に翻弄される中での沖縄の人々の営みが著者自らが現地に足を運び聞き取った詳細な証言とともに語られる。
    全く知らなかった、思い

    0
    2023年08月15日

    Posted by ブクログ

    米軍施政下に置かれた沖縄で1948年から、
    1972年の本土復帰まで発行された259種の琉球切手。
    琉球切手の旅をテーマに語る、本土復帰までの人々の歩み。
    第一章 琉球切手の旅へ  第二章 琉球切手誕生
    第三章 一九五〇年の沖縄
    第四章 文化財復興とペリー来琉百年
    第五章 コロニア・オキナワ、琉球芸

    0
    2023年04月20日

    Posted by ブクログ

    切手以外の話題が多いかなとは思うが、琉球切手に関する本はあまり見かけないので、とても興味深く読めた。

    0
    2023年05月07日

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