この本は国連の依頼によって研究した報告書を元に、出版されたものである。
幅広く冷静に環境問題と取り組んで調査した報告書で、そのプロセスと結果と未来に対する可能性を伝えている。
1972年に最初の「成長の限界」が出版され、世界中に広まった。20年後の1992年に「限界を超えて」と言う題で新たな情報
...続きを読むに基づいて出版された。
その10年後に出されたのがこの「限界を超えて・人類の選択」である。
又10年後に、その時点での状況をまとめて出版する予定だという。
今後どんな生き方を選ぶかを一人一人に問い掛けている。人間が何を求め・そのために工業が何をし・経済がどう対応していくのか。と言う判断をするための資料を提供してくれている。見えにくい現状をあるがままに明らかにして、無限にある人類の選択肢を示している。
又、この著者達はカブ・ヒル村という自給自足できる連鎖した暮らしを求めて、実験的な村を運営し、実際に生活しながら具体的な方法や技術を模索している。
その現状を公開した「成長の限界からカブ・ヒル村へ」という本も今年出版されている。
三冊目となる「限界を超えて・人類の選択」の内容:
天然資源を使い果たしてしまう前に、物質やエネルギーを提供してくれる地球の供給源と、汚染や廃棄物を処理してくれる浄化・吸収源のコストが増え続けることが問題にしている。
再生可能な資源つまり連鎖しリサイクルする自然の営みを越えた消費が、自らの首を絞めている事実を客観的に見せてくれる。
再生可能な資源を安易に目先の利益のために使い続けるとコストが高くなりすぎて、工業の成長自体が崩れる。それに伴って物質経済、果ては金融経済が突然に破壊することになる。
例えば、私達が日々の暮らしの中で、現実に何ができるだろうか?
学んで現状を自分で判断すること・社会の運営に参加すること・燃費の良い実用的な車を選ぶこと・ビンや缶などの資源ゴミをリサイクルすること・意識を持って投票すること・さらにライフスタイル自分らしく無駄の少ない暮らしぶりにすること・子供を二人までにすること・化石エネルギーの価格を高く設定すること・フェアートレードを心掛けること・自分らしい生計を見付けること・対立して抑圧しないこと・土地の手入れをすること・嘘を付かないこと・・・。と率先してやれることは段階的にいくらでもあることを告げている。