作品一覧 2023/03/31更新 戦後70年 特別コミカライズシリーズ 完結 試し読み フォロー ビルマの竪琴 試し読み フォロー ビルマの竪琴 試し読み フォロー 見て感じて考える 試し読み フォロー 若きウェルテルの悩み 試し読み フォロー 1~5件目 / 5件<<<1・・・・・・・・・>>> 竹山道雄の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 若きウェルテルの悩み ゲーテ / 竹山道雄 なぜもっと早く読まなかったのだろう。 現代の日本人作家の小説を、わたしの人生が最も大変だった若き日々にいくつか読んだだけで、どうせ文学なんてほとんどが恵まれた環境に生まれたのに感性が繊細だったために苦しいやつらがその恵まれた環境を土台に、自らの苦しみをつらつらと表現しているものか、または売れるため...続きを読むに少数の誰かの確かな苦しみをも自らの小説の仕掛けや設定として不誠実に利用するような、大衆迎合の権化かのどちらかなのだろうだなんて、文学に諦念と怒りを抱いている場合などではなかった。 ゲーテってすごいね。さまざまを内包していた。 ゲーテだって小説を書く環境があったというだけである程度以上恵まれていたことは事実だと思うけれど(たとえば、戦時下で爆弾が頭上から注がれているそのときに小説なんてものは書けないだろう)、そんな小説の致し方ないその成立要件の一つである恵まれ、作者の特権性を忘れさせるくらい、そんなのは関係ないってくらい、その才能と思考と小説がかたちづくる世界に圧倒された。 優れた文学は、その自らの成立要件の一つである特権性を読者に感じさせず、それどころか、読者に世界や人々との一体感を与えるものなのだとこの歳になってやっと実感できた。 人生の早くに拗ねたせいで、出会うのが遅くなってしまった。 文学への諦念も憤りも取り払い、この世界には信頼に足るひとかけらのなにかがあるのかもしれないと思えた、そんな一冊だった。 もっと、本を読もうと思った。 Posted by ブクログ ビルマの竪琴 竹山道雄 児童文学。くもんの推薦図書ではハリーポッターと同レベルのFに並べられています。 文体は優しく、音楽を主軸として、異国での苦境の前線を描いており、短い話で、中学生なら読み通せる子がいてもおかしくないかなぁと思わせます。 作中には青いインコが登場しますが、その描写がいかにもリアルで感心しました。 うち...続きを読むにもインコがおり、今もマラソンを観戦している家族に混じって、テレビと家族に向かってピィピィと楽しげに鳴いています。 南国にいるインコがありありと想像され、また健気さに泣きながら読み終えました。 今起こっている戦争とは、状況や価値観が違うものと思いますが、だからこそ1番根っこの大事なものについて思いを確かにすることができる書籍です。 Posted by ブクログ 若きウェルテルの悩み ゲーテ / 竹山道雄 圧倒的。 青春期特有の人が持つまっすぐな心と純粋な感性にここまで肉薄し丁寧に描写した作品は数少ない。 現代の人はすぐに詩的な物言いに触れるとポエマーだの病んでるだの言う。 TwitterやSNSで安易に自らの心のうちを吐露してる人ももちろん大概だが、人の心のめんどくささだったりどうしようもなさを、一...続きを読む方的に俯瞰から見ては冷笑的なコメントをする人が多い現状はそれはそれで色々辛い。 ウェルテルは書簡体、つまりとても個人的なもので、本来は触れてはいけない人の「真実」が描かれる。彼の希望と絶望がそこに克明に記され、それを読んだ僕たちが魂の奥底で何かを動かされる。 ウェルテルは死んだがゲーテは生き返った。 Posted by ブクログ ビルマの竪琴 竹山道雄 この物語が空想で書かれたということに驚いた。しかし著者が生きていた時代、教え子たちが実際に南方で死に、彼らを常に悼み、弔っていたのは、まさに水島上等兵さながらであり、その実感がこの物語のリアリティを高めている。 Posted by ブクログ ビルマの竪琴 竹山道雄 兵も指揮官も一律に断罪する軽薄な戦後の空気にあって、国のために殉じた人々を弔うという、至極当たり前の描写をなし得た本稿から、やはり故人のために「先祖の話」を書かずにはいられなかった柳田国男と同じ温と剛を感じた。 Posted by ブクログ 竹山道雄のレビューをもっと見る