ゴールド
レビュアー
  • 南京の基督
    購入済み

    宗教 信仰とは

    宗教 信仰というものの功罪を描いた作品である。ヒロインの気持ちのみを考えれば、宗教というものは心の平安と安寧をもたらしている。しかしもっと別の視点で見ればその安寧は、病気を移された他者の犠牲の上に成り立っているのだろうし、彼女の上にも病気の再発という形で現れてくるだろう。いずれにしても作家の筆は結構冴えている。

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    2024年06月02日
  • ヘンタイ作家とヒミツの絵師1
    購入済み

    今後の展開が楽しみ

    デジタル描画された絵柄は妙にリアルであざとい魅力を持っている。ストーリー展開も「まさかあの子が」と思わせながら進んでゆくところは、やや安易ではあるがなかなかに良い。やや私小説的なところもあるが、今後の展開が楽しみである。

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    2024年06月02日
  • 仕事帰り、独身の美人上司に頼まれて【分冊版】 1
    購入済み

    バランスが悪い

    厳しい女上司に誘われて という大変にありがちなストーリー展開ではあるが、それはそれで読んでいてなかなかに楽しい。絵柄も一見なかなかに良さそうであるが、ヒロインの体のバランスが悪いカットが目について少々興ざめである。

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    2024年06月02日
  • BELIAL  1巻
    購入済み

    ストーリー展開が大風呂敷

    ストーリー展開が大風呂敷を広げ過ぎて収集がつかなくなっている、という印象を抱いてしまった。話が進んでゆくにつれて話の内容がわかってゆくどころかますます支離滅裂になってきてしまっている。さらに、絵柄もおさなめで稚拙で読みにくい。

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    2024年06月02日
  • ドキドキ×メーター1
    購入済み

    絵は随分きれい

    病気を長く患うと自信喪失してしまい、体よりも心のほうが先に駄目になる ということがあるそうだ。この作品の冒頭部分はそのような状態に陥った主人公を描いている。しかし、チートなアイテムを手に入れたおかげで、そこからどんどん立ち直ってゆく というストーリー展開はなかなかに良い。フルデジタルの絵柄もずいぶんと色っぽい。

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    2024年06月02日
  • 理想のカラダで美女を抱けたなら1
    購入済み

    数値を自由に割り振る

    フルデジタル描画の絵柄はずいぶんときれいで、女性たちの体のあざといばかりの魅力がよく表現されている。ストーリー展開も、外見と性能と頭脳に数値を自由に割り振れるという、なかなかに面白い内容である。

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    2024年06月02日
  • 市民ポリス69(分冊版) 【第1話】
    購入済み

    私人逮捕

    世の中、警察沙汰にするほどのことではないがいらいらとするようなちょっとした犯罪はいたるところにある。どうにかして取り締まりたい、その隠された願望をそのまま作品にしてみた という点は大変に注目に値する。それにしてはストーリー展開はやや平凡であるが、着目点の良さは残っている。

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    2024年06月02日
  • Unidentified 前
    購入済み

    わからない作品

    まず、ストーリーの舞台.背景が全くわからない。殺伐とした近未来が舞台となっているようだが、世界観や詳細がわからない。絵柄も一見良さそうにも見えるが、ページを捲ってゆくとどんどんラフになってゆく。ネームに近い姿のまま「出来上がり」としたのではないか。

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    2024年06月02日
  • 大江戸グルメ談義 どんぶり繁盛 一ノ巻
    購入済み

    江戸下町人情物

    グルメ漫画に江戸下町人情物が組み合わさって、とても楽しくそして読みやすい作品に仕上がっている。ただし、登場する様々な料理「例えば生のイワシを叩きにして食べる」が、時代考証的に正しいのかどうかが気になった。

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    2024年06月02日
  • 太刀川さんまた聴こうとしてる!?(分冊版) 【第1話】
    購入済み

    イケボ

    イケメンを取り上げた作品は多いが、イケボ 声に注意した作品はそれほど多くない。その点だけは評価に値するが、その他の点は全くのありきたりで、少年漫画風の絵柄 ストーリー展開も平凡である。

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    2024年06月02日
  • 祝福王 1巻
    購入済み

    味の濃い作品

    絵柄も内容も極太 味の濃い作品である。宗教が絡むと 特にそれがカルト宗教っぽくなると、どうしても胡散臭さ オウムっぽい雰囲気が出てきてしまう。しかしこの作品はそれらの胡散臭さを吹戸バスだけの力強さがある。もっとも好きなテーマとは言えないが。

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    2024年06月02日
  • 吝嗇神の宿
    購入済み

    リレー小説

    檀一雄や尾崎士郎たちと組んで行ったリレー小説の第二回目だそうである。そのため長い物語の途中から読んでいるという感じは否めない。作者特有のユーモアや調子の良い語り口はそれなりに魅力があるが、ストーリーそのものは、長い物語の途中から途中なのでなんとも言いようがない。

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    2024年06月02日
  • ハヤカワSFコンテスト2020受賞作【無料試し読み版】
    購入済み

    結構新鮮

    コンテスト受賞作ということあって2つの作品とも結構新鮮でいきいきとしている。
    第2作目のAIを扱った作品は比較的ありふれたテーマ 展開であるが、古典的な銀行強盗と組み合わせたところに古典的なカーチェイスの面白みが加わって、古典的な面白さ ワクワク・ドキドキ感がよく出ている。

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    2024年06月02日
  • 半蔵の門3
    購入済み

    劇画全盛期の作品

    劇画全盛期の作品だけに大変に読み応えがある。ただ今となっては線がごちゃごちゃして少々読みづらく感じてしまう。年を取ったせいだろうか。ストーリー内容はほぼ史実に基づいているのだろうが、いろいろな出来事の裏に服部半蔵の活躍があった とのストーリーになっている。本当にそうだったのかもしれない と思わせるところが流石である。

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    2024年06月02日
  • 半蔵の門2
    購入済み

    典型的劇画

    戦国末期から江戸時代初期という時代設定と言い、武士や忍者を主役とする登場人物設定と言い、粗い劇画タッチと言い、全てが二昔前の典型的劇画ということができる作品である。ありがちではあるが安定したストーリーの運び方は、ある意味ありきたりではあるが安心して読むことができる。

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    2024年06月02日
  • 半蔵の門1
    購入済み

    視点の異なる解釈があるのも面白

    本格的な歴史物劇画で時代考証がしっかりしている。非常に類書の多い戦国末期を描いているだが、他の本とやや視点の異なる解釈があるのも面白い。問題は絵柄である。典型的な劇画でありタッチがやや粗めなのはいいとしても、人物のバランスがどれも美しくない。当時の人々が胴長短足であったといえばそれまでだが。

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    2024年06月02日
  • 過去からの使者 ~悪因悪果~ 1巻
    購入済み

    リアルなお話

    小学校や中学校時代に気軽につけられたあだ名や容貌に関しての劣等感が、性格を歪ませ犯罪に走らせるという、よくありそうな話でゾッとさせられる。超常現象を扱ったホラーは「まあこんなことはないだろう」という感覚で読めるが、いかにも実話っぽいこの作品のような話は、別の意味で大変に怖い。絵柄も妙にリアル感があるので、かえって嫌悪感を引き起こす。

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    2024年06月02日
  • 復讐のラ・モール~お前たちには、地獄すら生ぬるい~【フルカラー】(1)
    購入済み

    動きがぎこちない

    フルカラーの華麗な絵で壮絶な復讐譚を描き出している。なまじ絵がきれいなだけに怖さが増しているようなところがある。しかし個々のカットはきれいであるが、登場人物の動きや言動に躍動感が案じられず冷たい画一的な表情になっているのがどうにも気になる。

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    2024年06月01日
  • 美神のハンマー探し1
    購入済み

    絵は随分きれい

    フルカラーの絵柄はずいぶんときれいであるが、北欧神話を下敷きにしたはずのストーリー展開は、テンポが悪くHシーンの連続であってあまり内容がない。純粋に絵ガラを楽しむべき作品だな。

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    2024年06月01日
  • 甘井さんは冷たくて甘い【単話版】(1)
    購入済み

    甘いものを接点に

    甘いモノづくりが得意な今どき男が、隣室の女子高生と というありそうな話である。確かに、甘いものを接点にして交渉が進んでゆけば仲良くもなりやすいよな と安易に考えてしまう。絵柄は今ひとつ というレベルである。

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    2024年06月01日
  • 異世界でビッチな女神様の信者を増やす簡単なお仕事です。(分冊版) 【第1話】
    購入済み

    コミカルではあるが

    求人雑誌に溢れている「簡単なお仕事です。」というセリフがなかなかに笑わせる。全体的にコミカルではあるがどこかに怖さを秘めている感じがそれなりに表現されていて良い。絵柄も登場人物のキャラクターを端的に表現していてよいのではないかと思う。

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    2024年06月01日
  • 手玉に取りたい黒木屋さん(1)
    無料版購入済み

    一本調子かな

    正直男とギャルの純情恋愛物語 という比較的ありふれたパターンが続く作品である。最初のうちは面白いかなと思って読み進めてゆくが、ほぼ同じパターンが続くのでだんだんと飽きてくる。何よりも絵柄がやや拙いのでその点が興ざめである。

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    2024年06月01日
  • 拳神 海渡勇次郎伝 1
    購入済み

    ゴツい絵柄が

    ボクシング漫画のはずであるが、冒頭からいきなり北極圏のエスキモー(今はイヌイットというのかな)との共同生活の話から始まるのでずいぶんと驚く。ずいぶんと無理のある荒唐無稽とも思えるストーリー展開であるが、主人公がどうにも魅力的だし、ゴツい絵柄がストーリーや主人公と大変によくマッチしている。

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    2024年06月01日
  • ワンチャンス!1
    購入済み

    嗅覚というのは直接脳に作用

    漫画であるからいろいろなチートな能力が登場するが、匂いが目に見える というアイデアはなかなかに面白い。人間の五感の中で嗅覚というのは直接脳に作用することがある ということらしいが、本作品の主人公もその通りの反応をする。

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    2024年06月01日
  • 桃色交換~ カースト上位の女子とキスから先に進んだら~1
    購入済み

    ヘタレ男子の妄想

    ヘタレ男子の妄想や願望をそのまま絵にしたような作品である。しかもなんとも情けないことに本番直前で猫に化けないとアプローチできない。ヤキモキして「もっと頑張れ」と声をかけたくなるようなストーリー展開である。絵柄はまずまずかな。

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    2024年06月01日
  • 路傍のフジイ【単話】 1
    購入済み

    一見日常系漫画だが

    一見日常系漫画だが、その裏に現代日本社会への批判や恨みつらみが込められているような作品である。解決策やカタルシスが明確に描き出されているわけではないので、この作品をどのように読むかは、読み手次第でどのようにでもなる作品であろう。絵柄はしっかりとしている。主人公(?)のフジイさんのみがちょっと浮いたような人物造形をされているのが気になる。

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    2024年06月01日
  • ハーレム・オンエア1
    購入済み

    絵は随分きれい

    デジタル描画された絵柄はくっきりとしていてきれいだ。ストーリー展開は、使い古されているようなユーチューバーのアルバイトとそれにまつわる話で、なんだかつ語の良い話を無理にくっつけたような構成になっている。もっとも読みにくくはない。

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    2024年06月01日
  • 少女⇔傭兵の成り代わり~元騎士団長のおっさんは元に戻るため今日も令嬢のフリをする~1
    購入済み

    勇者モノに入れ替わりモノ

    異世界ファンタジーの勇者モノに入れ替わりモノの要素をプラスしてストーリー構成を作り上げている。やや目新しいといえば目新しいかな。その他の点は特にこれといったものはない。絵柄はしっかりとして読みやすいところはなかなかに良い。

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    2024年06月01日
  • ありふれた職業で世界最強 1
    購入済み

    ありふれているが安心して読める

    漫画でヒットしたのでTVアニメになりそれがまた漫画に戻ってくるという、典型的な成功パターンをたどっている作品シリーズである。どの作品萌がそれなりに可愛らしく描き出されているので、読みやすくてとてもいい。ストーリー展開はありふれているが安心して読める。

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    2024年06月01日
  • 風の伝説 1
    購入済み

    古びてはいない

    40年ほど前の作品である。絵柄にはさすがに古さを感じてしまうが、ストーリー展開はそれほど古びていないような気がする。ボクシングというスポーツは、スポーツ以前に人間の闘争本能を刺激するためか、小説でも漫画でも迫力ある作品が多い。この作品もその例に漏れないような気がする。

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    2024年06月01日
  • 奴隷を調教してハーレム作る【連載版】 第一編
    購入済み

    説明文が多い

    「正規の出版物ではない」という但し書きがついていたので、読む前は素人っぽい作品かと思ったが、実際に読んでみるとそこそここなれている作品である。ヒロインたち三人のメイドさんは各々個性的に描き分けられていてなかなかに良い。ただし、ストーリーを展開するのではなく、説明文で状況説明や背景説明をする場面が多く、やや白けてしまう。

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    2024年06月01日
  • メガロポリス・ノックダウンR(1)
    購入済み

    スーパー女子小学生

    スーパー女子小学生の活躍する作品である。作品中にも指摘してあるようにSNSの特性やその危険性についてよく描かれている。ゲーム中心の作品であるが、ゲームをやらない人でも十分に読めるようになっている。絵柄は可愛らしく描かれているかな。

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    2024年06月01日
  • 同じギルメンの声が好き【連載版】 1
    購入済み

    イケボ

    よくありがちなのにあまりない話なのにまず心惹かれた。外見に惹かれるということは大変によくあるが、「声」に惹かれるという例はそれほど多くない。まあ「イケボ」という言葉があるのだから、例は多くあるのだろうが。足が地についた描き方が良いが、絵柄が今ひとつかな。

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    2024年06月01日
  • 私のファスナーの下、秘密だよ?【フルカラー】1巻
    購入済み

    絵は随分きれいだが

    絵は随分きれいだが、ストーリー展開は大した内容はない。男子高校生の願望や妄想をそのまま絵にしただけという感じの作品である。もう少しひねりがないと面白みを感じることができない。次回以降に期待したい。

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    2024年05月26日
  • 安吾人生案内 その二 大岡越前守
    購入済み

    戦後すぐのお話

    数編の「人生相談」の形を取った短編からなる作品である。戦後すぐだから男女同権の話はそれなりに新鮮味があったのだろうな。この話は隔世の趣がある。戦争に関する話、天皇制に関する話は、戦後スグだけに迫力 切迫感がある。しかし、戦後70年以上も経ってしまった今、読んで感銘を受けるかというと、ピンとこない というのが実感である。

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    2024年05月04日
  • 安吾人生案内 その一 判官巷を往く
    購入済み

    70年前の本だが

    70年前の本だがそれほど古さを感じさせない。主人たち夫婦の考え方や言動、生活苦や浮気 など新聞への投書をSNSにするなど小道具をちょっと入れ替えればそのまま現代でも通用する話である。ただいかにもユーモラスに書こうとしている作者の衒い 作り物感がどうにも鼻につく。

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    2024年05月04日
  • ワイルドウェイ 愛蔵版 1
    購入済み

    アウトロー警察官

    超人的な身体能力 戦闘能力をもった主人公が悪人を相手に暴れまわるという わかりやすい勧善懲悪物語である。このような物語の主人公にありがちなニヒルなところがなく、ひたすら元気に明るく暴れまわっている。まあその分気楽に読むことができる。古めの絵柄も主人公の暴れっぷりをよく描き出している。

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    2024年05月03日
  • アクシデンツ~事故調クジラの事件簿~ 愛蔵版 1
    購入済み

    凄腕の事故調査官

    縦横ともでかい凄腕の事故調査官を主人公とした作品である。ミステリー物の一種であるが、相手が犯人ではなく「事故」という物質的なものを対象にしているところが目新しい。事故の原因やその解明は、ずいぶんニッチなところをついているので、たしかに面白くはあるがちょっとリアル性に欠けるような気もする。

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    2024年05月03日
  • 河童
    購入済み

    河童忌

    芥川龍之介の晩年の作品である。(晩年と言っても35歳で死んでしまっているのだが)自分自身そして社会に対する諦めににも近い虚無感 徒労感を読み取ることができる。この作品は、芥川龍之介の命日を「河童忌」というように代表作と評価されているが、私はあまり好きな作品ではない。

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    2024年05月03日
  • 顎十郎捕物帳 01 捨公方
    購入済み

    リズムよく

    銭形平次捕物帳 半七捕物帳の伝統を引き継ぐ捕物帳シリーズ、和風定食の味わいである。べらんめえ調の口調の良さがそのまま文章になっていてリズムよく読みすすめることができる。ストーリー内容はそれほど重くなく、謎解きもそれほど難しくはない。主人公が武士 という設定なので、平次 半七の大先輩二人と比べるとやや情感 人情にかけるのかな。

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    2024年05月03日
  • 芥川龍之介作品集 蜘蛛の糸【試し読み】
    購入済み

    仏の態度

    芥川龍之介の仏教説話の一つである。因果応報を説いたようであるが、芥川龍之介が本気でこの王な因果応報を信じていたのかは疑問に思う。むしろこの作品は、地獄と極楽の対比、特に最後の数行の地獄の亡者の失敗とはまるで無関係で無関心な、光と香りに満ちた極楽の描写と釈迦の態度の表現に真骨頂があるような気がする。

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    2024年05月03日
  • 羅生門
    購入済み

    乾いた筆致

    黒澤明の羅生門があまりにも有名なので、同じ芥川龍之介の今昔物語シリーズの傑作である「藪の中」と混同することがあるが、こちらの作品も傑作である。いわゆる「末世」にうごめく人々とその心情を比較的乾いた筆致で描き出している。舞台は平安時代であるが、その心情の変化は現代にも通じるものがある

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    2024年05月03日
  • 李陵
    購入済み

    漢語のゴツゴツ感

    現在の日本語は太古の柔らかい「やまとことば」に中国から輸入した漢語の骨格で構成されたものである。中島敦の作品の中でも特にこの作品は日本語の中における漢語のゴツゴツ感を雄渾に語っている。私の好きな文体である。ストーリー内容とその評価は語り尽くされているが、死後 青史に残るのを大事にするか現世を大事にするか という価値観で私は考えてしまう。

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    2024年05月03日
  • 黄昏の告白
    購入済み

    文筆家としての焦り 恐怖感

    100年も前の作品であるが文体や言葉遣いにあまり古さは感じられない。手堅い構成ではあるが途中でネタが割れてしまっているのでミステリーとしての面白みはあまりない。「書けなくなったらどうしよう」という文筆家としての焦り 恐怖感の方に実感がこもっているような気がする。

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    2024年05月03日
  • 彼は誰を殺したか
    購入済み

    純粋にミステリーで勝負

    一見単純な殺人と、それに対する報復殺人が、終盤で二転三転する構成は、ミステリーとして現在でも通用する力を持っている。100年前の作品とあって言葉遣いや言い回しはやや古いがそれほどの違和感なく読みすすめることができる。この作者の他の作品のように法律家や作家としての自分自身を表に出さず、純粋にミステリーで勝負している所が良い。

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    2024年05月03日
  • 夢の殺人
    購入済み

    現代においては目新しい題材では

    作家であると同時に検事 弁護士であった作者らしい作品である。刑事事件の中でも繰り返し取り上げられている、正当防衛と無能力者の責任 このふたつを題材にしている。ミステリー小説が書きつくされているような現代においては目新しい題材ではないが100年前の当時としては画期的な作品だったのだろうか。

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    2024年05月03日
  • 夜長姫と耳男
    購入済み

    象徴的な寓話

    日本の古い伝承 言い伝えの形を借りた幻想的な物語である。残虐さを持ったサイコパス的なヒロインの存在が同じ作者の『桜の森の満開の下』と通じるものがある。象徴的な寓話であるだけに様々な解釈が可能とは思うが、私はそのまま素直に読んだ。

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    2024年05月03日
  • 途上の犯人
    購入済み

    私小説?

    100年近くも前の作品だけあって言葉遣いや舞台にやや古さを感じるが、それもあまり気にならないほど緊迫したやり取りが続く。推理小説としての出来よりも、作中に「検事、弁護士、探偵小説家」である自分自身を登場させ、社会正義を代表すべき検事、弁護士であるものが犯罪を助長する可能性がある探偵小説なんかを書いていいのだろうか と自問する気持ちをそのまま書いたようにも見える 点のほうが気になった。

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    2024年05月03日
  • 稲の日本史
    購入済み

    既存概念からの脱出

    ラオスの焼畑農業の場面がとても印象に残った。よく「日本古来の伝統 風習 慣習」と言われるが、家族制度などでもたかだか200年程度明治の頃の仕組みを「日本古来の」と言っているケースが多い。米づくりについても水田栽培が一般化するのはコメの生産高が「富」の基準となった江戸時代以降であり、それ以前はずいぶんと粗放なものであっただろう、という主張が説得力を持って展開されている。

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    2024年05月03日
  • 青鬼の褌を洗う女
    購入済み

    戦中戦後の女たちの話

    全編、主人公ヒロインの女性の独白で描きあげられた作品である。戦中戦後の女たちの戦争や貧乏に負けないたくましい生き方が印象的である。東京大空襲の話も、淡々と書いているだけに逆にその惨状が印象に残る。作者坂口安吾の語り口の上手さ 女性心理描写の巧みさに感銘を受ける。

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    2024年05月03日