大木毅のレビュー一覧

  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』
    いかに漫画版「ナウシカ」が奥深い作品かという事を様々な方が語っています。
    この本を読んでいる最中は常に、「ナウシカ」を読み返したくなってしまいます。その欲求に抗いつつなんとか読み終えました。
    …さて、漫画版「ナウシカ」を出してきますか!
  • 勝敗の構造 第二次大戦を決した用兵思想の激突
    WWIIの各戦役について、俗説を訂正しつつ、勝敗を決したのが戦略/作戦/戦術のどの次元の要素なのか?に注目して分析している。「上位次元でのミスを下位次元の成功で覆すことはできない。下位次元の成功が上位次元に影響したときは、そのような戦略環境があっただけ」という、妥当だが見逃されがちなことを要旨として...続きを読む
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
     お恥ずかしながら、少なくともここ10年くらいは第二次世界大戦の主戦は太平洋戦争だったという感覚でいた。
    この大戦による日本の犠牲者は戦闘員、非戦闘員合計でおおよそ3百万人と推計されている。気が遠くなるような悲惨な数字だ。
    一方、旧ソ連はジェノサイトも含めると犠牲者は28百万人と推計されている。想像...続きを読む
  • 日独伊三国同盟 「根拠なき確信」と「無責任」の果てに
    読み終えてタイトルその通りだと感じた。「根拠なき確信」と「無責任」。学者としての大木毅氏の憤りがこの二言に凝縮されているとでもいえよう。

    新書なので簡潔かと思っていたが、とんでもない。映画のシーンを思わせるような描写があちこちに出てくる。特に大島浩と松岡洋右という2人の判断、行動が日本を大きく誤ら...続きを読む
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
    こんな表現は適切ではないかもしれないが、面白かった
    久しぶりに本の内容について議論したくなってしまって友人に勧めまくった
    どちらも戦略なくただ人が死んでいく
    こんな人が国を動かした時代があったなんて…
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
    ソ連もドイツも指導者が戦略でなく作戦レベルで口を出すし、口を出すときの判断基準がイデオロギーだし、妙に過信して墓穴を掘るし……。似た者同士が正反対のイデオロギーを振りかざして被害を拡大させたのが良く判ります。
    あと軍人の作戦判断は妥当なものが多いと思いましたが、優勢な時は楽観視をしてしまいがちで、劣...続きを読む
  • 歴史・戦史・現代史 実証主義に依拠して
    本作中で書かれていますが、ロシアのウクライナ侵攻が独ソ戦を彷彿としていると感じていた読者の中の1人である私。
    そして必然的に本作を拝読する流れになるのですが、読みながらずっと「へーぇ!ほうほう!」と頷いてしまう程興味深い内容ばかり。(公園に居ましたが周りに人が居なくて良かった)

    ウクライナ侵攻につ...続きを読む
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
    現在進行している、ウクライナ紛争の裏にあるもの、ロシアから見たウクライナ戦とは?というところを理解するのに読んだ。(実際にはオーディブルで聴いた)

    読み終えて感じたのは、この本は太平洋戦争に対する「失敗の本質」。

    ナチスドイツの自国民の優越性の称揚が実は戦争の性質を規定し、独ソ戦に突入する契機と...続きを読む
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
    これを読めば第二次世界大戦における独ソ戦の全てが理解出来る名著。

    今まで誤解されていた面も丁寧に説明されているので、ドイツの絶滅戦争に関心のある方はこの本から始めるのがお勧めだと思います。
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』
    何年も前に読んだナウシカをまた読みたくなったきっかけだった。
    こんなに深い視点がいっぱい詰まった作品だったとは思わなかった。当時読んだ時は20代前半でまだ世の中の現実や厳しさなどほとんど知らない世界で過ごしていたためか、ほとんど心に残っていなかった。というよりも理解できていなかったのだと思う。
    もう...続きを読む
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
    独ソ戦、東部戦線こそが主戦場というだけあってとてつもない凄惨な戦いだったことがわかる。
    戦争が起きる上でイデオロギーや地理的な要因がかなり大きい。
    なによりソ連がめちゃくちゃ強いことが分かった。
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
    第二次世界大戦における、ナチスドイツとソ連の泥沼の戦いの詳細な研究記録。
    ヒトラーやスターリンという残虐な暴君がその惨禍のわかりやすい原因として槍玉に挙げられるが、真理はそう簡単ではない。
    実際には、加担した人々もその非難を逃れようとしてヒトラーに責任を押し付けたりだとか、各地域の人々がユダヤ人に対...続きを読む
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
    内容は目を背けたくなるような部分もありながら、これが戦争だと実感させるものでした。文献についても一覧で並べるだけでなく、紹介もされているので参考になります。
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
    軍事的な細かい話は飛ばしがちで読み進めたけど、その軍事行動に至るまでのナチス・ドイツ及びスターリニズムの支配下にあったソ連で、どのようなイデオロギーの流布や権力の奪い合いがあったかなどの政治的な背景や経済的な状況、市井の人々がどのような考えでどんな生活をしていたかということまで含めて独ソ戦争を解説し...続きを読む
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
    ミリタリーな部分の理解は全く追いつかないのだが、ヒトラーやスターリン、その取り巻き幹部達が何を目指していたのかという思想面を知ることが出来た。それにしても・・・・無茶苦茶である。
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
    社会の授業で、第二次世界大戦の死者数一覧を見たとき、ソ連の異常な多さに違和感を感じたものの、「情報が怪しいのかな」くらいに思って知ろうともしなかった高校時代。
    この年になって、驚くべき殲滅戦の実態について初めて知りました。

    近代の国と国との総力戦の恐ろしさ。

    いま、だんだんと、敵基地攻撃能力だの...続きを読む
  • 指揮官たちの第二次大戦―素顔の将帥列伝―(新潮選書)
    第二次世界大戦の指揮官、俗説を否定し新たな視点から再評価する紀伝体の戦史。

    南雲忠一、カール・デニッツ、ジョージ・パットン、水上源蔵、トム・フィリップス、シャルル・ド・ゴール、ゲオルク・、トーマス、ハンス・ラングスドルフ、ゲオルギー・ジューコフ、エルンスト・ローデンヴァルト、山口多聞、ウィリアム・...続きを読む
  • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
    「同士少女よ敵を撃て」を読み、独ソ戦の凄絶さを知ったが、この本を読むと、史上空前の殺戮と惨禍の凄まじさにただただ驚く。そしてこれがヒトラーとスターリン、二人の独裁者によって引き起こされ、合理性を失い、国家が迷走していく過程は悲惨としか言いようがない。ヒトラーがこの戦争を「世界観戦争」と位置付けた時点...続きを読む
  • 戦車将軍グデーリアン 「電撃戦」を演出した男
    帯にある「電撃戦は無かった」が、グデーリアンの著書の「電撃戦」が都合良く編纂されていることと、ドイツ軍のドクトリンに「電撃戦」なるモノは無かったのダブルミーニングだったとは。うまい帯を着けたものだ。

    それにしても、グデーリアンの萌芽ロンメルよりも余程「伝説」と「実像」の乖離した人物であったとは意外...続きを読む
  • 日独伊三国同盟 「根拠なき確信」と「無責任」の果てに
    日独伊三国同盟 「根拠なき確信」と「無責任」の果てに (角川新書)。大木 毅先生の著書。「根拠なき確信」と「無責任」が破滅を呼ぶ。「根拠なき確信」と「無責任」が不幸な結末につながる。自分や誰かの「根拠なき確信」と「無責任」で本人だけが破滅したり不幸になったりするのは自己責任。でも自分や誰かの「根拠な...続きを読む