孤独の科学 人はなぜ寂しくなるのか

ジョン・T・カシオポ / ウィリアム・パトリック / 柴田裕之

その孤独感には理由がある！脳と心のしくみ、遺伝と環境、進化のプロセス、病との関係、社会・経済的背景……「つながり」を求める動物としての人間――第一人者が様々な角度からその本性に迫る。

• カテゴリ: ビジネス・実用
• ジャンル: 学術・語学 / 哲学・宗教・心理
• 出版社: 河出書房新社
• 掲載誌・レーベル: 河出文庫
• ページ数: 456ページ
• 電子版発売日: 2018年03月16日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 4MB

[ブクログ · ★★★★☆]

「孤独」を極めて真面目かつ真摯に科学しており、その内容は脳科学、心理学、社会学など多岐に渡っており質が高い。「本来人は孤独であるべきではないし健康面でも人格形成面でも支障を来すため『孤独』は警告として不安を与え危機を感じさせる」、要約すると左記を様々な側面から検証・立証している本なのだが、こうした本を手にとる人は何かしら心が弱った状態にある。長々と孤独の害毒を客観的に述べるよりも「孤独」を脱する・回避する手段にも触れてあるとよかったと思う。若しくは孤独を抱える人々は自然淘汰の対象であり人類の進化に必要なメカニズムくらいショッキングな結論でもよかったと思う。「だから我々は人とのつながりを大切にしよう」という玉虫色的ヒューマニズムの結論はややとってつけた印象を受けた。

[ブクログ · ★★★☆☆]

自分は他人より孤独を感じやすい。
この本を読むと孤独について客観的な視点で捉えることができる。
この感覚が孤独を脱する契機になり得るのは私だけだろうか。

[ブクログ · ★★★★☆]

心理学、脳科学、生理学、社会学、哲学、人類学、生物学など非常に幅広い観点から「孤独」について論じ、そこから脱する方法と社会への提言を述べた本。

孤独感は、喫煙や肥満や運動不足と並ぶ、疾病と若年死の重大な危険因子であると述べている。
人間は社会的な生き物であるため、孤立感を覚えているときには「攻撃にさらされているようにも感じ、健康を損ね、人生がつまらなくなり、人と協力してうまい解決策を見つける能力が衰え」てしまうそうだ。

孤独の苦しみから脱する方法は、少々逆説的ではあるが「他者に手を差し伸べること」が必要であるとしている。誰かとつながりたいという欲求は、誰かを受け入れて満たすことによって、そのふれあいを通して満たされるからだ。
以下引用
「社会的なつながりに満足していると安心感を覚える。安心感があると、より創造的に考えられる。そのうえポジティブな情動を期待し、しばしばそれを味わう。これは長い目で見て生理的に良いだけではなく、気分もすぐき高揚し、それが持続する。気分が高揚すると、他者に対するその後の行動にも良い影響が出て、それが今度は私たちに対する他者の行動にも良い影響を与える。するとそれがまた創造的な協力関係を促す。因果が巡り巡って、ポジティブな影響がさざなみのように四方八方へ広がり続ける。」

こうして、多くの人が自分を中心にその周りまで安心感を伝播させてゆくことができたなら、幸せな社会になっていきそうだ。
孤独は社会を良くする原動力であるのかもしれない。