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説明できない息苦しさのリアルな描写に圧倒されて、読了後の疲労感に包まれています。笑
角田さんの作品は読むたびにこの気持ちになるって分かってるんですが、やめられない中毒性があるんですよね…。
補欠裁判員に選ばれた一児の母・里沙子は、子供を溺死させてしまった被告の環境に自身を重ねていくようになる。義母や夫から暴力や決定的な言葉の攻撃があったわけではないし、言葉にして説明しようとすると軽い不満や何なら被害妄想に捉えられかねない些細な出来事の数々。でも、相手の放った「そんなつもりではなかったかもしれない」一言や行動が、息苦しさや罪悪感と共に静かに本人の中にだけ、澱のようにたまっていく。
被告に共感を覚え、ボタンを一つ掛け違えれば、彼女は自分だったのではないかという里沙子の恐怖と不安に、まるで里沙子は私なんじゃないかと思うほど感情移入するとともに、無意識の悪意について深く考える作品でした。
とりあえず、電車の中やお店で子供をあやすお母さんに出会ったら絶対優しくしよう。
育児に苦労した女性には抉られるような話です。誰にも理解してもらえないと思っていた夫の悪意も描かれてあり、自分の過去の生活を覗かれたのかとさえ感じました。そして、なんとなく感じていたけれど、この小説で初めて義母と夫の他者が立ち入れない関係をきちんと言葉で理解出来てスッキリしました。
読んでいて楽しい
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