それもまたちいさな光

角田光代

デザイン会社に勤める悠木仁絵は35歳独身。いまの生活に不満はないが、結婚しないまま１人で歳をとっていくのか悩みはじめていた。そんな彼女に思いを寄せる、幼馴染の駒場雄大。雄大と宙ぶらりんな関係のまま恋愛に踏み込めない仁絵には、ある理由があった…。２人の関係はかわるのか？ 人生の岐路にたつ大人たちのラブストーリー。「オール讀物」掲載と同時にTBS「開局60周年記念番組」としてラジオドラマ化した、異例のコラボレーション企画原作。

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内小説
• 出版社: 文藝春秋
• 掲載誌・レーベル: 文春文庫
• ページ数: 208ページ
• 電子版発売日: 2012年11月02日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 2MB

[ブクログ · ★★★★★]

人生これでいいのかと思う日があって、それでも毎日生きていかなきゃいけない日があって。そんな平凡な毎日も振り返ればきっと人生における小さな光なんだと肯定してくれるようなお話でした。

[ブクログ · ★★★★★]

　ラジオを通じてつながっている、様々な状況のリスナーたち。闘病している人や、仕事中に聞いている人……。ラジオの内容がどうでもいい話だからこそ、癒やしになるのだなと。加えて、文章だとどうしても意味のあることを書こうとしがちな気がするが、ラジオならそういう強迫観念はあまりないのかもしれないなと思った。
　巻末に著者の角田さんと、タレントの小島慶子さんの対談がある。角田さんは特徴のない文体を心がけているらしくて、驚いた。たしかに特徴のある素敵な文体をあやつる作家さんはたくさんいるけれど、角田さんの文章はわかりやすくて入ってきやすい。

[ブクログ · ★★★★☆]

ブラックホールみたいな恋！分かる分かる、昔あったな〜と思った。
何だかわかんないけど吸引力に負けちゃうやつ。

各々恋愛事情が違って面白かった。不倫やら幼馴染との友情結婚みたいのやら。

[ブクログ · ★★★★☆]

えらく、ラジオの話だなぁと思ったら、それ用の小説だったのか〜と納得。生放送のラジオ、たまに聴くとこれをオンタイムで話してる人と、聴いてる人が全国にいるのかぁってなんか不思議な気持ちになるよね〜。仲間感というか！
　私自身、結婚したい！！と強く思ったことはまだないけど、雄大が仁絵にしたプロポーズがあまりにも素敵だった。こんな体験してみたいな。情景がすごく思い浮かんだ。
　恋愛は絶対すべきだし得られるものがある有意義なものだって脳死で思ってたけど、少し間違えると精神をすり減らして何年もの間苦しむことになるし恐ろしすぎる。おかしな人を見分ける目と理性を働かせないといけないなぁ。
　くまちゃんでもあった、才能があって追い越して先に行ってる人とそれに追い越された人の表現が今回もあったなぁ。恋愛だったけど。前に行った人は気づかないけど抜かされた人はめちゃくちゃ感じ取るよね、そーゆーの。自分だったら、それに気づかないフリして、前と同じように関わるのが人間らしくてちょっと苦手

[ブクログ · ★★★★☆]

恋は盲目
気持ちはどうにもできないものだということを痛感した
同じラジオをきくことで共有する時間は素敵だなと思った

[ブクログ · ★★★★☆]

ドラマチックな展開も甘い言葉もないけれど、妙に引き込まれてしまう。やっぱり角田さんの文章はすごい。
人生これでいいのだ！
久しぶりにラジオも聴いてみたくなった

[ブクログ · ★★★★☆]

大人女子の恋愛ストーリー。サラっと読めた。幼馴染との恋愛、不倫と死別、友情、それぞれの想いが伝わる作品。同じラジオ番組を聴くことで共通の時間を感じられるというのもステキ。

[ブクログ · ★★★★☆]

ひとつのラジオ番組を中心にして普通の男女、普通の恋人たち、普通の家族が織りなす普通の人間模様。
けれど普通の人々の普通の生活の中身は嵐の中を行く船の様だったり深い海底に生きる魚の様だったり一人ひとりにとってみると波乱万丈ということもできる。
私自身の生活、これまでの人生もひと言で言えば普通だったと思うが、折々に苦があり楽があり喜びと悲しみがあり、なんで自分がこんな事になってしまうのだと落ち込み、こんな喜びは誰が感じただろうという幸福感も得たりする。偉人伝のネタにはならない小さな波乱万丈。
けれど自身にとっては2度と経験しない様な出来事の連続。
誰もがその波乱万丈を体験するからそれが普通なのだというのはひねくり過ぎだろうか。

[ブクログ · ★★★★☆]

「彼女の嫌いな彼女」（唯川恵）の翌日に読んだ。
角田さんの小説は、登場人物とストーリーが素朴で身近で、これっていま日本のどこかの誰かの話だと感じる。
リアリティ、生々しいという言葉よりもっとぼんやりとした言葉の方がしっくりくる。何と言えば良いのだろう…。

現実ってこんなもんだよなって思うような何の変哲もないような誰かの日常を、角田さんがクローズアップして、生活•人生の尊さをやんわり教えてくれる。

テレビドラマのようなキラキラはない。それぞれに、それなりの悩みを抱えて過ごす普通の人生。だけれど、その中にある大切なもの、幸せに気づくことができたら、目に見える生活の変化はなくても、堂々と自信を持って人生を歩んでいけるようになる。

角田さんの登場人物はどこか欠点があって、不満足を抱えていて、自分と照らし合わせて共感できる。そして読んだ後には、自分は自分でいいのだ、と自己肯定できているので不思議。ただの小説じゃない、もはや自己肯定させてくれるお守り。特効薬。

[ブクログ · ★★★★☆]

ジーンと泣ける話だった

TBS開局〜周年(何年かは忘れた)記念でラジオにまつわる話を角田光代が描いてドラマ化されるっていう企画で書かれた本らしい

ラジオっていいねと思った