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友人・吉元の家探しを手伝いはじめた”わたし”。 吉元が「これぞ理想」とする木造アパートはあいにく満室。 住人を一人追い出そうと考えた二人だが、六人の住人たちは、知れば知るほどとらえどころのない不思議な人間 たちばかり。彼らの動向を探るうち、やがて”わたし”も吉元も、影のようにうろつきはじめている自分に気づき……。 奇怪な人間模様を通じて、人々の「居場所」はどこにあるかを描く長篇。 (解説・池田雄一)
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Posted by ブクログ
あ、り、え、な、い~~っ!!! ありえない・・・けど、めっちゃ角田さんの色濃い作品で 圧倒される。。。 この女、結構コワい・・・けど、角田さんもとぼけててキレる人なので結構コワい、かも・・・似てるんだったりして?ww
におい。 仕事をくびになり「暇」になった「わたし」は、ここに住みたい、という友人・吉元のために、空き室のない「菊葉荘」に忍び込み、住人の動向を探る日々を送る。 「鍵を鍵穴に差し入れ、扉を開けると、よそよそしいにおいが染み出してきてわたしをつつんだ。~大きく息を吸いこみ、自分のものらしいにおいを嗅...続きを読むぐ。これがいったいなんのにおいであるのかわたしにもわからない。」 菊葉荘の蓼科の部屋に入り浸っている「わたし」が、久しぶりに自分の家に戻ってきた時の描写である。 家=居場所=すみか=テリトリー=縄張り 私は臭いに敏感な方で、他人の家から戻った時に服や体に染みついた他人の家の臭いというのが、ひどく気になる質である。(それが嫌な臭いだというわけではなくて、それを引きずっていることに、ひどく落ち着かない気持ちになる)なので、私にとっての家は、自分の臭いに満たされている場所、だと思っている。 自分の臭いを見失った「わたし」は、もうそこが自分の部屋だと思うことが出来ない。 「何かが違う気がする。わたしがいないあいだにだれかがここへ侵入したような、異物感がある。」 同じように「落ち着かず、臆病なとかげのように」「部屋から逃げ出した」吉元が姿を消した。一人残った「わたし」は、仕事の面接を放り出し、菊葉荘の空き部屋へ、吉本の家の荷物を次々運び込む。(その姿はちょっとキチガイじみていて怖い) 「質素な空間が目の前に広がる。玄関に突っ立ったまま、わたしは大きく息を吸いこむ。だれのにおいもしない。どんなにおいもしない。」 他人を所有し束縛し、自分のテリトリーに引き入れようとする=自分の臭いに変えようとする蓼科やヤス子とは対照的に、所有することを放棄してきた「わたし」が、最後に「どんなにおいもしない」部屋を所有しようとする。彼女はそこで自分のテリトリーを、居場所を、築けるのか。
瓶やカプセルに入り、波間を胃の中を浮遊している感じ。“普通”をどことなく嫌悪しつつもそこに浸っているが、決して交わらない...。この終わり方は好きだなぁ。この衝動が生きる力になる。
友人の家探しで目をつけた木造アパートはあいにく満室。住人を一人追い出そうとするが、六人の住人は不思議な人間たちばかり。奇怪な人間模様を通じて、人々の居場所はどこにあるかを描く長編小説。 何気なく街を歩く人々も、住まいという居住空間に戻ればその性質を剥き出しにする。だからこそ、住む場所は自分のアイデン...続きを読むティティーを守る重要なエリアである。根なし草のような彼らが、絶対的に死守したかった場所の物語。
一気に読んだ。 自分の気持ちとか考えていることってこんなにもわからず迷ったり、他人のことがこんなに理解できなかったり無関心になることってあるのか? というところで置いてけぼりになってでもなんか面白くてずっと読んでしまうといういつも通りのやつでした。
さらっと読み終えたが、多分、すごく難しいことが書いてある。 6分割された小さなアパート、その1室1室にある異質な世界。 お互いに無関心、アパートは単なる入れ物でしかない。 別次元とでも言いたくなる。 学生でもない人間が大学に紛れ込んでも何の不思議も抱かれない不思議。 自分でさえ、どこから来てどこへ行...続きを読むくのか分からない。 集合住宅に住まう他人同士の交流を描いた作品や、いろいろな人間関係で他人や疑似家族と同居する作品などとは対極にある人間関係を描いているといえる。
なぜか菊葉荘に住みたいという話。 よくわからない展開が、よくわからないけど流れてゆく。 最後まで、よくわからなかった。 すっきりとはしないけど、読み終わったら満足した。
とらえどころのないふわふわした幽霊のような良くも悪しくも東京。大都会の一面がきれいに切り抜かれている。いつの間にか物語は終わっており、正直なところ消化不良な感じ。だけどこのモヤモヤした雰囲気、空気が不思議に良かった。
菊葉荘というボロだけどどこか趣のあるアパートに友人の男を住まわすために、満室の菊葉荘の住民たちを追いだそうと工作する女の話。 女は菊葉荘に住む大学生男子に、学生を装って取り入り半同棲を始める。何やってるんだろうと思いながら一緒にご飯を食べてセックスをして、たまに大学まで行って、菊葉荘の住人達を監...続きを読む視する。 菊葉荘の住人、大学の学生達、友人の男、それから女自身も、みんな奇妙! この本一冊まるごと世界が歪んでいて、でもその歪みの中にちょっとずつリアルが潜んでいるからとても不気味。文庫版の解説は難解で読み飛ばしてしまったのだけど、きっと賢い人が言うには『現代人の虚無感を巧みに描写した』うんたらかんたら、っていう作品なような気がする。けれどもわたしはそこらへんちょっとわからないので、エンタメ的な読み方をしてしまいました。語り口はなめらかで読みやすいし、次はどんな展開が訪れるんだろうとページをどんどんめくってしまう。と、いうのも繰り広げられる展開が、おもしろおかしい。だって、高卒の二十半ばの無職女(失業保険受給中)が、縁もゆかりもない大学の偽学生をやって、見ず知らずの男子学生の部屋で自堕落生活しだすのよ? お互い名前しか知らないのに! おかしいでしょ! 皆そろって、他人との距離感がおかしくて、それが滑稽さの理由かなぁと思った。距離感のおかしさが積もり積もって、だんだんとホラー小説を読んでいるような気にさえなってくる。 面白かったけど、一体この本は何だったんだろう、というのが、正直な感想。誰か教えて。
またまた角田サンの小説のレビューです。 この小説はいつもの角田サンらしさ満載なのですが ところどころ、笑ってしまうコミカルなところが あるのが自分にとっては少し驚きでした。 角田サンの小説に登場する女性は みんな、何かに敏感で何かに無頓着で 自分だったら、きっと好きにはならないだろうな...続きを読むあって 女性が多いんです。 でもなぜか気になってしまうんですよね。 だから、こんなに角田サンの小説を読んでしまうんでしょう。
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菊葉荘の幽霊たち
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