作品一覧

  • うるさいこの音の全部
    3.7
    1巻1,700円 (税込)
    小説と現実の境目が溶けはじめる、サスペンスフルな傑作 嘘だけど嘘じゃない、作家デビューの舞台裏! 「おいしいごはんが食べられますように」で芥川賞を受賞した高瀬隼子さんが挑む新たなテーマはなんと「作家デビュー」。 ゲームセンターで働く長井朝陽の日常は、「早見有日」のペンネームで書いた小説が文学賞を受賞し出版されてから軋みはじめる。兼業作家であることが職場にバレて周囲の朝陽への接し方が微妙に変化し、それとともに執筆中の小説と現実の境界があいまいになっていき……職場や友人関係における繊細な心の動きを描く筆致がさえわたるサスペンスフルな表題作に、早見有日が芥川賞を受賞してからの顛末を描く「明日、ここは静か」を併録。
  • いい子のあくび
    4.0
    1巻1,760円 (税込)
    芥川賞受賞第一作。 公私共にわたしは「いい子」。人よりもすこし先に気づくタイプ。わざとやってるんじゃなくて、いいことも、にこにこしちゃうのも、しちゃうから、しちゃうだけ。でも、歩きスマホをしてぶつかってくる人を除けてあげ続けるのは、なぜいつもわたしだけ?「割りに合わなさ」を訴える女性を描いた表題作(「いい子のあくび」)。 郷里の友人が結婚することになったので式に出て欲しいという。祝福したい気持ちは本当だけど、わたしは結婚式が嫌いだ。バージンロードを父親の腕に手を添えて歩き、その先に待つ新郎に引き渡される新婦の姿を見て「物」みたいだと思ったから。「じんしんばいばい」と感じたから。友人には欠席の真意を伝えられずにいて……結婚の形式、幸せとは何かを問う(「末永い幸せ」)ほか、 社会に適応しつつも、常に違和感を抱えて生きる人たちへ贈る全3話。
  • 犬のかたちをしているもの
    3.8
    1巻506円 (税込)
    「子ども、もらってくれませんか?」――彼氏の郁也に呼び出された薫は、その隣に座る見知らぬ女性からそう言われた。薫とセックスレスだった郁也は、大学時代の同級生に金を払ってセックスしていたという。唐突な提案に戸惑う薫だったが、故郷の家族を喜ばせるために子どもをもらおうかと思案して……。昔飼っていた犬を愛していたように、薫は無条件に人を愛せるのか。第43回すばる文学賞受賞作。「おいしいごはんが食べられますように」で第167回芥川賞を受賞した高瀬隼子のデビュー作!
  • おいしいごはんが食べられますように
    3.6
    1巻1,463円 (税込)
    第167回芥川賞受賞作。 「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」 心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。 職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。 ままならない人間関係を、食べものを通して描く傑作。
  • 水たまりで息をする
    3.6
    1巻1,540円 (税込)
    【第165回芥川賞候補作】ある日、夫が風呂に入らなくなったことに気づいた衣津実。夫は水が臭くて体につくと痒くなると言い、入浴を拒み続ける。彼女はペットボトルの水で体をすすぐように命じるが、そのうち夫は雨が降ると外に出て濡れて帰ってくるように。そんなとき、夫の体臭が職場で話題になっていると義母から聞かされ、「夫婦の問題」だと責められる。夫は退職し、これを機に二人は、夫がこのところ川を求めて足繁く通っていた彼女の郷里に移住する。川で水浴びをするのが夫の日課となった。豪雨の日、河川増水の警報を聞いた衣津実は、夫の姿を探すが――。
  • いい子のあくび

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    文学でしかなし得ない、人間存在。
    体格、性格など、比較の中で生きている様。
    先に気づいてしまう、割りの合わなさ。

    切実に自分のありかを求める祈りで締めくくられている表題作。

    先輩と後輩の意識の断絶を描く「お供え」。

    親友の結婚式を通して、フェミニズム的感性と友情の亀裂をえぐった「末永い幸せ」。

    0
    2024年05月24日
  • おいしいごはんが食べられますように

    Posted by ブクログ

    おもしろかったが、何かすっきりしない澱のようなものが残る読後感だった。何というか、色々と考えさせられたのだ。

    本書は、会社員の男性・二谷と、その同僚の女性・芦川と押尾の関係を、二谷視点・押尾視点の2つの視点で交互に語っていく。

    二谷は、どこか他者との関係を突き放したように見る男で、お世辞にもフェミニストとは言えない。
    芦川は、以前の職場でハラスメントに合っており、今の職場では彼女に無理をさせないことが暗黙のルール。芦川自身、けっして負担のかかることはしようとしない。
    同じ女性社員の押尾は、そんな芦川の態度が気に食わず、彼女に対する会社の対応にも不満を抱えている。自分だってつらいことはあるけ

    0
    2024年05月18日
  • いい子のあくび

    Posted by ブクログ

    普段の日常で、あえてわざわざ
    言葉にしないような「ちいさな悪意」や
    抱えることそのものを非難されるような
    「ひっかかり」「モヤモヤ」を描くのが
    抜群にうまいよなぁ、と感嘆した。

    前を見てない人を、前を見ている側が
    避けないといけない割に合わなさ。
    結婚式という儀式の気持ち悪さ。
    めちゃくちゃ共感しました。

    0
    2024年05月06日
  • いい子のあくび

    Posted by ブクログ

    (いい子のあくび)
    職場の上司に猫かぶりの態度をとったり、浮気をしている彼氏に気付いていない風を装い良い子を演じることは、余計なところに神経を遣うため割に合わないと感じるが、自分へのメリットも少しはあるだろう。
    しかし、歩きスマホの人を避けることはどうだろうか。はなっから悪いのはスマホに夢中になり前を見ないで突き進んでくる側だろう。こちらはちゃんと前を見ているのに。とどのつまり、そんな人をこちらが避けて「あげる」のだ。
    本来、避けるという行為を「してあげない」と向こうが自分にぶつかってしまい、自分は怪我をしてしまう。痛みを与えられてしまう。それらは全て余計なものだしデメリットでしかない。
    他人

    0
    2024年05月05日
  • いい子のあくび

    Posted by ブクログ

    高瀬隼子さんはなんて女性特有の、すごくすごく微細な、いけず心や生きづらさを切り取るのが上手なのだろうか。読んでいて、痛い。心当たりがありすぎて、痛いんだ。ぶつかっても平気な顔してる男性にぶつかったる!と思ったことも、防犯目的で自室に入る前に後ろを振り向く自分になんでやねん!と思ったことも、数多くあるのだ。自覚したけど言語化できないモヤモヤが彼女によって明らかにされていく過程は痛い。でも、たくさんの人に読まれて、男性中心の世界よ、早くなくなれ。

    関係ないけど、Xでバズった精子を勤務先女性の私物に混入させた男性、早く捕まれ!

    p.13 駅や街中で人にぶつかられることがあると話した時、大地は肩

    0
    2024年04月30日

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