フィギュアスケート選手をやっていた12年間の少女時代を振り返ったアメリカの女性漫画家の作品。
コマ割りは基本的に正方形か長方形。
日本の漫画のような多種多様な形ではない。
スヌーピーの長い話の時もこんな感じだった気がする。
この淡々としたコマ割りが、メランコリックな青春を淡々と写しだす、静かでい
...続きを読むて青春時代特有の痛みを表現していると思う。
単純化された絵だけれども、その表情やしぐさに、物語の背景や人間関係がきちんと描かれているのが素晴らしい。
自動販売機に映る自分の影の1枚絵に、筆者の孤独、不安が表現されている。
饒舌に語ることなく絵だけで自分自身の曖昧さを表現する筆者の力量。
家族との疎の関係と、フィギュアの仲間たちの距離感、ゲイであることの違和感、恋愛。
フィギュアを自ら卒業することで、少女時代を卒業し、次の人生の扉をあける。
漫画だからこそ表現できる詩的な表現。
表現されたものは、小説や映画などに近い。
ストーリーに明確な答えがあるわけではないけれども、行間に色々なものが詰まっているような。そんな作品です。
筆者は手塚治虫のブッダで漫画に目覚めたというのが、またすごいな、センスあるなと。思いました。
私はブッダは2,3回目に読んでその凄さにやっと気づいたので。