【感想・ネタバレ】落暉に燃ゆる 大岡裁き再吟味のレビュー

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名奉行大岡のお裁き、失敗

大岡忠介が江戸南町奉行として活躍した時代は、江戸の物価は上がり庶民の生活が苦しい。さらには西国では大飢饉が起きた。影響は江戸にも及び、米の価格が上がり暮らしで食べ物に困る程であった。
大岡は施策として金銀お吹替(改鋳)を推進して、物価の安定を図ることにした。施策に反対する両替商や大商人は幕閣の反対勢力の応援を得て妨害…その後、大岡は町奉行を退き、寺社奉行の務めを頂き今に到っている。
当時よりつまり五年前、江戸の庶民が群衆となり高間伝兵衛米問屋を襲い、毀す「高間騒動」が起きた。手代八右衛門が殺されて見つかった。犯人として与佐が捕まった。
与佐は、犯人では無いとお白州でまっすぐな申し開きをした。しかし、厳しい拷問を受け、自白し罪を認めた。
寺社奉行の今になり、忠介はその一件が心に引っかかる。鷹匠の十一に再調査を依頼するのである。
大岡忠介は、南町奉行所を辞める直前に罪もない指物職人に打首のお裁きを下したのではないかと、苦しんでいる。十一の粘り強い調査により事件の真相が明かされる。
定町廻りの前並甚之介は自らの借金を清算するために、博打仲間の広助と五平、道三郎の3人と結託。連んで与佐に殺しの罪をなすりつける。本当の犯人は、広助と五平、道三郎であった。手代八右衛門はお店で米俵を検査する差し米の仕事をして、相当な量の米を横流して、大金を貯め込んでいた。その大金目当てに八右衛門を殺して4人で分け合ったのだ。
そしてその後、町人3人は江戸に暮らし、甚之介は本庄で用心棒の仕事で暮らしている。
十一は各人に直接面会して、話しを聞き事実を知ったのである。
忠介は、社会の変化の激しい時代にあって、多忙を極めていた。また、高間騒動では騒動を主導した首謀者の探索が優先されるのであろうが、殺しが発生したためその調べに手が回らないばかりか、殺しの調べにも慎重さが不足した。その為、八右衛門殺しの裁きで間違いを犯してしまったのだろうと感じる。
本来、幕府内では、意見は違えども合議が為されて、一つに纏まるのであろうが、この時は働かなかった。部下の同心からも裏切られていた。忠介にとってその事件は大変無念な出来事でいつまでも忘れられないのであった。
だが、完全無欠な人はいないと側人が忠介を擁護するのだった。

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2023年01月24日

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