【感想・ネタバレ】共感という病のレビュー

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Posted by ブクログ

「『共感し合おう』『繋がっていこう』と言うと、なんとなく無条件に良いものである気がしますが、繋がっていくからこそ分断していくとも言えるわけです。」
「共感とは誰かの困難に対してではなく、困難に陥っている自分側の誰かに作用している」

共感について、ネット社会における負の部分くらいのイメージしかなかったけど、もっと深刻な領域にまで及んでいると知ることができた。(ネット社会の行き過ぎた共感も深刻だけど!)
「参加しないと殺す」と脅されテロリストの戦闘員にならざるをえなかったのに、足を洗うことになっても多くの人の共感を得られないがために見捨てられてしまう存在のように、共感で救われるものが一方で分断され、取り残される存在があるのだと知ることができた。もっと客観的視点で自分のバイアスを取り払わなければならない。

たしか高校生の時にモノマネが人を惹きつけるのはなぜだろうと考えたことがあって、ある人に対する自分の中のイメージと、他の人の中のそれが重なる感覚=共感が好きだから人気があるのだろうと思っていた。言い換えれば共感は、湧き出てくるように簡単に反応してしまうという感覚なんだろうと。今回読んでみて、感情的に共感してしまうからこそ、共感できないものに遭遇したときに理性を持ち出せるかが大事だと思った。

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2022年04月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本書は、ソマリアでテロ組織からの投降や投降兵・逮捕者の脱過激化と社会復帰支援等をしている著者が、一般的に良いものとされる「共感」の負の面を明らかにしている。

そもそも人は基本的にわかりあえないもの。
その中でどうしたら他者と共存できるのか考えていくべき。

内田樹さんとの対談も面白かった。

たくさんの発見を得れました!




■メモ:
・取り残されがちな社会課題(共感を得ることができない社会課題)はさらに取り残される。そしてそれを取り巻く社会が歪んでいく。

・自らの共感を他者に意図的に使われる怖さ。

・正論は別の視点からは正論でないことが常。

・何を考えていようが個人の自由。脱過激化でなくても、脱行為化していればいい。社会においては脱行為化を維持することが重要。

・私たちは多様性を受け入れることは難しい。「わかりあえない」を前提に、その中でどう他者と共存していくかを考えるべき。

・共感できない、共感されにくいをなおざりにしないために共感に代わるものが必要。それが「権利」。

・人権教育は学校では教えられない。「人としてどう振る舞うべきか」を子どもに刷り込むのは「家風」。子どもたちは親の背中を見て、人間としての生き方を学ぶ。それは教科書で教えることじゃない。

・知性というのは個人のものではなく、集団的に発動するもの。集団的に知性的でなければ、知性は機能しない。

・集団は「弱い者」を支えて、助けるという仕組みのときに最も高い機能を発揮する。弱者を支援する仕組みを整備している集団が強い。

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2021年10月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これを読もうと思ったのは、
数か月前から起こっていた性加害のニュースを見て。
私はKinKiKidsのファンなのですが、
とても心が痛くて辛い数か月でした。苦笑

SNSを開けば罵詈雑言の嵐で、
人を傷つけるだけの鋭い言葉や
それぞれの立場からの
憎悪、悪意が見えるような数十文字の言葉たちが。

てるだけで苦しくなって
落ち込むのはわかっているけれど、
見るのをやめられなかったり、目を逸らせなかったり。

そこで積読の中から本書を手に取りました。
タイトル通り、
誰かの言葉や空気が
人を煽動する力について
永井さんの考えを聞きたくなりました。

結果、付箋だらけの一冊に。苦笑
(私は本に直接書き込むのが好きではないんです)

「認知的共感」と「情動的共感」。
被害者の代わりにという大義名分。
不特定多数でボコボコにするのはリンチと同じでただただ恐ろしい。
気に入らない相手はひたすら叩いて連帯していくことは、対立と分断を招く。

ソマリアで支援活動を行い、
日々、人命や自身の生命について
向き合っている人の言葉だと思うと、
問題や課題の大きさは違っても、
人間の考えや行動は一緒なんだなと改めて思わされました。

行き過ぎた強い共感は、
新たな対立と分断を生みだす。

本書を読んで、
私もこの数か月ずっと考えてました。
SNSでの強烈な言葉や
共感を迫られることへのストレス、
世界中で勃発する紛争や選考。

感情も大切だけど、
理性とのバランスが大切。

私自身が揺れがちなので、
たまにパラパラと本書を読み返したいと思います。

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2023年10月29日

Posted by ブクログ

プロボノ活動で入っている団体。永井さんの考えを理解することができた。内田樹さんとの対談は特に興味深い。

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2022年05月22日

Posted by ブクログ

内田樹さんとの特別対談に、「惻隠の情」という話がありましたが、惻隠という言葉を初めて知りました。この特別対談の部分だけでも、良書ではないかと思います。

共感は良いものと思われがちですが、そうではない側面もあるということ。
また、話せば分かる。という理想だけでは、全く通じないどころか、状況を悪化させることがあるということ。
これらを実体験に基づいて話しているので説得力があります。

合意形成は三方一両損、ということに納得です。
Win-Win-Winはなりえないですね。何処かに妥協がある。

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2022年01月28日

Posted by ブクログ

共感とは『認知的共感』と『情動的共感』に分かれる。
認知的共感…相手の思考や感情を理性的に正確に理解しようとするもの。意識的にある程度はオンオフの切り替えができる。
情動的共感…相手の思考や感情を自分の感覚として感じること。無意識に出てしまうものであり、オンオフの切り替えが難しい。
この2つの機能がお互いに補完し合っており、私たち人間は他者や社会と共存している。


SNSの世界では、フォロワーやいいねといったある種の共感ボタンが数字化される事により、他者と自分との比較を無意識に強いらる。
承認要求を高める仕様が満載な世界となっており、多くの人がそこで苦しみ悩んでいる。
共感されたい、共感したい。それ自体にはなんら問題はないが、それはその用法用量が適切であればの話。オーバードーズしてしまうと、共感中毒ような状態になり、問題が発生する。
気に入らない相手をひたすら叩いたりして連帯!していくことは、なんかしら課題を解決することができたとしても、ほぼ間違いなく対立や分断を招く。
そもそも正論も別の視点からは正論でないことが常である。


基本的に人はわかりあえない。
多様性を受け入れることは難しいという心構えを持つべきである。そもそも多様性とは、自分にとって都合の悪い人の存在も認めること。わかりあえない部分はたくさんある。この現実を直視することが大切である。
どうすれば他者とうまいこと共存していけるのかと考えていくのが大事。


理解も共感もできないけれど、この人は約束は守るし、決めたルールには従うというなら、一緒にチームを作れるし、結構大きな仕事だってできる。100%共感できないと何もできないというよりは、さっぱり共感できないけれど、一緒に安心して仕事ができるという方がいい。
共感や理解は他者と協動するための絶対条件ではない。


主にソマリアなどの紛争地でテロリストの投降、社会復帰を支援する。テロ、紛争解決をミッションとする著者。

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2021年12月26日

Posted by ブクログ

「共感」の前に、まずは自分を理解する。

自分が自分を好きになれないで誰が自分を好きになれるのか???

そんなことを感じさせてくれた。

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2021年08月26日

Posted by ブクログ

感想
孤独を解消する共感。現代の孤独に対する処方箋だが、別の集団からの隔絶と表裏一体。共感の真の姿を冷静に捕捉しつつ、思考と感情を両立させたい。

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2022年08月15日

Posted by ブクログ

現代の共感を題材に、ということだったのでてっきりSNSなどをもとに若者のいきすぎた共感を考察するような内容かと早とちり。
読み終わってみると、紛争解決に携わる方が書いていることもあり、共感は共感されない弱者を生んでしまうので、そんな人たちを救うには?という内容が全体を通して書かれている、ように個人的には感じた。
共感という病、というよりは共感の落とし穴、共感からあぶれてしまうもの、に焦点を当てたような印象。
個人的には読みたかった内容とは違ったけれど、対談は結構興味深かった。
デブでハゲで金のないおっさん、という共感されない人像は非常にわかりやすいが、そういう押し方をするとデブでハゲで金のないおばさんはどうなるの?という発想が、そんなこと言い出せばキリがないのだけど、こういうところにも見えない偏見というか、色眼鏡があるのだなと思って面白かった。

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2021年10月23日

根拠はどこに?

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2022年04月06日

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