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同棲してる、しようとしてるカップルたちの短編集
どの話もすごい良かった!
その人それぞれの習慣、性癖のせいで愛とか平和な状態に亀裂が入っていく
カップルの言い合いとか毎回どっちも間違ってないから人間関係ってややこしいなぁってなった
どんどん読み進めたくなる文章力で日常のことが書かれてるのがすごい
また絶対いつか読み返したい
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11人のカップルが出て来る。ありそうな事からぶっ飛んでいる事まで、角田光代さんのほんわかした顔が何故か頭から離れない。凄い事考えるんだ、考えられるんだと。ちゃんと働いているのに万引きがやめられない、それを喜んだ彼がいたからやめられないのか、言い訳も同じ店ではやらないとか言う。お菓子が主食の仁絵もダイエットが成功した方法のお菓子に支配される。 ◯◯だからやめなよは伝わらないんだなー。今度言われたら出て行く事考えていたと本当に出て行くのが印象的だ。出だしの匂いが1番残るなあ、走って追いかけるとか
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「角田光代の隠れた傑作」なんて書かれたら、そそられる。
何かにちょっと極端な男女を描く短編集。
どの話も面白い。
買い物依存症、風呂嫌い、万引き常習犯、記念日好き、などなど。
でも男女間で問題が起きるのは、もうお金か、食か、価値観かとか。自分は『うーん』と思う事をどこまで受け入れて認めていくか。この『うーん』が極端だから面白い。
「旅路」は笑った。
心の中のセリフのやりとりに吹き出した。
日常ではとても仲良くやっていたのに、まさかこんな事で⁈ということで、相手が嫌になることあるある。自分の方が正しいと思っちゃうことあるある。思い知らしてやろうとすることあるある。
角田さんのお話は読みやすくて、物語の中にすんなり入れてくれるから好きだ。
この間まで、活字が読めなくてなかなか読書できずにいたけど、この本読めてまた楽しむ事が出来そう。
私にとっては太陽でした。
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ズボラで風呂嫌いな彼女
買い物依存症な彼氏
万引き癖のある恋人・・・
幸せでいるようでいて、実は内部に問題を抱えた
カップルたち。
だんだん感じ始めた違和感や不信感。
許す方が楽か。離れたほうがいいのか
個人的には「別れろ!」派でした(笑)
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最初の1ページ目を読んだだけで、ああ、やっぱり面白いと思ってしまう。
俺は角田光代の文章が本当に好きなんだとあらためて実感する…
旅行やら出張に出かけて池袋(個人的に思う場所ですが)に着くとものすごく安心して、帰ってきたんだけと感じるのと同じ感覚だと思います。笑
11の様々な恋人たちのとてもリアルな関係が描かれていて、自分の今までの恋愛と共感する部分も沢山あってとても面白かったです。
この小説の帯に芦沢央さんが書いている
「じぶんの欠片たちが口々に騒ぎ始める。
これは私のための物語だ、と。」
さすがですね!まさにこの言葉がこの小説という
感じでございます♪
「サバイバル」の中で
俺たちは何がほしいんだろう?
俺たちって、健吾や俺だけじゃない、目の前の女の子たちも、北原すま子も、あのセンスのぶちこわれた彼女も、いったい、何がほしくて人を好きになって、恋人なんかつくって、いっしょにいようとするんだろう?
この言葉は、彼女がいる時には全然考えないんだけど、しばらく彼女がいない(現状…)に考えてしまうんですよね、見た目の美しさ、可愛らしさ、ファッションのセンス、笑いのツボ、嫌いなものが一緒、
何をもって人は人を好きになるんでしょうかね…
最近本当にわからなくなってきました。
40歳もすぎたので、恋愛ぐいぐいって感じでも無くなってるのは勿論ありますが、
「二者択一」の中で
サラダ油に酢を入れて、ぐるぐるかき混ぜる。
なかなか混じり合わない両者は、数秒でちゃんと融合してどろりと白濁したドレッシングになる。
三十四、五年で培ってきたそれぞれの生活は、
油と酢のようにくっきりと独立した何かで、両者を混ぜ合わせるにはそれ相応の気負いと行為が要る。
けれど白濁したドレッシングを放置すればまたすぐに分離してしまう。
譲歩も変更も、新しい習慣も入り込む余地のない何かを、私たちはそれぞれ相手の中に見つけ出してしまう。新鮮で興味深い新発見の連続ののちに、
さほどよろこばしくもなくどちらかというと厄介な新発見が、さらに発掘され続ける。
誰かと暮らすとは、そういうことらしい。
とても長くなってしまいましたが、この部分は
三十代以上の人なら納得のいく真理みたいなものだと思ったので、抜粋させてもらいました。
また、しばらく角田光代から離れて他の作家さんへの旅に出ようと思います。
すぐに安心できるホームに帰れるようにちゃんと
積読してありますので…
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もれなくすべて
「別れたほうがいいんじゃない」
と思う恋愛小説というのが面白い
彼女がお風呂ギライで不潔 とか
記念日に執着する とか
旅行中にけち臭い男とか
買い物依存 とか
そりゃね 愛の前では
些細なことかもしれませんよ
愛してるなら受け入れるべき
いあいあ そうとも限らない
やっぱり 受け入れられない
許せないことだってあるんです
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この作品のあらすじを見てみると、
“一見幸せそうに見える二人に、ふとした瞬間に訪れる微かな違和感や不信感”
“不完全な恋人たちの、キュートでちょっと毒のある11のラブストーリー”
くぁぁぁぁぁーー!
これだけでビール3杯はいける。
また、帯にはこうある。
“大好きなのに、どうしても許せないことがある”
くぅぅぅぅぅーー!
レモンサワー追加だ。
芦沢央さんの解説の言葉をお借りすると、ここに詰まっているのは、「ドレッシングが分離した後、互いに混ざり合わない存在として向き合わざるを得なくなった油と酢たちの物語なのだ」。
この、「ドレッシング」を使った表現は、本作品の中の「二者択一」に出てくる表現だ。主人公が35歳でわたしと同年代というのもあり、この「混ざり合わない存在」同士で生きていくことの難しさの表現として、群を抜いているように思う。
好きだー!って気持ちで付き合い始めたものの、一緒にいると、付き合いたてでは見えてこなかった様々なことが見えてくる。
・風呂に入らず、腋毛も剃らずに生活することが平気なキタハスマコとその彼氏おれの章「サバイバル」
・記念日フェチのクマコと記念日大っ嫌い彼氏おれの章「昨日、今日、明日」
・買い物依存症のリョウちゃんと折り合いがつけられない彼女あたしの章「お買いもの」
・公表していいことと悪いことの区別がつけられず、なんでも人にぺらぺらしゃべってしまうナミちゃんと暮らす彼氏ぼくの章「57577」
・ハルっぴの迷信に振り回されて、過去の罪悪感と向き合い続ける彼氏おれの章「雨と爪」
・”たかだか”野球の一勝に生活の全てを支配される木幡敦士と彼女あたしの章「100%」
・万引きをやめられないカナエと、それを認めていくべきかどうかで揺れ動く彼氏ぼくの章「共有過去」
・お菓子を食べ続ける仁絵と、”たかが”お菓子につっかかってしまう彼氏ぼくの章「糧」
・下戸の上野くん(34)と酒豪の私(35)の章「二者択一」
・長年付き合っていた者同士が嘘みたいに海外旅行でいがみ合う章「旅路」
・周囲に反対されながらもいわゆるダメ男ミネオと付き合い続ける彼女私の章「未来」
この11編、順序なんてつけられないほど、ひとつひとつが愛おしくて痛々しい。大切な人と一緒に生活をするということ。そこにあるのは決して、嬉しい、楽しい、大好き!だけじゃない。同時に、たくさんの違和感と傷つき、不信感も同居している。それらは、P295「できうる限り好意的に解釈して受け入れようとする。だが、時間が経ち、激情が薄れ、相容れないものが日々の生活にじわじわと入り込んでくる中で、その受け入れがたさが浮かび上がってきてしまうのだ。」
わたしには11編全部別れちまえ!と思えたけれど、それは、わたしの器の小ささなのだろうか?
嫌だって気持ちとそれに対して器が小さいと思うことは別のこととして考えるよう、先日カウンセラーの先生に言われたけど、わたしの中に存在する理想の自分が、誰かを受け入れられないことを許せない。
この、他人を受け入れられない自分を許すとするならば、わたし自身がP201「世界で一番自分が正しいと思って」いる、「ナルシストでファシスト」であることを認めることなのかもしれない。
そこで顔を出すのは「他人を受け入れる仕事をしている自分」である。その自分は、小さなことを許せないわたしを、はるか上空から見下(くだ)している気がするのだ。“そんなことも許してあげられないの?”と。わたしは、他人との距離感を考える前に、自分の中にある正論(理想の自分)と、上手に距離をとることができていない。人生に折り合いをつけて生きていく前に、まずは自分の中で折り合いをつけることが必要なんだろうか。
お菓子、お酒、野球…
他人からしたら笑ってしまうような、バカバカしいものたち。
たったそんなことで。人は言う。だから「たったそんなこと」と、その時は思う。小さな違和感なんて、見て見ぬふりをしてしまう。
けれど、2人で過ごす日常の中にどっしりと横たわるそれらを、どうしても見て見ぬふりはできない。
これは、受け入れていくべきものなんだろうか。それとも、受け入れられなくとも、仕方のないものなんだろうか。その答えは、個人の中にのみ存在するし、出した答えが、個人の中の答えと合致するとは限らない。
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角田光代の描く11組のラブストーリー。
きっと一癖も二癖もある男女の恋模様が読めるのだろうなと思って手に取ったが、見事に期待を裏切らない作品でした。
好きだから何でも許してしまう面もあれば、好きだからこそ許せないこともあったり。
『太陽と毒ぐも』とはよくつけられたタイトルだなと思いつつ、世の中のカップルを表すぴったりの表現でもあるな。と思わされました。
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かなり前の短編集。
角田さんのイメージは、最近では事件を扱ったような社会的な長編も多く、過去にはこんな感じの恋愛小説系がよくあった。
この短編集、さすが角田さんと思った。
心理描くの、うまい。
途中から坂道を転がるように加速して悪化していく感じ。これは今も変わらない。
恋人同士が、お互い完璧な相手だと思いながら続けていくのは難しい。
妥協が必要だ。
他の人から見たら、そんなヤツとは別れた方がいいって思っても、人によって許せるところ、許せないところは違うのだ。
1番共感できたのは『旅路』
共感できるから、なんだか最後に椅子を譲ってくれた青年の優しさと自分の狭小な気持ちが情けなくて、泣けた。
普段の生活なら、この相手は間違いないって思てたのに、旅の仕方の違いで、その旅行のスムーズにならない環境下でお互いがイライラして、相手を責め立てるような気持ちで充満する。
最近、読んだ短編集で、ウィリアム・トレヴァー『異国の出来事』の中の『三つ巴』でも、夫婦の旅での苛立ちが書かれていて共感できた。
旅は計画的に余計なイライラをしないように準備しておきたい派と、行き当たりばったりになってもそれを楽しむ派に分かれる。
私は計画派で、行き当たりばったりになってイライラして時間を無駄に過ごしたくない。お金を無駄にしたくない。
でも、行き当たりばったりで旅を楽しむのも楽しそうだとは思う。
ただし、それはあらかじめ行き当たりばったりで旅をすると決めてからじゃないと嫌だ。
角田さんは、両方の気持ちと心理をうまく描いていて、すごいなー。
1番共感できなかったのは『未来』
若いうちはありがちだけど、30過ぎるとちょっとやめた方がいい。自分のこと棚に上げて人のやってること悪口言ってる。くだらない生活で生きてるのに、人のことを悪く言うのだ。そんなふうにずっと生きていると、くだらない人しか周りにいなくなるだろうなぁ。目標とか、充実とか追い求めないから、人のそういうものを馬鹿にして生きていくしかないんだろうなぁ。
Posted by ブクログ
普段短編集はあまり読まないけど、角田光代さんということで目に付いたや否や購入。
何なんだこの可愛いらしい恋人たちは!!いや、寛容すぎか!、、ちょっと引くんだけど。くるくる変わる主人公に目まぐるしくツッコミを入れながら読んだ11のストーリー。だけど、わかるんだよな。めっちゃくちゃしょうもない違和感が大きくなっていくところとか、ちっさいキッカケが受け入れ難く、嫌いになりたくないあまりもう見たくないと背向けてしまうあの気持ちも、大好きだからこそ許したいのにどうしても許せない感覚と、それでも擦り合わせようと歩み寄りながらもすぐ分離してしまう虚しさも。本の中で、過去のダメになってしまった恋愛全部が再現されているようで。キッカケだけがフィクションとして変えられているだけで。
彼女がお風呂に入らない物語にも出てくる「何のために僕らは恋愛するのだろう」という旨の言葉が残る。めちゃくちゃダサい恋人が嫌になった友達はきっと人類が全裸で歩いてればずっと幸せでいられただろうというエピソード。その通りだと思う、そう思えば、洋服が何?お風呂入らないから何?自分たちだけの世界がただ幸せであれば良いやんって思うけど、そうじゃないのも確かで。それを感じてしまう自分にも自己嫌悪する。
まあ、兎に角、11のストーリーの恋人たちに、幸せな未来があるようにと願わずにはいられなくなる〜笑
Posted by ブクログ
思ったよりも読みやすい。
11話、同じような温度感で話が進むので、1話目が気に入ればそのまますっと最後まで読めると思う。
〈毒ぐも〉というワードで想像するよりも小さな毒。それは小さいけれども確かに毒で、そして、誰にでもある毒の話。
蜘蛛も悪いことばかりでない。ときに蜘蛛は、害虫をたべる益虫として農家の人からありがたがられたりする。見方によっては、良いところもあるのだ。
Posted by ブクログ
とても読みやすい作品でした。
私が感じる『読みやすさ』は、あまり深く考えずに読めたり、文章が簡単だったりする作品を指すことが多いです。
しかし、この小説はそういう『読みやすさ』ではなく、あまりにもストンと簡単に心に入ってくる『読みやすさ』がありました。簡単に入ってくる分、何とも表現出来ない哀しさがじわじわと沁みてきます。
イタタ…と思う恋愛の哀しさ。
あ〜…と思いながら読む恋愛の哀しさ。
それでも離れられず、トントンと読み進めました。
Posted by ブクログ
⚫︎受け取ったメッセージ
それでも人は、人がいないと生きられない
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
「角田光代の隠れた傑作」といわれる、
不完全な恋人たちの、キュートでちょっと毒のある11のラブストーリー。
リョウちゃんは、あたしのたいせつな恋人は、
あたしの前で口を開いた洞窟なのだ。
そうしてあたしは未だその入り口で立ちすくみ、
その一番奥に何があるのか見極めるための
一歩を踏み出せないでいる。
──「お買いもの」より
ハッピーエンドから始まる恋人たちの幸せな日常。
どこにでもいるようで、でもちょっとクセのある11組の恋人たち。
買い物依存症、風呂嫌い、万引き常習犯、迷信好き……。
この恋愛短篇集は、極端な恋人たちを描きながらも、
いつしか、読む者の心の奥に眠らせていた記憶を呼び覚ます。
文句なしの面白さと怖さに震える、長年偏愛されてきた傑作です。
「だが、だからこそ、物語が進むにつれて、そのおかしさが物悲しさへと変わっていく。
どうして、この人は、このままで許してもらえないのだろう。
どうして、最初は許されていたものが、許されなくなってしまうんだろう。(中略)
相手の中の「どうしても許せない部分」が、自分の過去、コンプレックス、傷、そしてそれらに飲み込まれずに生き続けるためにまとってきたたくさんの鎧と関係していることに気づいていくのだ。
作中で「裸んぼで暮らせたら問題なかったんだろうな」という言葉が出てくるが、この物語たちは、裸んぼではいられない、過去を、痛みを、コンプレックスを、すがるものを切り離せずに着膨れながら生きていくしかない人間のかなしみを見つめた作品なのだ」(解説より 芦沢央)
⚫︎感想
パートナーの気になるところ、どこまで許せるか問題。なおして!と思っても、他人を変えることは不可能に近く、自分を変えることもまた難しい上に気づきにくい。自分は相手に何かを言えるくらいまともなのか?という自問自答も浮上する。他人を通して、嫌な自分に出会ったり、のちに気づいたりする。
このことをとてもうまく例えてある「ドレッシング」の表現があった。
以下引用
「…私たちの暮らしはドレッシングみたいなものだったと思うことがある。サラダ油に酢を入れてぐるぐるかき混ぜる。なかなか混じり合わない両者は数秒でちゃんと融合し、どろりと白濁したドレッシングになる。34.5年で培ってきたそれぞれの生活は、油と酢のように、くっきりと孤立したなにかで、両者を混ぜ合わせるには、それ相応の気負いと行為がいる。専用泡立て器でぐるぐるかき混ぜる行為は、しかし、楽しかった。譲歩も変更も楽しかった。けれど、白濁したドレッシングを放置すれば、またすぐに分離してしまう。譲歩も変更も新しい習慣も入り込む余地のない何かを、私たちはそれぞれ相手の中に見つけ出してしまう。新鮮で興味深い新発見の連続ののちに、さほど喜ばしくもなく、どちらかというと、厄介な新発見がさらに発掘され続ける。誰かと暮らすということは、そういうことらしい。」
では、果たして100%ぴったりの相手がいたとして、それはそれで刺激がないとか文句に繋がるんだろう。結局、100%合う人なんか居なくて、呆れたり、見ないふりをしたり、期待しなければ(笑)意外といいとこ見つけたり、変化する相手に刺激されたり…そういうことが他人と生きるということかな。
Posted by ブクログ
面白かった!角田光代さんのこういういい意味で気が抜けた(八日目の蝉とかのような大傑作に感じる緊張感は無いという意味)作品はとても好き。
ありふれた、よくいる問題ありの恋人たちの話。自分にも当てはまるなぁ。人間臭さを感じる面白い作品。
Posted by ブクログ
未婚カップルが抱える相手への違和感にクローズアップした短編集。
価値観の違い…とまで言うほどのことじゃない。
きっと友達にコレが原因で別れたって話したら、笑い転げられるだろう。
それでも、毎日毎日気になってモヤモヤする。
パートナーの些細なクセや習慣。
結婚してないんだから、1歩踏み出して別れたらスッキリできるに違いない。
…でもなぁ。それ以外は全部好きなんだよね…。
・あんまり風呂に入らない彼女
・おしゃべりすぎる彼女
・買い物依存症な彼氏
・スナック菓子がごはんな彼女
・ジャイアンツ至上主義な彼氏
・下戸な彼氏………etc
みんな悩んで、別れたり妥協したり。
分かりみが深い。
人と人が分かり合うって大変だわ。笑
Posted by ブクログ
あなたには、『100パーセント合う人』がいるでしょうか?
世の中のカップルの平均交際期間は一年から三年なのだそうです。この数字を聞いて長いと思うか短いと思うかは人それぞれだと思います。思わず自分の交際期間を思い出しただけでなく、喧嘩して別れた相手の顔を思い出してしまった…という方には大変失礼しました。そうです。交際は必ずしも成就するとは言えません…。
でもせっかくそんな過去のことを思い出されたとしたら、もう少し昔まで記憶を遡ってみてください。あなたはそんな繋がりのはじまりのことを覚えているでしょうか?”恋は盲目”という言葉があるように、二人の関係のはじまりの中には些細なことは気にならないものです。相手のことをただただ想う気持ちが勝り、細々としたことは切り捨ててもいく恋のはじまり。しかし、そんな燃え上がるような恋のはじまりもやがては落ち着きを見せます。そんな時、そこに何が訪れるでしょうか?そうです。当初は気にならなかった相手に対しての『違和感』です。それは、人によって当然に異なります。なぜなら、人と人との関係性に一方的なものなどなく、双方の感じ方の違いが『違和感』として浮かび上がるからです。
さてここに、そんな二人の『違和感』に光を当てる作品があります。二人の間に湧き上がる『違和感』、それに対して『太陽』の心持ちと『毒グモ』の心持ちが主人公の心の中で対峙する様を見るこの作品。そんな二つの感情のせめぎ合いの先にそれでも続いていく二人の姿を見るこの作品。そしてそれは、『100パーセント合う人なんていない』、『だから我慢しあっていくしかない』という言葉の意味を噛み締める瞬間を見る物語です。
『風呂に入らないで平気な女がいるなんて考えたこともなかった。最初、冗談かと思ってた』と語り始めたのは主人公のキョウ。『もちろんまったく入らないわけじゃなくて、入りはするよ、一週間に二度くらいはね』と続けるキョウは『九時に早番を予定どおり終えて店を出、待ち合わせ場所』へ向かいます。そんな道すがら『今日は風呂に入ってるか、入ってないか。入ってないとしたら何日目か』と考えるキョウが店に入ると、『今日はあたり』だと感じます。『待ち合わせの飲み屋に』席を確保してくれていたキタハラスマコに『なんのにおいもしない』ことを確認したキョウは『スマちゃん風呂入ったんだ』と思わず言ってしまいました。『隣に座っただけで、風呂初日か、風呂一日目か、風呂二日目か、ほぼ完璧にわかるようになった』というキョウ。そんなキョウに『何よう、会うなりそんなこと言うかなあ』と笑うスマコと『ジョッキで思いきり乾杯してビールを飲』みはじめた二人。そんな中『スマコが笑い、あれこれ冗談を言う』と『おもしろくもなくふだんどおり過ぎていった一日』『もそれなりにおもしろかったように思えてくる』というキョウ。そんな瞬間にキョウは『いっしょに暮らしたらたのしいだろうな』とスマコのことを思います。そして、キョウは『つきあって最初のころ』『どっちかのアパートの更新時期がきたら、更新せずに引っ越していっしょに住もうって、幾度も話しあった』ことを思い出します。一方で『つきあって半年すぎたあたり』に『キタハラスマコがずば抜けてずほらであると気づ』いたキョウ。『はじめて二人で』『五泊六日でバリ島』へ旅行した二人は、『海はそんなにきれいじゃなかったけど、ビーチスポーツ』も楽しみます。そして帰国し、キョウの家で一泊してから帰ったスマコ。その後キョウは『ベッドに藻が落ちてるのを見つけ』ます。『前の晩スマコに貸したTシャツ』にも同じ藻を見つけたキョウは、スマコが『海で遊んで、砂浜に寝転がってはしゃいで』、『シャワーを浴びずに眠って、シャワーを浴びずに帰った』結果であることに愕然とします。そして、『スマコの風呂嫌いとか、洗濯嫌いとか、手入れ嫌いとか』が『おもしろく思えなくなって』いったキョウ。場面は変わり、別のある日、『おれの嗅覚によれば彼女が風呂に入ったのがたぶん三日前』というスマコに会ったキョウは後悔の感情を抱きます。『すえた、かすかに燻された、脂じみたにおい』を発するスマコ。そんなスマコは『あのさあ、しらべたら更新、十月じゃなくて九月だったんだよー』と語りはじめます。『八月にもう返事しなきゃなんだよー、八月って、すぐだよねえ?…更新?』と『いきなりそんなことを言い出』したスマコに『八月っていったら、もう来月じゃんか。マジかよ』と焦るキョウ。そんな二人のそれからが描かれていきます…という最初の短編〈サバイバル〉。いきなり『風呂に入ってるか、入ってないか』という衝撃的な彼女の『違和感』になんとも言えない思いが残る好編でした。
“大好きなんだけど、どうしても我慢できないことがある。でも、やっぱり好き。だれかを好きになって、相手もこちらを好いてくれて、とりあえずハッピーエンド。そのハッピーエンドからだらだら続くしあわせな恋人たちの日常”と、この短編集で描かれる物語を上手く表現した内容紹介に感心してしまったこの作品。それぞれに全く繋がりを持たない11の短編から構成された短編集です。私は角田光代さんという作家さんが大好きで、代表作「八日目の蝉」の他、直木賞を受賞した「対岸の彼女」、そして五年以上の歳月をかけて取り組まれた「源氏物語」の現代語訳までさまざまな作品を読ませていただいてきました。小説は作品の長さから分類される場合もあります。長編、中編、そして短編、さらには短編には連作短編という選択肢もあります。角田さんは長編で圧倒的な感動の物語で読者を魅せてくださいますが短編に傑作が多いのも魅力の一つです。そんな短編には、生きている間に受け取るさまざまな贈り物に光を当てる「Presents」、本にまつわる話に魅了される「さがしもの」、そしてまさかのファンタジー「なくしたものたちの国」と傑作揃いです。一方で、この短編集はどこか引っ掛かりを感じる恋人たちの姿を描いていきます。では、そんな短編の中から私が特に気に入った三つの短編をご紹介しましょう。
・〈昨日、今日、明日〉: 『携帯電話が尻ポケットで振動』、『受信したメールを読む』のは主人公のキク。『週末けっきょくどうするの、よやくしちゃっていいの』という内容に『尻ポケットに戻』したキク。そして自席について仕事をはじめた中に電話が鳴ります。『キクちゃんメールの返事全然くれないんだもん!』と不機嫌な声で話し出したのは恋人のクマコ。『仕事ちゅうだっつーの』と不機嫌に返すキクは仕事後に会うことを告げて電話を切ります。『おれの恋人のクマコ二十四歳は、記念日フェチだ』と思うキクは、『予約強迫観念症』とクマコのことを思います。
・〈雨と爪〉: 『雨の音に目が覚め』、『寝入ったときのまんまの姿勢で熟睡している』ハルのことを見るのは主人公のミキ。そんなミキは『夜中に爪を切ると親が死ぬ』という言葉をハルに言われた時のことを思い出します。『呪いの文句みたいに聞こえてぞっとした』というミキは、『それ以来、夜に爪を切』らなくなりました。そしてミキは『服に針をとおした直後に出かけると、交通事故にあうらしい』、『お盆に蛾を見たら殺しちゃいけない』、そして『葬式もないのに喪服を買うと身近な人が死ぬ』などさまざまな『迷信』を語るハルの言葉を意識し出します。
・〈共有過去〉: 『マルホシスーパーという聞き慣れない店から』電話を受け『すみません』と『阿呆みたいにくりかえし』たのは主人公のショウ。電車に乗り指定された駅で降りたショウがスーパーの事務室に入るとうつむいた姿のカナエがいました。紙幣を出し『本当にすみませんでした』と『深々と頭を下げ』たショウはカナエと事務室を出ます。『ショウちゃんごめんね』と『甘い声を出す』カナエは『っていうかさあ』とショウの『うんざりした声を遮り』、『わかってるわかってる…』と言います。そんな『万引き癖のある恋人を引き連れて』家に帰るショウ…。
以上の三つの作品を含めた11の短編はその全てが恋人同士の関係性の内側に見えるものに光を当てていきます。あなたの周囲にも恋愛関係にある人たちは少なからずいると思います。もしかすると、あなたがそんな当事者であるという場合もあるでしょう。結婚には至っていないものの、付き合いはじめて一定期間経過したという恋人たち。まあ、これは恋人たちに限らず友人関係という場合でも同じだと思いますが、なんだか相性が良さそう!と始まった関係性であっても、付き合いが長くなり始めるとそれまで見えなかったお互いの隠れていた部分が見えてくることがあると思います。それは、ふとした瞬間に垣間見えるところからはじまるものであるかもしれません。付き合いはじめた時には見えなかったお互いの隠された側面。一定の期間同じ時を過ごす中で見えてきたお互いの価値観の微妙な違いがやがてどうにも許せない『違和感』として顕在化していく。この作品ではそれぞれの恋人たちの関係性の中に生じたそんな側面を鮮やかに描いていきます。
〈サバイバル〉の彼女はお風呂に入るということが習慣化されていません。週に二日というような状態。これが男性だとすると違う世界が見えてきそうに思いますが女性という設定が上手いところです。〈お買いもの〉に登場する彼氏は、次から次へとモノを買わないと気が済みませんが、買った後には一気に思いが去り開封もせずに置いておくような側面を見せます。そして、〈旅路〉ではスリランカへと旅行した二人、そんな旅の中で価値観が相反する現実に直面して危うい旅を続ける二人の姿が描かれていきます。11の短編には、いくらなんでもこれはないでしょう?と思うものから〈旅路〉のようないかにもありそうなシチュエーションを描く物語までその振り幅はとても広いものがあります。そんな11の短編を読み進めていく中で面白い!と思ったのは、主人公の中で恋人のそんな側面が気になって仕方なくなるものの、読者はどこまでも第三者でいられることです。これは、二人が恋人関係にあるからこそ言えるのだと思います。小説によっては作品中の『違和感』が不快さをもって読者を襲う場合もあります。それは、読者がそんな存在、ある意味面倒臭い存在と関わりを持つのを避けたいという自然な拒絶反応が生んでいく部分もあるのだと思います。しかし、この作品が読者をそういう思いにさせないのは、どこまでいってもこの作品は二人の中でのお話。そんな二人の一方、それは男である場合と女である場合に分かれるとはいえ、それでもそんな違和感を受け止める主体はあくまでその一方であって、二人の関係が続く限り、二人の外にいる人間に被害が及ぶことはありません。これは当たり前のことであり、世の中、他の恋人たちの内輪揉めは面白くはあっても、他人にとってそれに深刻になることなどありはしません。だからこそ、読者は他人事として面白く読み進められる部分がこの作品にはあると思いますし、この作品の読み味はそこに帰結するのだと思いました。流石の角田さん、そんな恋人たちの一方が見せる相手への『太陽』の心持ちと『毒グモ』の心持ちの対比をこの作品ではとても興味深く見せていただきました。
『おれたちは自分の意志で何かを決めて、少なくとも決めようとはして、そのとおりに日々過ごしているのか。それとも、もうひとつの世界で決定される何ごとかに従って、自分自身に決定権すら持たぬまま翻弄されるように生きているのか』。
11組の恋人たちの関係性の中に芽生えた『違和感』に光を当てるこの作品。そこには付き合いはじめた時には見えなかった相手の隠された姿、もしくは付き合いはじめた時には意識が低かった事ごとが、二人の関係性を維持していく中で大きな『違和感』となっていく様が丁寧に描かれていました。二人の関係性に見え隠れする『太陽』と『毒ぐも』のせめぎ合いの絶妙さを見るこの作品。人と人とが長く付き合うことの意味を感じるこの作品。
角田光代さんならではの着眼点の面白さに、改めて作品作りの上手さを垣間見た、そんな作品でした。
Posted by ブクログ
行事が好きとか嫌いとか、菓子とか酒とか野球への愛とか、「たったそれだけ」のことで決定的に関係が壊れるなんてあまりにも馬鹿げている。頭では分かるけど、そういうちっぽけなことが自分にとっては大きすぎて、譲りたくても譲れなくて、結局、魅力的であるはずの相手の「ある部分」を好意的に解釈できなくなる自分にうんざりする。
そういう、「許せなくなる側」のかなしみを描いてくれるこの本にひどく共感した。11の恋人たちの中には関係を続けることを選んだものも、別離を選んだものもいたけれど、きっとどちらも正解なんだ、と思う。
Posted by ブクログ
たくさんの、いろんな、多種多様な男女恋愛模様が、それぞれの短編の中で繰り広げられ、短編の中で的確に男女のズレを炙り出しつつも、綺麗に、整理整頓された、理屈の通ったようには落着せずに、だけど何となく、ふと気づいたら、穴にすっぽりハマる。
Posted by ブクログ
お風呂に何日もはいらない女性、盗み癖がある女性、異常なほど物を買い込む男性、あらゆる迷信を信じて実行を強要する女性、スナック菓子を主食とする女性、半端なくお酒を飲む女性、言っていいことか否か判断できずなんでも(噂話し的な)言ってしまう女性、
いろんな性癖を持った男女の短編小説。
これが、めっぽう面白かった。
そんな奴、おるんかいな(特にお風呂に入らないレベルがまるでホームレス並み)と思うけど、著者の手にかかればいかにもいそうなのよ。
それぞれの性癖を相方の彼、彼女らは付き合い始めは美点にさえ見えているのよ、それ意外の相性は一緒に暮らすほどいいんだもの。
でも、それがだんだんもやもやしてきて、許容できなくなる日が訪れる、そのこちら側の哀しみが読んでいてぐっとくる。
角田光代はやっぱりすごいな。
Posted by ブクログ
二者択一に出ていたセリフのように男女が一緒に暮らすということはドレッシングのようなものかもしれない
お互いが譲歩と変更をすることで混ざり合うことでやっと混ざり合うのだろう
この短編ほど極端な欠点ではなくとも誰にでも欠点はあるその欠点を二人の関係が落ち着いた頃に嫌気がさして拒絶するか受け入れるか次第ではないか
Posted by ブクログ
角田光代の本初めて読んだけど、1ページ読んだときにこの人の本好きだわって思った。
なんで自分の恋人はこうなんだろう?変だよね?っていう語り口ですすめられるストーリーで、たしかに出てくるキャラは割と極端。でも、自分の恋人を変だと感じるように、自分も恋人から「なんで?」って思われてることが多くて、そこが面白かった。
つまり2人っていう世界の中ではどっちが普通とか、どっちが正解とか、そんなのはなくて、多数決しても決着つかないんだから。
まあ、小さいことから大きいことまで、どんな恋人や夫婦にも、理解できないと感じることはあるはずで。
それが良さでもあり、登場人物の誰かが言ってたけど、自分が正しいって決めつけるのは間違ってるよなぁと思う。
吉野弘さんの「二人が睦まじくあるためには」にあるように、完璧であろうとしないで。
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人間って いろいろあるよね。11の短編の全てが恋人たちの話。めんどうで風呂に入らない女、万引きがやめられない女、お菓子が主食の女、買い物依存症の男、酒がやめられない女……極端なんだけと、笑えたり、共感できたり、なんだか考えさせられる。話がおもしろい。それぞれの恋人たちがその後どうなったのか興味津々なのですが
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11の短編を収録。11組の恋人達の話である。恋人だから恋愛小説のカテゴリーにしたけど、ハッピーエンドの恋バナではない。お互いが相手のある部分を許せなくなるという話。風呂嫌いの彼女、記念日マニアの彼女、買い物依存症の彼、などなど。ドレッシングのサラダ油と酢みたいに、混ぜるにはそれ相応の気負いと行為が必要。
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付き合っている恋人同士の小さな違和感に焦点をおいた短編集。
付き合い出した頃は「おもしろい」ですんでいたことが、だんだんと気になり、存在感を増していく。
何日もお風呂に入らない。使いもしないのに次々と買い物する。やたら迷信を気にする…結局、相手の欠点(もしくは直してほしいと思うこと)を許容できるか、それも含めて愛せるかがその後結婚までいくかどうかにかかっていくんじゃないかなぁと思った。
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短編集11篇
変なカップルの生態,11組11色の味があって,別れを考えながら二人がそれなりに関係を続けていくのが,腐れ縁の味わいがあっておかしみと悲しみが残る.
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相手に対して不満を抱いているカップルの短編集。角田作品では好きじゃないタイプの奴(ごめんなさい)。
なんていうか、若者たちが下品なんだよね・・・。
それぞれいろんな不満や違和感を抱いていて、結婚するか別れるか逃げ出すかを決めるお話。
あんまり、うーん、どの話も好きじゃなかった。