太陽と毒ぐも

太陽と毒ぐも

850円 (税込)

4pt

「角田光代の隠れた傑作」といわれる、
不完全な恋人たちの、キュートでちょっと毒のある11のラブストーリー。


リョウちゃんは、あたしのたいせつな恋人は、
あたしの前で口を開いた洞窟なのだ。
そうしてあたしは未だその入り口で立ちすくみ、
その一番奥に何があるのか見極めるための
一歩を踏み出せないでいる。
──「お買いもの」より

ハッピーエンドから始まる恋人たちの幸せな日常。
どこにでもいるようで、でもちょっとクセのある11組の恋人たち。
買い物依存症、風呂嫌い、万引き常習犯、迷信好き……。
この恋愛短篇集は、極端な恋人たちを描きながらも、
いつしか、読む者の心の奥に眠らせていた記憶を呼び覚ます。
文句なしの面白さと怖さに震える、長年偏愛されてきた傑作です。

「だが、だからこそ、物語が進むにつれて、そのおかしさが物悲しさへと変わっていく。
どうして、この人は、このままで許してもらえないのだろう。
どうして、最初は許されていたものが、許されなくなってしまうんだろう。(中略)
相手の中の「どうしても許せない部分」が、自分の過去、コンプレックス、傷、そしてそれらに飲み込まれずに生き続けるためにまとってきたたくさんの鎧と関係していることに気づいていくのだ。
作中で「裸んぼで暮らせたら問題なかったんだろうな」という言葉が出てくるが、この物語たちは、裸んぼではいられない、過去を、痛みを、コンプレックスを、すがるものを切り離せずに着膨れながら生きていくしかない人間のかなしみを見つめた作品なのだ」(解説より 芦沢央)

※この電子書籍は2007年6月に文藝春秋より刊行された文庫の新装版を底本としています。

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太陽と毒ぐも のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    同棲してる、しようとしてるカップルたちの短編集
    どの話もすごい良かった!

    その人それぞれの習慣、性癖のせいで愛とか平和な状態に亀裂が入っていく
    カップルの言い合いとか毎回どっちも間違ってないから人間関係ってややこしいなぁってなった

    どんどん読み進めたくなる文章力で日常のことが書かれてるのがすごい

    0
    2023年12月14日

    Posted by ブクログ

    11人のカップルが出て来る。ありそうな事からぶっ飛んでいる事まで、角田光代さんのほんわかした顔が何故か頭から離れない。凄い事考えるんだ、考えられるんだと。ちゃんと働いているのに万引きがやめられない、それを喜んだ彼がいたからやめられないのか、言い訳も同じ店ではやらないとか言う。お菓子が主食の仁絵もダイ

    0
    2023年08月21日

    Posted by ブクログ

    「角田光代の隠れた傑作」なんて書かれたら、そそられる。

     何かにちょっと極端な男女を描く短編集。

     どの話も面白い。

     買い物依存症、風呂嫌い、万引き常習犯、記念日好き、などなど。

     でも男女間で問題が起きるのは、もうお金か、食か、価値観かとか。自分は『うーん』と思う事をどこまで受け入れて認

    0
    2022年04月29日

    Posted by ブクログ

    ズボラで風呂嫌いな彼女
    買い物依存症な彼氏
    万引き癖のある恋人・・・

    幸せでいるようでいて、実は内部に問題を抱えた
    カップルたち。
    だんだん感じ始めた違和感や不信感。

    許す方が楽か。離れたほうがいいのか

    個人的には「別れろ!」派でした(笑)

    0
    2022年04月11日

    Posted by ブクログ

    最初の1ページ目を読んだだけで、ああ、やっぱり面白いと思ってしまう。
    俺は角田光代の文章が本当に好きなんだとあらためて実感する…
    旅行やら出張に出かけて池袋(個人的に思う場所ですが)に着くとものすごく安心して、帰ってきたんだけと感じるのと同じ感覚だと思います。笑

    11の様々な恋人たちのとてもリアル

    0
    2021年10月18日

    Posted by ブクログ

    もれなくすべて

    「別れたほうがいいんじゃない」

    と思う恋愛小説というのが面白い



    彼女がお風呂ギライで不潔 とか

    記念日に執着する とか

    旅行中にけち臭い男とか

    買い物依存 とか




    そりゃね 愛の前では

    些細なことかもしれませんよ

    愛してるなら受け入れるべき

    いあいあ そう

    0
    2021年09月29日

    Posted by ブクログ

    この作品のあらすじを見てみると、

    “一見幸せそうに見える二人に、ふとした瞬間に訪れる微かな違和感や不信感”
    “不完全な恋人たちの、キュートでちょっと毒のある11のラブストーリー”

    くぁぁぁぁぁーー!
    これだけでビール3杯はいける。

    また、帯にはこうある。

    “大好きなのに、どうしても許せないこ

    0
    2021年08月16日

    Posted by ブクログ

    角田光代の描く11組のラブストーリー。
    きっと一癖も二癖もある男女の恋模様が読めるのだろうなと思って手に取ったが、見事に期待を裏切らない作品でした。
    好きだから何でも許してしまう面もあれば、好きだからこそ許せないこともあったり。
    『太陽と毒ぐも』とはよくつけられたタイトルだなと思いつつ、世の中のカッ

    0
    2021年08月05日

    Posted by ブクログ

    思ったよりも読みやすい。

    11話、同じような温度感で話が進むので、1話目が気に入ればそのまますっと最後まで読めると思う。

    〈毒ぐも〉というワードで想像するよりも小さな毒。それは小さいけれども確かに毒で、そして、誰にでもある毒の話。

    蜘蛛も悪いことばかりでない。ときに蜘蛛は、害虫をたべる益虫とし

    0
    2024年03月18日

    Posted by ブクログ

    とても読みやすい作品でした。

    私が感じる『読みやすさ』は、あまり深く考えずに読めたり、文章が簡単だったりする作品を指すことが多いです。
    しかし、この小説はそういう『読みやすさ』ではなく、あまりにもストンと簡単に心に入ってくる『読みやすさ』がありました。簡単に入ってくる分、何とも表現出来ない哀しさが

    0
    2023年12月30日

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