【感想・ネタバレ】下剋上のレビュー

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Posted by ブクログ

「用語」が一定程度は人口に膾炙している他方、「実際は?」というモノが幾らでも在るような気がするが、そういうテーマを選び、一般読者向けに説くというのは「新書らしい」というように思う。本書はそういう一冊だ。
「下位の者が、主体性を持って、実力を発揮して、上位の者の権力を制限したり、それを排除したりすること」というように、本書の<はじめに>で「下剋上」を規定してみている。そして、「その種の動きの実際?」ということで、色々な事例を取上げて説いている。全体として纏まっているのだが、関心が在る人物や事象に関する章を抜き出して読んでみるようなことも一興かもしれない。
所謂「戦国大名」ということで一定程度の長めな期間に亘って、「下剋上」と規定し得るやり方で領国の実験を握って継続した事例は、実は「イメージ」程に多いのでもないということに気付かざるを得ないのだが、本書ではそういうことがよく判るような気がする。
更に戦国時代の様々な事柄に関しては「少しだけ後の時代からの“伝わり方”」というようなモノの如何で、「現在、或る程度知られている像、物語」が在るという場合も多いことに、本書を読んで気付かされた。
もしかすると?戦国時代の末期、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という辺りが、実は「下剋上」の極め付けで、彼らの物語が様々な具合に伝わっているが故に「下剋上」というイメージが拡がったという一面も排除出来ないのかもしれないと、本書を通読して思った。
自身の場合、単純に「“時代モノ”のファン」という側面も在るのだが、同時に「“歴史”という“物語”から現代や未来へのヒントのようなモノを見出してみたい」という、場合によっては「甚だしい幻想?」とでも言われるモノも抱いている。そういうことなので、本書のような一冊はとにかく愉しい。

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2021年07月30日

Posted by ブクログ

戦国時代において主要な下剋上と見なされる事例を取り上げ、その経緯や背景をたどることで実像を示そうという一冊。失敗事例も含めて検討されており、戦国時代を特徴づける一つの社会動向を理解する入り口になる内容。

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2022年06月15日

Posted by ブクログ

下克上といえば、社会の変革を牽引した最大の要因と思っていたけど、それでも「身分制社会の枠組み内にあった」というのは新鮮だった。
下克上を狙う人間も、上の地位を利用しようとしていたし、上の地位に就かなければ、社会を統べることはできなかったわけだ。当然ながら地位と身分は不可分の関係だったのだから。
身分まで考えると、レールがあったとは言え、最大の下克上は豊臣秀吉ってことになるよなぁ。

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2021年10月02日

Posted by ブクログ

今の自分の興味の関係上、最近よくこの方の本をよく読むんだけど、内容もライトでマニアックすぎず笑、とても読みやすかった。
下剋上の始まりから終わりまでの流れが大まかに理解できて、読む前の目標は達せられた感じ。

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2023年12月30日

Posted by ブクログ

 後北条氏の研究などで近年の戦国時代研究を活性化してきた著者が、戦国時代と言えば皆がイメージする「下剋上」をテーマとした一般書。

 一般読者が思い描く下剋上は、江戸時代の軍記物語などで形作られたものも多く、比較的近年の研究によって史料に基づいた史実の確定が出来てきているようである。そう言った意味で、最新の研究成果に基づいて著された一般書というのは大変ありがたい。

 本書で取り上げられているのは、まずは、享徳の乱で名前が知られてきた長尾景春から始まって、伊勢宗瑞(北条早雲)、朝倉孝景と尼子経久、長尾為景・景虎の父子二代、斎藤道三、陶晴賢、三好長慶、織田信長、そして信長死去後の秀吉・家康の天下一統による下剋上終焉まで。代表的なパターンの事例を列伝形式で、その主君にとって代わる経緯や背景を簡潔に整理してくれる。

 実力の時代になってきたとは言え、身分制秩序も確固としてあった中で、どのようにして自らの政治的地位を確立していったのか、成功例もあれば家中をまとめきれない場合もあった。そのような複雑な状況をコンパクトに整理した上で紹介してくれて、大変参考になった。

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2021年06月21日

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