【感想・ネタバレ】利生の人 尊氏と正成のレビュー

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【「利生とはなんでしょうか」-「衆生に神仏の利益をもたらすことと申します」】(文中より引用)

後醍醐天皇、楠木正成、足利尊氏の3名を軸としながら、動乱の世とそれぞれの身の処し方を描く歴史小説。著者は、本作で日経小説大賞を受賞した天津佳之。

時代を切り開いた人物であるにもかかわらず、足利尊氏ってどこか明確なイメージを結びづらい人物だなと感じていたのですが、本書を読んでその理由が那辺にあるかつかめたような気がしました。

後醍醐天皇ってやっぱり異能の人だったんだなと☆5つ

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2023年04月03日

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太平記など南北朝時代を書いた名作は数多くありますが、この本はそれらに勝るとも劣らないと言えるでしょう。
足利尊氏、楠木正成、後醍醐帝らをこれほどうまく的確に表現したのはありません。

皆が明日の皆を生かすために役割を果たすのです。

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2021年05月09日

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足利尊氏と楠木正成は敵味方に分かれて戦ったが、共感し合うものを持っていた。南北朝の内乱で対立したが、元々は共に鎌倉幕府打倒に立ち上がった側であり、共感する点があることは当然である。皇国史観では尊氏は逆賊、正成は忠義の士となっているが、それは皇国史観の固定観念である。尊氏は鎌倉幕府御家人、正成は悪党と立場は異なる。しかし、尊氏は京都に幕府を開き、西国を重視した。室町幕府は段銭、棟別銭、酒屋役、土倉役、津料、抽分銭と経済活動からの税収を重視しており、農本主義的な鎌倉幕府とは異なっていた。

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2023年01月14日

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足利尊氏と楠木正成、後醍醐天皇の日本をよくするためにそれぞれ三者三様の行動が興味深く、思ったようにいかないなぁと思いながら読みました。簡単に主君を裏切る様が面白く、わずかながら3人の人物について理解が深まり勉強にもなりました。

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2021年11月28日

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 以前、こども版「日本の歴史」で、この時代のものは読んだことはあったのですが、改めて、楠木正成・足利尊氏の復習という思いもあって読んでみました。

 後醍醐天皇が隠岐から出てからとは言え、1冊にまとめるのは大変だっただろうと思います。後醍醐天皇が理想を追い、正成と尊氏も「利生」という点で一致して、気持ちの上では通じ合っていたという「建付け」です(ただ、ここは「そうなのかな~」と少々疑問でした)。尊氏も、とても良い感じで描かれています。

 戦闘シーンもありますが、オドロオドロシイところはなく、全体を通して文章がとても綺麗です。最後の「終 利生」では、湊川の戦い以降を淡々と書いていますが、ここのおかげもあって読後は清涼感ありです。楠木正成を知っている人はドンドン減っていくのかと思うと、改めて読み返してほしい1冊です。

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2021年07月11日

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物語の構造として、主従や善悪がわかりやすいものが普通は好まれる。そういう意味では非常に描きづらい時代を敢えて選んで描いていく筆者の技術は卓越している。また、起こったとされた史実を「利生」という一つのテーマで物語にしてしまう着眼点は見事である。混沌の世の中に、人は何故生きるのか?という問いに対する筆者なりの答えとメッセージを託した作品と受け取った。それが故に単純明快を望む人には読みづらい点もあるだろう。

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2022年01月11日

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足利尊氏•楠木正成•後醍醐天皇を「利生」をキーワードに史実とは少し異なる捉え方で描いた本。
話はコンパクトにうまくまとめられていた。ただ、尊氏と正成が心を通わすシーン、大河ドラマでも同じような描かれ方をしており、真田裕之と武田鉄矢の顔が浮かんで本に入り込むことができなかった。

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2022年01月05日

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