感情タグBEST3
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めちゃ、良かった!
根底にあるテーマは「許し」
だと感じた。悪事をはたらいた人も
事情があって、許し合うことで、最後は
みんなが、ひとつの情景に溶け込むような美しいラスト。ウミホタルは
読者の心の中で、光るかのごとく。
頭の中に
登場人物や風景が
自然とうかんで、
なんだか香りや風や
光や影まで感じられる
素晴らしい文章。
少年少女の淡く苦い恋。
小5のまめとでっかちコンビの友情と冒険。
この2つの話が
繋がって、
他の登場人物たちやエピソードも
繋がって、
パズルのピースが綺麗にはまっていく感覚が、心地よい。
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一章ずつに分かれているけどストーリーは時間軸を変えながらすべてが繋がっている。
なんか不思議な構造だなぁと思いながらも、それぞれの人生、その人たちの生きた時代を追体験していく感じで読みました。
誰の人生でも、こういうことが起こっているんだとは思うけど、改めて物語として読むと、すごいなー。
奇跡というか、偶然というか、必然ってあるよなぁ~などと思います。(この語彙力なんとかならんかね~)
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第一章 心中花 Shin-chu-ka
第二章 口笛鳥 Kuchibue-dori
第三章 無常風 Tsune-naki-kaze
エピローグ 待宵月 Matsuyoi-no-tsuki
それぞれに別の物語なのに、少しずつ関係がある。もしもの分岐点が数知れずあって、今の状態になっているのが奇跡のような不思議な感じ。誰を恨むのでもなく、今とこれからを大切にしていきたい。
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道尾秀介作品の、様々な色の謎と不安と情景が少しずつ絡み合って糸になり、それが最後にはモザイクアートのように浮かび上がる…そんな展開が大好きだ。
世界観に没頭してしまうので、次の日休みの夜に一気読みが理想。
ぼやけていたものが鮮明になっていく心地良さは本当に癖になる。眠かったはずなのに目が冴える。時間があっという間に過ぎていく。
日本人なのでコナン・ドイルの貝の砂の話よりもついつい『風が吹けば桶屋が儲かる』がよぎった。
私がこの本を手に取った時を思い返し、ギョッとする。
本来は別の小説を大型書店に買いに行ったのだが、それが実は来月の刊行で。せっかくだからと物色し、新しいシリーズモノに手を出した。それが意外に面白くて、2巻を買いに近所の本屋へ。しかしそこにはあまりメジャーじゃない出版社(失礼)はあまり揃っておらず。でも何か読みたいんだ!!と、また物色していたら、普段は行かないマイナーな出版社(失礼)コーナーで道尾秀介を発見。一旦スルーしつつ、残り1冊しかないことと内容で購入決定。
あの時近所の本屋に目当ての小説があったらこの本は買っていなかっただろう。
そもそも、私がおっちょこちょいで、ありもしない新刊を探しに行かなければ。
そう考えると、今いる場所、していること、考えていること、食べたもの、着ているもの…全て過去の選択の重なりで出来ているのだなと思う。
誰かにとって不幸だったことが、巡り巡って自分の幸いになることもあるだろう。逆も然り。
とても、おもしろいものだ。
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3つの話と終章で紡がれる物語は、其々が心の奥底をゆっくり温められるような優しさがあるが、それらが繊細且つ複雑に繋がりあっていることに何より感動する。"風って、どうやって吹くのかな。"作中の問い掛けが今なお心に残る。
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一言で言い表すなら『偶然が偶然を呼んだ物語』であると感じる
母親の遺影を取りに行く少女
母親のずいぶん前の恋物語
そこでの青年とのやりとり、青年に起こった悲劇、隠された思い
転校してきた小学生とその友達
自身の母親といつか恋をした青年との出会い
もうさまざまな偶然が重なってこの結末になったとしか思えない。
道尾秀介さんの小説は読みやすく感情移入もしやすいように書かれておりとても引き込まれる作品であった。
私がこの作品と出会ったのも何かの偶然かもしれない。そんなふうに思わせてくれたこの作品は本当に素晴らしいものなのだと感じている。
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まさに数奇な運命!
伊坂幸太郎さんみたいな書き方で面白かった〜!
色んな偶然が重なり合って現在私たちが存在しているんだよね
どうやったらこんな上手く話つなげられるのって感動したもん
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世間は狭いということ、
そしてバタフライエフェクトの力を思い知った一作
自分が何気なくついた嘘が
良くも悪くも他人の行動に影響する
優しい嘘は人を守ると思っていたが本当にその優しさは他人の為であるか考えるべきだと思う。自分を守る為ではないのか?
自ら起こす行動1つ1つに必ず意味があり
その結果今があるということ、そして今の行動によって
自分の未来が変わるということを心に留めておきたい
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3部作の短編かと思いきや、違う視点の2つのお話だけど、最終章で全てが繋がる。
1話目の2人のもどかしさときたら!
2話目の少年たちが可愛くて面白かった!
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「好きとは言えないのに読んでしまう作家」のうちのひとりが道尾秀介なのですが、本作を読むと、私やっぱり彼が好きなのかもしれないと思うのでした。
裏表紙から想像したのは、ちょっとオカルトの入ったミステリー。遺影専門の写真館が舞台で、死んだはずの人が写っているとなればそう思いませんか。
だけどちがった。いったい各章の登場人物はどう繋がっているのか。とってもややこしいので、500頁弱のボリュームでもとっとと読むことを勧めます。でないと、誰が誰かわからなくなる。
どの人もいろいろある人生だったけれど、いろいろあったからこそ今がある。あなたがいる。よかった。
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2021年、16冊目は、追いかけてる作家の一人、道尾秀介。
下上(しもあげ)町、上上(かみあげ)町、そして、二つの町の間を流れ、海へと注ぐ西取川。約40年前の西取川の護岸工事に端を発する、幾つかの出来事と、それに関わる様々な人々が交錯して行く。
道尾らしい作品。実に上手いこと、伏線回収していった感がある。読後感も悪くない。
さらに「解説」を読んで驚いたのは、第二章『口笛鳥』が中編として発表され、それに肉付けする形で、第一章。第三、四章が加えられ長編となった事実。確かに、連作短編的触感はあったが、独立した一編からとは。
第四章では、カーテンコール的にオールキャスト勢揃いも、今回は何だか「ほっ」とさせられる。
多少の事件性や死者は出るものの、ミステリーとしては控えめ。『貘の檻』がボタンの掛け違いなら、『風神の手』は連鎖的ポイント切り替えで迷走するも無事に目的地到着って感じかな。
分量はソコソコあるが、読み憎さはなく、展開ドライブ感もあり。文句ナシで、★★★★☆評価。
Posted by ブクログ
3つの章に分かれているが、それぞれで一つの話が完結するものの、最後の「無常風」で話全体がまとまるという構成.藤下歩美と島崎の淡い恋物語の「心中花」で始まるが、「口笛鳥」は佐々原學と茂下駄昴、それぞれ"でっかち"、"まめ"と呼び合って田舎の町で遊びまわる二人を描写しているが、冒険物語もある.35年後の「無常風」で島崎源哉と藤下歩美が中江間建設と野方建設での事件の真相を解明し、野方逸子を脅していた井川(イザワ)の正体を暴くというストーリー.構成自体がやや複雑だったが楽しめた.
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偶然が重なり、登場人物がお互いに影響しあって糸のように繋がっていておもしろかった。
気づかないうちに自分の何気ない行動が全くの他人に影響していたり、影響されたりもしているんだろうなと思った。
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「風が吹けば・・・」の小説版のよう。
著者が技巧を如何なく発揮し、様々な糸が織り込まれ壮大な織物が完成したかのような小説。
ひとつの嘘が発端となって、さらに嘘が重なり、思わぬ局面へと発展する。
嘘が悪とは一概に決めつけられないと、著者は提示しているのだろうか。
「ちょっと過去が違ったら、未来がいろいろ変わって」、さらに「あちこちにつながってる」。
一人の少年が思い惑う。
「自分たちは、生まれてきてよかったのだろうか。自分たちが生まれてこなかった世界のほうが、幸せな人が多かったのではないか」
現実の世界でも、我々も経験する。自分の家族、孫や子の存在が、もしあの時、○○しなかったら・・・。もしあの時、○○していたら・・・。
人生は、必然と偶然とのからくり模様(笑)。
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久々の長編でした。
テーマはバタフライ効果なのでしょう。
些細なことがやがて大きな変化をもたらしている、それって自分の人生でも考えてみるといろいろあると思いました。
こういった偶然は決して良いことばかりでないと思うと、果たして良いのか悪いのか考えてしまう部分もあります。
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第1章はスピード感好きだし主人公の心が手に取るようにわかる描き方だし、しかも二転三転?というか、真実か偽りか伏線もあって、最後泣けた。
第2章
まめとでっかちの2人の写真館でのシーンめっちゃ緊張した。
誰が悪い人!?1章との関わりを考えて読んでたけど、
第3章で全部スッキリする。ちょっと腹立つシーンも登場人物が代弁してくれるし、最後の謎のおじいさんに関しては確かに終始出てきたけど出る必要なくね?と思ったけど真珠の話聞いてこの本を簡潔にしてるなと関心した
伏線すごい。すごく楽しか
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ある出来事は、いくつもの偶然から成り立っているということを思わせる物語でした。ビックリするような物理的なトリックはないですが、時間と幾つもの事象を組み合わせて作られた物語は秀逸だと思います。
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無関係のように見えた事件が、お互いに影響しあい交差していくというお話。
事件のきっかけを作った井川の心理描写が少ないところが物足りないけど、最後にお互いに被害者であり加害者であった当事者たちがウミホタルを捕まえるために集まるというのがいいね。
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【数十年にわたる歳月をミステリーに結晶化する、技巧と世界観】と本の紹介にはあったので、もっとミステリー要素の強いのかな、と思って読み始めたが、読んでみての個人的な印象としては、ミステリー感は薄かったような気がする。
とは言え、章が進むごとに、見えていた事実が事実とは異なり、新たな事実が見えてくる。そんな物語の進み方は、やはり道尾さんらしいミステリーとも言えるのかもしれない。
この小説では、「嘘」が1つのキーになっていると思う。嘘にも、色々と種類があって、人を騙すための悪意ある嘘だけではなく、逆に人を思うが故の嘘もあるし、自分のつらさやコンプレックスを隠したいだけの嘘もある。ちょっとしたおふざけのこともある。
けれど、そんな様々な「嘘」が、複雑に絡み合って、思いもよらないことが起き、人の生き方にまで影響を及ぼしていく、、、やるせない気持ちにもなった。
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次々と明かされていく、色んな事実の絡み合い的な物語。よく考えられてるな、構想の緻密さとそれを書き切る素晴らしさがあるんだけど、そもそも盛り上がりにかけてしまった感じがあるので、少し残念
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カラスの親指か、カエルの小指の解説でこの小説を賞賛していたので、読んでみた。確かに、一度認識した事実が、読み進める中でその意味を変えていくというところはあったものの、ミステリ要素というか、毒というか、事件というか、もっと刺激が欲しかった。
日常の人生の挫折や転機も、違う角度から見たり、新たな情報を合わせて見ると、全く違う色合いを見せるのかもしれないと思わせてくれた。
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「風って、どうやって吹くのかな」
「最初に、何があるんだろ」
この世は偶然の産物であることを、
まさに「風が吹けば〜」で示した物語。
あの日、あの時、あの場所で…
「トゥクトゥン!」と何度か小田和正が脳内再生された。
道尾さんお約束の数々の伏線回収も見事だが、
『雷神』とは打って変わって、そよ風を思わせる心地よさがあった。
クラゲパチンコ、やってみたいな。
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遺影専門店という珍しい写真館の『鏡影館』
その写真館がある町で起こる人々の分岐点。
第一章 心中歌
母の遺影を撮りにきた親子の物語り。
その鏡影館で目にしたある写真から始まる謎。
第二章 口笛鳥
まだ、鏡影館が普通のカメラ屋さんの頃の話し。
2人の小学生が大胆な作戦である人物を救い出す。
第三章 無常風
ここで、第一章と第二章がガッツリと絡む。
過去の謎を探るための調査。
果たしてその結末は…
第四章 待宵月
締めの物語り。ほのぼのです。
人間の嘘・勘違い・すれ違い・・・そんな偶然が重なり私たちはここにいるんでしょうね〜。
というか、題名の『花鳥風月』…気づかなかった〜(汗)
Posted by ブクログ
綺麗に纏まった作品。著者の作品は何作か拝見していますが、まさかハッピーエンドで終わるとは。
他人に勧めたいと思う程ではないが、決してつまらないわけではない…そんな可もなく不可もなくといった作品。
Posted by ブクログ
嘘、偶然、誤解が時に人生を大きく変えてしまう…というような、これまでの道尾作品に通じるモチーフが軸となっている。あぁ、道尾さんらしいお話だな、とすごく思った。
3つの中篇のつなげ方と伏線回収はさすがでした。
1つ目の「心中花」が特に好きです。満月と雨の日を心待ちにする恋。なんて素敵なんだろう。
Posted by ブクログ
とある村で起こった事件に関して、異なる登場人物からそれぞれの章で物語が語られる。
各章を読み進めて行くうちに、どの出来事とどの出来事が繋がっていくか期待しつつ、多方面に関係する試験の真相は本当にスッキリしたものになるのか不安になっていった。
個人的には、全ての伏線や出来事がスッキリはしなかったので、若干の期待外れでした。
Posted by ブクログ
自分は今、あと片手ほどで還暦を迎える人間なのだが、高校生になりたての15歳の時、とあるアルバイトを始めなければ現在22歳となった我が家の長男は間違いなく産まれていない。
別段、その職場で知り合った女性と18年間愛を育んだ末に息子が産まれた訳ではないし、愚息の母親はそのバイトと一切関わりなく、更に彼女と知り合った時、私はもう28歳だった。
どこがどうなって、と言えば遡る事は可能だと思うが、かなり煩雑なルートを辿る筈である。
『風吹けば桶屋が…』と言うけれど、
世の中にはそういった運行がきっとあるのだろう。
ただ、以前にも綴ったと思うけれど、その運行が人の人生全てを決定する訳では無いとも思う。
あくまでも与えられるのは状況であって、それがどれだけ狭くとも、選択の余地は必ずあると思っている。
例え、それが人様からうしろ指を指される結果になったとしても、それは自分の下した選択の結果であって、勿論自分一人が引き受けるべきものなのだろう。
と、思えるのは以前に読んで感銘を受けた警察小説の小さな巨人の影響だ。