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それぞれにそれぞれの事情や考え方があって、その中で正しく生きていたいけど生きられないから嘘があるけど、それを「わからなくても、愛せなくても、その存在を認めることはできる」っていう価値観をこの本を通して実感しました。どうしても人間を好き・嫌いで見てしまうけどそれだけだともったいなくて、それ以上に知ろうとする努力で自分自身の色んな感性を磨けていけるのではないかと思いました。
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自分も家族も環境も思い通りにはならなくて、嘘や空想や現実逃避しながら懸命に生きている。
親子、姉弟、夫婦、友人、たくさんの関係性があって、主人公の山吹を通して大人になりながら、少しずつ周りが変わったり、自分が変わったり、とにかく希望が見えてよかった。
人は弱いんだけど、強い。
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他人から見れば間違ってると言われるかもしれない。それでも、それを自覚しながら間違いだと言われる選択をすることを他人がとやかく言うことじゃないよなと、首がもげるくらい頷くように読んだ。
何かしらの事情や悩みや不安や悲しみを抱いている。それを知ってるのは自分だけで、それに向き合うのも、どう付き合っていくかも、そして今後付き合うのも自分。手を伸ばすことなく、手を取り合うことなく、相手と自分に不器用に優しく寄り添う姿が、とても愛しかった。
私もずっと、いつかこの環境を私から手放せるような、そんな漫画みたいな出来事が起こったらなーって空想してたな。そんなふうに現実から目を逸らして、やっと幸せだと言える大人になった、と思う。
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みんな自由で家族なのにバラバラで、みんなと居るのに孤独を感じる。何だか、自分の家族のことではないかと思ったくらい…(全然違うけど)
羽猫家のひとびとが抱える問題、彼らと交わるひとびとの問題、すっきり解決とはいかないし、他人が抱える何かにズケズケと入り込んだりもしない。どちらかと言うと、時間が解決していくということが多いのかもしれない。
だれど、良くも悪くも影響し合って、進んでゆく。
寺地さんの本を読むと、何となく、ダメな自分、弱い自分が許されている気がする。おばあちゃん、自分の祖母を思い出して、好きだなぁと思った。
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物語に引き込まれた。主人公の山吹と姉である紅以外、登場人物が色んな意味で変わっている。最終的には長い年月をかけて家族が団結する結末で良かった。涙する程でもないが、ジーンとする切ないシーンはたくさんあった。頼がなかなか子供ができない体で、かな子(山吹が学生の頃に通っていた塾の娘)なら産んでくれるよと山吹に言うシーンとか。人は目に見えないもの、架空のもの…山吹は飼ってもいない犬、母の雪子は亡くなった青磁のことなど…をもっと信じていい。それが人生に彩りを与えるのなら。また、祖父が遊園地を建てることはできなかったが、無駄かもしれないもの程、人生を面白くする。この作品はもう一度読むことで、さらに内容がよくわかる気がする。時間をおいて再読したい。
●再読(2023.4.15)
素晴らしい作品!
一言でいうと、包容力が偉大な作品。
どういうことかというと、この世に存在する物語、人間が描く架空の世界、妄想、理想すべてどんなものも肯定してくれていると感じられる作品。
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つらいことがあると犬を撫でました。現実にはいない、架空の犬です。犬を飼えるような家ではありませんでした。もう少し大きくなってからは本をよく読みました。空想上の犬も、物語も、僕の大切な友達でした。
主人公である山吹の書いた小説が出版されることになる。その刊行記念として書かれたエッセイ『架空の犬』
現実にはないなにかを心の拠りどころと生きることはむなしいことでしょうか。でも現実にはなくても、心の中には確かに「ある」、それは「確かにそこにある」ということなのです。
町に遊園地を作る等、夢のようなことばかり言う祖父。愛人のもとに通う父。亡くなった子どもが生きているかのように振る舞う母。その子どもを装って、母に手紙を書く山吹。現実から目をそむけながら、それぞれが何とか生きていくためのさまざまな嘘。
「犬」という存在は私にとって、かなり特別なものだ。幼いころから一緒にいた犬たちの、ちょっとした表情やしぐさ、撫でているときの体温がいつも自分の中にある。
友だちの亜美ちゃんのところの犬を「現実に」迎えることになる山吹。現実に感じることのできる体温が、山吹をたくさん助けてくれることになるだろう、と思った。
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最近はまっている寺地さん作品で、家族をテーマにしたお話。
家族同士ってどうしてこうも素直になれないものなんでしょうね?
いや、世の中には何でも話せる関係性の家族もいると思います。ただ、我が家もどちらかというと羽猫家的な感じで。
羽猫家の祖父母や父母のようにぶっ飛んだ人はいないし、決してお互い仲が悪い訳ではないけど、どうも素直になれないと言うか。例えば学生時代に恋愛や友人関係の相談を母親や兄弟にしたことなんてない。
とはいえ、羽猫家と同じく、年がたったことで色々話せるようになったなと思います。
家族の形って本当に家族それぞれだけど、「私には家族がいる」と思えることほど心強いことはないので、羽猫家のように薄く細くてでもいいから繋がっていたいなと思いました!(母の日近いし母への感謝を忘れずに伝えよう...!)
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2024/3/22
しんどい家族が時を経てなんとなく納まる物語。
感想がまとまらなくて。
おかんの手紙ひどすぎん?やし。
でも最終的には悪くない形に納まったので読後も悪くはないんよ。
頼が救いよな。
救いの人がいてよいな。
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違和感なく月日は経っていきました。「5年後はどうなっているんだろう」と、楽しみに読みましたが、なかなか事態は好転せず、苦しかったり、切なかったりするばかりで…。ラストの遊園地で救われましたが、それまでの鬱屈とした流れからして、ちょっと変容が急だった気もします。しかして、家族全員が一つとなって救われたことよりも、紅や山吹が個々に幸せになったことの方が嬉しかった。
「社会にとって役に立ってない子 が この世に存在しなくていいという理由にはならない」という祖母の言葉、そして、山吹の刊行記念エッセイにある珠玉の言葉たち、忘れずにいたいです。
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嘘をよくつくお爺さん、嘘で母に寄り添おうとする山吹、嘘の世界に縋ろうとする母。
一見優しい嘘が、本当は人を傷つけていたり、軽くついた嘘が人を和ませたりする。
嘘もつかいようというけれど、それを感じる作品だった。
私は頼が大好きだ。
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この本は4日で読み終えてしまった。まぁ、面白かった。文章に緊張感があり、次どうなるのかと?
先の内容が知りたくなる小説だった。
寺地はるなさんの小説は初めてだったけど、もう一つ読んでみたい。
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羽猫山吹(はねこやまぶき)は小三、8歳。2歳上の姉、紅がいる。2歳年下の青磁が事故で死んでしまったことで、羽猫家は特に大人が壊れている(もともとちょっと変わっている人も)。五つづつ歳を重ねながら章が進む。羽猫家の大人は頼りにならない。その環境で強く生きられない山吹のちょっとずつの成長が語られていく。嘘つきだけど、憎めない面々を、愛しく綴られた物語。
弱かった山吹が少しずつ意志を持ち、自分の気持ちを表現出きるようになっていく様子が気になって、一気に読んだ。
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この家庭で生まれたからこうなったとか、色々あるけれど、この本を読むと、何となく希望をもって生きていこうと思いました。
人生はいつだって修正できるし、白黒決めつけずにグレーゾーンでもよい。生きていくことで、少しずつ答えが見つかることもあるということを教えてくれた本です。
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ばらっばらの羽猫家。
お爺ちゃん、お婆ちゃんは居なくなってしまったけど、最後皆で遊園地に行ってる姿を空から見てる気がする。素敵な終わり方だった。
「わからなくても、愛せなくても、その存在を認めることはできる。」
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羽猫(はねこ)一家。
母親は、事故で亡くなった弟が生きていると思い込んでいて。父親は、家庭から逃げるように町内に恋人を作って通っていて。おじいちゃんは突拍子もないアイデアを出し、おばあちゃんは『変なもの』を売るお店を営んでいて。お姉ちゃん「紅(べに)」はそんな家族が嫌いで。僕「山吹(やまぶき)」は、母親に合わせて、弟「青磁(せいじ)」を装って母親に手紙を書く。
そんな家庭で育った山吹が、「頼(より)」と家庭を作るまでのいろいろなお話。
複雑な家庭かなと思いつつも、皆相手を思いやり自分を立て直すためにちょっとずつ優しいウソや誤魔化しをしてる。なんとも優しい時間が流れる。
ホッコリなお話でした。
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失ったわが子が生きている夢の世界に逃避する母親、大事なことから逃げ出して浮気をする父親、夢ばかり追いかけてホラをふく祖父、骨董品屋を営んで嘘の商品を売るけれど比較的常識人の祖母。
羽猫家にまともな大人はおらず、みんなが少しずつ嘘をついている。
羽猫家の長女、紅は嘘を嫌って家を飛び出し、長男、山吹は家族を肯定するためにみんなの嘘に寄り添う…
※※※
初・寺地はるなさん。
心のどこかをずっと、きゅーっとつままれるようなお話でした。
羽猫家の大人たちは、嘘つきであると同時にすごく自分に正直。自分に正直でいるために、家族に嘘をつく。
大人だから、親だからと誰でも立派になるわけではない。そこはすごく現実的で、家族としてはかなり歪んでいるけど、それを見ている山吹のフィルターが優しくて、読者の目には歪みが一見伝わりにくい。それがまた少し悲しい。
この本には同様に一見歪んだ親子関係がたくさん出てきます。
子供を捨てて恋人と暮らす親、シングルマザーで生活するために子供を撮影対象として貸し出す親、娘に恋人を寝取られて娘を傷つけようとする親。
読んでいて、なんでなんで、私ならこんなことしないのに、子供にこんな思いさせないのに、と憤りながら読んでいたら、次の台詞にハッとさせられました。
『あたしならそんなことしない、という目線で他人の人生を見る時、そこにはたしかに優越感のようなものが滲んでいる。(中略)だって自分はその渦中にいないし、いくらでも冷静な判断がくだせる。安全な場所から他人の選択に口を出すのは、恥ずべきことだ』
そうかもなぁと反省。人の選択に余計な口出しはしないように気をつけてるつもりだけど、しちゃってる時もあるかも。
んー、でもやっぱ幼い子供が犠牲になるような選択には口出ししなきゃいけないときもあるはず!そこはしっかり判断が必要ですよね。
とはいえ、
『甘くたって、いいじゃないか。世界は厳しい。人生は甘くない。妻である自分ぐらい、たまには山吹を甘やかしてあげたいではないか。』
このように考えられる頼と出会えたことは、山吹にとって本当に良かったなと思います。
結局のところ、人は自分が主人公の人生を送るしかない。
その中で子供だったり、兄や姉や弟や妹だったり、恋人だったり、夫や妻だったり、親だったり、祖父母だったりなどの役割が、否応なく割り当てられる。
中にはうまく演じることのできない役割はあっても、他の人に頼ったり頼られたり、時には架空の犬を飼うような優しい嘘でごまかしながら、なんとか乗り越えていくのもアリなのかもしれないなー。
と、そんなふうに感じられる一冊でした。
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家族だからと言って、どの家族も家族を愛せるわけではないということ、一緒に住んでいてもわかり合えないことはたくさんあるということ、それでもわからなくてもいいから、受け止めることはできるということ。めちゃくちゃ深くてリアルな物語だった。
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家族である前に、みな一個人である。
家族を守ることができなければ、
それぞれが自分を守って
生きていくしかない。
それでも最後には
ひとつになれて良かった。
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私も親と折り合いが悪かったので、なんともいえない気持ちで読んだ。
自分自身がアラフィフになって改めて感じることは、親だからって皆んなが大人ではないということ。母親は動物的本能で子供を無条件に愛するというのも、都市伝説・おとぎ話の類いだと思っている。
自分の親が世間一般の親と違うと感じても、子供としてはなかなかそれを認めたくないし、自分も他の子供のように愛されてると思いたいもの。でもどんなにジタバタしても事実は事実で、成長して現実を受け止められるようになっていくまでもがくことは仕方のないことだと思う。
とはいえ、実際には飼うことのできない妄想の犬を撫でることで寂しい現実をやりすごす子供のことを考えると、本当に切なく、胸が痛くなった。
苦しい子供時代を生き抜いた子供たちと、頑張ったねとハグを交わしたい。
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寺地はるなさんの作品を読むたびに「君は君のままでいいんだよ」と言って貰えた気がして、ものすごくホッとする。他人から見たらすごくかっこ悪くても、最低でも、それぞれの幸せの形があるんだと安心する。
山吹の最後のエッセイとても良かったなあ。
北澤平祐さんのイラストが好きなので表紙を眺める。これあの時の鳩サブレかー!とにんまり。
⚫「世界に、役に立つものしか存在せんやったらあんたどうする?お芝居は役に立つ?絵は?音楽は?漫画は?お子様ランチのチキンライスの上の
旗は?女の子のスカートの裾に縫いつけられたフリルは無駄?無駄なものが全然ない世界なんて」フッ、と祖母は鼻で笑う。
「そんな世界、おことわりよ。そう思わん?」
⚫あたしならそんなことしない、という目線で他人の人生を見る時、そこにはたしかに優越感のようなものが滲んでる。あきらかにまちがった選択をして窮地に立たされた人間に「自分なら、こうする」「そんな選択はしない」と言い切るのは、気分の良いことだ。だって自分はその渦中にいないし、いくらでも冷静な判断がくだせる。安全な場所から他人の選択に口を出すのは、恥ずべきことだ。
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読者として浅いのかもしれないけど、やっぱりお母さん嫌いだ。
紅とおばあちゃんぐらいしか好きになれる女の人いなくて、ちょっとずつ苛々しながら読んでた。
だからかな子を拒否するシーンはちょっとすっきり。でも千里さんの近くに置いておくの嫌。
文章はするする読めるけど、登場人物に引っ掛かるせいで純粋に楽しめなかった。私の力量不足なんだろうな。
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みんな信じたいものを信じて、何が真実だとしても自分の都合のいい解釈で生きていく。
例え「嘘」だとしても誰にも迷惑をかけないのなら、それで生きていけるのなら、それでもいいんじゃないかと思えた。大人になったらきっと分かることも増えるだろうと。
「この世の中は役に立つものだけでは出来ていない」本当にそうだと思うし、そう思いたい。
家族の形は人の数だけあるということを思い知らさせる作品。
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寺地はるなさんは『大人は泣かないと思っていた』に続き2作目。
舞台は佐賀県の架空の町 塩振町。
羽猫家で長男として生まれた山吹の小学生から30年間の物語。あらすじで思っていた程、風変わりな家族と感じず、私にはそれなりに普通の家族のように思えた。ただ、家族といえども一家には大人も子どももいる。本作は、山吹や姉の紅といった子ども目線で進むので、そこには大人には見えない不安や戸惑いが描かれている。それ故に、既に大人になってしまった私には(半分位は大人になったことを言い訳にしているのかもしれないが)、気付かなかったことや、見過ごして来たことを詳らかに綴られているような作品だった。
家族は様々だし、それは家族といえども一人一人の人間が自分の物語を懸命に生きているのだから至極当たり前のことだろう。時には自分や誰かの為に『嘘』をつくことが必要になるかもしれない。
作中での山吹の恋人頼子目線の場面で
「言葉の裏に隠された嘘と真実の割合をつまびらかにするために躍起になる必要はない。」とあった。
様々な『嘘』が一つの鍵となる本作だが、誰でも嘘はつく。少し大袈裟だが、誰しも時には生きるために嘘が必要になることもあるのだと思う。
中でも特に印象に残ったのが、母 雪乃が山吹にずっと出せないでいる手紙にしたためた心の声を吐露するシーン。
これは凄まじかった。
脱力して放心しそうだった。
読み手としては、このシーンがあって良かったと思う一方で、母親の弱さ故の残酷さに、この返事が山吹のもとに届かずほっとした。時が経てばまた雪乃の思いも変わると信じたいと思った。
寺地さんは『嘘』を善悪で表現するのではなく、ただ介在するものとして扱っている。解決したり糾弾するでもないその新鮮さは、読み手に否応なく人間のありのままの姿を見せているように感じた。そして、そのありのままを受け入れることも時には大切なのだと教えてくれる作品だった。
以下、印象に残ったフレーズ
かかわることはできる。寄り添うことも。
どうしてもわからないことは、わからないまま受け止めておくこともできるのだと、大人になってから思うようになった。わからなくても、愛せなくても、その存在を認めることはできる。
あきらかにまちがった選択をして窮地に立たされた人間に「自分なら、こうする」「そんな選択はしない」と言い切るのは、気分の良いことだ。だって自分はその渦中にいないし、いくらでも冷静な判断がくだせる。安全な場所から他人の選択に口を出すのは、恥ずべきことだ。
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主人公の名前は「山吹」名字は「羽猫」
青磁を亡くしてから
父は不倫、母は架空の世界で生きる
祖父は嘘つきと呼ばれ
姉は家族に反発
まともなのは祖母
反発しあいながらも家族の歴史を重ねていく
羽猫家族のいく末と山吹少年が大人になるまで
ラストの遊園地の場面が良かった
ありのままを受け入れる家族
これはこれで凄い
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子の死を受け入れない母、浮気をする父、夢見がちの祖父、骨董品屋で嘘の商品を売る祖母、家族嫌いな姉、その弟の山吹、という個性的な家族が集まる羽猫家の話。それぞれが嘘を吐き、その嘘が優しさだと感じ取れるまで随分とかかってしまう。頼ちゃんの存在に山吹と同じように私も救われた。
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次男の不慮の死で母は空想の世界に生き、父は愛人に逃げ、長女の紅はそんな両親に反発し、家族の心が空中分解してしまった羽猫家。
母の世界を守るために長男の山吹がつく嘘がこの上なく優しい。
そんな山吹の胸を抉るような憎悪が剥き出しになった母の雪乃の心の叫びが綴られた手紙は残酷だ。でも、その手紙を結局一度も息子に出さなかったのは彼女の中にわずかに残っていた母親としての愛情に思えて仕方なかった。
様々な登場人物の言葉に乗せて語りかけてくる寺地さんのメッセージは、ままならぬ現実に苦しむ人の気持ちを楽にしてくれるだろう。
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大人はみんな頼りにならない。最も身近な大人である家族が一番頼れない。そんな家庭て育った山吹の子供時代から大人になるまでを描いた物語。
大きな夢ばかりを追いかける祖父、真偽不明の物を売る店を営む祖母、浮気をしている父、亡き子が忘れられず生きているかのように暮らす母。
姉の紅はそんな家族に怒りを抱えやがて家を出て行く。
誰からも前向きな愛情をかけてもらえないまま大人になっていく山吹の姿が読んでいて寂しくなる。
それでも小さな幸せを手にする姿にホッとした。
家族ってなんだろうと考えた作品。
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親に愛されるのが当たり前な訳はなく、
親孝行な子供である事が当たり前な訳もない。
家族だから仲良しなんて理屈はどこにもない。
それがすべて叶うのは理想であるけれども。
優しさには理由があるのだ。
優しくなれる理由が。
優しくなれない理由が。
自分にはごくありがちな、リアルに
何処にでもいそうな家族の物語。
読み手の育ちによって感じるものは
それぞれだろうけれども。
その生々しいリアルさが響いてしまい
自分は自分。これでいいのだと
色んな嘘を肯定して貰えた気持ちになれた。
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短期入院中の読書、その2。
3番目の子どもを幼くして亡くして以来空想の世界に生きる母、それをもて余し愛人の元に逃げる父、思い付きで動く祖父とへんてこな商売をしているが比較的まともな祖母、その全てに反発する姉。
そんな家の長男として生まれた山吹の、8歳から38歳までが5年刻みに語られるお話。
この家族以外にも色々訳ありの登場人物がありそれぞれに複雑で、結構いい話だったのだが、どう表現したら良いのかまとまった感想が思い浮かばない。
祖母が山吹に「あんたは社会にとってなんの役にも立っていない子」と言いながら「でもそれは、山吹がこの世に存在しなくていい、という理由にはならんでしょう」という場面が良い。
頼との結婚を話に行った山吹に頼の父が「君は、頼を絶対に幸せにするという自信がありますか?」と問うた後のやり取りが好き。
遊園地での家族写真のシーンに、子どもの頃の自分の家族と子どもを持ってからの自分の家族の、似たような写真を思い出して、ちょっと切なくなった。