【感想・ネタバレ】騎士団長殺し―第2部 遷ろうメタファー編(上)―(新潮文庫)のレビュー

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ネタバレ

第2部上では、秋川家、免色、雨田具彦の過去がだんだんと明かされ始めた。

なかでも印象に残っているシーンは大きく2つ。
1つ目は「私」が秋川まりえをモデルに肖像画を描くシーン。
「何かを与えると同時に何かを受け取る。」まりえを描くことを通して、『肖像画を描くという行為=限られた時間に限られた場所でしか起こらない生命の交流』なのだと気づく。
第1部までの「私」は、『肖像画を描く行為=モデルの内部に埋もれていたイメージの発掘』と捉えていた。ギバーとテイカーではないが、画家→モデルという一方通行の関係から、画家←モデルへと相互的な繋がりを感じた...?
穴に関しても、第1部では肖像画同様の解釈で『内なる無意識のメタファー』として捉えていた。しかし肖像画を描くことの意味合いが上記のように変化したことで、『内と外と相互に作用するもの』的な意味合いも持ち始めそう。そしたら、「私」が最終盤に立てた、穴は実は色々な場所に繋がっているという仮説も成り立ってきそう。現実と非現実の間と
か....
もう1つは、肖像画を描きながら「私」が芸術について考えを巡らせるシーン。限られた時間に限られた場所でしか起こらない生命の交流はやがては薄らいで消えてしまう。しかし、その記憶は残り、時間を温めてくれる。そして芸術はその記憶を、温もりを、形に変えてそこにとどめることができる。
私自身、絵を見てその絵を描いた時の気温や風の強さ、周囲の音を想像するのが好きだからとても腑に落ちた描写だった。言語化すると、この感覚はこう表されるのかと感動した。だから絵画は時代を超越して心に語りかけてくるのかと
胸に迫るものがあった。
どんどんまとまらなくなっていくが、「私」と免色が人生について語る場面も考えさせられた。人生における退屈な時間や遠回りを無駄と捉えるか、欠くことできない人生の一部と捉えるか。人生観が違うと、何を第一義に生きるかも全く異なると思うからとても奥が深い問題だと思った。
そわそわするので早く下巻読む!

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2023年10月24日

購入済み

やはり、村上さんが一番

こんなに人生に寄り添って、作家さんの作品を読み続けてきたことはあるだろうか。
ノルウェーの森を母が読んでいて、緑と赤の表紙が鮮烈で借りてはまって、
それからずっと読み続けている。
読むたびに村上作品はその時々の感動や気づきがある。
それを電子書籍で本をしまう重さや場所を考えずに保管できるのも嬉しい。
電子化になって本当によかった。

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2023年05月31日

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ネタバレ

主人公が見つけた「騎士団長殺し」の絵。そして、主人公が描いた免色の肖像画、雑木林の中の穴、さらには少女の肖像画。
これらの絵画を描いたのは主人公だが、描き終わってしまうと、それらは何かを訴えてくる。
果たして、その訴えとは?そしてイデアとは何か。さらには失踪してしまった少女の行方や出生の謎。ユズの子供は誰が父親か。など、最終巻に向けて次々と問いかけてくる形。

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2023年03月31日

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物語が動き始める。
イデア的なものの存在、夢での交流、意思の強さ、穴、壁、宗教、オーストリア、クリスタルナハト、南京虐殺、霊的なものの存在、護符、絵画。
記憶が度々思い出されながら、人々が影響を受ける。名づけえぬものに左右される人々。
夢での交流や色を巡るあたり、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』、を思い出す。
そして物語はいよいよ佳境へ。

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2023年03月11日

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『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』かこの本が村上作品で自分は一番好きです。初期の村上作品の香りを久しぶりに感じられる作品です。
ストーリーはやはり狭い範囲で展開していくものの、個性的(普通は存在しないであろう)人々や存在が多数登場して、その中で主人公が小さく翻弄されていく様はまさに本を読んでいるというより、村上春樹を読んでいると形容できると思います。

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2022年07月11日

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ネタバレ

・目に見えるものが好きなの。目に見えないものと同じくらい。
・世界は年を追ってどんどん面倒な場所になっていくみたいだ。
・しかし記憶は残る。記憶は時間を温めることができる。
・自分が自由な人間であることを証明する為に、何か馬鹿げたことをやってみるべきなのかもしれない。
・ときどきそうやって原点に立ち戻る必要があります。今ある私を作った場所に。人というのは楽な環境にすぐに馴染んでしまうものですから。
・時間と空間と蓋然性

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2021年10月29日

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メタファーを用いれば、実在とは異なる、非科学的な寓話となる。一つ間違えれば、それは唯の漫画のようにご都合主義な環境設定となり興醒めだが、しかし、村上春樹の創作には、その作り話による行き過ぎた感じもなく、寧ろ何かを包含しているのではないかと、読書への示唆的な何かを感じさせる程である。技量と言っても良いのかもしれない。

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2020年12月13日

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起承転結の転に当たる、第2部の上。まりえの肖像画を描くのが中心に進むのかと思いきや、雨田具彦の過去が分かってみたり、ユズの今が分かってみたり。こう拡散させてどう収束させるんだろうと思ったら、事件発生。気になるところで4巻目の下へ。とりあえず、メタファーって何だって気になるな。
5月の週末で読み進め、復活した出張の飛行機で読み終えました。

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2020年06月08日

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少しずつ少しずつ
不可思議の世界へ入り込んで行くから
そこが当たり前のように感じてくる。
穴は何処に繋がっているのか?
ラストはノンストップで読んだ。
はやく4巻を読みたい!

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2024年03月08日

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ネタバレ

いろんなことが巻き起こりますねー。
秋川まりえの行方や、おばさんと免色の関係も気になるところ。
免色さんはおじいちゃんのイメージだったのですが、中年ということなのでもうちょい若いのかな?ダンディーな感じで確かにモテそうだけど、個人的には主人公の方が魅力的に思えます。
続きが気になるので急いで次巻へ!

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2024年03月01日

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物語が急速に動き始めて一気に読み切ってしまった。免色、秋川まりえ、主人公の3人の終着点も気になるが、それ以外にも雨田具彦の謎や騎士団長の役割など解明されていない部分が沢山ある。ようやく登場人物とそれぞれの背景が並べられたので、何かしらのイベントが起きるのが楽しみ。

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2024年01月18日

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免色はまるでナボコフ「ロリータ」に出てくるハンバート・ハンバートのようだというのが文庫版3冊目いちばんの感想。

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2023年12月01日

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第1巻に比べ集中して読めました。
でも村上本らしく独特な内容でしたね。思い出しました。イデアか?
ある意味ついていけない世界ですが、村上だから成立させるよですね。
でも完読できたことで、以前の読書付きの自分に戻れたかな?

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2023年06月17日

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現実と非現実の狭間を進み続ける不思議な感覚。
観念は見えない。でも存在してる。
観念だけが現実から離れて遷ろってるかもしれない。

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2022年12月10日

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あらすじ
妻との離婚話から自宅を離れ、友人の父親である日本画家のアトリエに借り暮らしすることになった肖像画家の「私」は、アトリエの屋根裏で『騎士団長殺し』というタイトルの日本画を発見する。
アトリエ裏の雑木林に小さな祠と石積みの塚があり、塚を掘ると地中から石組みの石室が現れ、中には仏具と思われる鈴が納められていた。
日本画と石室・鈴を解放したことでイデアが顕れ、さまざまな事象が連鎖する不思議な出来事へと巻き込まれてゆく。

感想 村上春樹らしい小説。娘の母とどうなったかな。

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2022年01月14日

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2~3冊目は話がどこに向かって進んでいるのかがわからなかったせいか、中だるみ感があったが、4冊目で話が急に展開して、楽しくなった。

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2021年12月24日

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ネタバレ

「目に見えるものが好きなの。目に見えないものと同じくらい」

「試練は人生の仕切り直しの好機なんです。きつければきついほど、それはあとになって役に立ちます」

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2021年11月23日

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ネタバレ

ずっとまりえちゃん居なくなってしまいそうと感じてたけれど…一体どこに行ってしまったんだろう。ユズの妊娠がとても驚いた。村上春樹さん2作目だけど表現が素敵で好きです。

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2021年10月24日

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観念が肉体を持って現出するこの世界では空想が容易に現実を凌駕する。秋川まりえのうまく説明できないけどわたしにはわかるという物言いがこの世界の特徴をうまく言い得ている。
合理性の極致としての免色とある種イデア的思考をする秋川まりえ。免色がまりえに惹かれれば惹かれるほどまりえにはそれが不自然に思えてくる。その両極端に挟まれる私。

ノルウェイの森にあるような都会的で洗練された言い回しはないかもしれない。が、よりアクがないというかプロットに引き込むようにあえて淡白に書いている部分もあるのではないかと想像する。
ともかく、免色とまりえ、騎士団長と私の関係性がどのように着地していくのか、、楽しみ。

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2020年11月18日

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ネタバレ

まりえの口調がふかえり、遠隔受胎のエピソードも1Q84、井戸はまだ読んでないけどねじまき鳥クロニクル、小腹空いたらチーズクラッカー、ウイスキーエッセイの島、めちゃくちゃ村上春樹作品のオマージュある。まりえの失踪あたりからすごいハラハラする。

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2020年11月10日

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この物語で次々と起こる不思議な現象にいつのまにか慣れてきている自分と、これでもかというくらいにやってくる次の出来事にあっとはっとさせられている。次の物語の展開と結末が楽しみ。

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2020年09月12日

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ネタバレ

あいかわらずの村上ワールド。この作品を適切に評することは難しいのだが、基本的には楽しく読むことができたということは間違いない。ただし、個人的な評価としては『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』や『海辺のカフカ』には及ばない。おもに不満があるのは最終盤で、まず、表現的な問題として、「61」「62」あたりは秋川まりえ視点の文章が、あくまでも「私」が実際に聞かされたという態で綴られているのだが、そこにもお得意のメタファーなどが頻出することが挙げられる。しかし、まりえは「チシテキ」の意味すら知らないような少女で、本人がそのような修辞を使うとは考えづらい。かといって、単に話を聞いているだけの「私」がそのように表現を変えていると考えることも不自然だろう。要はいきなり「著者」が顔を出しているようなもので、物語のクライマックスというべき部分でこのような表現をされてしまうと、どうにも引っかかってしまう。この部分は非常に残念である。また、その結末の内容自体にも引っかかっていて、夫婦は元のサヤに納まりました、「私」はいまだに肖像画を飽きもせず書いています、というのは、なんだか安物の映画を観せられているようである。ではどのような結末ならばよかったのか、それを具体的には挙げることができずまことに申訳ないのだが、すくなくとも本作のラスト・シーンに違和感を覚えたことだけはたしかであるし、こういう「粗」を見るにつけ、著者もそろそろ衰えてきたのではと思わずにはいられない。

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2020年05月30日

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ネタバレ

肖像画家の「私」は、近くに住む免色(めんしき)さんの依頼を引き受ける。

まりえは叔母とやってきて、スタジオで2人きりでデッサンを始める。まりえが気にしていたのは、自分の身体的なことだった。そんなことを口にする少女っていないと思うけど。

妻のゆずから手紙が届く。離婚届にすぐに捺印をありがとう。妻も何を考えているかわからないわー。

叔母は免色に興味をもったようだった。車の話で意気投合する。まりえは警戒している。

まりえのお父さんは、ある宗教団体にのめり込んでいた。妻の死がきっかけ。なんてこと。

友人の雨田(あまだ)から、有名な日本画家の父の弟の話を聞く。戦地に連れて行かれ、壮絶な体験をして生きて帰ったけれども、自分を死に導いた。遺書にはそのことが克明に記されていたそうだ。

「かもしれない。」という描写が多いなー

免色と秋川のおばがつながった!まりえは気づいた。見られていると。

まりえがいなくなった!穴の絵が出来上がったから消えたのではないかと言う「私」の憶測。

免色さんとほこらの穴にいく。ペンギンのプラスチックが置いてあった。まりえのものだった。護符のために置いたのかもしれない。

騎士団長が出てきた。「〜あらない」という言い方が面白い。まりえを救い出すためのヒントは明日の午前中にかかってくる電話に必ず答えること。

次巻に続く。

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2024年04月10日

Posted by ブクログ

第一部で起きた様々な出来事が少しずつゆっくり進んでいくという内容だった。
疾走した秋川まりえはどこに行ってしまったのか。免色の思惑は何なのか。
次で(第二部(下))果たしてこれらの謎めいたいものは収束するのだろうか。
それにしても秋川まりえは1Q84の「ふかえり」と似ているような気がする。

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2024年01月20日

Posted by ブクログ

(以下、全4巻通じてのレビュー)

過去作との共通点というか、焼き直しのような点が少なくない。
雑木林の石室は『ねじまき鳥クロニクル』の井戸を彷彿とさせるし、地下の世界へ迷い込む件りや、第二次大戦での暴力、夢の中での性行といった要素もいくつかの作品で出てきている。
秋川まりえのキャラクタは、『ねじまき鳥…』の笠原メイと『1Q84』のふかえりのブレンドのようにも思えるし、「免色」は『色彩を持たない多崎つくる…』をどうしたって連想してしまう。そもそも、彼のような、どうやって暮らしているのかわからないとんでもないお金持ちってキャラも、村上作品には必ずといっていいほど登場する。

この小説で、新規性があってユニークなのは、主人公が絵描きを生業としていて、絵を描くプロセスや絵描きの頭の中を、小説の表現として見事に結実させているところ。これには感心させられた。

特に前半部分のオカルトっぽさの発揮も村上春樹にしては珍しい。深夜に鈴の音が聞こえるあたりは背筋が冷たくなる肌触り。「白いスバル・フォレスターの男」のサスペンス性も印象深い。

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2023年06月11日

Posted by ブクログ

第2部に入り物語は動き出す。不穏な雰囲気を色濃く漂わせつつも、物語の全容は霧のなか。一方、「秋川まりえ」の喪失に対し村上小説では具体的説明と具体的捜索が試みられる。免色渉や雨田具彦といった混沌の象徴的存在に対して、善悪のつかぬ無垢な秋川まりえを配し、物語はどう進むのであろうか。

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2022年06月01日

Posted by ブクログ

途中で心折れて読むのやめてましたが、1年以上ぶりに再開。気がつけば主人公と同じ歳になってました。
この歳で嫁に捨てられるのは辛い…。
読書熱が復活したからか、再開後はすんなり読めました。

登場人物が芸術家や上流階級の人々ばかりなので、会話が世俗的ではないのが読みづらさの要因なんですかね。

伏線たっぷり溜め込んでるので、最終章に期待です!

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2021年06月03日

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でも如才のない免色のことだ その車が静々と坂道を降りて視界から消えていくのを かやば草 秋川笙子しょうこ ジャガーとプリウスとでは 手中に収める必要がある まったく絵に描いたようなフロイト的解釈だ あそこは決して近づいては、ならない神聖にして不可侵な場所になっていた 嘱望 雨田ともひこ具彦 そのおかけで当時の揚子江には子馬くらいの大きさに肥えた鯰がいたそうだ 多くの画家が嬉々として戦争称揚の国策絵画を描いていたことも 小径こみち じゅかん樹幹 それは確固とした意思を持って激しく収縮し、いつまでも私の体液を搾り続けた。 蓋然性がいぜんせい

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2020年08月14日

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少しずつ物語が劇的に展開していく。
イデアが現れだしてから、絵画教室の生徒を肖像画を書くことになる。そして、その生徒は行方不明になる。謎につつまれたまま、つづく。

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2020年07月02日

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絶妙に登場人物が絡み合ってきて
先の展開が気になる、が

この少ない登場人物たちが
これから、どうなっていくのか
これが村上ワールドなのかしら

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2020年07月01日

Posted by ブクログ

不気味で非現実的なようでいて、一線は超えない。そんな印象を受ける作品だと改めて認識した第3部。

これまでの村上春樹作品は現実的な物語と非現実的な物語とがはっきりと分かれていたけれど、これはちょうどその中間の、線引きできない領域を狙っているように感じられる。そういう意味で新しい物語とも感じる。


ただ、良くも悪くも村上春樹の”色”をやや薄めたように感じてしまい、これが新しい読者の獲得のためなのか、新しい村上文学の地平なのか、よく分からない…。

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2019年09月10日

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