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Posted by ブクログ
下水道処理システムについて知りたくて手にしたけど、そんな専門的で視野狭窄なお話ではなく、ウンコ総論、そもそもウンコは汚いのか、汚いとはなんぞや、そしてウンコ史、世界のウンコ事情と、ウンコ話がてんこ盛り。我が人生においても、トイレも処理紙も大いなる変遷があった。大学受験で上京し、ホテルの洋式トイレに惑ってなかなか用が足せなかった友人がいた。郊外の畑には肥溜めがあり、漂う香りは田舎の香水と称していたっけ。忌避するのは仕方ないとして、改めて学ぶこと多し。椎名誠氏に世界のトイレ事情をまとめていただけば楽しそうだ。
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ウンコが現代人にとって忌避すべき存在であるが、それが忌避されるべき存在になったのかを歴史資料や文学資料、マンガまでを駆使してまとめている。
特に江戸時代は肥料として、お金を払って取引されていたが、屎尿として処理されるまでの経緯を丁寧に辿っていく研究が、彼女の本来の研究分野であるが、一番面白かった。都市化と衛生という概念が、糞尿を屎尿にしていくのは近代化の象徴でもあるし、それが今の世界中の共通認識になりつつある姿を見ると、失ってきたものの大きさを感じない訳にはいかない。
著者自身のトイレ体験から書き起こしているが、私自身、汲み取りも水洗も、また糞尿の肥料として使うのも経験していたので、この50年ほどの変化が実体験に照らして読む事が出来た。
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ウンコのことをこれだけ真面目に調査した本は初めてで面白かった。
江戸時代にはウンコが売買されていたとか、武家のウンコは高値で、長屋の便所は大家さんの貴重な収入源になっていたと言う話は興味深かった。
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「うんこは汚いか?」
ウンコを肥料として使っていた時代までは、ウンコは汚いものではなかった。肥料として金銭で取引されたものだった。
しかし第二次大戦後、アメリカやヨーロッパから見るとウンコは寄生虫の心配のある汚物であること、人口集中で肥料としても使いきれない量が出ることなどからだんだんウンコは捨てる物となり、汚いものと扱われるようになっていった。
その変化が分析されていて面白かった。
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ウンコという言葉をこの本以上に目にすることはないだろう。
そして、冒頭からいきなり、「はたしてウンコは『汚い』のだろうか」(13頁)と聞かれることも、またないだろう。
ウンコは汚いか?と問われれば、「そりゃそうでしょ」と答える人がほとんどだろう。
しかし、まずその常識を疑うのが学問である。
ウンコは汚いのだろうか?
さっきまで体内にあったものが排泄行為によって出た瞬間から気持ちの悪いもの、関係のないもの、となる。
それは、抜けた髪や切った爪、身体中から出る垢も同じだ。
もちろん感染症に敏感になっている今は、感染対策を取らなければならないものもあるだろうが、単純に不思議な気がする。
さっきまで、私の体であったものなのに、と。
ウンコが高値で買われ、肥料として使われていた時。
都市部に人が流入し、水洗トイレが出てきた時、ウォシュレットが使われた時…人はどんどんウンコから遠ざかる。
けれども、それでよかったのか?
私は東京育ちの人間だから、綺麗で高機能で臭わないトイレが当たり前だった。
昔田舎にあった「ボットン便所」はごめん被りたい(使ったことはある)。
しかし、子供のうんこを日々見て(嗅いで)いると、うんことは生きている証だと思う。。
ニラを食べれば臭くなるし、ヨーグルトを食べさせれば綺麗なバナナ型になる。
コロコロだったり、軟便だったり、「くっさ!」「ああー漏れているー!」「ぎゃぁ手についたぁーーー」も生きているからこそ。
あわやウンコ、なぜかウンコ。されどウンコ。
本書の最後でゴーギャンの話が出るなんて!
ウンコから人類の来し方を考える良書であった。
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下水処理後の汚泥は、肥料として使えないだろうかと思っていたのだが、さまざまな化学物質などが混ざってしまい、難しいとのことは知らなかった。生命の循環の輪が人間によって断ち切られてしまうとは、人間の罪深さはこんなところにまで及んでいるのかとガックリさせられる。
人間は自然から切り離されようとしているように見える。自然から離れては人間は生きてはいけなくなる日が来るのではないかと、排泄の問題だけ見ただけでも大きな問題提起をされたようだ。
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江戸時代の頃人糞は農業における肥料としてなくてはならないものだったが、今ではほとんど価値もなくなりただの汚物でしかなくなってしまった。さらに人は水洗トイレを発明しウンコを流してすぐに視界から消し去ることで、いつしかウンコを自分事として見られなくなってしまった。子どもの頃は自由帳にうんこを描き、うんこの話をするだけで笑いがとれたというほど万人のヒーローであった筈のうんこも年齢が上がると自然にゴミを見るような目でしか見られなくなってしまったのはなぜだろう。うんこについての知識を深め、うんこを他人事ではなく自分事として捉えられるようにするためにもこの本は読んだ方がいいと思った。
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現代生活では欠かせない電力については憂慮される問題が山積みなので今も話題が絶えない一方、下水道については多くの人が何も考えることなく日常を過ごしていると思う。しかし改めて考えると、都市の超絶膨大な人口のうんこ、しょんべんをここまで処理しているシステムってすごいことで、もう少しそれを個人で勉強してもいいんじゃないかって思った。
実際に下水道には糞尿以外に強酸洗剤のような危険な薬品も結構流れてる訳で、ゴミの分別とかと同じように環境に優しい下水道の使い方って何だろうって今考えている。
うんこは土に埋めれば簡単に肥料になるのは自明である一方、衛生面や強烈な臭い等、取扱厳重注意な物体であることも改めて認識することができた。
これからはウンコの処理を「他人事」として見るのではなく「自分事」として見る意識で考えていきたいと思いました!
Posted by ブクログ
生きる上で一番大切なことは「食べること」と同時に「ウンコをすること」なのに現代では軽視され水に流されるだけ、という冒頭の投げかけから始まって、かっての循環経済を解説し近代のトイレ事情の変遷を語る。
Posted by ブクログ
タイトル買いした一冊。
前半は人糞と肥料の話がちょっと厚すぎなのだが、後半からはウンコをめぐるネタがあれこれ登場して面白くなってくる。
人糞が価値あるものから汚物となり、処理方法が河川・海洋への投棄から屎尿処理へとむかう過程はギリギリで見ることができた。ウォシュレットの登場には、心底驚いた(もう当たり前だけど)。
著者が欧州で経験して驚いたという、線路上へ捨て去るタイプのトイレも、昔どこかで経験した記憶がある。
昔、農地が広がる地域で車の窓を開けて走っていると、口の悪い子どもたちが“田舎の香水”と呼んでいた糞(家畜か人糞かはわからない)的な臭いにおいがしてきたものだ。そういえば、めっきりそんな機会も減ったような。
男の子は基本、ウンコ話が好きなのだけれど、著者は女性。案外女の子も好きなのかも。
Posted by ブクログ
近世から現代にかけての日本の屎尿処理の話を中心に、ウンコに纏わるあれこれと作者のウンコ感?をまとめたもの。「人糞地理学ことはじめ」とサブタイトルにあるが、人糞地理学について本文中で軽く触れられてはいるけれど、具体的にそれがどのような学問なのかは良く判らなかった。愛知や長野のローカルな話題は出てくるが他地域との比較がないので地域に根ざしたものなのか判断がつかない。ことはじめとあるので、そういうのは今後ということか…
(江戸時代に屎尿処理の話は良く出てくるが、江戸や大阪といった都市部と農村との関係の話が多く、ではもっと田舎ではどうったんだとかいろいろ知りたいことは山ほどある)