【感想・ネタバレ】天才 富永仲基―独創の町人学者―(新潮新書)のレビュー

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Posted by ブクログ

お経はお釈迦様が言った事が書いてある、そんなの誰もが常識と思っていた時代に、
なぜ彼は疑問に思ったのか?

天才の発想、そこが知りたいですね

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2022年02月12日

Posted by ブクログ

かつて司馬遼太郎さんが、山片蟠桃と並んでその合理的精神を賞賛した富永仲基。とはいえ、『出定後語』という著書は受験知識で知っていても、その中身までは知らない人がほとんどでは? かくいう私もその一人。本書は、そんな知られざる天才・富永仲基の思想がコンパクトにまとめられたお得な一冊だ。

誤解を恐れずに仲基の考えをまとめるならば、ある思想や主張はどんどん上書き保存されていくというもの。そして、時代や場所が変われば語られ方も変わっていくというもの。そこから導き出されたのが、大乗仏教は釈迦が唱えたものではないとする、有名な大乗非仏説である。

これは現代の歴史学はじめ人文系学問に通じる研究姿勢である。このような進歩的な考えを、ネットもない時代の、しかも20代そこそこの若者が持ち得ていたことは、もう驚き以外の何物でもない。

仲基の早熟な天才性に圧倒される。面白い。仏典に関する知事がまるでない浅学な身で欲を言えば、一覧表示などの図表があるとありがたかった。 

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2020年11月14日

Posted by ブクログ

内藤湖南の著書を読み、富永仲基へ。
仏教思想の理解がないと、読み進めるのが難しい。

【加上の理論】 仲基が一切経を流し読んで見抜いたこと、それは仏教が「加上」でできあがってきたということです。加上というのは、言説による思想は先行する言説を媒介にして、そこに新たな思想や主張を加えて進んでいくということを言うのですが、仲基は仏教がまさにこの加上によって構成されてきたというふうに喝破したのです。(松岡正剛)

以下抜粋~
・内藤(湖南)の仲基評の特徴は、「方法論」を高く評価するところにあります。

富永は古来の伝統の説に囚われないで、特別な方法を発見しました。
1「加上」の原則

・仲基の主張は「一言でいえば、善を為すことを教えている」(中村)であり、この点においては三教で一致しているというのです。
しかし、三教ではなく、なぜ誠の道でなければならないか、それは三つの理由があると中村はまとめています。
①「誠の道」は「行はるべき道」であり、自己を実現する具体的な概念である
②「今の世」という時間的規定
③「日本に(おける)」という空間的規定。
この三つに照らして合わせてみれば、仏教も儒教も神道も、みな「誠の道に叶ざる道」となってしまうのです。

仲基は三教それぞれを相対化して、合一した宗教性を見ようとしたのだと思います。
これはまるで近年における宗教多元主義者の立場のようです。
仲基の立場は「宗教を脱して世俗に立脚する」というものでした。日本思想史研究者の西村玲がこれを「聖俗の反転」と表現しています。

人間の理性を信じ続け「誠の道」「道の道」という、いわばメタ倫理の道筋を提示したのは、あっぱれと言うべきでしょう。
仲基は、仏教・儒教・神道の三教から聖性を剥ぐことで抽出したもの、それは善への志向でした。

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2024年06月09日

Posted by ブクログ

専門的過ぎるところがあって正直よく理解できなかった。
それなりの知識があるのならばそれなりに楽しめたかも。
そんな思いがよぎった一冊。

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2021年08月17日

Posted by ブクログ

現代的な文献批判の方法を駆使して、仏典の歴史的な形成を解明した富永仲基の思想を解説している本です。

著者は浄土真宗の僧侶ですが、仏教の研究者として近代以降の「大乗非仏説論」などの歴史的研究の諸成果に通じており、それに匹敵するような合理的な仏典解釈にいち早く取り組んだ「天才」として仲基を位置づけています。ただし、仲基を時代から隔絶した「天才」と位置づけることに対しては、宮川康子が著書『富永仲基と懐徳堂―思想史の前哨』(1998年、ぺりかん社)のなかで批判しており、慎重であるべきなのではないかという気がします。仲基の思想の独創性とされるものは、日本の近世における儒学や仏教のありかたの特殊性によって可能になっているという側面もかならず存在しているはずであり、本書はそうした思想史的な文脈に対してあまりにも無頓着であるようにも感じられます。

とはいえ、仲基の学問・思想について、手にとりやすい新書の形式で解説がおこなわれており、また『出定後語』のテクストから仲基のことばの紹介がなされている本書は、読者が仲基の思索にじっさいに触れることができるという意味でも、その意義は大きいのではないかと思います。

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2021年06月14日

Posted by ブクログ

大乗非仏説だけの知識で読んでも、十分に天才っぷりが伝わってくる。つーか、筆者が心酔していることが伝わってくる。と、同時に「加上」という考え方の理解が深まる。とても読みやすいとは言い難い文体だが、ありあまって勉強になったので、読んでよかった。

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2021年01月29日

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