【感想・ネタバレ】神様のレビュー

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Posted by ブクログ

読んで間違いなかった。
『ぼくの死体をよろしくたのむ』で川上弘美の世界に惹き込まれ、この作品で読むのが3冊目ですが、読んで良かったと心から思います。

フシギと現実の間をふよふよと浮いて、うまいこと行ったり来たりしている川上弘美の文章は、読みやすくて心にすっと馴染む。川上弘美のフシギには、違和感がなくて、疑問も持つことなく、まるで自分もその世界にいるみたいに読めてしまうから好き。

どのお話も好きだけど、くまのお話、梨の話、おばあちゃんの営むバーのお話が好きでした。くまに関しては、もうくまに恋してしまいそうだった。梨の話は、なんとなく主人公の感覚に共感できるところがあって、「ズレ」という表現になるほどなあと思った。おばあちゃんのお話は、彼女の言葉や、いくつになっても人を慕い続けることの素敵さに溢れていて心に沁みた。

なんとなく、全体的に「別れ」のあるお話が多かった。
川上弘美の作品は、何も意味なんて無くて、意味を求めることもきっと違っている。ただふわふわ、ゆらゆらとしているから私にとって心地よい。登場人物がどこか淡々としてるところとか、特に好き。まだあと2冊、川上弘美の積読があるのでとても楽しみです。

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2024年01月16日

Posted by ブクログ

隣に住む律儀なクマとピクニックに行く。恋愛に悩む河童に招待される。きれいな壺の中からかわいらしい女性が出てくる。梨畑で不思議な白い毛の生き物に出会う。
「私」が関わるのはフツーの人間ではないけど、人間のように一生懸命考えたり悩んだりしている。ふわふわしてて、ちょっと泣ける話が9編入った短編集。
これは買って、一生そばに置いておきたい本だなぁ。この本の雰囲気が好き。佐野洋子さんの解説もおもしろい。
私は特に「神様」「夏休み」「花野」がお気に入り。

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2023年08月04日

Posted by ブクログ

表題作『神様』を初めて読んだとき、ただ落ち着いたのをよく覚えている。川上弘美さんの小説に出てくる人は無表情でしんとしていて私はすごく落ち着く。『花野』、『春立つ』あたりが好き。

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2023年02月06日

Posted by ブクログ

夏休み 春立つ が好きだった。

どのくらい若いかというと、自分がどんなに若いかも気がつかないくらいの、若さである

「好きっていうのは、好かれたいことよ」

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2022年11月13日

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大好き。何回も読んでいる。川上弘美の、日常からにゅるっといつ不思議な世界に入ったのか分からないけど入っている感じが好き。

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2022年05月15日

Posted by ブクログ

くまと人間の柔らかい関係性が素敵。大好きな一冊。これを読んで川上弘美にハマった。ちょこっと不思議でなぜだか平凡で、奇妙な味わい深さがある。

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2022年02月19日

Posted by ブクログ

人魚の話はまるで世にも奇妙な物語を見ているようでした。全ての作品不思議な世界観だけどあまり深く考えないで素直に受け取ったままにしておきたいと思います。せっかく自由によんだのだから…

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2021年05月15日

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神様2011を読むために読んだ。

川上弘美さん、こんなに軽やかに書く人なのだと知らず、また、この「神様」なんていうタイトルがいけなくて、ずっとスルーしてきてしまった。
なんてもったいなかったのだろう。

すごく好き。この人の書くもの。

くまと、川原まで散歩だなんて。
くまが、食べてたサンドイッチが、あんなに美味しそうだなんて。。

その優しげで、荒々しげなくまに包まれる感じに、
憧れてしまった。

他の作品にも

梨園にいる、よく分からない生き物、
ウテナさんがくれた壺のコスミスコ。
人魚らしきもの。。

どれもこれも不思議なのに、あたかもそこに
自然に現れる。

ずっと読んでいたくて、この本がまるで人魚みたいだったの。
だめ。やめてよ。だめよ。
と言いながら、この本を取り上げられそうになってる自分を想像してしまった。

遅れてきた川上弘美ファンに、なりそうです。

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2021年01月27日

Posted by ブクログ

くまにさそわれて散歩にでる。くまにですか・・そのうち私はこの独特の世界に引き込まれてゆく。夢の話というひともいるが、わたしにはどちらかというと、空想の遊び。口には出さないけど、こんなことがあったら、例えば動物が話したら、話せたら、とか。壺からコスミスミコさんが出てくるんです。笑ってしまいました。たのしいだろうな、家に帰ってコスミさんが居たら(笑)。
「花野」はなくなったおじさんが出てくる話。これはきっと夢だろう。「私」はおじさんと久しぶりの会話をしている。最近どう?というふうに。
やがて、叔父のまわりの空気がゆらゆらしたかと思うと、かき消すように叔父はいなくなった。叔父の立っていたあたりを見おろすと、小さな草の花が群れ咲いていた。この感じがすき。なんて素敵な・・ゆらゆらして楽しいのに最後には、切ないーと気持ちをもってゆかれる。
「離さない」が心を付いた。手放さなきゃならないものってあるじゃないですか。
一気に一気に放り投げたんです。「私」とエノモトさんで。人魚が言うんですよ。離さない、と。怖い。でもファンたジーのようであいまいでよい。
最後、くまは故郷へ帰ってゆくのです。くまから手紙が届きます。「私」は三回読んで泣きそうになったらしい。わたしも泣きそうになった。良いお話をありがとうと。

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2020年06月11日

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「くまにさそわれて散歩に出る。」
こんな一文で始まる
夢の中にいるような
ちょっと不思議な物語の短編集。
そのほとんどが
普通ならばありえない
〈生き物〉たちとのやりとり。

人間の世界で暮らすくま
梨が好きな小さなもの
むこうの世界から姪のもとにやってくる叔父
河童の夫婦からの切実な相談
壺に住んでいる女子とのリアルな会話
好きじゃない本名に代わりえび男くんと
呼んでもらっている男の子
飲み屋「猫屋」のおばあさん
人間を離そうとしない人魚
故郷へ帰るくま。

ただただ時間が静かに流れ
多くを語らず
瞬間瞬間を共にして
心を通わせていく。
それはあまりに優しくて
文字1つ1つをそっと指でなぞりたくなる。

異彩を放っていたのが人魚の話
離れられない、離れたくない、離さない
人間との真剣勝負。

壺から出てきたコスミさんが
ささやく言葉と涙に
自分のなにかを重ね合わせたり。

わたしとくまの話が特によかった。
雷からわたしを守るその様子は
もう、尊い恋愛小説のようだった。

どうしようもなく心細くなったとき
あたしは、きっとこの本を開くと思う。


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2020年06月04日

Posted by ブクログ

一行目から、最終行まで、
比喩ではなく真の意味で、
ずっと、ずーっと面白かった。

ふわふわしているような、
それでいてやけにくっきりしているような、
嬉しいような哀しいような、
ずっと、ずーっと読んでいたくなるような。

あぁ、これは夢だなと思っていたら、
解説の佐野洋子もそう書いていた。

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2020年05月17日

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川上弘美さんの本はいつも温かい気持ちにさせてくれる。
自然にファンタジーの世界に導いてくれる短編集。
「花野」「星の光は昔の光」「離さない」「春立つ」が特に良かった。

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2024年03月02日

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ネタバレ

デビュー作を含む短編集。解説にもあったように、まるで夢の話を聞いているかのような不思議な話ばかりでした。(でも解説の文章はなんでか好みじゃなかった)
全部主人公は同じ(=華子)なのかな?
人魚の話はちょっとゾッとして、えび男くんが出てくる話はしんみりして、(離婚するのかな)、カナエさんの「今なら別なやり方ができるような気がした」は、年をとっての変化も悪くないと思えた。
叔父が出てくる空豆の話は、繕ってもだめだな、その時に気づかない幸福がきっとあるんだな、と思った。
くまと生きていくのは難しいし、手紙はきっと出せないままだけど、そこに手紙があることは忘れない、確かなことだろう。

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2022年10月02日

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空想と現実の間で遊ぶ

たとえそうでないとしても、“合わせることなんてないのに。”そう言ってくれる人がいたということが、きっと何かの支えになるんだ

くまに誘われて散歩に出たい。

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2022年08月16日

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日常が、非日常に変わる境目ってどこなんだろう。わたしには、なにもおこらないけど、と思いながら、いや、やっぱりあのときが、と考え直したくなるお話でした。

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2022年05月05日

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川上弘美は「ことば」にこだわりすぎててあまり好きじゃない気がしたけど、これは良かった。日常と、少しのこの世にないものたちとが同居している。梨木さんの家守奇潭を思い出す。題名が「神様」なので、なぜか個人的に「わたし」が神様であるような、そういう素朴で普通の人として生活しているような不思議な感覚になる。
神様(「くまにさそわれて散歩に出る。」)、夏休み(三匹め「まだぼくだめだよ」)、河童玉(「いたしませんか」)の三つ、つまり前半が良かった。

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2022年03月12日

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「神様」の冒頭の、「くまにさそわれて散歩に出る」 を読んで、童謡の「森のくまさん」を思い出したが、何やら感じは、ちょっと違う。ファンタジーまでは行かない不思議な世界観なんだけど、やたら現実感を主張していて、その中に漂うシュールなおかしみや哀愁がたまらない。ああ、そこの僕、腹に「パーンチ」するのは、やめてあげてね。

独特の口調がくせになるんですう、「コスミスミコ」の純粋な一途さや、五年前に死んだ叔父の自分勝手に見えそうで、実は温かみのあるところや、「えび男くん」の素朴な人柄の裏に、両親への思いが見え隠れする切なさ等、いずれも味のある個性の強さ。しかも、えび男くんの場合は詩人でもある。星を見て語ったのが

「昔の光はあったかいけど、今はもうないものの光でしょ。いくら昔の光が届いてもその光は終わった光なんだ。」

深読みしそうだよ、えび男くん。みかんの食べ方が違ったのは、見なかったことにするから。

実は、ここまで書いておいて、いちばん好きなのは、タイプの異なる「離さない」です。「夏休み」もそれに近い感じが少しあったけれど・・二度と戻れないかもしれない危険は、夏休みのような、長期の休みの時に感じる異世界感を思わせられて寒気がしたが、「離さない」はそれ以上の極寒で、「わたし」が「うわあ」と言った同じタイミングで、まさしく私も「うわあ」って言いそうになった。こういうところはストレートなのね。

最後に、作品全体の共通点として、「わたし」の台詞だけ、カギ括弧(「こういうの」)が無いのは、わたしはあくまで傍観者で、主役は他の人たちですよと言っているようにも感じられて、こうした味のある方々を、控え目に持ち上げる奥ゆかしさも好きです。

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2021年09月23日

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「くまに誘われて散歩に出る」から始まり、何か不器用な、周囲になじめないでいる存在である「くま」や、それに続く連作短編集。「くま」が何を指すのか、真っ先に思い浮かんだのはマイノリティの比喩としての受け止めだったが皮相な見方だろうか。あまりそのようなことを考えなくともするすると読める短編だし、不思議な世界を味わえる。なおこのくまは語り手の部屋の3つとなりに越してきたという設定で、その他の登場人物たちもその集合住宅に住んでいる人が多く出てくるという意味では、この短編集はアパートものとしてもとらえられる。

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2021年02月27日

Posted by ブクログ

様々な動物や生き物、亡くなった人、等との不思議な交流のお話。短編集ですが、読んでいるといくつかは話がつながっている連作であると気付いたり、主人公は同じ人物なのか?等、疑問もありながらも、世界観に惹き込まれ、どの話も一気に読んでしまった。
温かな交流の中でも、それぞれが送ってきた人生や抱えているものにせつない気持ちになったり、不思議な読後感がありました。

理解しきれずぼんやりとした部分もあるので、また時期をみて再読したいです!

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2021年02月21日

Posted by ブクログ

デビュー作で表題の神様から始まって、主人公を取り巻く様々な不思議な話の短編集。
そもそも短編が好きかもあると思うけど、どういう話か分かったあたりで終わってしまう話が多かったので、前半は少し単調に感じてしまった。
後半に入っている"春立つ"は凄く好きだった!

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

佐野洋子さんのエッセイ中で紹介されていたので読んでみた。
普通のようで普通じゃなくて、ファンタジーででもそれも現実のようで。
人間のようで、人間ではないようで、神様がいたとするならば、神様らしい神様って何だろうとか。
まさにこれが夢の世界なのかも。

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2023年03月24日

Posted by ブクログ

読むと不思議な感覚になるし、世の中や自分を達観視できて、自分がリセットされる感覚でした。とても良き。薄いし読みやすい。

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2023年01月28日

Posted by ブクログ

印象に残るような残らないようなふあふあした感じになります。結局何が言いたいのか、そこに意味を見いだす必要があるのか。コスミスミコや人魚は何を暗示しているのか?人間心理の何かを刺激しているのだけれど、明確な答えが見えませんでした。ちょっと気になる展開は作者の力だと思います。

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2022年07月28日

Posted by ブクログ

 1999年に紫式部文学賞とドゥマゴ文学賞を受賞した表題作「神様」を含む9編を収録した短編集。
 ファンタジー的要素の強い不思議な生き物たちとの触れ合いを描く、静かな時間が流れるような作品が多い。心が穏やかになるように思われるので、ドタバタする前の朝のちょっとした時間に読みたいと感じる。

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2022年04月15日

Posted by ブクログ

くまとさんぽいく話ってだけに惹かれて読んだ。著者の世界観にはやっぱり馴染めないけれど、梨の屑食べる謎の生き物の話はなんかよかった。

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2021年06月18日

Posted by ブクログ

こんな現実味をおびた夢、夢のような現実?ハマりました。人魚の話『話さない』はファンタジーでありホラーであり。どの話も一気読みです。

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2021年02月17日

Posted by ブクログ

初めて読んだ川上弘美さんの本。くまが日常に出てくるが、変なのに違和感を感じされなくて、不思議な世界に引き込まれていく。
かなり昔に読んだけど、印象に残っている本。

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2021年02月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 ちょっと不思議な小噺が9編収録されています。
くまが人間と同じに生活していたり、白いふわふわが現れたり、死んだ叔父に出逢ったり、河童の世界で恋愛について考えたり、アラジンよろしく壺の女の子と飲んだり、お隣の男の子の好物を用意して待ったり、バー店主の若い頃に体験した冬の間だけの恋模様を聞いたり、人魚の虜になったり‥。

 わたしが1番すきだったのは、『星の光は昔の光』です。ほんとうはかりりとする薄いハンバーグがすきなえび男くん。 ことばを区切って話し、みかんをすじまで丁寧にとってちゅうと吸ってたべ、かたちをとるのに苦労した牛のいる箱庭をプレゼントし、ありがとうとなんともいえない感じに言うえび男くん。星の光は昔の光で、昔の光はあったかいけど今はもうないものの光。いくら昔の光が届いてもその光は終わった光だから、だからと少し泣いたえび男くん。いいなあ、えび男くんのように自分の世界を守れる人って。しみじみと思いました。わたしもえび男くんに柔らかく2回チャイムを押して訪ねてほしいです。

 私ならきっと面白そうなものと出会っても連れて帰るのは怖くて躊躇してしまいそうですが、一歩ふみこんでみればこんなゆるゆるした不思議な生活が待っているのかなあと羨ましく思いました。

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2020年11月12日

Posted by ブクログ

星の光は昔の光が、一番好き。
えび男くんは両親の不和によって、短期間のうちに精神的にも年齢以上に大人びていかざるを得なかった。
昔のように家族団欒を望むえび男くんの様子は、何ともやりきれない気持ちになった。

全体を通して、掴みようがない雲のような作品という印象が強く残った。
また、薄い割に読むのに時間を要した。

初めて読んだ川上作品

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2020年06月03日

Posted by ブクログ

くまがへんに礼儀正しくておかしい。けれど時々「あれ、襲う?」みたいにどきりとさせるところが上手いなあ。淡々、ほのぼのの中に怖さをするりと入れ込むのが。

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2021年08月10日

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