【感想・ネタバレ】凪に溺れるのレビュー

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Posted by ブクログ

「凪に溺れる」という一つの楽曲の周りにうごめく色んな人の感情の起伏が面白かった。
夢を諦めるのか、
孤独の中を進むのか
今を愚直に生きるのか、
色んな視点での葛藤とそれぞれが出す答えに人生の希望を貰える作品。

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2023年08月14日

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あるバンドマンの死去、それが様々な人々に波紋を起こす。
本書はミステリではないがミステリ小説のような構成で一気に読ませる秀作である。
例えばカート・コバーンやシド・ヴィシャスがその例だが、才能の詰まった人というのは普通の人生を普通に歩けない。生きるのがどうしても上手くいかない。
本書に登場する十太(じゅった)もそうで、彼はバンドをしたくてもことごとく上手くいかない。そして悲劇が待ち受ける。
時間を遡る形式にして描かれる本書は青春の、何かが始まりそうな予感を前面に押し出している。陳腐な言い方をしてしまえば伝説の始まり、だろうか。そして大勢の若者がそうであるように彼らもそれに敗れていく。だがここでストーリーを投げ出さないのが本書のいいところだ。青春小説のくせに青臭くなく、真正面から衝動を切り取った面白い一冊だ。

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2023年07月20日

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ネタバレ

純文学のような文体と言葉選び、そしてミステリ小説のような伏線や話の構成で素晴らしかった。
アーティストの霧野十汰とその周りにいた人たちのアンソロジーになっていて、主題は10代から20代の漠然とした「なにか起きるかも」という希望とそれを失う様々な瞬間が描かれていてとても良かった。

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2023年05月31日

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「星に願いを、そして手を」で評されていたように、まだ文章に荒削りな部分はあるのかも知れないが、ストーリーとしてはとても読みやすくて、一気に読み切ってしまった。
主人公視点の章がないところや内容に桐島に似たものを感じさせる雰囲気があって好みだった。
まだ2作しか出されていないが、早く新しい作品を読みたいと思う。

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2021年09月06日

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2000年生まれの作家さんだそうです。

2018年10月23日に亡くなったボーカリスト霧野十太27歳と巡る人たちの物語です。

十太と中学2年生のわずかな間だけ同級生だった、スイマーを目指す大宮夏佳は十太と初恋をしますが、転校により別れ別れになります。十太は夏佳の為に曲を作ります。夏佳はその曲をずっと覚えています。十太との約束も。

十太の初めての彼女となる高校の少し危ない同級生、小崎聖来。聖来は十太のことを「私の神様」と呼ぶようになります。

そして2015年。十太とバンドを組んでいたギターの石田正博。ベースの金木梓。ドラムの原田弘毅。やがてバンドは解散してしまい十太は一人になります。

十太をデビューさせようとするワンダーミュージックの辣腕プロデューサー北沢。北沢は奇しくも十太の父の霧野久太と母親の加奈と同郷で高校の同級生で一緒にバンドを組んでいました。

そして2019年。フリーのライターの相葉光莉は大学の寮のライブで十太たちの曲を聴いて覚えていました。光莉は水泳選手の大宮夏佳28歳のインタビュー記事を書き夏佳とともに十太の故郷である海辺の町を訪ねます。
夏佳には婚約者がいますが「泳いでいればまた十太に会えると確信しました」といいます。
十太と夏佳は特別な間柄の初恋の相手でしたが十太にも聖来がいました。

「すべてのものは繋がるべくして、繋がっている」登場人物の誰かの言葉が響きました。
2000年生まれのこの作者の作品はストーリーティングも上手いけれどセリフが光っていると思いました。

十太の母の加奈「逆よ」「次第にねこうして微笑むことしかできなくなるの」
夏佳「彼は愛の中で死んだ。宿命には殺されなかった。私はそれが、嬉しくて少し寂しい」
「私は、わたしがこれまで信じたものを、これからも信じていく。それだけです」

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2021年09月05日

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☑︎予感は予感のまま、実現しない間だけが美しいのだ
☑︎顔の知れない人間に肯定されたところで何が嬉しいというのだ

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2021年08月19日

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読んだ後、心にキラキラが残った

大好きなパフォーマーを想い描きながら読む
皆それぞれが異なる曲を奏でるだろう
読者の数だけ十太は存在しているのだ

私は10代、20代の自分を思い出しながら読んだ
私は特に贔屓のパフォーマーはいないので、昔の憧れを十太にのせた

十太と関わりをもった人たちを通して、十太という人物は語られる
どの登場人物も、自分の一面と重なる
彼と肩並べ夢に向かっていく私
道に迷い、自分が嫌になる…変わらず真っ直ぐな彼が眩しくて置いてけぼりになる私
別の道を歩むことに悔し涙を流す私
十太は私の憧れだ
読みながら胸がキュンとする

十太の内面はトンガっている
でも、人付き合いにおいては不器用で、周りの人から見たら、まぁるくて捕まえどころがない
いつもはは穏やかな外面だけをみている
けれども、彼の曲とぶつかった瞬間、彼の芯の強さが露わになる
その強さが、私の背中を押してくれる
力を与えてくれる
今度は私が十太みたいになりたい

憧れ、夢、自信…忘れていたものを思い出す
私もまだまだ頑張らなきゃ

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2021年02月09日

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それぞれの登場人物の世界観が書かれていて面白かった。十太がなぜ死んだのかわかった時は本当に驚きでした。

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2021年01月02日

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主人公十太の歌によって「何かができる」「どこかに辿り着ける」と感じさせられた人達が、悩み、成功し、挫折する、そんな物語りでした。
安っぽいドラマのようになりそうなテーマと思いましたが、よかったです。深く考察されて、実話なのかなと思わせる感じもあり。星4つです。

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2024年05月04日

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327ページ
1600円
1月19日〜1月28日

中学時代に出会った十太と夏佳。十太が夏佳に送った曲が、時を越えて様々な人に感銘を与える。夏佳が再び十太の存在に触れる時、真実が明らかになる。

十太というキーパーソンが始めから亡くなっているところから始まる。なぜそうなったのか少しずつ輪郭がハッキリしていく。

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2024年04月05日

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孤高のミュージシャンと彼を取り巻く人たちを描いた物語。

懐かしさ、衝動、諦め、上手く言葉にならない感情を見事に表現していて、とても良かった。

思春期に抱いていた、どこまでも行ける、これなら何者へとなれるという衝動と予感、現実と諦めと絶望、ままならなさ。
誰の心の底にもあって、埃をかぶっている感情をもう一度共鳴させてくれる一冊。

☆4.0

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2024年03月11日

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読み終わったあとうまく息ができなかった、
自分も「凪に溺れる」のタイトルと共にどこか遠くへ行ってしまうじゃないかと不安になった
良い話だった、面白かったそんなありきたりな言葉で片づけられない。もっと魂の奥底で響くような話
この話を読んで感じたのは、人は皆どこかで繫がってるんだなと強く感じたこと。
の物語は、霧野十太に影響を受けた者達が、その影響を信じていいのかというところでそれぞれ葛藤していく物語。



個人的には、夏佳が十太とくっついてほしかった
でもくっつかなかったこそ、十太は皆が一目置く存在になったとも思う。

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2023年10月07日

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ネタバレ

面白かったけど、聖来がイマイチ好きになれず、本当は夏佳とくっついてほしかった。
でも初恋なんてそんなもんか。
霧野十太が歌う歌を聴いてみたい。
恐らくビジュアルが私好み。

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2023年08月20日

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ネタバレ

凪に溺れる/the noise of tide

バンド好きだから分かる部分が多かった
あの曲のあのフレーズが胸に沁みる
泣けて仕方ない経験なんてたくさんある

下北沢のライブハウスでひっそり人気で
でも爆発的に売れるわけでもなく若くして死ぬ

天才ほど短命ってよく聞くけど綺麗事だと思う
天才ほど長生きして色んな才能をみせつけてほしい
いろんな人を虜にしたアーティストだけど晴れ舞台もなく悲しかった

十太みたいに才能に溢れてても花咲かない人なんて山ほど居るんだと思った

YouTubeだったりTwitterだったり
色んな媒体が現代ですごく今っぽさ全開の蒼さがあった

2,000年生まれの作家さん

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2023年07月05日

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音楽によって、ゾクゾクするあの感じが伝わってくる。十太の音を聞きたくなる。
十太と夏佳の中学時代が甘酸っぱい反面、十太がどうして聖来と一緒にいるのか、どこに惹かれたのかわからなくて淋しさ故なのか持て余してる空白からなのか、最後まで2人を応援できなかった。

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2022年09月27日

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音楽をやりたいと思っていた私にはとても心に響くお話だった。天才の儚さに憧れてしまうような
とにかくこの小説を読むと、
ギターを弾きたくなり大声で歌いたくなる

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2022年03月25日

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ハタチでこれを書いたのか。
すごいな。

霧野十太という無名アーティストひたむきな生き様が、
いろんなことをあきらめかけている若者たちの人生に影響して、
彼らが交差していく青春群像。

十太が作ったある曲を通して、「何者かになりたい」「劇的な未来が待っている」そう信じたい、わたしたちのすぐそばにある物語でした。

今後が楽しみな作者です。

【本文より】
・「相手の退屈な話に付き合うのは、相手を突き放すのと同じことよ。相手を相手自身の檻に閉じ込めてしまう」

・大きな流れの中で、誰もが何かを諦める。それを大人になるとか言い換えて、のうのうと生きている。そんなもんだ。

・回想はいつだって美しい。

・「十太が教えてくれたんです。憧れを信じて、ずっと前を見る。他のことなんて知らない。泳ぐことしかできなくていい。とにかく泳ぐんです。それ以外はすべて些細なことです。私を認めるのは私だけでいい。そうやって進んできたんです」

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2022年03月06日

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聴く人の胸を不思議と震わせる歌『凪に溺れる』を歌う霧野十太。この歌が誕生する中三から、27歳で亡くなるまでの約12年の間で、十太と深く関わりを持った6人による連作短編。あまり人と交わらず、常に遠くを見つめ、ひたすらギターを弾き歌い続ける十太は「自分はこのままでるいいのか?」と皆の心をかき乱す。ミステリアスというか、ずっと十太が何を考えているかイマイチ分からなかったけど、最後まで読むとそれは意外とシンプルで潔かった。ただ、どうしても聖来が好きになれなくて、それだけにラストに少し不満が残った。

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2021年07月24日

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何かを予感して、大きな事を期待してしまう曲って確かにある。
そしてそれは、聞くタイミングにもよるのかも。
十太が最後まで神的な存在ではなく、人間らしい愛のある人であったことが印象的だった。
心にすっと入ってくる文章だった。
また読み返したい。

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2021年03月14日

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無名ながらも多くの人の心を引きつけた十太の人生は、小説としてではなく現実に生きる人の話としてよくある話なのだと思う。帯にもあったが、劇的な未来はそうそうない。十太は若くして死に、夏佳は十太と再会叶わず、正博は自分の選択が正しくなってしまったことを悔やみ、聖来は神様を失った。でも絶望の物語ではない。各々が消えない傷みたいなものを認めた上で日常に戻っていくだろうことが、作り話めいていなくてよかった。十太と一緒にいたいという願いは、希がギターを受け継ぐことで成就した。構成、ギターと、繋がりがすてきなお話でした。

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2020年12月19日

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ジャンルで言えば、青春・音楽物とで呼べる作品。聴いたことのないメロディーが頭から離れない。心に響く青春小説。

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2020年11月25日

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一つの音楽によって様々な人の心を動かし交わり合っていく話。音楽は違う存在と思いながらもどこか照らし憧れ、共感している。
何かに感動する気持ち、無性に心が動かされるものに助けられては縛られるような感覚を覚えたのがあったと思い出した。成長にするにつれ過去となっていくが原動力の一つだったと思った。

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2023年09月09日

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十太の心の中の暗い「凪」から、美しい音楽が生まれ、出会った人たちを巻き込んでいく。
十太の望んだものは一体何だったんだろう。
夢を追い続ける人の目はキラキラ輝いているものだと思っていたが、視線の先に何を見ていたのだろう。

十太の息子には、違った生き方をして欲しい。

尾崎豊の歌が遠くから聞こえてくる。

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2023年01月09日

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十太の音楽によってつながっていく人たちの物語。凄まじい力のある音楽だったのだろう。しかし人が死ぬ話はあまり好きでは無い。

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2022年10月04日

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ネタバレ

なりたい自分であること、大人になること。
祈り。
書こうとしているのはこういうことなのかもと思う。

登場人物全員に書かれるべきストーリーがあるが、人物切りで章立てし、かつ章ごとに舞台となる年が切り替わるため、それぞれがどうしても短く淡白になり描ききれていない印象。
登場人物たちの心理描写はリアルを追求しているように感じられる一方、十太と父親との人生の重なり方は非現実的な創作感が漂っており、ちぐはぐに感じてしまった。
十太の魅力、十太が聖来と惹かれあった理由、タイドオブノイズが人々の心に響く納得感など、もっとクリアになるとストンと来そう。

文章はちょっと詩的な感じもあってきれいで魅力的。
登場人物の描き方が、共感できたり、感情移入してしまうようなものになってくるともっと多くの人が引き込まれると思う。

青葉さんが書く、ある1人や、1組にもっとフィーチャーした作品を読んでみたい。

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2021年12月25日

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若いなという印象を持ちました。肩に力入っている感じが微笑ましいとも言えます。
言ってもまだ十代でこれだけ書けるんだからすごいんですよ。それを念頭に置いてまず読む。
音楽ものとして読んだとき、ミュージシャン目線で読むのであまりにも違和感があったりすると気になりますが、これは違和感なくすんなり入って来るので作者も楽器やられるのでしょうか。
一人の不遇な天才ミュージシャンの一生を、色々な人の目線で追う連作集でさくさく読めます。

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2021年11月10日

Posted by ブクログ

著者は現役京大生。その通り、ストーリーが若い。ああ懐かしいなあ、と感じた。中学生高校生向け。

十太が聖来に引きづられていってしまった感じが残念。生きて自分の音楽と人生を貫いて欲しかった。

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2021年06月15日

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諦め

大人になる過程で夢を追いかける主人公を中心にそれぞれの登場人物が感じた想いに触れられる作品です。
私自身これからのうのうと生きるのではなく、
(諦めることが大人だと思わず)今あるものをしっかり見て、感じて願い生きたいですね。

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2021年05月13日

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十太、そのタイミングで死ぬんか…。
私にとっての十太は、不可思議/wonderboyさんだ。
同じようにYouTubeで知って、はまって、
これからというときに同じように突然なくなった。
十太に重ねて、彼の人生につい思いを馳せた。

こういう天才っているよな、と
才能は長けていても
なぜかそういう運には恵まれない。

直前に朝井リョウさんの「桐島、部活やめるってよ」を読んだばかりというのもあって
構成が正直似てて、もしかしてちょっと桐島を意識したのかな?ともふんわりと思った。
群像劇って面白いなあ…よく考えられてる…

文章から若さを感じた。
良くも悪くも青臭さがあった。
今後に期待の作家さん。

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2021年02月15日

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王様のブランチで紹介されていて気になっていた一冊。

霧野十太。バンドのボーカル兼ギタリスト。ある時、音楽好きな遥は何気なくネットで彼の音楽と出会い衝撃を受ける。無名なのに、バズっているその曲に惹きつけられるが、数日後、彼が亡くなっていたことを知る。

冒頭でまず惹き込まれる。
既に死んでいる霧野十太。だけど彼がこの長編小説の重要人物であることにはすぐに気づく。
彼は何者なのか?そしてその死因とは。
沢山の謎を残し、次章へ続いていく。

遥から始まり、時は遡り十太の中学時代の初恋の相手である夏佳へと繋がる。そして、高校時代は同級生の聖来、卒業後は十太とバンドを組むことになるギタリストの正博、十太の父とかつてバンドを組んでいたレコード会社の北沢、フリーライターの光莉…と続いていく。

さまざまな人物の視点で十太のことが語られる。そして彼らは少しずつ絶妙に繋がっていて、読み進めるうちに点が線となっていく感覚が味わえる。

十太の音楽、聴いてみたいな、と思った。これが1番の感想。
歌詞も素敵だし、きっと十太の声も魅力的なんだろうな。
(もし実写するなら、観てみたいような、文章のままにして欲しいような、複雑な気持ちになるだろうな。でも実写にするとしたら、BECKのような撮り方は個人的にやめて欲しい)

そして、作者がまだ二十歳の青年とのこと!これは驚く。いやぁ、すごい。
子供の頃から書いていたのかな、と思えるほどの筆力。
現役京大生ということで、頭脳も明晰なのだろう。
これからの作品も楽しみだな。

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2020年12月21日

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