【感想・ネタバレ】大分断 教育がもたらす新たな階級化社会のレビュー

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Posted by ブクログ

教育は社会的階級を再生産し格差を拡大させるものになっている が論旨です。

高度教育が分断の根本であり民主主義を崩壊させているという驚くべき内容になっております。

気になった点は以下の通りです。
・高度教育を受けたかといって、能力主義、優秀であるとはかぎらない
・高等教育の発展や不平等の拡大によって集団の道徳的な枠組みが崩壊している
・識字率が向上しているにもかからわず、教育レベルが低下している
・女性が自分より社会的地位が高い男性と結婚する、従来モデルが崩壊している
・民主主義は3種
  ①アメリカ・イギリス型 核家族・個人主義
  ②ドイツ・日本型 直径家族・長男継承型
  ③ロシア型 権威主義・平等主義
・日本型民主主義は、自民族中心主義、能力主義なので、教育格差を広げない
・グローバリゼーションと、世界化は違う
・ドイツは移民を増やしていて、ドイツ帝国をめざしている
・EU諸国は、通貨の発行権限を失い、財政の自立化を失って弱体化している。
・弱体化しつつあるアメリカは、いまほど、日本を必要にしているときはない
・最後に、「新しい事象はよく真実とは反対の見かけで立ち現れる」と述べています。

構成は以下です。

はじめに
第1章 教育が格差をもたらした
第2章 「能力主義」という矛盾
第3章 教育の階層化と民主主義の崩壊
第4章 日本の課題と教育格差
第5章 グローバリゼーションの未来
第6章 ポスト民主主義に突入したヨーロッパ
第7章 アメリカ社会の変質と冷戦後の世界

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2022年01月26日

Posted by ブクログ

筆者は、フランスの歴史家、文化人類学者、人口学者。書名では、教育に関しての論説のように思えるが、そればかりではなく、色々なトピックで、広く世界情勢について論じている。日本についても論じられてはいるが、あくまでも中心は、フランス、ヨーロッパである。
日本でも教育格差の問題が取り上げられることがあるが、それは、例えば東京大学入学者の親の年収は平均を大きく超えていて、良い教育を受けるためには、家庭が裕福である必要があり、結局は、親の所得格差が再生産されるのではないか、というような取り上げられ方である。すなわち、所得格差・階級格差の結果としての教育の機会の格差という捉えられ方だ。
本書の主張は、もっとラジカルだ。すなわち、受けている教育そのものが階級格差を生み出し、固定化しているのだという主張。高等教育を受けた者は、そうでない者のことを理解出来ないし、理解しようとも思わない。逆も然りという主張。あまりピンと来ないな、と思ったが、筆者も、日本はそんな状態にはなっていないと書いていたので、まぁ、そうだよねと思った。

本書の中で、虚をつかれた部分があった。それはテーマである教育とは関係のないところ。
「日本は経済成長を諦めたように見える」という趣旨のことが書かれている部分がある。
ある国の経済規模は、単純に言えば、一人当たりの生産性と人口のかけ算だ。ご存知の通り、日本は既に人口減少社会に突入している。筆者から見ると、一人当たりの生産性はともかく、日本は人口を増やす試みを諦めたように見えるということだ。少子化対策を政府はやっているのでは?と思うのだが、日本以外の先進国は基本的に多くの移民を受け入れて人口を増やそうとしているのに、日本にはそのような動きが全くなく、従って、経済規模を大きくする試みを諦めたように見えるという論旨だ。
そうなの?と思って、ネットで、各国の人口に占める移民比率を調べてみた。
アメリカ・ドイツ・イギリスは14-15%、カナダは20%強、オーストラリアは30%強。他のヨーロッパ諸国も、軒並み10%を超えているのに対して、日本は2%。確かに先進国の中では圧倒的に少ない。
日本経済が停滞している理由でよく議論されるのは、上述の生産性。それはそれで問題なのだろうけれども、確かに経済規模は、生産性が一定であれば人口で決まるというのは、誰が考えても分かることで、そういう意味で虚をつかれた気がした。

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2021年02月05日

購入済み

大分断 教育がもたらす新たな階

すいすい読めます。
普段なかなか伺えない、ヨーロッパ人からの視点で書かれていて参考になります。
今後の世界の方向性を決定する上で、教育のあり方は重要。避けて通れない道。
そのことを痛感させられる一冊です。

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2020年09月21日

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間違いなく現代の知性の最高峰だと思う。
発生している事象分析の切口がユニークだが直感的にも根拠を伴った総合的にも確かなものと感じる。

自分も含めて世間は民主主義というものを正しく理解出来ていないのだなと思った。皆がわかりやすくまた反応しやすいワードが充てられることで本来の意味と異なるものまで包括して認識されてしまうのだろう。

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2020年08月05日

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久しぶりの社会観や文明論といった大きな枠組みを論じた本。Globalization は不可逆な流れであり自由貿易は促進するべきである、保護主義は内向きな排斥主義であり移民の流入制限は排斥運動だ、という世の中の流れに対し、
過剰な自由化によりGlobalization fatigue(グローバリゼーション疲れ)が起きている、globalizationを抑制しても世界化(mondalisation)は消えないし、適切な保護主義は有用、移民の一定程度の抑制は国家という単位に帰属意識を持つ上で必要、等カウンターの意見を次々と提示する。
「フリードリヒ・リストの保護主義の定義によると、それは自由主義の一端でありながら、国家(ネーション)の存在を認めるもの」(p117)という保護主義の捉え方は、自由貿易を礼賛しトランプの関税戦争を馬鹿げていると一顧だにしない今日では偏見を打破する上で重要。
能力主義については階級化を招いているという主張はサンデルの本を最近読んだこともあり新鮮味はなかったが、国家という運営単位を維持する上で現在最有力になっている指針である、と考えると、国家の帰属意識の揺らぎを説明するピースになっている思う。
宗教論争に隠れて社会の本当の問題である階級格差の拡大に目が向かないのが問題、という点は、BLMなどの人種対立やPCによるキャンセルカルチャーに連日のニュースが支配されて社会の格差にいつまでも目を向けられないアメリカにも深く刺さる指摘。
トランプ後のアメリカ然りブレグジット然りどの国も新しい国家像や指針を見出せていない中、こうした既存の価値観に対する疑義はとても納得感がある。
保護主義や移民に対するネガティブな意見を民主主義の要素として肯定するなど、国家を基準とした見解が多く、殊更にグローバル化や既存の枠に囚われない企業個人を賞賛する今日では珍しい。民主主義を実現する社会単位として国家はまだまだ基盤となると改めて思わされる。
読んでいると歴史は繰り返す、という見方を改めて思い知る。国家という伝統的な単位を視点に置き、社会階層が流動化すると混乱が起き、また新しい階層が生まれ、、という波の繰り返しに現代も当てはまるように感じた。
新書で社会分析をするとどうしても論拠が書ききれず、アメリカや日本ついての見解には首を傾げる部分もあるが、広い視点を得る上で読んで良かった本。

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2021年08月14日

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エリートと大衆な関係性の変化や、能力主義の問題点など、現在の社会状況を、興味深い切り口で説いている。
日本に対する「少しばかりの無秩序を受け入れよ」という大きな方向性は、その通りだと思う。ただ、移民受け入れによる良い影響は分かるが、同時に起きるであろう悪影響は、見えていないため、ある程度の検証は必要であるように感じる。
トッド氏の考え方を十分に理解できていない部分もありそうなので、他の著作を読んで理解を深めたい。

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2021年08月07日

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教育の高度化が進み、高度教育を受ける層が増えなくなってから、教育は同じ層を再生産することになっており、分断を作り出している。そのことにより、エリートと大衆は分断され、民主主義は崩壊している。民主主義といっても、家族制度が違うアングロサクソン、日本とドイツ、ロシアといったところでは違うルートをゆく。格差を生み出すのは行き過ぎたグローバル化であり、保護主義とは自由主義の一種であり、全体主義とは全く違う。


EUはドイツに支配されており、ドイツや中国の推し進めるグローバル化によって世界的な分断を生み出しているのだと思った。分断とは、それぞれがポジショントークに終始し、それぞれの層が固定化することであり、それでは民主主義は機能しないのだと思った。

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2021年02月10日

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<目次>
はじめに
第1章教育が格差をもたらした
第2章能力主義という矛盾
第3章教育の階層化と民族主義の崩壊
第4章日本の課題と教育格差
第5章グローバリゼーションの未来
第6章ポスト民主主義に突入したヨーロッパ
第7章アメリカ社会の変質と冷戦後の世界
訳者あとがき解説

p40集団の道徳的な枠組
p43上層部の人々が庶民に語り掛けることで社会に
存在していた
p102江戸時代~完璧主義に悩まされることなく~豊かな
創造性があった~少しばかり無秩序な社会

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2021年01月17日

Posted by ブクログ

保護主義が必ずしも悪いものではないことが分かった。ただ、教育格差による分断が諸悪の根源として、ではそれに対する処方箋が提示されていない。

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2020年12月07日

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欧州の知的エリートの問題意識がよくわかる一冊。教育の普及が所得格差を生み、社会の分断につながるという指摘は日本にも当てはまるであろう。欧州内でのフランスの衰退の憂慮からくる悲観的な視点は割り引く必要があるが、資本主義、自由主義の課題を認識できる一冊。アメリカ人には、書けない内容であろう。

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2020年11月14日

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教育と知性が分離してしまった、という指摘には唸らされる。
過激でびっくりするような考え方も多かったけど、歴史家という視点だとそう見えるんだなあと新鮮でもある。

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2020年09月07日

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フランスの知識人による一味違う社会のものの味方を教えてくれる一冊。この本はエッセイ集のような感じなんだけど,主な論考は,表紙にも書かれている教育による格差,そこから引き出されるエリートの問題についての話と,著者の専門の人口についての話がメイン。背景が読みきれないところはちょっと読みにくい部分もある。正しいかどうかはさておきとしても、日本だと安倍か反安倍か,トランプか反トランプかで凝り固まった論調しかないけれど、0か1かの話ではなく,そこから距離を取った論考なので面白い。著者の立ち位置を確認しながら読むとそのユニークさがわかる。まぁ,ドイツへの論考とかは,フランス人ならではの視点のような気がしてならない(著者はフランスの中では少数派のようだけれど)。
そりゃ教育も一様ではないから差があるのは仕方ないと思っていたけれど,日本で格差が広がっている感じが欧米ほどではない理由が,格差に反対している人たちげ毛嫌いしていそうな家父長制に求めたりするのはとっても意外。逆に言うと,フラットな関係が当たり前になればなるほど格差に対して抗議が起こるようになるとも言えるわけで,興味深い。著者は生産よりも出産と著者は言っていたけれど,自由恋愛や婚外子などの積極的な策をとったときにどうなるのか。自由には格差はつきもので,経済以外の部分でも格差が広がるどうなるのか,それを埋める方法があるのかを考えたい。結局は「国家の経済圏で人々が豊かになれ、皆が利益を得られる方法が何かを考えることでしょう」(p164)に尽きるのだろうけれど。「皆」の中に自分が入っているか。そこが大切。エリートの話はとっても面白いし,格差感は無いかもしれないけれど,エリートの問題は残念ながら日本にも当てはまっていると思う。最後に紹介されている「絶対値による会話分析法」は「法」というのが適当なのかは議論がありそうだけど,とっても分かる。小学生高学年とかの会話からでも体感できる。この本が正しいかどうかと言うよりはに,そこから自分でどう考えるのかを知るヒントになる本だと思う。

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2020年08月16日

Posted by ブクログ

初トッド。多分他にも持ってるけどまだ読んでない。インタビューをまとめたものなので内容はやや散漫だが、著者の基本的な思考枠組みは見て取れる。人口と家族構成をメインにするアナール学派やね。あと、地政学の匂いも。興味は持てたのでメインの著作にも挑戦してみようと思う。

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2020年08月14日

Posted by ブクログ

毎回トッド氏の分析には舌を巻く。過去にもソ連崩壊やアラブの春、そしてトランプ大統領の勝利など数々の未来予想を人口学から的中させてきた人物ではあるが、本書はさらにそれを高学歴教育の普及の観点から鋭く分析する一冊である。
高学歴と言えば戦後日本経済の爆発的な成長を支えてきた私の父の世代などは、大学進学者は未だ稀な時代であった。ほんの一握りの大学出身者が日本の経済と社会、政治を作り上げ敗戦日本のどん底の状態からGDPで世界の頂点に届くほどの「奇跡の復興」を作り上げた。因みに私の父は農家出身で兄弟も二桁いる。産めば産むほど生産力が増えていく世界を作り上げてきた様な大家族だった。あれから60年、70年そして戦後80年を間も無く迎える。今や多くの若者が大学へ進学し、大学院へ進む者も少なくない。私もそれなりの大学まで行かせてもらい、周りの友人たちを見回しても皆、大学出だ。こうした時代にいきなり到達したわけではなく、背景には少子化がじわじわ進行し、子供が少なくなる事で余計に手間と金をかけられる様な社会になっていった事が要因だろう。経済も政治も大学出が当たり前に作っており、会社を見渡せば学卒社員は毎年有名大学からずらりと肩を並べて入社してくる様になった。その様な中でプライム市場に上場する様な会社は今や慶應、早稲田、それに匹敵する様な偏差値の学生が大半を締めているが、果たして昔の日本の様にそうしたエリート学生が活躍しているかは疑問だ。みんな何処となく均質で際立って良い成果をあげるわけでもなく、考え方も比例して素晴らしいかと言うと殆ど他の大学生と変わらない。寧ろエリート意識かつまらない仕事にそっぽを向こうとしたり、考え方も一つに固執したりと使いづらいことさえある(使うと言う表現は好きではないが)。大学進学が当たり前になったと同時に質の均質化に至ってしまった様だ。とは言えそこそこの大企業なら先人達が作り上げたビジネススキームで安定した収入がある程度保障され、大学未就学の者と比べると収入差は歴然だ。きっと恐らくは大学に行った行かないかは関係なく如何に努力を継続しているかで価値や能力は決まるはずだ。だからこうした差が広がれば広がるほど、社会には不平等が蔓延り、時に爆発・分断を齎す。
こうした状況は日本独自ではなく、民主主義の優等生であるアメリカ、イギリス、フランスでも発生し、民衆の分断が発生している。トッド氏は日本とドイツがそれらと違うのは家族制の違いにあるという。トッド氏の著作を読んでいる者であればすぐに気付くが、日独は家父長制で不平等を受け容れる素地がある。現在分断がそれ程大きく社会問題にまでならないのはそうした家族制度の伝統があるからだ。
後者の国、特に日本は現在先進国でもトップを突っ走る高齢化が進展している。最近のニュースではGDPがドイツに抜かれて4位に後退するともあった。そんな日本が今後頼るべきは移民であると思うが、均質化されて劇的な変化を望まない現代世代に果たしてそうした社会を激変させる政策を取らせることは可能だろうか。
人は考えなければならない。考えてこそ未来を作り、今の問題を解決したりできる。考える事が人の価値だとつくづく感じるが、会社でも考えている人は少なくなった。指示を待つばかり、自分の考えも述べずに質問するばかり、ミスして素直に謝るのも良いが多少の言い訳もせず謝るばかり。そのくせ反省が無かったのか同じミスを繰り返す。考えなかった証拠を突き付けられているようだ。
トッド氏が長年の研究により確立された考え方をブラッシュアップして新しい考え方や過去の考え方の誤りを訂正していく様に、我々もそんな氏の姿勢に学び考える自分を取り戻していく必要がある。きっと物心つく前、生きて笑って泣いて精一杯一日中学んでいた幼な子の頃の様に。それが無ければ成長できない。

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2023年10月31日

Posted by ブクログ

エマニエル・ドット氏にインタビューをした内容をまとめて、昨年(2020年)7月に発刊された本。自国であるフランスを中心に欧米と日本の政治と民主主義について述べられている。貧富の格差の拡大と教育に加え、保護貿易化、移民の反対等により、国家が分断されていると主張している。参考になった。

「今や高等教育は学ぶ場というよりも、支配階級が自らの再生産を守るためのものになっており、お金がある家庭は、子どもたちがある分野で成功するための保証として家庭教師を雇います」p26
「データを見る限り、中等、そして初等教育においても学力が低下していることが確認されていました。これはフランスだけではなく、もしかすると世界的な話かもしれないと思っています」p51
「(学力低下)私は、どちらかというと子供たちが読書をしなくなっているということに理由があると思っています」p52
「民主主義は3つの種類に分けられると考えています。それは「フランス・アメリカ・イギリス型」「ドイツ・日本型」「ロシア型」であり、家族構造に由来しています」p70
「しばしば非難されるのは「日本人には自分たちが特別だという意識があり、自民族中心主義思想を持っている」という点です。今、日本の文化は文学や料理、サブカルチャーを筆頭に、世界で敬意を払われるものになりました。日本は平和的でエレガントだと言われます。しかし、昔は人種差別的だと言われたこともありました。そうした印象を与える自民族中心主義思想から、日本には移民はいらない、という考え方も生まれます。これが西洋の考え方と違う点で、日本が非難される理由です」p74
「これからの日本に必要なのは「少しばかりの無秩序」であると私は謹言したい。男女間での無秩序、家族内での無秩序、そして移民を受け入れることで発生する無秩序。日本社会のように完璧を求めることは、ある程度発展した社会では逆に障害になってしまうからです」p106
「自由貿易は、先進諸国において残忍な形で不平等を拡大し続けています。自由貿易が優遇するのは資本家と高齢者です」p113
「民主主義の考え方、つまり「人はみな平等で自由」という理想は素晴らしいですが、それがうまくいくためには人々の教育レベルが均一でなければならず、お互いに理解し合えて、そして時には衝突し合うことも可能でなければいけません。今のEUではそれは不可能なのです」p132
「もし私が「ヨーロッパの終わりはどう訪れるか」と尋ねられたならば、おそらく「支配国であるドイツがなにがしか不条理なことをしでかすことで訪れる」と答えるでしょう」p135
「日本は移民の大規模な活用を拒否し、国力の低下を食い止める闘いをあきらめてしまいました。ところが、ドイツでは世界で最も年老いた2つの国のうちの1つでありながら、経済力については全くあきらめていません(移民による労働力若返り政策)」p138
「様々な理由から、サウジアラビアは近々崩壊すると思います」p175

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2021年03月15日

Posted by ブクログ

アメリカの覇権の没落、EUモデルの没落、フランスの疲弊、日本の諦め、アメリカとロシアの接近、アメリカとドイツの対立など、いくつか興味深い視点もありました。教育が及ぼした影響というのはなんとなくわかるが、説明力が弱い印象を持ちました。また、問題だらけで解決策が言及されず、今後に不安を残すような感じで終わってしまっておりモヤモヤしています。

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2021年01月26日

Posted by ブクログ

氏の著作は初めて。なので、直ぐには理解できない所も多かったです。家族の在り方が国家に反映されるという氏の基本的考え方は面白いが、ホントにそんな割り切れる話なのか?でも、仏のgilet jaune、英のbrexit、仏のtrampも新鮮な視点から興味深かったです。日本に関して、人口減少を食い止めること、そのための完璧さを捨てることの提唱は納得。「人が口にすることと全く反対の内容が、しばしば真実である」というポイントも納得。ドイツに対する見方とか、沢山の新しい見方を教えて頂きました。

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2020年10月12日

Posted by ブクログ

民主主義と一言で何となく普遍化されているイメージを持つが、しかし民主主義も国によって様々であるといったことは、指摘されて改めて気づかされる。しかし、内容が難しい……。

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2020年09月10日

Posted by ブクログ

高等教育の格差が社会的な格差を生んでいる。一方で高等教育を受け上級階層を作っている人びとの知的レベルは劣化している。自国フランスだけではなく、日本に対しても他国と比較しながら論評している。
生き残るのは中国か、ドイツか・・ はたまたアメリカやロシアの反撃も? 日本は結局のところアメリカの傘下で生き延びるしかないのでしょうか。

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2020年09月05日

Posted by ブクログ

ちょうど社会に出るころ、日本では小泉、アメリカではブッシュが政権を取っていたということもあり、深く考えもせずに自由貿易に対する肯定的な思いを持ってきていた。
しかし、現実にはニュースで日々報道されるような状況となっていて、そのねじれについてイマイチ理解できずにいた。

トッドは一貫して自由貿易には反対の立場をとってきているが、それはあくまで自国での民主主義を守ることを一義に考えていたからだと理解した。

民主主義にしても自由貿易にしても、すべてが同じ条件で、プレイヤーは合理的な判断を行うという、非現実的な前提のうえになりたっている以上、現実に落とし込むにはどこかでカスタマイズが必要ということなのだろう。

自由・平等が絶対善であるところに固執しすぎると、かえって思考停止に陥ってしまい、絶対に到達できなくなるということがよくわかった。

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2020年08月30日

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