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オースターと言えば抗えない偶然の連続によって自分を失くしていく物語という印象だったけど、この話は偶然の連続によって自分を取り戻していく物語だった。出てくる登場人物が揃いも揃って問題を抱えていて、更に打ちのめされるような展開もあるのだけど、訳者あとがきにもあるようにオースターにしては楽天的でポジティブな話なんだけど、あのラストをどう解釈すれば良いのかちょっとまだ消化できていない。そこも含め、今まで呼んだオースターの小説の中で一番好きかもしれない。
カフカの人形のくだりが特に印象的
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突然のポール・オースターの訃報を聞き、長年積読状態だった本書を手に取りました。難解と思い込み本棚で眠っていましたが、オースターってこんなに面白かった?と思わせる小説。10ページ弱のエピソードが怒涛に展開してとても読みやすい。「アメリカ文学」って高尚に構えるのではなく、日本の小説ではないアメリカ的な「物語」を読んでいる、引き込まれて行く感覚。
結局、人は一人では生きられない。誰かとの繋がりを求めている。オースターの小説の登場人物は、高度資本主義かつ大量消費社会に馴染めないインテリの男が多い。本書もしかり。人間は愚かな生き物だけれども、だからこそ魅力的でもあり愛すべき存在。
もちろん読みやすいのは柴田元幸氏の翻訳のおかげ。感謝したい。出版されて12年も経ってからの初読。是非多くの人に読んでもらいたいオースターの物語の魅力が満載の傑作。
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お気に入りの本になった!
波瀾万丈あるけど、喜劇的な要素が多く、悲しいシーンでも文章にユーモアがあり面白いから楽しく読めた。
主人公ネイサンは基本的には他の登場人物たちを手助けするような立ち回りだったけど本人もしっかり作中で成長していて、人生の明るい部分を思い出させてくれるかのようなお話だと思った。
ポールオースターを読んだのは冬の日誌/内面からの報告書に次いで2回目。なのでまだ多くを語れる立場ではないけどこの人の書く文章や感性が好きだなと思う。
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『アメリカの多様性にもがく人達の再生物語』
離婚・癌・退職と人生を終える場所としてブルックリンに戻ってきたネイサン。甥のトムとの再会をきっかけに、ニューヨークに暮す多様な人達との悲喜劇を描く。オースターにしては明るめなハッピーエンド物語だが、随所に挟み込まれたウィットはさすがオースター!
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すごく面白かった。ウディ・アレンの映画みたいだなあと思いながら読んでいました。
最後の方で出てくる「本の力をあなどってはならない。」がすごく沁みた。そして死について考えてしまった。
これを機にオースター作品で未読のものを全部読もう。
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会社を休み、休んだことを家族に伝え忘れたものの家にいても家事をするだけになりそうなので、この本を持って家を飛び出して読みはじめた。
六十歳手前で離婚し、静かにこれまでの人生の「愚行録」を記して暮らそうとするネイサン、甥っ子のトムとトムの上司に偶然出会ったことで、人生が不思議で豊かに動き出していく。
ユーモアに溢れて、それでいて切ない。
生活をする中、これまで生きてきた中で突然出会った「物語」の断片、さらにその日々の中でトムと一緒に巻き込まれた出来事が描かれる。
Twitterで日々の下らない事件を呟く自分も、質は違えど同じようなことをしている気分になる。ちょうどこの本を書店のベンチで読みつつ、本屋のあるコーナーで手に取った本にも「物語に突然出会うこと」について触れられていた。昨日と同じようで違うちょっとしたことで日常の繰り返しから抜け出し、物語を見出そうとする。
(このあたりで奇跡でも起きたのかも?とか出会った本を買う口実にしようとする…)
どちらかと言うと、そういう物語にしか興味が湧かない。たとえそれが消費者に対するビジネスの付加価値として利用されるようなものであっても、そういう物語を見つけたり知りたいと思ってしまう。
作者がどの様な意識で作品に臨んでいたのか少しだけ解説で触れられているが、まったく前知識なしで読んでいたのは正解でした。
読んでいて笑ってしまうこともあったし、その分心に残った「切ない」という言葉だけでは言い表せない。
出会えて良かった本です。
読んでから数日後も、例の件のことを思い出して「ブルックリンフォリーズ」は本当はもっとたくさんのヒト一人一人にあったんだろうな…と考えてしまいました。
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自己紹介を兼ねた序章で、本書の主人公は3歳の時以来56年ぶりにブルックリンに戻ってきたと書かれている。肺癌を患い、目下のところ小康状態で、生まれ故郷のブルックリンで過ごすことにしたと。病気のためか明らかにしていないが、仕事はリタイアしたと。くしくも、日本でいう定年退職の年頃だ。
定年退職者の日常となると、1か月前に定年退職を迎えたわが身としては他人ごとではないが、平穏なわが身と異なり、主人公はいろいろな人と関わり、周辺でいろいろな出来事が起こる。タイトルのフォリーズ( ”愚行” や”愚かな”) の意味の通り、客観的に見れば、些細で愚かなことかもしれないが、ご隠居の視点から見ると、関わる人々のなんと愛しいことか。愚かなことの積み重ねかもしれないが、人生は愛するべきもので、かけがえのなさが伝わってくる。
ウイット、ユーモア、やさしさの普遍性が伝わってくる。ニューヨーク・ブルックリンであれ、日本の片田舎であれ、ご隠居の境地には通じるものがある。
60歳で今更だが、小説や映画で ”米国人” が 『愛している』と言っている意味が分かったような気がする
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四半世紀前とはいえ
様々なルーツ、嗜好、職業や考え方をもつ
アメリカの、リアルな、普通のひと達の描写がとても魅力的でした。
名前削除、のバッサリ感や
オーロラのご主人のイッてる感じにも笑える。
こういう、笑ってる場合じゃない場面で楽しませるのがエンターテイナーですね。
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ブルックリン・フォーリーズ訳すとニューヨークブルックリンの愚行。オースターの本は始めて読んだ。450頁ほどの本だけど最初本の世界に入っていくのは難儀でした。
60過ぎて癌を患い、離婚して昔住んだ町ブルックリンでひとり余生を隠居しようとした町での、様々な人たちとの遭遇で色々な経験をしていく主人公を描いている、中高年の本です。
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ブルックリンで晩年を過ごそうと引っ越してきた、失意の男性。だけど…?
ユーモラスに、成り行きが描かれます。
60歳のネイサンは癌にかかって会社を辞め、妻とは離婚。娘とはうまくいかず、親戚ともほぼ音信不通。
いくらか思い出があるブルックリンを終の棲家に選び、自分のこれまでの愚行を書き記して過ごそうか、などと考えていました。
街の古本屋で、甥のトムにばったり再会。これが親族では一番気が合う甥だった。
トムから繋がってご縁が転がっていき、トムの妹や娘や母、古本屋の主人など、思わぬ出会いと楽しみが増えていくのです。
やや上手く行き過ぎ?だったり、中年?男の身勝手さが垣間見えたり、というところも、ユーモアに包まれてます。
熟年同士の恋愛まで恵まれて‥
意を決した時の、彼女の余裕の反応が傑作。
ポール・オースターは何となくもっと難しい作家のような印象があったのですが。
レビューを見て面白そうと読んでみた、これは読みやすい。
それもだいぶ前だけど、おススメしておきたくて。
ポール・オースターは他に何を読んだのかは、いまだに思い出せません(笑)
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魅力的でカラフルな人物たちが登場する。語り手がいるが、群像劇と言ってしまってもいいかもしれない。
特に楽しみもなく暇をつぶしながら老後を過ごすつもりだった高齢男性が、甥に久しぶりに再開したことをきっかけに突如人間関係が広がり、さまざまな事件が起こり、考え方がポジティブに切り替わっていく。まあ、楽しみながら読める。
フォリーズ(Follies)とは「愚行」という意味で、たしかに登場人物は愚かなことばかりしているように見えるが、愚かな行為は悪いことというわけではないよね。
多様性に肯定的だが、唯一カルト宗教に関しては強い否定的な書き方をしている。
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いままでに読んだポール・オースター作品で、いちばんサクサク読めた。役者あとがきにある通り、軽いというか。
帯には奇跡の物語とかなんとか書いており、まぁ間違ってはないのだが、しかしその言葉からイメージするような大感動の物語ではなく、やはりポール・オースターらしい奇妙な偶然の連続のお話。
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ブルックリンを終の住処にしようとする50代の男の主人公とその甥、その甥の妹の娘の3人で始まる奇妙な関係と暮らしと、詐欺まがいの事を企む古書店主…色んな話が絡んでくるけど、田舎のホテルに滞在するエピソードと、アクセサリーを作るとても美しい女性のエピソードが好き。
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様々な人生が凝縮されたような濃い一冊。
六十歳を前に、妻と離婚して静かに人生の結末を迎えようとブルックリンに帰ってきた主人公ネイサン。
街のの古本屋で甥のトムと再会してから、運命の歯車が回り始めます・・。
アメリカらしい皮肉のきいた文章で繰り広げられる悲喜こもごも。
タイトルの“フォリーズ”=愚行という事で、皆何かとやらかしています。
ネイサンをはじめ、甥のトム、姪のオーロラ、古本屋のオーナー・ハリー等々・・。
読みながら、“あぁ、アメリカの人も色々しんどいんだなー・・。”と胸に刺さるものがありました。
内容的にヘビーな部分もあるのですが、ウィットに富んだ文体のおかげで重くならずにすんでいる感じです。
一方、ある選択が思わぬ出会いや幸福につながったりと、こういった人生の妙が面白いです。
後半にいくにつれて様々な問題が良い方向に向かっていくのかな・・と、思わせる展開なのですが・・。
ラストのラストでネイサンが幸せをかみしめている瞬間が、2001年9月11日の朝8時という(そう、同時多発テロ事件の直前)、この終わらせ方はため息が出る程切なすぎるのですが、とても秀逸だと思いました。
本当、人生って何が起こるかわからないですよね。良くも悪くも。
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ハリーの人物像は、とにかく魅力的で、大好きだった。危なっかしいところもあるが、こんな友人がいたらなあ、と思う。映画を観ているような気分になり、ハラハラしたりしながらも楽しい。ただ、9.11の陰が。実は深刻な背景があることを、知って驚いた。
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帯の書き方がさぞ難しかっただろう、と思う本。アフガン撤退に至ったいま読むと(別に時事的な勉強になるわけではないけど)感慨深いものがあると思う。
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人生の幕切れを意識したひとりの男。諦めと無為で惰性で送る日々が、人とのつながりで再生されていく。人生を愛おしく感じさせる本作。
ちょうど最近見終わった米国のテレビドラマシリーズ「Elementary」はコナン・ドイルのシャーロック・ホームズを現代、ブルックリンに舞台を置き換えた作品でした。現代ニューヨークの風俗、ドラッグをはじめとする社会問題、人間模様の多様性など、ここ日本の自分の位置からみると彼我の違いに驚かさせることが数多ありましたが、本作も同様に現代アメリカの都市部のライフスタイルの一端を伺い知ることができる作品でした。
エンディングについて、作家自身が必然と思い描いたのであれば必要な描写なのでしょう。人は意思を持って人生を切り拓けるという視点と、誰もが避けることができないどうしようもない運命の中に人生はあるのだという諦観を主人公、作者が感じているのではないかと思い、本書を閉じました。
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60歳近くで妻と離婚し、ガンを患い、仕事を失い、ブルックリンに戻ってきた主人公ネイサンは、これまでの人生を振り返り「愚行の書」を綴ることを思いつく。
自分が犯したあらゆる失態を、極力シンプルで明快な言葉で、自分もなるべく楽しむこと。
私なら忘れたい事にはすべて蓋をしてしまいそうだが、愚行に蓋をしてしまったら、、人生なんて面白くも何ともない、味気ないものになってしまうのだろう。
街の古書店で甥のトムとばったり出会ってから、ネイサンの身のまわりが変わり始める。
新しい人と出会い、長年会っていなかった家族や親戚に再会し、その人たちすべてが波瀾万丈に生きていて、愚行を反省し嘆いている暇なんてこれっぽっちもないのだとつくづく実感した。
人生ってそんなに生易しいものじゃないけれど、捨てたものでもないのだ、と思った。
文章もウイットに富んでいて面白く、主人公とともに幸福をかみしめることができる、心温まる物語だった。
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米文学はほとんど触れたことないけど、WEEKEND BOOK CLUBで届いたので読んでみた。
リタイアして隠居生活をするつもりだった主人公に予想以上に多くの出来事が訪れて、その中でいろんな挑戦をしていく姿に、幾つになっても行動することや人と交流を持つことの大切さを感じさせられた。
実際に主人公の行動によって救われた人が何人もいる。
ところどころ皮肉で面白い表現があって笑ってしまった。訳者の注釈にも助けられた。
映画になっても良い作品になりそう。
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訳者の柴田元幸さんが後書きで書いている通り「自分の人生が何らかの意味で終わってしまったと感じている男の物語」。出発点はそこだが、いつものオースターの物語の様に自分の人生の道を外してしまった人達との柔らかな交流とその人生の再生が何とも読んでいて熱くさせられた。主人公ネイサンとその血を分けた親族と彼らに関わる人々が、一度は捨てたと思っていた人生を再構築させていく物語が心に柔らかな滋養を与えてくれた。楽しい読書感は作者オースターのみならず訳者柴田さんの力量の賜物です。良い作品を読んで豊穣な時間をありがとうございました。
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ブルックリンに越してきたネイサン、ガン患者で妻とも離婚し残り少ない命を人間の愚行の書を書いて過ごす日々。ところが甥のトムと出会いその雇い主の古本屋の店主、ちょっとした恋心を抱いたウェイトレスなどと知り合ってそれぞれの愚行に巻き込まれていく。
自分を含めて愛すべき隣人たちの悲喜劇、愚行に乾杯だ。
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ポール・オースターの
『ブルックリン・フォリーズ』
いやー良かったっす。
ニューヨーク市のブルックリンという地区がどんな場所かは分からないけど、60才を過ぎ現役引退し、離婚も経験した独身初老の男性が幼い頃に住んでいたブルックリンに部屋を探すところから話がはじまる。いわば「死に場所」を求めて戻ってきた彼は、古本屋でばったりと久しぶりに甥のトムとであったことをきっかけにして、市民たちの様々に「愚かしい人生」の中から意外な家族の姿を(再)発見していくというお話。
いやー、ど真ん中でした。
笑えるんですよね。老若男女、みんな愚かしい振る舞いばかりなんだけど、一所懸命だし、悲しかったりもするんだけれど、思わず笑っちゃう。日本にはこういう小説、たくさんあるかなあ。個人的には天才田辺聖子の描く大阪のおっちゃんと比較してみたいかな(的外れでしょうかね)。
ポール・オースターがどんな作家も知らず友人に勧められるままに読んだのですが、3月で全面リタイアする今の自分に余りにもぴったりな「贈り物」でした。
若い人にはどうかな。でも、手練れの書き手であることはちょっと読めばすぐに納得。面白いこと請け合いです。
最後のところは必要だったのかな?
という疑問と同時に、そこまで触れるのなら、Xday以後のことまで書いてほしかったな、とも思います。
まあでも、このしんどいけれども幸福な笑いのある家族たちを描くのなら、むしろ「新しい生活」までで終えてもよかったのでしょう。友人と酒を飲みながら語った結論でした。
他の作品も読んでみようと思います。
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癌を患い離婚しブルックリンで余生を過ごす50代後半のネイサン・グラス、ネイサンの亡妹ジューン、その息子で将来を嘱望されながら大学で挫折しタクシー運転手になったトム・ウッドと妹のオーロラ。オーロラの夫で新興宗教に洗脳されたディヴィッド、二人の娘でネイサンの家を訪れながら頑なに口を閉ざす9才のルーシー。ネイサンの前妻イーディスと娘のレイチェル。トムが働く古書店の店主でセクシュアル・マイノリティーのハリー・ブライトマンとジャマイカ人でドラァグクイーンの店員ルーファス。トムが慕うアクセサリー工房の美しく完璧な母親 (BPM)ナンシー・マズッケリ。多彩なキャラクターたちの夢、挫折、ロマンス、LGBT、出産、死などのエピソードが詰め込まれた物語のバラエティパックのような一冊。
物語のなかで生きる幸運、架空の世界で生きる幸運に恵まれた人にとって、この世界の苦しみは消滅します。物語が続くかぎり、現実はもはや存在しないんです。When a person is lucky enough to live inside a story, to live inside an imaginary world, the pains of this world disappear. For as long as the story goes on, reality no longer exists.
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次々と展開するお話に引き込まれました。
そして最後のページの衝撃。
翻訳のものはしっくりこないものが多くてちょっと苦手だったりしたのですが、楽しく読めました。
人生はいつまでもいろいろあるよね。
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愚行 というが、思うようにいかない、ままならない
どこかゆったりのんびりとした穏やかな空気をまといながら
不意に降りかかる不幸や思いがけない幸運や転機の訪れ
上手くいくこともいかないことも、そりゃあるさと
それは、ありふれた、どこにでもある、誰にでも起こる普通の
しかしその人にとっては唯一の特別な人生の人々の物語
もしかすると最後の最後に触れられるあの事件は
それ以前・それ以後と、その空気を一変させてしまう転換点なのだろうか
詐欺・犯罪ですら受け入れ取り込もうとする楽観的楽天的で
多少冷笑的でもあり諦念も備えた寛容さをもちあわせた物語が
オーロラの配偶者に対する場面で厳しさをあらわしていたように
Posted by ブクログ
たぶん、甥っ子トムが
古本屋で働いている設定だったから
読もうと思ったのでしょうが
そこはあんまり関係なかったわ。
とにかく現代アメリカ社会って
こんな家族関係が別に珍しくないのかしら?
というくらい離婚、非婚、DVにネグレクトと
問題がてんこもりです。
そこから再構築していく物語なので…。
半分くらいまでエンジンかからなくて
どうしようかと思ったけれど
主人公の姪の娘にあたる女の子が登場してから
私の中で加速度的におもしろくなり
ハッピーエンドの方向に向かってくれたので
なによりでした。
Posted by ブクログ
すごいな、好きだな、という文章を書く作家さんがいる。例えば、藤沢周平さんや田辺聖子さんだ。田辺さんの文章は平易でわかりやすいのに、軽やかなリズム感があって、引っ張られるようにどんどん読まされる。不必要なディテールが削ぎ落とされた、無駄のない、練られた文章だと思う。こんなに簡単な言葉だけ、言い回しだけなのに、こんなに奥深くまで表現できるのかと思う。
この本も読み始めてすぐに、文章力に驚かされた。原文が素晴らしいのだろうし、翻訳も優れているのだろうな。
Posted by ブクログ
アメリカに行ったこともないし、アメリカ人の知人もいないです。僕のアメリカの知識は、ニュースと映画だけなんだけど。いつも言っているけど、そんな僕がイメージしているアメリカって狂気の沙汰、なんです。でも、オースターって、いつも、狂気の沙汰のニューヨークやブルックリンを舞台にしていながらも、なんか希望というか、救いというか、なんだアメリカも捨てたもんじゃない的なことが書かれていると、感じています。この作品も、どうしようもない人がいっぱい出て来るんだけど、当たり前のように離婚しているんだけど、家族的な温かみを感じました。いつか誰か助けてくれんるんじゃないかと、胃の片隅で思うような。