【感想・ネタバレ】新種の発見 見つけ、名づけ、系統づける動物分類学のレビュー

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Posted by ブクログ

動物分類学の専門家が、その仕事を紹介した本。動物分類学の学者は、地球上に存在する動物を体系的に分類することが仕事であるが、動物がどのように分類分けされているのか、その体系や名前の付け方など、その方法を新種の発見時を例に詳しく述べている。日本でおなじみのサザエは、最近になって正確な名前が付けられられた(系統付けられた)などのトピックスも盛り込まれており、興味深かった。

「新種の発見は、実はさほど珍しいものではない。この地球はまだ見ぬ新種に満ち溢れている」pi
「新種が発見されるペースは一向に落ちる気配がない。このことから導き出される事実は2つである。1つは、生物が、私たちの思っている以上に多様であること。そしてもう1つは、生物を命名する学問分野がいたって人手不足であるということである」pii
「この研究話には、重要なことを2つ含めたつもりだ。1つは、私が最初にその新種の標本を発見したときに、それが新種であると全く気付かなかったこと、そして2つ目は、私が新種を認識してから発表するまでに、丸々2年がかかっていることである」p8
「学名は、英語でもフランス語でもなく、全てラテン語で表記するように定められている」p20
「生物学的には、太陽光のほとんどが届かなくなる200m以深を深海と呼ぶが、海洋でこの深海域の占める割合は、その海底面積で92%、体積では99%に及ぶ。意外なことに、地球環境のなかでは我々人類にとってアクセスが非常に難しい深海域が、地球の生命圏の過半数を占めている」p36
「ノーベル賞学者 本庶佑「『nature』や『Sciense』に出ているものの9割は嘘で、10年経ったら残って1割」」p88
「身近な問題で解決できないからと諦めるのではなく、歯を食いしばり、どんなに古い文献であろうが収集し、言語にかかわらず目を通し、あちこち駆けずり回って標本の収集を行えるかどうかが、分類学の1つの分水嶺だ。諦めずに、古今東西の文献収集と標本観察を継続していれば、突然目の前の生物の特徴が、名前が、スッと理解できるようになる瞬間が訪れる。これは私の実体験や、いろいろな分類学者に話を聞いた経験に基づくが、分類学の入り口でもがきつづけた者には、なぜかこのような臨界点を突破する瞬間が訪れるのだ」p153

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2020年07月13日

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