【感想・ネタバレ】猿のこしかけのレビュー

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Posted by ブクログ

読んでいて、心地よくて仕方ない。使われることば、文の調子。。。「はなし」の文というか、話芸を感じさせる、声に出して読みたい気持ちの良さがある。
対象との距離が「冷たい」というほどあるでなしに、しかし程よい突き放し感を覚える。自分自身さえも軽く突き放してみせる。その観察眼からの描写がたまらず、知らぬはずの、だがどこか懐かしくもあるような時代・習俗そのものに興味があるのでなくとも、引き込まれる。たまらない。
観察眼鋭い描写、というのは多くの作家にあれど、恋だの愛だのいわないところが、私が幸田文を好きな理由かもしれない。植木屋のじいさんや近所の浮浪者、そういった市井の人びとへ注がれる眼がいい。「人物」の魅力が、活写される。じいさんやばあさんが好きになる。
少しの湿っ気というか温度の違いを感じるのは、やはり父、そして母に関してのことだろうか。ちらっとそういうところが伺えるのもいい。ははぁ、ここで心が強く動くのだな、と。そういう人なのだな、と。

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2011年11月17日

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