【感想・ネタバレ】モロッコ水晶の謎のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

 「臨床犯罪学者 火村英生の推理2019」をケーブルTVで録画した。視聴に先立って原作を読むべく「ABCキラー」収録の本書を借りる。
 お目当ての「ABC〜」、オマージュ先の「ABC殺人事件」を児童向けリライトで読んだきりなのだが、原典にひねりを加えて藍より青し。なお、死体の移動などチカラ仕事が要る場合、容疑者をそのように描写していることに気づく。「狩人の悪夢」でもその点フェアプレーだった。
 表題作「モロッコ水晶の謎」、一種の心理的トリックか? 横溝正史のアレでは、犯人の異常な潔癖さが犯行動機に繋がる。松本清張のアレでは、被害者が度を越した善人ゆえに殺される。それら先駆作品を思い出した。

0
2021年07月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第8弾
短編集というには長い話集。 「助教授の身代金」あとがきで筆者も書いていたけれど、火村が誘拐されるのかと思った。 犯人はもちろん悪いのだけど、被害者も“共犯者”もダメダメで、読んでいて気が滅入った。 「ABCキラー」事件がどうとかよりも、アリスにつきまとう記者が好きになれない。やはりクイーンは読破すべきか… 「推理合戦」朝井先生、好きなので出てきてくれて嬉しい。ぎゅっと短くて面白い。 「モロッコ水晶の謎」何とも言えない話。動機が繊細すぎる。あまり現実味がない。信じるってときどき、とても怖い。

0
2022年10月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

予言がテーマの短編集。

表題作の前に差し込まれている「推理合戦」が好き。掌編だからすぐ読めちゃうんだけど、ちゃんとアリスが推理してて好き。
というか、朝井さんと火村先生に対抗して現場までいっちゃうアリスが可愛い。
この話のために買っても惜しくない(笑)

「助教授の身代金」は昨今の誘拐事件事情(?)がよく分かる。この事件では誘拐というか、なんというか、真犯人の歪んだ愛と性癖の結果というか…。
犯人は怖かっただろうな、全然意味がわからなくて。

「ABCキラー」はドラマ特別編の記憶朧気にありながら読んだ。予告状の犯人が一番不気味。そいつも捕まえて欲しいよ火村先生。

そして表題作。
予言の裏の切ない想いが引き起こした殺人事件。
占いという曖昧模糊のものを根底としながら、あくまで推理は論理的。
げに不可思議は人の信じる思いかな。
そしてこの話の見所は、アリスが火村先生との想い出を第三者に話してたら1時間も過ぎたという点ではないかと思うのです。その直前の火村先生の悩みへの想いの部分も捨てがたいけどね。

0
2021年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ここのところ作家アリスシリーズを集中的に読んだのは、ずっと積読してた本作品をいい加減何とかしたかったから。(←シリーズモノは刊行順に読みたいタイプ)
4編収録だけど、ひとつは超短いので中編3編って感じ。
「意図しない共犯モノ」でまとめたわけじゃないんだろうけど、どれもちょっと変わり種な感じで、楽しかったです。

「助教授の身代金」
元俳優の誘拐事件が殺人事件に発展するんだけど、被害者の死亡推定時刻は誘拐より前だった。
自分が殺したはずの人を誘拐したなんて電話を貰ったら、さぞかし怖いだろう。犯行現場を見られたと思うだろうか。録音された台詞がなければ、死んだと思った被害者は実は生きていたと思うんだろうけど。

「ABCキラー」
A町でA氏が、B町でB氏が射殺される。アルファベット順の殺害を仄めかす手紙が警察に届いて、C町でC氏が殺され、D町でD氏が殺される。
事件そのものが演出がかってて面白かった。絶叫城の事件に触れられたりして、サザエさん時間の作品世界に突如生まれた時系列に驚いたり。
殺人犯が2人、手紙書いたのはまた別人という事実が、結果を複雑にする。最初の2件の犯人(C氏)が殺されてることで動機を分からずじまいにしちゃうの、理屈はそうなんだけど、なんかズルい(笑)。そして手紙の筆者も明かされずじまいで、ズルい。
D氏のトリック(剥がした人工芝の上で殺害し、人工芝ごと運んでもとの庭に戻した)は、実行可能なんだろうか。
記者の因幡が手紙を出した張本人かと思ってたのに、有栖川さんのあとがき読むとそういうことでもないみたい。なんで登場したんだ?因幡氏。

「推理合戦」
超短編。火村と焼き鳥食べれるなんて朝井小夜子さんになりたい(笑)。
推理のからくりを知りたくてS***町まで出向くアリスが可愛かった。

「モロッコ水晶の謎」
火村お得意の理詰め推理。自分と彼女は将来結ばれると占われてるんだからここで死ぬ訳はない、って思考回路は、信仰の力と人間の勇気が炙り出されて怖い。でも全く物証がなくて犯人の自白に頼らざるを得ない事件は、いつもちょっとモヤモヤする。
行き詰まる推理をモロッコの迷路のような路地に喩えるのは良かったけど、水晶はモロッコ産じゃないし、タイトルがややこじつけ気味に感じた。
この作品の一番グッと来たところは、アリスのモノローグ「人は、親しくなった友人に打ち明け話をするのではない。このように、通りすがりの者に人生の重さを戯れに吐き出す。だから、私は火村から聞けない話があるのだろう」ですね。腐女子に刺さる名文です。このフレーズだけで名作認定です(笑)。

解説の「モロッコ水晶の謎」解釈は、美苗に責任転嫁しているという見解は慧眼だけど、弘俊が阿江を愛していたとするのは穿ち過ぎだと思う。この物語はどう頑張ってもそうは読み取れない。姉を愛していた、まではアリだと思うけど。

0
2021年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とある社長邸のパーティに招かれた推理作家・有栖川の目前で毒殺事件が発生!邸内にいた10人の中でグラスに毒物を混入できたのは誰か、そして動機は…。犯罪学者・火村が超絶論理で謎に挑む表題作ほか「助教授の身代金」「ABCキラー」「推理合戦」を収録。本格推理の醍醐味に満ちた“国名シリーズ”第8弾。


どれも好きだけど、表題作のトリック?が、すごく怖かった…

0
2019年04月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

助教授の身代金
ABCキラー
推理合戦
モロッコ水晶の謎
表題作の犯人に驚き!占いをそこまで信じるなんて…

0
2020年04月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表題作がとても面白かった。
あの親にしてこの犯人、なのかなぁとも思うし、占いを信じない火村先生だから解決出来た事件だとも思う。

期待して読んだABCキラーがそこまで刺さらなかったのだけど何故だろう…?
交換殺人なのかなとわくわくして読み進めていたのに、結局ABは偶然だと?わくわくを返して欲しい笑
第三の犯人も名言がされていないのも、この作品で効果的な書かれ方と思えなかったので少しばかりびっくりしました。
有栖川先生のファンの方はどう読まれたのか気になりますね。

0
2019年09月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「助教授の身代金」
助教授という、ヒットした出演作の役柄からあだ名される過去の人になってしまった俳優が誘拐された、というところから始まる話。奥さんが要求通りに身代金を準備して、指示された通り電車に乗ったのに、回収されることのなかった身代金。
後日誘拐された俳優の遺体が発見されるんだけれども、世間の注目を集めた事件だっただけに、早期解決を望む警察から協力を要請される火村せんせ。
なかなか捻くれてておもしろかったです。犯人は不仲だった奥さんなんですけども、誘拐事件を仕立て上げたのは、俳優の友人でもあり、奥さんに密かな思いを寄せていた人物。この人がまた、やばいんですよねw 奥さんへの思いが高じて、彼女らの家に盗聴器を仕掛けてるの。その盗聴器から奥さんが、俳優を殺したことを知って、助けるつもりで誘拐事件であるかのように見せかけて、遺体を別の場所に移動させていた、という。クレイジーが過ぎますねw
盗聴器に気づいたのが、初めて火村先生とアリスにあった時に、確信を持って二人を間違えた、というところから導き出す火村先生の冴え渡る推理がすごい。

「ABCキラー」
クリスティのミステリよろしく、Aのつく町名で浅倉さんが、Bのつく町名で番藤さんが、という調子で連続殺人事件と思われる事件が発生。凶器は共通の拳銃、事件が起こると警察あてに挑戦状のような書面が届く。でも、被害者の共通点が見つからない中、調査を進めていくうちに、それぞれの関係者の中に意味ありげな人が浮かび上がってきて…という話。
これもまたひねられてましたねー。挑戦状を送った人と、実際に殺人を起こした犯人は別、さらにいうと殺人犯は二人いて、最初の犯人は、二人目の犯人に殺されるねじれ現象が起こってるという。途中から挑戦状は別の人では、とは確かに思ったんですけどねー。一つつながりが見えるとスルスル解けていくように解けるの面白いなー。

「推理合戦」
これは箸休め的な。小休止と言いますか。
小夜子さんと火村せんせと三人での飲み会上で、小夜子さんの新連載を読んだ火村が、最近どこどこ町に行きましたね?と突然きりだす。どうしてそれを?と不思議がる小夜子さん。最近火村せんせもその町で起こった殺人事件の調査で行ったはずだけれども…と不思議がるアリスに、答えを閃いた小夜子さんが、車はいつ戻ってきますか?と火村せんせに尋ね返す、というところで一幕が終わり、二幕目は答え探しに件の町に降り立つアリス。歩いているうちに、火村の推理の理由がわかり、さらに一捻り、意趣返しに小夜子にその小説の犯人は誰々でしょう、とあててみせると、という三人のお戯れの話。

「モロッコ水晶の謎」
珍しくアリスが殺人事件に巻き込まれてしまう系。
アリスが、ある大型書店の経営者の敷地の一角に住まう占い師の元を取材で訪れたところ、経営者の息子が小説家を目指していて、ぜひ本物の作家さんに話を聞いてみたい、と言われてお呼ばれするアリス。気に入られて(だったかな…該当箇所がパラ見では発見できなかった…)、ホームパーティーに呼ばれるんですけど、そこで殺人事件としか思えない事件が発生。殺されたのは、その家の長女(姉)の婚約者で、毒物を飲んだと思われるんだけれども、毒を入れる機会が誰かにあったとは思えないのに…という不思議な状況。苦手な野上巡査部長のいる樺田班が担当になり、火村も後からかけつけて謎解きに参加する流れに。
この話のすごいところは、トリックらしいトリックがないところですね。
犯人は小説家志望の息子(弟)なんですけど、姉の婚約者がどうしても好きになれない、家の一員になるのは耐え難い、という理由で、家にあった除草剤を被害者の飲み物に混入させていたんですけれども。被害者がどれを取るかはわからなかったんだけど、居候の占い師先生に以前言われた、その占い師先生の元にいる、彼女の姪と結婚する未来が見えるという言葉を信じて、被害者と、犯人、姪の三人しか飲むことのないオレンジジュースに、事前に除草剤を入れておいた、という…。つまり1/3の確率で自分、またはターゲット以外の人を殺す可能性もありながら、あえて除草剤を入れていた、という狂気。すごいわ…。

で、解説…!
佳多山大地さんが書いているのですが、モロッコ水晶の謎の深読みがすごい…。その発想はなかった、と思いつつ、いや確かにそうも読めるな、っていうのがとても衝撃的で、真っ先に書いておかずにはいられなかったですw 動機も、犯行の方法も180度反転しますね。いやあすごい納得。
弟が、実は占いは信じてなんかいなくて、ただの方便だったのではないか説。毒の入ったグラスは見分けられるようにしていて、被害者がそれを取らなかったら、犯行を見送ることもできたかもしれない。占いを信じてやったというのは自分の責任を転嫁する目的があったのかもしれない。そして、被害者をターゲットにしたのは、実は弟が姉に恋をしていたからかもしれない。という仮説、凄すぎます。確かにそう読めなくもないし、ある意味ちょっと腑に落ちやすいんですよね…。
あと学生アリスシリーズと作家アリスシリーズの関係性などにも焦点が当たってて、面白いなあ、と思ったのでした。江神さんが学生を続けてる理由を予想外のところで知ってしまった感はありますがw

時間が経ちすぎて細かいところは忘れてしまった!
んですけど、感想書いて改めて見てたら、今回の話はねじれ現象が中心になってる話が多いんだなあ、などと思ったのでした。

0
2018年02月06日

「小説」ランキング