【感想・ネタバレ】モロッコ水晶の謎のレビュー

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表題作の被害者、生前の印象とは裏腹にあんまり好かれてなくて、死後に色々明らかになる感じがすごくリアル
被害者だけでなく関係者も、人物像がはっきり頭に浮かんだ

人物描写やトリックが有栖川先生って感じですごく好き


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2024年05月05日

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『助教授の身代金』はタイトルを読んで、まさか火村先生が誘拐される?!と思ってしまった。
あとがきにある通り、まんまとタイトルにミスリードされちゃった(笑)
火村先生の推理では、あの部分でそこまで推測していたのかと、改めて観察眼に脱帽。
他の作品も面白かった!
掌編の『推理合戦』はすごく平和で和む。
友人二人の推理に負けじと意地になって行動するアリスが可愛かった!

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2022年04月29日

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ネタバレ

 「臨床犯罪学者 火村英生の推理2019」をケーブルTVで録画した。視聴に先立って原作を読むべく「ABCキラー」収録の本書を借りる。
 お目当ての「ABC〜」、オマージュ先の「ABC殺人事件」を児童向けリライトで読んだきりなのだが、原典にひねりを加えて藍より青し。なお、死体の移動などチカラ仕事が要る場合、容疑者をそのように描写していることに気づく。「狩人の悪夢」でもその点フェアプレーだった。
 表題作「モロッコ水晶の謎」、一種の心理的トリックか? 横溝正史のアレでは、犯人の異常な潔癖さが犯行動機に繋がる。松本清張のアレでは、被害者が度を越した善人ゆえに殺される。それら先駆作品を思い出した。

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2021年07月20日

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ネタバレ

第8弾
短編集というには長い話集。 「助教授の身代金」あとがきで筆者も書いていたけれど、火村が誘拐されるのかと思った。 犯人はもちろん悪いのだけど、被害者も“共犯者”もダメダメで、読んでいて気が滅入った。 「ABCキラー」事件がどうとかよりも、アリスにつきまとう記者が好きになれない。やはりクイーンは読破すべきか… 「推理合戦」朝井先生、好きなので出てきてくれて嬉しい。ぎゅっと短くて面白い。 「モロッコ水晶の謎」何とも言えない話。動機が繊細すぎる。あまり現実味がない。信じるってときどき、とても怖い。

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2022年10月09日

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ネタバレ

予言がテーマの短編集。

表題作の前に差し込まれている「推理合戦」が好き。掌編だからすぐ読めちゃうんだけど、ちゃんとアリスが推理してて好き。
というか、朝井さんと火村先生に対抗して現場までいっちゃうアリスが可愛い。
この話のために買っても惜しくない(笑)

「助教授の身代金」は昨今の誘拐事件事情(?)がよく分かる。この事件では誘拐というか、なんというか、真犯人の歪んだ愛と性癖の結果というか…。
犯人は怖かっただろうな、全然意味がわからなくて。

「ABCキラー」はドラマ特別編の記憶朧気にありながら読んだ。予告状の犯人が一番不気味。そいつも捕まえて欲しいよ火村先生。

そして表題作。
予言の裏の切ない想いが引き起こした殺人事件。
占いという曖昧模糊のものを根底としながら、あくまで推理は論理的。
げに不可思議は人の信じる思いかな。
そしてこの話の見所は、アリスが火村先生との想い出を第三者に話してたら1時間も過ぎたという点ではないかと思うのです。その直前の火村先生の悩みへの想いの部分も捨てがたいけどね。

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2021年10月14日

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タイトルになっている〝モロッコ水晶の謎〟をはじめ、予言(予告)モノを集めたのかな?という印象。読後すっきりではないのだけれど、実際は割り切れないことの方が多く現実ってこんなものかも…と逆にリアリティを感じた。

中篇3篇の中にある超短篇〝推理合戦〟も面白かった。
著者もあとがきで触れられているが、こういう箸休めのソルベみたいなのも好み!

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2021年10月06日

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ネタバレ

ここのところ作家アリスシリーズを集中的に読んだのは、ずっと積読してた本作品をいい加減何とかしたかったから。(←シリーズモノは刊行順に読みたいタイプ)
4編収録だけど、ひとつは超短いので中編3編って感じ。
「意図しない共犯モノ」でまとめたわけじゃないんだろうけど、どれもちょっと変わり種な感じで、楽しかったです。

「助教授の身代金」
元俳優の誘拐事件が殺人事件に発展するんだけど、被害者の死亡推定時刻は誘拐より前だった。
自分が殺したはずの人を誘拐したなんて電話を貰ったら、さぞかし怖いだろう。犯行現場を見られたと思うだろうか。録音された台詞がなければ、死んだと思った被害者は実は生きていたと思うんだろうけど。

「ABCキラー」
A町でA氏が、B町でB氏が射殺される。アルファベット順の殺害を仄めかす手紙が警察に届いて、C町でC氏が殺され、D町でD氏が殺される。
事件そのものが演出がかってて面白かった。絶叫城の事件に触れられたりして、サザエさん時間の作品世界に突如生まれた時系列に驚いたり。
殺人犯が2人、手紙書いたのはまた別人という事実が、結果を複雑にする。最初の2件の犯人(C氏)が殺されてることで動機を分からずじまいにしちゃうの、理屈はそうなんだけど、なんかズルい(笑)。そして手紙の筆者も明かされずじまいで、ズルい。
D氏のトリック(剥がした人工芝の上で殺害し、人工芝ごと運んでもとの庭に戻した)は、実行可能なんだろうか。
記者の因幡が手紙を出した張本人かと思ってたのに、有栖川さんのあとがき読むとそういうことでもないみたい。なんで登場したんだ?因幡氏。

「推理合戦」
超短編。火村と焼き鳥食べれるなんて朝井小夜子さんになりたい(笑)。
推理のからくりを知りたくてS***町まで出向くアリスが可愛かった。

「モロッコ水晶の謎」
火村お得意の理詰め推理。自分と彼女は将来結ばれると占われてるんだからここで死ぬ訳はない、って思考回路は、信仰の力と人間の勇気が炙り出されて怖い。でも全く物証がなくて犯人の自白に頼らざるを得ない事件は、いつもちょっとモヤモヤする。
行き詰まる推理をモロッコの迷路のような路地に喩えるのは良かったけど、水晶はモロッコ産じゃないし、タイトルがややこじつけ気味に感じた。
この作品の一番グッと来たところは、アリスのモノローグ「人は、親しくなった友人に打ち明け話をするのではない。このように、通りすがりの者に人生の重さを戯れに吐き出す。だから、私は火村から聞けない話があるのだろう」ですね。腐女子に刺さる名文です。このフレーズだけで名作認定です(笑)。

解説の「モロッコ水晶の謎」解釈は、美苗に責任転嫁しているという見解は慧眼だけど、弘俊が阿江を愛していたとするのは穿ち過ぎだと思う。この物語はどう頑張ってもそうは読み取れない。姉を愛していた、まではアリだと思うけど。

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2021年05月19日

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数年ぶりの再読。この時期に再読したのに特に他意はない。四編収録されているが「助教授の身代金」は覚えていたものの他の三編は全く覚えていなかった。そういやこの「ABCキラー」で因幡丈一郎が初登場してたんだなぁとしみじみ。表題作でもある「モロッコ水晶の謎」のオチは個人的には十分あり。むしろこういう動機な方が人間くさい気がするのは私だけかしら?

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2019年10月08日

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ネタバレ

とある社長邸のパーティに招かれた推理作家・有栖川の目前で毒殺事件が発生!邸内にいた10人の中でグラスに毒物を混入できたのは誰か、そして動機は…。犯罪学者・火村が超絶論理で謎に挑む表題作ほか「助教授の身代金」「ABCキラー」「推理合戦」を収録。本格推理の醍醐味に満ちた“国名シリーズ”第8弾。


どれも好きだけど、表題作のトリック?が、すごく怖かった…

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2019年04月12日

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少し以前、助教授役で人気を博した俳優が誘拐されたー助教授の身代金
Aの町でA氏が、Bの町でB氏が殺された。凶器は同じ銃。これではまるであの有名なーABCキラー
先輩作家朝井の行動をピタリと当てる火村。まさかついに透視能力まで備えたのかー推理合戦
社長宅のホームパーティでその娘の恋人が毒殺された。お抱えの占い師も読み取れなかった未来、それはいかにして成ったのかーモロッコ水晶の謎

「助教授のー」はドラマになってましたね。
一番好きなのは「推理合戦」です。食えないセンパイと食えない友人に囲まれたアリス。がんばれ!
表題作の「モロッコ水晶の謎」ロジックで唯一の真犯人を探し出す手法はいつも通り鮮やかですが、乱暴な印象。ただそういうこともあるかなぁと否定はしないので消極的な受け入れといったところでしょうか。
もっと他に利口な方法が、それこそいくらでもあったでしょうがと犯人には言いたい。

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2017年09月06日

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国名シリースは実に久しぶりで干支が一回り以上している。有栖川さんの作品は短編よりは長編の方が好きだな、そして、作家アリスよりは学生アリスの方がより好きだな、って枚か思っているような気がする。「ABCキラー」のような作品を読むたびに、このフォーマットを作ったクリスティは偉大だなって思う。

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2024年02月12日

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短編集。

「教授の身代金」
1話目から猛烈に面白かった。
「教授」が誘拐された。そして、殺害された。
容疑者は少ないのに、全員にアリバイがある。
誰が犯人なのか、全く想像がつかなかった。
相変わらずの火村助教授の冴えわたる推理が素晴らしい!
そして、どのような思考の過程からその結論に辿り着いたのか、説明を聞いて、なるほど!と唸らされた。
なにげないエピソードの中に、ちゃんと伏線が散りばめられていたのだな…。
これまで見たこともない物語で、とても楽しめた。

「ABCキラー」
アガサクリスティのABC殺人事件を彷彿とさせる。同じ結末のはずはないから、どんなオリジナルストーリーなんだろう…と読み進めていくと、なるほど、新しい発想だと思った。やはりストーリーがよく考えられていて楽しめた。

「推理合戦」
10ページにも満たないちょっとしたコバナシ。

「モロッコ水晶の謎」
水晶占いモノ。登場人物の人間模様やストーリーは、まあまあ楽しめたが、肝心の毒殺の方法や犯人に辿り着くまでの火村助教授の推理については、少しガッカリ感があった。この短編集の目玉商品にするには、少し力不足かな。「教授の身代金」や「ABCキラー」の方が私は好きかな。

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2023年10月09日

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これでAudibleの国名シリーズも最後。面白いと思った順に数字を振っている。

③「助教授の身代金」
①「ABCキラー」
②「推理合戦」
④「モロッコ水晶の謎」

なんというか、ネタが尽きてきてるかな?
特に表題作は論理と非論理的を融合したチャレンジなのかもしれないけど、今ひとつ説得力にかけた。

本格、好きなので辛めの点数。

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2023年01月30日

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表題作「モロッコ水晶の謎」は、大御所だから許されるのかなと思います。これを若手が書いたら編集にめちゃくちゃ怒られそう…。
とりあえず、かなりの作品数を書いてきた有栖川有栖先生の野心的?作品です。
他の短編もあれ?(あとがきで作者も書かれていますが)と感じる異端の一冊です。

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2023年01月30日

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なんといえばよいのだろう?
有栖川有栖は好きなはずなのだけれと、今一つ、読んでいる最中の体がざわつくような、謎への興味、期待感が少ないような?

アリスと火村助教授コンビは、たしかに、ホームズとワトソンのように、作品を読んでいる時は、とても安心感があり、心地よいのだが・・。

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2023年01月15日

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国名シリーズ8作目らしい。中編3作、短篇の推理合戦の4作品。題名はこじつけでない事を願いつつ、なぜこの表題にしたのかを意識しながら読んでいく。

助教授の身代金:助教授といっても火村ではない。真犯人の動機が解決を遅らせる。普段何気ない言動を記憶している火村、それが解決へと誘う。

ABCキラー:アガサのABC殺人事件を倣っているのだろうか?警察に届いた手紙を書いた者、殺人犯、被害者が複数入り乱れ、より複雑になっている。そこが読み応えがある。

モロッコ水晶の謎:表題作、やはりこじつけか?例えとしてモロッコの路地が迷路のようで、推理の行き詰まりを表現しているというのは無理がある。水晶もモロッコ産ではない。作中の表現で、人は親しい友人に打ち明け話をするのではない。通りすがりの人に人生の重さを語るというような表現はよくわかる。

間に推理合戦という短篇がある。箸休めだそうだ。焼き鳥が食べたくなった。

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2022年09月13日

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表題作モロッコ水晶の謎の結末はスッキリとしないものがあったが、占いというものを信じるならばアリだとも言えた。ABCキラーはクリスティのABC殺人事件を読んで好きだったので、こんな形もあるんだなと面白かった。

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2022年07月01日

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急に『作家アリスシリーズ』が読みたくなったので、読んでいた本を全て中断して積読から中編集を。急に「あの作品読みたい!」ってなることありますよね( ある…よね…? )

表題作の『モロッコ水晶の謎』は賛否両論ありそうだなぁと思いつつ、私は「あり」でした。占いとか心理テストとか信じてないふりをしつつ信じてしまう単純だから、( 'ω')ヒェッとなりながら読みました。

所々に現実で起きた事件の名前も。即調べて( 調べなくても説明してくれています )みたり。『助教授の身代金』と『ABCキラー』は映像化したような記憶があるので、久しぶりに『犯罪心理学者 火村英生の推理』が観たくなりました。

どの結末も全く想像していなかったので驚きの連続で、楽しかったです!やっぱり火村とアリスの会話に癒される…。
でも『推理合戦』が1番面白かったです。

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2022年06月13日

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長編から読んでいたので、初短編。まさしくフィールドワークが読めて面白い。事件が起きるまで焦ったいって事も無いし、サクサク読める。お口直しのシャーベット「推理合戦」もなるほどねっと軽くて好き。

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2022年05月07日

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表題作の展開が予想外すぎて二度見した。
水晶占いという神秘的な要素を扱っていても推理はあくまで論理的。
読んだ直後はまさか!と驚いたけど、実際信じる気持ちがあらゆるものを超越することってあるもんなあ。
あとの3作品もなかなか楽しませてくれる。
一番好きなのは推理合戦。

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2022年02月16日

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作家アリスの国名シリーズ8作目。
4作品からなる中編小説。
個人的にこれぞ!っていう作品がなかった。
すっきりせず終わってしましました。

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2020年12月10日

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標題の事件はなかなか大胆なトリックだったかぁ。
トリックとはもはや言えないかも。

最初の身代金のやつもABCもなかなか印象的だった

2020.9.6
87

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2020年09月06日

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ネタバレ

助教授の身代金
ABCキラー
推理合戦
モロッコ水晶の謎
表題作の犯人に驚き!占いをそこまで信じるなんて…

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2020年04月22日

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ネタバレ

表題作がとても面白かった。
あの親にしてこの犯人、なのかなぁとも思うし、占いを信じない火村先生だから解決出来た事件だとも思う。

期待して読んだABCキラーがそこまで刺さらなかったのだけど何故だろう…?
交換殺人なのかなとわくわくして読み進めていたのに、結局ABは偶然だと?わくわくを返して欲しい笑
第三の犯人も名言がされていないのも、この作品で効果的な書かれ方と思えなかったので少しばかりびっくりしました。
有栖川先生のファンの方はどう読まれたのか気になりますね。

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2019年09月05日

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「助教授の身代金」、「ABCキラー」、「推理合戦」、「モロッコ水晶の謎」の4編。モロッコ水晶の謎での、火村の推理が驚きだった。占いという科学的根拠のないものを信じて疑わなかった人間の心が作り出した、普通の推理では解き明かせないトリック。

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2019年04月28日

Posted by ブクログ

そんな理由で人を殺すんですか?的な動悸も凄いけど、そんな理由であのトリック実行できちゃう犯人が衝撃的でした
思い込みの力って凄く怖い!!

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2019年04月03日

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単行本やノベルズ版を整理して文庫本に揃い変えているのだが、ぜんかい読んだのがいつなのかをまったく覚えていないくらいの再読になった。「助教授の身代金」だけよく覚えていて、他の三編はほとんどの内容が飛んでいた。気が利いているのはやはり「推理合戦」。殺人事件が起きるミステリを愛しているが、こういった作品があるとシリーズもののファンとしてはとても楽しい。「ABCキラー」と「モロッコ水晶の謎」は根気とひらめきが活躍した印象。ナイフで暗幕を切り裂くような推理だと感じるが、論理でギリギリまで積み上げたからこそ成り立つ。

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2018年02月04日

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ネタバレ

「助教授の身代金」
助教授という、ヒットした出演作の役柄からあだ名される過去の人になってしまった俳優が誘拐された、というところから始まる話。奥さんが要求通りに身代金を準備して、指示された通り電車に乗ったのに、回収されることのなかった身代金。
後日誘拐された俳優の遺体が発見されるんだけれども、世間の注目を集めた事件だっただけに、早期解決を望む警察から協力を要請される火村せんせ。
なかなか捻くれてておもしろかったです。犯人は不仲だった奥さんなんですけども、誘拐事件を仕立て上げたのは、俳優の友人でもあり、奥さんに密かな思いを寄せていた人物。この人がまた、やばいんですよねw 奥さんへの思いが高じて、彼女らの家に盗聴器を仕掛けてるの。その盗聴器から奥さんが、俳優を殺したことを知って、助けるつもりで誘拐事件であるかのように見せかけて、遺体を別の場所に移動させていた、という。クレイジーが過ぎますねw
盗聴器に気づいたのが、初めて火村先生とアリスにあった時に、確信を持って二人を間違えた、というところから導き出す火村先生の冴え渡る推理がすごい。

「ABCキラー」
クリスティのミステリよろしく、Aのつく町名で浅倉さんが、Bのつく町名で番藤さんが、という調子で連続殺人事件と思われる事件が発生。凶器は共通の拳銃、事件が起こると警察あてに挑戦状のような書面が届く。でも、被害者の共通点が見つからない中、調査を進めていくうちに、それぞれの関係者の中に意味ありげな人が浮かび上がってきて…という話。
これもまたひねられてましたねー。挑戦状を送った人と、実際に殺人を起こした犯人は別、さらにいうと殺人犯は二人いて、最初の犯人は、二人目の犯人に殺されるねじれ現象が起こってるという。途中から挑戦状は別の人では、とは確かに思ったんですけどねー。一つつながりが見えるとスルスル解けていくように解けるの面白いなー。

「推理合戦」
これは箸休め的な。小休止と言いますか。
小夜子さんと火村せんせと三人での飲み会上で、小夜子さんの新連載を読んだ火村が、最近どこどこ町に行きましたね?と突然きりだす。どうしてそれを?と不思議がる小夜子さん。最近火村せんせもその町で起こった殺人事件の調査で行ったはずだけれども…と不思議がるアリスに、答えを閃いた小夜子さんが、車はいつ戻ってきますか?と火村せんせに尋ね返す、というところで一幕が終わり、二幕目は答え探しに件の町に降り立つアリス。歩いているうちに、火村の推理の理由がわかり、さらに一捻り、意趣返しに小夜子にその小説の犯人は誰々でしょう、とあててみせると、という三人のお戯れの話。

「モロッコ水晶の謎」
珍しくアリスが殺人事件に巻き込まれてしまう系。
アリスが、ある大型書店の経営者の敷地の一角に住まう占い師の元を取材で訪れたところ、経営者の息子が小説家を目指していて、ぜひ本物の作家さんに話を聞いてみたい、と言われてお呼ばれするアリス。気に入られて(だったかな…該当箇所がパラ見では発見できなかった…)、ホームパーティーに呼ばれるんですけど、そこで殺人事件としか思えない事件が発生。殺されたのは、その家の長女(姉)の婚約者で、毒物を飲んだと思われるんだけれども、毒を入れる機会が誰かにあったとは思えないのに…という不思議な状況。苦手な野上巡査部長のいる樺田班が担当になり、火村も後からかけつけて謎解きに参加する流れに。
この話のすごいところは、トリックらしいトリックがないところですね。
犯人は小説家志望の息子(弟)なんですけど、姉の婚約者がどうしても好きになれない、家の一員になるのは耐え難い、という理由で、家にあった除草剤を被害者の飲み物に混入させていたんですけれども。被害者がどれを取るかはわからなかったんだけど、居候の占い師先生に以前言われた、その占い師先生の元にいる、彼女の姪と結婚する未来が見えるという言葉を信じて、被害者と、犯人、姪の三人しか飲むことのないオレンジジュースに、事前に除草剤を入れておいた、という…。つまり1/3の確率で自分、またはターゲット以外の人を殺す可能性もありながら、あえて除草剤を入れていた、という狂気。すごいわ…。

で、解説…!
佳多山大地さんが書いているのですが、モロッコ水晶の謎の深読みがすごい…。その発想はなかった、と思いつつ、いや確かにそうも読めるな、っていうのがとても衝撃的で、真っ先に書いておかずにはいられなかったですw 動機も、犯行の方法も180度反転しますね。いやあすごい納得。
弟が、実は占いは信じてなんかいなくて、ただの方便だったのではないか説。毒の入ったグラスは見分けられるようにしていて、被害者がそれを取らなかったら、犯行を見送ることもできたかもしれない。占いを信じてやったというのは自分の責任を転嫁する目的があったのかもしれない。そして、被害者をターゲットにしたのは、実は弟が姉に恋をしていたからかもしれない。という仮説、凄すぎます。確かにそう読めなくもないし、ある意味ちょっと腑に落ちやすいんですよね…。
あと学生アリスシリーズと作家アリスシリーズの関係性などにも焦点が当たってて、面白いなあ、と思ったのでした。江神さんが学生を続けてる理由を予想外のところで知ってしまった感はありますがw

時間が経ちすぎて細かいところは忘れてしまった!
んですけど、感想書いて改めて見てたら、今回の話はねじれ現象が中心になってる話が多いんだなあ、などと思ったのでした。

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2018年02月06日

Posted by ブクログ

久しぶりにこのシリーズを読んだ。文章が上品だなあと改めて思った。
文章がすき。

20190927 再読
助教授の身代金
久しぶりの再読だと大抵内容をすっかり忘れていていちいち新鮮に読めてしまうタイプなんだけれど、これはものすごく印象に残っていて全て覚えていた。
誘拐ものが珍しいからかな。最後の「あんた今でも楽しいか」ってセリフがとても印象的。

ABCキラー
ドラマの題材になると聞いて。なぜか犯人は覚えていたんだけれど、あらすじを忘れていてとても楽しめた。
クリスティのABC殺人事件はやはり名作で、こちらも子どもの頃に読んだままだったけれど、クリスティはポワロよりミスマープル派だったりして、どうもポワロは鼻に付くのを思い出した。作中のアリスに全く同感。
因幡の白兎氏初登場。ちょこちょこ出てくるけどなんとも言えない。

推理合戦
軽い掌編。アリスと先生と朝井さんのトリオ、すごく好き。私もいつか通天閣の下で串カツ食べてみたい…!

モロッコ水晶の謎
表題作。オカルト的なものへの拒否感が強い二人が、「先生」に比較的優しいのが新鮮だった。
国名シリーズの毒殺ものといえばロシア紅茶の謎の印象が強いけれど、毒殺ものは読後感がいつも独特というか、ずっしり寂しい感じがする。
毒殺は女の殺し、みたいな話を聞いたことがあるけど、その是非はともかく、感覚として理解できないこともないな。推理小説においては。

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2019年09月28日

Posted by ブクログ

火村さんの「マジ」にときめきました(笑)。
内容は…スイス時計のが好きかな。
推理合戦がいちばん好きかも。

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2019年05月29日

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