【感想・ネタバレ】ペルシャ猫の謎のレビュー

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有栖川作品の1作目には向かない

『赤い帽子』は最後までいつもの探偵コンビは出てこない。人海戦術、刑事の勘が如何に重要なのか思い知る。
最後のページでこれで全てが繋がる、といったシーンでは達成感のあまり読んでるこちらが泣けてきた。これも小説なんだけれども、事件は小説とは違うんだよ、と言われた気分だった。

どの作品にも言えることだが、今回はいつもの様にトリックが巧妙で…といった趣ではない。
キャラクターの個性を表したような、舞台裏を見たような、とても愛おしい作品だった。
よって、有栖川作品を最初に読む人にはお勧めできない。

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2016年06月13日

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ネタバレ

第5弾
短編集。テイストの違う話ばかりでいちいち楽しい。 どうしてその人のために嘘つくのかわからなかったり、月のところがわからなくて何度も読み返したりしてしまった。 森下くんのやる気も、ただの若者じゃない、ちゃんと責任持っているところとか、先輩敬うところとか。2人のことを何の疑いもなく信じるところも、ただの盲目じゃなくて実績見てたり、海坊主が信じているからなのかなって思わせるところもいい。 でも何よりも最後の短短編が好き。

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2022年10月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大分このシリーズの虜になってるのでもう冷静な判断が下せないけど、本作品も楽しかった。
各話がバラエティに富んでいて退屈しなかった。解説ではその印象が見事に文章化されていて、解説ともども好き。
単に相性の問題かもしれないけど、有栖川さんの作品は自分にしっくり来る。考え方なんかが似てるのかも。


「切り裂きジャックを待ちながら」
本書の中では最も正統派ミステリっぽい。でも短編なので、殺人が起き、火村が登場し、事件が解決し、犯人がどうにかなる、というミステリのハイライトだけが無駄なく抽出されて仕上げられた感じを受けた。つまり手っ取り早く満足できる。
動機は確かにやや弱いか。でも作家アリスシリーズって大抵動機が弱い(笑)。
火村のカッコ良さも無駄なく抽出されてる話。

「わらう月」
容疑者の恋人(女性)視点の一人称、という変わり種の作品。オーストラリアにいたというアリバイ工作のために日本で撮影された写真のトリックに、警察と火村とアリスが迫る。彼女を質問攻めにするのが火村でなくアリスなのが新鮮だった。
写真のトリックには協力したけど容疑者が本当に殺人を犯したのかどうかは知らない、という彼女の立場はなかなか面白かった。
女性の一人称を書かせても全然違和感ない男性作家は、有栖川さんと北村さんが私の中の2大巨頭。

「暗号を撒く男」
ちゃんとは分からなかったけど、なんか星座臭いなとは思った。
朝井小夜子さんは久々の登場。作家同士ってこういう飲み付き合いあるのかな?

「赤い帽子」
アリス・火村と協力関係にある大阪府警捜査一課のアルマーニ森下視点で、ある事件の捜査風景を描写した話。アルマーニ以外は存在感の薄かった森下と仲良くなれた気がした(笑)。真面目なイイ子だった。
警察の社内誌で連載されたものらしく、警察の地道な仕事を丁寧に綴った話になってる。火村もアリスも最後まで出てこなかったけど、退屈せず読めた。

「悲劇的」
ある学生がレポートと称して提出してきた感情的な文章に、火村が彼なりの答えを書き加えて終わる、というこれもちょっと変わったごく短い話。もはやミステリ要素は皆無で、火村の冷酷な一面を味わえる、キャラ小説のボーナストラックみたい。
冒頭の、アリスと片桐の程良い距離感はいつも好ましく思う。旅行とかも一緒に行って割と親しいのに、友達関係とは一線を画した礼節を忘れないアリスの接し方に、アリスの性格が滲み出ている(見どころはそこじゃない)。

「ペルシャ猫の謎」
私はミステリにファンタジーが入り込んでくるのを嫌うタイプだけど、この話は割とすんなり読めた。おそらく、ドッペルゲンガーが犯行の主体じゃなかったことと、ドッペルゲンガー現象の原因が一酸化炭素中毒であることが仄めかし程度とはいえ合理的な説明として受け入れられたからだと思う。
 
「猫と雨と助教授と」
猫に優しい火村のエピソードに触れる(だけの)これもボーナストラック的な話。「悲劇的」の火村が冷徹ならこちらは優しさを垣間見られる。キャラ好きにとってはこういう何気ないエピソードだけのものが読めるのも単純に嬉しい。
猫はまんま実際有栖川さんが飼ってる猫がモデルのようで、このシリーズはホントに有栖川さんの日常が要所要所に織り交ぜられてるんだなーと思う。もはや火村が実在しないことの方がミステリだ。

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2021年04月09日

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猫がちらちらと出てくる作品。
最初の「切り裂きジャックを待ちながら」が1番ミステリィしてた。ドラマ版と設定が結構違ってたので意外。
「わらう月」も面白い。ふむふむなるほど。
「暗号を撒く男」は何かと思ったら、ドラマのあのシーンの元ネタこれだったのか。
「赤い帽子」は火村アリスコンビの登場無しで森下くんメイン。終わり方がえっここで?!って感じでびっくり。
「悲劇的」は、読んでてやるせない気持ちになる。
「ペルシャ猫の謎」はそういうオチ?!ってちょっと肩透かしをくらったけど、とりあえず猫が可愛かった。
最後の火村先生と猫の小話もほっこり。

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2019年10月06日

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何も調べないで読んだから、いつもと違う雰囲気のお話が多くてびっくりしました。

森下刑事が好きだから『赤い帽子』はニマニマして読みました。スーツ着てる理由可愛い…。それとは別に警察の社内雑誌が気になりすぎてソワソワします。笑
表題作の『ペルシャ猫の謎』のオチには驚きました。それってありなのね。
『わらう月』は月か大好きなので題材になっていて楽しかったです。
『悲劇的』はよく分からないなぁって読みつつ、最後ので不謹慎ですが笑ってしまいました。不機嫌な火村、有栖と仲良しだなぁっとホッコリ。
『猫と雨と助教授と』はミステリではなかったですが、いつもと違う一面が見れて楽しかったです。

オチが今までと違うのが多かったけど、私は好きでした。

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2022年04月28日

Posted by ブクログ

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シリーズの中では異色作が詰まった一冊でした。
すべてに“猫”が入っていて、最後まで読むと気付く仕掛けになっているのが楽しい。

現実的な火村先生が出会った不可解な謎…
ほんのり背筋がゾワッとなるかと思いきや、さすが火村先生!論理的な根拠を元に解説してくれました。

最後のお話はミステリーではなく、日常のショートショートストーリーで、火村先生の人間らしい一面が垣間見えてほっこりします。

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2021年09月21日

Posted by ブクログ

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こちらも再読。
ほぼ覚えていたのは「わらう月」。月の描写が印象的。第三者視点の火村とアリスもいい。
「赤い帽子」森下くんが主人公。警察の内部事情がわかって興味深い。
表題作は…これはアリなのか?

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2019年04月12日

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「切り裂きジャックを待ちながら」
ある劇団あてに、誘拐された看板女優を映した映像が送られてきて、その映像の真偽を確かめてほしいと演出家に呼ばれたアリス。クリスマス公演の中止が目的のいたずらだと一蹴する監督だったが、ゲネプロ中にクリスマスツリーに引っ掛けられた看板女優の死体が現れて…。
後から駆けつけるかっこいいヒーロー登場な火村先生。クリスマスツリーと真っ白い衣装が血糊で赤く染まった看板女優の死体という視覚的なインパクト。追い詰められた犯人の狂気、みたいなところが見所ですかね。
元はドラマか何かの原案だった模様。

「わらう月」
これは一体何回読んでるんだっていう笑。多分麻々原さんの漫画でも読んでるし、ビーンズ文庫で出てる方の短編集でも読んでるはず。
いきなりのネタバレですけど、写真反転トリックでアリバイを作る話ね。これも第三者視点で、客観的に火村、アリスコンビが見れるのが面白いかも。すっとぼけてるように見えるアリスと、得体の知れない火村先生っていう組み合わせがいいですよね〜。
ちょっとエロティックな雰囲気が漂うくだりがあって、外で読んでて人の目が気になってしまった笑。

「暗号を撒く男」
火村が一人で解いた謎を、アリスが小夜子さんに話して聞かせるパターンの話。串カツ屋で三人並んでだべりながら食べてる図がなんかほっこりするんですよねえ。あとこの話は案外さらっとしてて、あの長編のあとに感じる寂寥感的なものはないかもしれない。どっちかっていうとギャグっぽいと言いますか。割と読者への挑戦の意味合いも強いかも。
暗号は全然殺人とは関係ないっていうオチは確かにありなのかどうなのか悩ましいところですけど笑。

「赤い帽子」
珍しい森下刑事主人公の話。警察内で配布される冊子への寄稿だったとか。
推理モノっていうよりは刑事ものの側面が強かったかなあ。足で稼いでなんぼみたいな。犯人に目星をつけるところには推理が絡みはするんですけど、火村先生が登場する話とはちょっと違う感じ。
若干物語の締め方が、え、これで終わり?という犯人逮捕のところにまで至らないところがしり切れとんぼのような気がしたんですけど、まあ、犯人を絞り込んで、その証拠をつかんだ、というところまでは描かれているから、それ以上は蛇足になるってことだったのかな。
森下刑事って思った以上に真面目な印象になりました。

「悲劇的」
アリスが片桐(担当編集)さんから、誰かいい人(作家)紹介してくださいよーと言われて、火村先生が採点したレポートの話をするという物語。謎とかトリック、という感じではなくて、火村英夫とは何者か、みたいな話でした。
レポートを提出した子は、バイト先の店長が強盗殺人で殺されたことに対する憤りみたいなを書き連ねたものを課題のレポートの代わりに提出して、それに火村先生が返した一言は確かに火村らしいなあ、という。

「ペルシャ猫の謎」
この話は、アリバイトリックかと思わせておいて、実は超常現象的なオチというミステリなのかどうなのか怪しい一作笑。超常現象と言っても、科学的に起こり得る可能性のあることと、という意味で、これもようは火村という人物を描いた作品なのかなあ。京極さんの姑獲鳥の夏とちょっと通じるものがあるかも。
火村先生は幽霊は信じないけど、科学的に起こり得る可能性のあることは、信じるタイプなんですねえ。

「猫と雨と助教授と」
火村先生が猫を拾ってきたというだけの話笑。これも火村英夫という人物を浮き上がらせるためのストーリーですね。
アリスじゃないけど、下宿先のばあちゃんに「婆ちゃん。猫、もう一匹増えてもいいかな」と濡れた子猫を抱えて尋ねる火村英夫って…!なにそれ萌える。ということですね(アリスは傑作なのは、と言ってましたけど)。

これも解説を読んでなるほど、と納得したんですけど、『46番目の密室』で火村が述べた「無意味に宇宙を創造したスピノザの神なら信じますがーー」というのはアインシュタインの「私は、人間の運命や行為にかかずらう神は信じません。しかし、自然界の美しい調和を現すスピノザの神は信じます」という言葉の引用で、それが無神論者の火村らしさを表していて、それが「ペルシャ猫の謎」に表されているとのこと。その話を読むと、なんでこう言う形の物語になったんだろう、という謎も解ける気がするんですよねえ。

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2017年12月04日

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