【感想・ネタバレ】注文の多い料理小説集のレビュー

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Posted by ブクログ

食がテーマの本を読むと幸せになる気がする。
自分の食事もとても大切に思えて、人生が豊かになる気がする。
なので、最近は食事の本をよく手に取ってしまう。
パン好きとしては、やはり「どっしりふわふわ」が好き。

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2023年01月31日

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7人の作家が「料理」をテーマに描いた短編小説集です。今迄に他の作品を読んだことのある作家もいれば、この小説集が初めての作家もいます。読んでみたい作家の作品を、この様な作品集を読んでからと、思う人もいるかもしれません。この短編集では柚木麻子さんの「エルゴと不倫鮨」が最初に登場します。柚木麻子さんの作品は数冊読んでいましたが、この作品は今迄で一番笑った作品です。柚木麻子さん以降の作家の作品は、どのような物語なのか興味が出てきたので、どんどんと読み進んでいきました。

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2022年08月28日

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好きな話ばかりだった
料理の描写がどのお話も目の前にあるかのよう
地元と思わせるような話もあって楽しめた

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2021年10月04日

Posted by ブクログ

おいしいごはんが出てくる話は面白いという法則を見つけたので、
ぴったりのアンソロジーじゃないか!と思い手に取った。
私の説は立証されたな、と確信を持った。
読んでいるととにかくお腹がすく。
前菜からデザートまで楽しめる話ばかり。
初めて知った作者さんもいて素敵な出会いのきっかけにもなった。

電子書籍で登録していたので、登録しなおし。(2021.8.13)

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2021年08月13日

Posted by ブクログ

2023/7/21

食事を摂る人々の短編集。

不倫やワンナイトを狙う男たちが若い女を連れてやってくるワインと寿司の店。
そこへ赤子を抱いた女が「卒乳祝い」にひとりやってくる。
柚木麻子「エルゴと不倫寿司」がインパクト強かった。

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2023年07月22日

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どれも面白かった。
井上荒野さんの作品は本人の短編集「小説家の一日」に入っているので既読でした。
柚木さんと伊吹さんは短編を読むのは初めてだったのだけれど、印象が違ってそれも面白かったです。

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2023年01月31日

Posted by ブクログ

美味しい食べ物が出てくる小説が大好きなので気になって読んでみました。
こういうアンソロジーは、今まで読んでこなかった新しい作家さんを開拓するきっかけにもなっていいですよね(^^)

7つのお話のうち、最初の2つ、柚木麻子さんの「エルゴと不倫鮨」と伊吹有喜さんの「夏も近づく」が自分的に特に好きでした。

「エルゴと不倫鮨」はおしゃれな高級寿司店が舞台で、自分では食べたことのないものややったことのない食べ合わせがたくさんでてきましたが、どれもめちゃくちゃ美味しそう♪
気取った男たちを圧倒するグルメなお母さんのキャラクターが最高で、スカッとできるお話でした。

「夏も近づく」は、田舎の美味しいものが詰まったお話。
青竹を割って作ったコップにめんつゆを入れて、自然の中で食べる素麺、シイタケのバター醤油焼きとタケノコご飯の焼きおにぎりの夜食、カリカリに焼いた手作りベーコンなど、読んでいるとお腹が空いてきちゃうこと必至の飯テロ小説です笑
最初はぎこちなかった拓実と葉月くんの関係が、食べ物をきっかけにして少しずつ近づいていく感じもとても良かったです。

あと、最後の柴田よしきさんの「どっしりふわふわ」は、前から気になっていた『高原カフェ日誌』
シリーズの登場人物が出てきてるっぽかったので、そちらを先に読んでおけば良かったかな。
また近いうちに読んでみようと思います。

美味しいものがたくさん出てきて幸せな読書タイムを過ごせました。
ごちそうさまでした!

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2022年06月11日

Posted by ブクログ

いろいろな作家さんの、しかも私の大好きな料理をテーマにした作品が、一冊で読めるのが嬉しい。

お話として好きだったのは、夏も近づく。ほんもののご飯、って感じ。
あと、どっしりふわふわも良かった。ラストにはびっくり。

エルゴと不倫鮨は、お料理がとにかく美味しそうだった。豪華すぎて想像できないのも多かったけど、雰囲気は堪能できた。ラストも好き。

色にいでにけりは、分からない色名がたくさん出てきたりして若干読みづらかったけど、昔の人たちの強さとか粋とか感じられて、良かったです。

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2022年05月01日

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ネタバレ

美味しいものや料理が好きなのでよかった。
和洋折衷、スイーツも登場するが、自分が1番心惹かれたのは和食!
心を込めた美味しい料理が作りたくなる♪

「夏も近づく」と「どっしりふわふわ」がすごーく良かった!




・エルゴと不倫鮨 ★★★★
なんか、爽快!
子連れのボロボロのお母さんが登場した時には、なんか嫌な感じやなーと思ったけど、食に対する知識が豊富でだんだん魅力的に!!

女性客たちが、仲良くなって不倫相手を放って歩いて帰る所が良き!!

ついこの間、高いお鮨屋さん行ったばっかやし、美味しいもん食べるのいーよなーって思いながら読んでた。


・夏も近づく ★★★★★
むっちゃ良かった〜〜〜
夜に呼んでたんやけど、塩おむすびと水出しのお茶がすごーく食べて飲みたくなった!

田舎暮らしの素晴らしさを感じさせられる。
特に食べ物と料理!
やっぱりきちんとした生活をするのは素晴らしいな〜と思うし素材を生かした料理がしたくなった。

最後もハッピーエンドで良かった!!!


・好好軒の犬 ★★★
春の食べ物ですごく美味しそうなのに反して、不穏な空気がずーと流れてて面白かった!


・色にいでにけり ★★★
江戸っ子の話。
時代モノの話って、物語の中に入り込むまで少し時間がかかる〜
今はカラフルなお菓子は普通だし、むしろ着色料すごそーとしか思わない。
そこまで和菓子に魅せられなかったが、色に対する日本語の表現がたくさんあるのが面白いなーと思った!


・味のわからない男 ★★★
富山に行って地のものを食べたくなった。
岩上さん、せっかく頑張ってたのに可哀想〜と思う自分は貞操観念バグってるかもー



・福神漬 ★★★
福神漬は添加物を感じるから別に好きじゃないけど、山盛りのご飯にお味噌、漬物が食べたくなった。
一瞬のタイムリープ?楽しそう。
もう大人なのに、こーゆーのワクワクする!


・どっしりふわふわ ★★★★★
良かったー!ハッピーエンドでさらに良かったー!
ヒロが女の人ってのは驚きだったけど、ラストのカフェのオーナー視点が良かった。

朋子とは理由は全然違うが私も来月から地元に帰るし、出来るだけ家族で晩御飯だけは食べようと思った。

朋子のお母さんが作る美味しそうな和食とパンが対照的やけど、美味しそう!という共通点。
やっぱり美味しい食べ物とか料理っていいな〜

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2022年04月16日

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短編で読みやすい。
一話一話、質が良いなと感じた。
一話目がお気に入り。豪快に、美味しいものを楽しむこと、こころ強くあること。

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2022年04月03日

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伊吹有喜「夏も近づく」と柴田よしき「どっしりふわふわ」が特にお気に入り。
先日読んだ「坂本司リクエスト!和菓子のアンソロジー」にも柴田さんの作品が載っていてたまたま続けて読んだらシリーズものでビックリした。
個人的には「和菓子のアンソロジー」に載っていた作品よりもこちらで読んだものの方が好きでした。

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2022年02月16日

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読んだことがない作家さんに出会えるのもアンソロジーの良いところだけど、やっぱり好みじゃない作品も入ってるので大切な一冊ということにはならないなぁ。好好軒の海里ちゃんはあちらにいる鬼の海里ちゃんなの?

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2022年01月12日

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7編の小説それぞれが、コース料理のように全て違うテイストで、食べ飽きない一冊。
痛快だったり、爽やかで愛しかったり、ゾッとしたり、応援したくなったり、背筋が凍ったり、夢現の心地だったり、未来を展望したり。
どのお話も、その後が気になるところ。
個人的に1番賢治イズムを感じたのは「福神漬」かな。お気に入りは「夏も近づく」。タイトルからしてちょっと好き。

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2021年12月23日

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『もの食う話』(文藝春秋編)、『忘れない味』(平松洋子編、講談社)も良かったけど、このアンソロジーもたまらんなぁ。

『注文の多い料理小説集』文春文庫

新作『らんたん』が気になっている柚木麻子の『エルゴと不倫鮨』は意識高い系創作鮨屋で繰り広げられる蘊蓄会話劇に真の酒呑みの子連れママの堂にいった痛飲活劇のライブ感と、客で来ている女性達の連帯が爽快すぎて通勤電車でボロ泣き。いや、決して悲しい話やないんですけど。『ランチのアッコちゃん』でも感じたけども、この作家は空間x時間の使い方がとんでもなく上手い。このトリビュートで巻頭を飾るだけあって僕のナンバー1でした。

折目正しく田舎で暮らして料理することの格好良さや、瑞々しい多幸感が胸に迫ってくる伊吹有嬉『夏も近づく』はラストでキュンキュンになってこちらも泣けた!「ここではない何処か症候群」に罹っていた青年期にカッコいいおじさんを目指して、とうにその年齢設定は超えてしまった自分だけど、もう一度こういう「優しいハードボイルド」を志してもいいかもしれない。

坂井希久子『色にいでにけり』は出色の出来栄えだと思います。江戸時代、錦絵の摺師の娘がその優れた色彩感覚からトラブルを引き起こしたり、名門の菓子屋のコンサルタントで活躍したりの時代小説エンタメ。キーマンの京都人がその風体や話し方で怪しさ満載に印象付けられているのがどんどん好感度が上がって憎いあんちくしょうに描き変えられていく筆致が絶妙。本紫、江戸紫の染料の価値や階級的表象の説明なんかがさらりと織り込まれていてとても勉強になります。

深緑野分『福神漬』。経済的な事情で大学を休学してアルバイトに励む女性が節約しつつ体力を維持するために決して美味しいとは言えない食べ物を口にした後に「 これはカロリーだ。体を動かすエネルギーになるもの。ガソリンを注入される車と一緒。栄養源。」と独りごちる様子は映画『ファイトクラブ』で不眠症にラリりながらコピー機のそばで消費社会を風刺し批判するエドワード・ノートンを彷彿させます。過労のせいで、清掃員として働いている病院の食堂での食事中に、明治時代の大衆食堂に意識がトリップして「決して上品ではない、味も良くない食事をわしわしとかき込む大衆」に触れて、エネルギーを感じ、現実世界での食事に少し居住まいを正す。彼女がよく描く「保護下にあったか弱い女性がサバイブする逞しさを否応なしに身に付けていく」過程がショートストーリの中で読書、労働、食事を中心に鮮やかに描かれたじんわり滋養強壮される銘品です。

最後の一編は柴田よしき『どっしりふわふわ』。パンの焼き上がりとイーストの使い分けの描写にとても関心を引かれました。だけどそんなことよりこのテイストの話にそんなミステリプロット盛り込んでくる!?なんとも爽やかな驚きと感動で本を閉じられます。素敵・・・


面白かった!ご馳走様でした!!

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2021年12月03日

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料理がテーマのアンソロジー。

美味しいだけじゃない料理に纏わる数々、どれもそう来るかぁといったところ。

坂井希久子さん、初読み。
時代小説で色の話で、料理はどこに?と思っていたら、見事に目と味覚を鮮やかに刺激されました。
「居酒屋ぜんや」ってシリーズ物のようで、探して読んでみます。
アンソロジーはこんな出会いがあるから外せないですね。

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2021年08月24日

Posted by ブクログ

ラストのどっしりふわふわが、
意外性もあって、面白かった。
すごーく純度の高い恋愛小説。

あとは、まあまあ。

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2021年08月21日

Posted by ブクログ

料理をテーマにしたアンソロジー。
以下お気に入り作品。
柚木麻子「エルゴと不倫鮨」
不倫を嗜む男たちの隠れ家的鮨屋に、明らかに場違いなくたびれたおばさんが襲来する。そのおばさんはなぜかとても料理に詳しく、次々と美味しそうなオリジナル創作鮨をオーダーしはじめ…まさにタイトル通り注文の多い料理小説。ラストのオチも痛快でよい。
伊吹有喜「夏も近づく」
悠々自適な田舎暮らしをしている主人公が、兄から半ば押し付けられる形で甥っ子を預かることに。田舎の豊かな自然と触れ合うことにより2人が打ち解けていく様子が微笑ましい。伊吹有喜さんらしい、爽やかで優しいお話。
坂井希久子「色にいでにけり」
はじめましての作家さん。時代物で、美しい色彩と和菓子の融合。短編なのにキャラが立ってて、シリーズもので読みたいと思った。
中村航「味のわからない男」
岩上が脳内で原田○二に変換されて笑った。

女性作家ばっかりかなと思ったけど、中村航さんは男性かな?色んなテイストの作品が詰まっていて、美味しくて嬉しいアンソロジーでした。

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2021年07月22日

Posted by ブクログ

最後の柴田よしきさんのお話には、やられました。「料理」をテーマにした七人の作家のアンソロジー。柚木麻子さん以外初めて読む作家さんばかり。どの短編も味わいが違ってて面白い。
柴田さん、柚木さんは勿論、伊吹有喜さんの「夏も近づく」が好き。複雑な家庭環境にある中学生の葉月と田舎暮らしの彼の叔父、拓実のお話。土鍋で炊いたご飯が食べたくなる。青竹を切ってコップにして飲む沢の水も美味しそう。

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2021年07月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2021/7/14
最初と最後がめっちゃよかった。
1話目読んだ後の余韻をすぐに消すのがもったいなくてしばらく置いたもの。
柚木麻子と柴田よしき。
柴田よしきはノーマークやったわ。当たりが悪くて最近読んでなかったなぁ。また読んでみようかな。
お目当ての伊吹有喜は間違いない。
後は坂井希久子さんとやら、読んでみよう。
やっぱり中村航は私は違うみたいね。

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2021年07月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

好きなアンソロジーは3つ。
坂井希久子「色にいでにけり」
 性格不器用な主人公の女の子が豊かな想像力と天性の色彩感覚で新作和菓子の意匠を行う。
お彩が考える和菓子をどんな彩り美しいのお菓子なんだろうとワクワクしながら読んだ。
 "色にいでにけり"は、"人に知られないように内に秘めていた恋心が、表れてしまっていた"という意味なので、右京との恋も暗示しているのかなと思った。
伊吹有喜「夏も近づく」
 自分の居場所がない口下手な叔父の拓実と甥っ子の葉月が、自然の中でのいただく素朴な味わいの食を通じて、不器用ながらも徐々に近づいていく様子が微笑ましかった。
 水出しのお茶が一段とおいしそうだった。「夏も近づく」は夏も近づく八十八夜〜♪の茶摘みの歌からきているのかなと思った。
柴田よしき「どっしりふわふわ」
 噛めば噛むほど味わいが出るどっしりとしたハードパン。口に入れた瞬間溶けてしまうほどの甘いソフトパン。どっちもあるから良いのである。朋子とヒロの人生を表している全く違う2つのパンを、互いに大切にしていきたいと思い合えて良かったと思った。
 人生は思ってるほど長いが、あっという間に目の前を通り過ぎていく。歳を積み重ねると、仕事や恋においても周りの目が付き纏い、悩みが複雑化する。だけど、自分の心に素直になって「好き」の気持ちを大事にしたいと思えた。

 登場人物の機微が食とともにある良い本だなと思った。食の大切さと食べることの素敵さを実感した一冊。気に入った作家さんの別作品も読んでみたい。 

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2021年05月23日

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好: 柚木麻子「エルゴと不倫鮨」/ 坂井希久子「色にいでにけり」/ 柴田よしき「どっしりふわふわ」

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2021年03月23日

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2018〜2019年オール読み物に掲載された短編から登場する料理が魅力的な小説で編んだ文春文庫オリジナル・アンソロジー。あんまり読んだことのない作家ばかりが収められており、読んだことがあるのは深緑野分くらいだった。冒頭3作がイマイチでどうなることかと思ったが、コミカルなネタをうまくまとめた「味のわからない男」(中村航)、叙述トリックが嫌味でない程度のいいアクセントになっている「どっしりふわふわ」(柴田よしき)、一瞬のタイムスリップを描いた「福神漬」(深緑野分)はこの順に良い。

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2023年09月07日

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料理にまつわる小説短編集。どれも美味しそうな描写があり食欲がそそられた。時代小説に分類されるのか『色にいでにけり』はなかなか読み進められず時間がかかってしまった。やはり時代小説は苦手なんだと再認識できた。

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2022年12月31日

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食が彩る短編小説集。
すべて日本が舞台の作品だけれど、坂井希久子さんの作品は江戸時代とかの物語で、深緑野分さんの作品は、昭和か明治とかにタイムスリップしてバラエティ豊か。
初めて読む作家さんもいて、読書の幅を広げるきっかけになりそう!

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2022年09月02日

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ネタバレ

人生を彩る料理に乾杯。

7つの個性的な短編が収められている。登場する料理も様々。お酒からお菓子、パン。時代も場所も様々だ。読み終わると美味しい料理を食べた後のように満足している。

柚木麻子「エルゴと不倫鮨」ある程度の年収の男と歳が離れた若い女性が集まる店。そこにやってきた招かれざる客は——。卒乳祝いの女性がパワフルでそこにいる人すべてが巻き込まれていく。世界をひっくり返すようなお客にコロリと順応するのはまた女性たち。疲れ果てた男性たちの顔が目に浮かぶ。

伊吹有喜「夏も近づく」三重県の自然の中に暮らす拓実のところに兄が訳ありの少年を連れてきた。美味しい水と自然の中で育ったものを食べるうちに2人は距離を縮めていく。気付いた葉月の回復が嬉しく、ラストの再会まで柔らかな光に包まれた作品。

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2022年07月18日

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美味しい料理が縁を結ぶ、7つの物語。
お腹がぐうぐう鳴るくらい美味しそうな料理が出てくる作品ばかりで、その中でも伊吹有喜さんの『夏も近づく』が好みだった。
温かい食卓を通して心の距離が近づく様子を丁寧に描いていたところが素晴らしかったのはもちろん、出てくる料理の美味しそうなこと! たけのこご飯、果肉ごろごろのバレニエ、青竹のコップで食べる素麺ーー。身体の隅々まで染み渡るような滋味あふれる料理が恋しくてたまらなくなる。
テレビやスマートフォンを眺めながらささっと食事を済ますのも悪くはないけれど、目の前の料理の香りと素材本来の味に、もっとじっくり向き合って食事をしようと姿勢を正した。

伊吹有喜さんの書く、料理がテーマの本をもっと読んでみたくなったので、『BAR追分』を手に取ってみようと思う。

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2022年07月18日

Posted by ブクログ

7人の作家による料理をテーマにしたアンソロジー。
表紙もタイトルも宮沢賢治をにオマージュしているが、中身は全く違うコース。

お気に入りは「エルゴと不倫寿司」。
育児中なら一度は聞いたことがあるはずのエルゴ。
知らない方のために簡単に説明すると、抱っこ紐のメーカー(ブランド)だ。
アメリカ発祥なので、小柄な日本人にはやや大きいようなつくりだが、流行った(私も使っていた)。
さて、そんなエルゴの抱っこ紐と、不倫。
どんな話か気になるじゃないか!
会員制イタリアン寿司に、いい歳こいたおっさんが、26歳の部下を誘う。
このおっさん、悪いやつで、ここを使っては何度もお持ち帰りをしている。
「寿司とワインのマリアージュという自由な発想がビジネスにも応用できる」って何言ってんだ。意味わかんねーよ。
そこへ登場した、スウェットとに母乳の染み付き、若くもなく、見た目もよれよれな母親と思しき女性。
おっさんたちをよそに、むしゃむしゃ食べ始めるがやたらワインに詳しい。
しかも食通なのか、次から次へと繰り出す知識。
しかし、使う食材は、お茶漬け、とか、きゅうり、とか、庶民の食べ物だ。
そのパワフル母さんをみているうちに先にいた女性たちは、隣の男を魔法の解けた目で見る。
「ここは大人の社交場ではなく、男のための社交場でしょ」という嫌味や「誰かに育児や家事を任せられる人だけが楽しむなんて」と軽蔑したように諭す。
ワインボトルを1時間で一本開けた母親は、食べたいものを食べただけだ。
しかし、その逞しさをみて、男たちは自分が守ってきたものを犯されまいと必死で母親を落とし、女性たちは母親に潔さを見、自分たちの強さも取り戻す。
この対比が面白い。

その他、「色にいでにけり」は、時代小説。版画と和菓子の物語。
「どっしりふわふわ」はパン職人と、調理学校の先生の物語。
どちらも素敵な話だ。

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2022年01月10日

Posted by ブクログ

柴田よしきさんの篇が印象に残った。
初めで読んだ柚木麻子さん、坂井希久子さんの篇も好みだったので他の物語も読んでみたい。

料理が出てくる短篇集、美味しく読めるかは結末にも左右される気がする。嫌な終わり方だとモヤモヤして食欲がなくなるからだろうか…


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2021年09月17日

Posted by ブクログ

料理をテーマにしたアンソロジー。
柚木さんのお寿司屋さんの話は、赤ちゃんを抱えるお母さんのガッツリ感が良かった。
伊吹有喜さんの自然と生きる食の取り方も良かった。
美味しさの表現の競い合い(?)が中々面白かったね。

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2021年06月27日

Posted by ブクログ

私は昔から食が細く、料理もあまり得意ではありません。でも食べ物が出てくる話が大好きなので、わくわくしながらページをめくりました。
特に「夏も近づく」は何度も読みました。高級食材や珍しい調味料なんか使わなくても、経験と少しの手間で身近な食材を美味しくいただく術を知ってる拓実はすごく生命力の強い人だと思う。そんな拓実と暮らす葉月がどう成長していくのか楽しみで、読むと爽やかな気持ちになりました。

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2023年12月23日

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