【感想・ネタバレ】兄の終いのレビュー

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Posted by ブクログ

多賀城市に行ってみたくなった。多分数時間、1日にもあれば読み終わる本なのだけれど、内容はとても濃い。著者が直面したことは本当にタフな出来事だ。家族というものにまつわる温かな好意的な側面ではなく、個人を縛り付けるネガティブな呪いのような面に、正面に向き合いざるを得なかった。だからこそ、最後、すべての片付けが終わった後の解放感に、読んでいるこちらも心が洗われる。重いけれど、不思議な軽さのある本だ。自分の綺麗事だけでは済まされない家族の終い方に思いを馳せた本でもあった。

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2023年09月09日

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人ひとりが人生の幕を閉じる…、非常に重いことですが、遺族にとってはその後のお葬式に至るまでのあれやこれやは慌ただしく悲しみに浸ってる余裕はなかったりするものです。それがもし、長年、交流の途絶えた兄で、縁もゆかりもない土地での突然の死だったら。また、残された子どもがいたとしたら…。なかなかヘビーな内容なのですが、著者の軽妙な文章に引き込まれ、一気に読めます。家族って、誰が悪い/正しいでは必ずしも割り切れないもの。それだけに亀裂が入ったら修復は難しい。カッコつけた言い方すると、兄と妹の再生のドラマと言った感じでしょうか。おすすめです。

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2022年03月19日

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ネタバレ

読み始めから、この先どうなっちゃうの?と引き込まれる構成で、文章も読みやすくするすると読み終えることができた。迷惑ばかりかけられて縁を切りたいとずっと思っていた兄が、遠く離れた宮城県で急死したとの警察署からの連絡。「なんで私が?」と言いたい気持ちをこらえ、叔母や兄の元妻と一緒に遺体引き取り、火葬、色々な事務届出やアパートの片づけ、小学生である甥っ子の転校手続きなどを一気に行っていく。そんな中で、大嫌いな兄も必死に生きていたという事実に気づくという話。
こんな大変なことに巻き込まれながらも、こうやって文章におこすことで自分の気持ちを客観視して整理することができたんだろうなあと思う。雑多な手続きは参考になった。こんなことになりそうな親戚は今のところいないけれど。つらいだろうなあと思ったのは、兄は離婚したときに3人の子どもがおり、末っ子の小学生を引き取ってふたり暮らしだったということ。脳出血で倒れた父親の凄惨な最期を発見したのはこの甥っ子であり、その心の傷を思うと胸が痛い。そして元妻のところに引き取られることになったけれど、大事な息子にそんな経験をさせてしまった母親の心の痛みを思うと、これもまたつらい。父親の急死により、児童相談所、里親、転校と短い期間に居場所を転々とし、大好きな友達と離れなくてはいけなくなった甥っ子の気持ちを思うと悲しくなる。優しい大人がたくさんいて救われたけど。
このお兄さん、発達障害があったのかもしれないなと思った。生きにくさを自分でもどうしたらいいかわからなかったんだろうなあ。

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2021年10月28日

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この短さに心情まで書いてあるところがすごい
お兄さんが亡くなるまでの経緯が気になるけど
終いのプロセスだけに集中してこれはこれでありかな 2021.04.27

著者の家族を先に読んでこちらを再読
お兄さんの亡くなった年齢に自分が近くなった事とほとんど即死の脳出血に衝撃だった
21年に知りたかったお兄さんとの関係が家族を読んで少しはわかったのでまたちょっと印象が変わった
元嫁がすごい人だなと思った。2023.06.09

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2023年06月09日

購入済み

本を嫌いになっていなかった

20代のころ、世の中に置いてけぼりになった私は、小説に救いを求め、小説が大好きだった。子供が生まれたらゆっくり本は読めなくなったが反面、本の世界にしか自分の世界が持てなくなり、活字に飲み込まれそうな恐怖を感じ、小説からはなれた。そしたらどんどん語彙がなくなり、再び小説をよみはじめたけど、読んでも心がえぐられるような気持ちにしかなれなかったり、集中出来なくなったりして本が嫌いになったのかと思った。歳をとってしまったのかと思った。この作品は久しぶりに夢中になって読んだ。本が嫌いになった訳ではないし、老化で読めなくなったわけではないし、私が喜びや共感をかんじるものが、この世からなくなってしまったわけではないと感じた作品。

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2020年10月06日

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残されたたった一人の肉親である著者の兄が、宮城県多賀城市内のアパートで、脳出血により死亡。その後始末のいきさつが綴られた作品。
一緒に片付けをする兄の元妻と娘や、亡くなった兄を発見した息子の様子が描かれている。著者の心情と合わせ書かれた本書は、一編の小説を読んでいるような感覚になった。

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2024年01月14日

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これはおもしろい!一気読みでした
突然死した兄を天国へ送るまでの手順
どこにでもある恐ろしい汚部屋
兄の転がり続ける転落人生
恐ろしけど誰にでも起こり得るお話

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2023年11月25日

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ご両親はすでに亡くなり、唯一残っていたが疎遠だった50代のお兄さんが亡くなった。
妹である著者がその知らせを受けて、
兄を見送り、全てを終えるまでの話。
ひどい落ち込みや悲しみにくれるようなシーンはなく、淡々と出来事や行動が綴られているのだが、それでも伝わってくる感情がある。
これだけで映画にできそう。

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2023年09月19日

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お兄さんのことは、今までの村井さんのエッセイにちょくちょく出てきていたし、先に『家族』の方を読んだので、「兄」「息子」という視点で捉えていましたが、本作では「父親」としてのお兄さんの姿が目に浮かぶようで、最後はうるっとしました。

妹である村井さんはもちろん、前妻の加奈子さんの頑張りに驚かされますが、良一君の母親としての気持ちがもう一人の奥さんとの違いなのでしょう。

お兄さんがどんなに他人に迷惑をかけた人であろうと、
「毎日毎日メシ作って風呂入れて、一緒に寝て、学校のしたくをさせて送り出して、それから仕事に行って…。これで飲まなきゃオレもいい父親なんだろうけど、どうしたって飲んじゃうんだよなあ」

履歴書の志望動機欄にも
「息子がまだ小学生ですので、学校行事、病院その他、休ませて頂くことがあるかもしれません。極力ご迷惑をかけないよう、事前に連絡調整をさせて頂きますが、子どもの緊急の場合、どうかご容赦頂ますようよろしくお願いいたします」

と書いていたり、父親としては十分頑張っていた人だと思えました。

お兄さんのご冥福と、残された家族の幸せを読者として祈りたいです。

それにしても、やはりお金があったからここまでできたと思うし、孤独死などで亡くなっても、葬儀費用も部屋の処分費用も出せる親族もなく、行政が負担する場合が多いのかなぁと考えさせられました。

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2023年08月26日

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私は疎遠な家族というものがないので不思議な気持ちで読んだが、嫌いながらもきちんと関わってやる作者は責任感があると思った。
他者の身辺整理の本は2冊目だったがこちらも心地よかった

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2023年06月24日

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嫌な事や面倒な事があっても簡単に切り離す事が出来ない家族という絆というかしがらみは、なかなかにしんどい。

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2023年06月10日

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甥子さんの存在が、筆者を冷静にさせたのかもしれない。お兄様は、いい父ではあったと。人の死にまつわるエッセイ、もっとドロドロしたものをイメージしていたが、実は誰にでも起こりうる日常だと感じた。

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2023年03月14日

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村井さんのエッセイが好きで、こちらの本を知り拝読しました。
現実とは思えないような衝撃的な導入から一気に引き込まれあっという間に読み終えました。
大変さの中にも村井さんの明るさが垣間見え、なぜか読み終わった後に清々しささえ感じられました。

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2023年01月10日

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実感や現実味がないところからはじまって、徐々に兄の死が近くによってくるところがとても良かった。こういう感じの人が近くにいて、亡くなったので受け入れていく過程が理解できた。

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2022年12月30日

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2020年作品。読みやすいドンドンと読み進めます。フィクションかと思っていましたが、作者の兄のことが書かれていると知り少しドキッとしました。54歳で突然死をした家族に迷惑ばかりをかけた兄、その兄の死にじまいをする妹と元妻。淡々と進める二人の段取りの良さや関わる人たちの善意が印象的です。個人的に思うのは、兄の視点で描かれている部分も欲しいなあと思いました。そうなるとフィクションの部分も入ってしまいますが。そうなると、この作品の淡々とした中の悲しさが消えてしまうのかもしれませんが。

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2022年11月28日

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周りに、家族に迷惑をかけ続けた兄が突然に死んだ。
元妻の加奈子ちゃんとともに死体を引き取り、お部屋を片付け、長男を引き取るまでの多賀城での五日間。
暗くならないドライな距離感だけど、関係者への挨拶など仕事はきっちりやる。死にまつわるタスクが片付いていくスピードに心地良さすらある。
どんなに迷惑な人でも人が死んだ後の喪失・空白はこうやって生きている人がなんとかしていくしかないのだという力強さが良い。

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2022年11月06日

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5日間がぎゅっと凝縮されたドキュメントであり、ノンフィクションでもあり、フィクションとしての小説でもある。

日ごとの挿絵(イラスト)がこの物語の大きな動きを助長する。及川ゆき絵さんにも注目したい。

とにかく、一気に駆け抜ける!
この躍動感、疾走が気持ちいい。

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2022年08月22日

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読みやすいけど、肉親ならではの葛藤とか、兄の元妻との微妙な感覚の違いなども細やかに描写されている。特に残された子の良一くんの周りにいる先生や友達、里親さんの優しさに心打たれる。
でも、逆に亡くなった兄自身の人間関係については全く触れられず、就職が決まっていた会社や、7年も暮らした多賀城市での関係先への連絡はどうなったのか、他の話が細かく書かれているだけに、気になってしまった。

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2022年07月31日

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ネタバレ

長い間、連絡のなかった唯一の肉親の兄が、ある日突然亡くなった。兄は遠方で息子と二人で暮らしていた。元妻とともに、「兄の人生の終いを5日間で終わらそう」と奮闘するという著者の実話です。
兄がそこで生きた7年間の証は、ゴミ袋にどんどん投げ込まれていく様に何とも言えない感情を抱きながらも、これは息子の人生の新しい門出なんだな・・・と思いました。感傷にひたている時間も余裕もなかった。それで著者自身も気持ちの整理ができたのかも。

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2022年05月25日

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読みたかった本。
一気に読んでしまった。
村井さんの本は二冊目だが、この前に読んだ「更年期障害だと思ってたら重病だった話」に比べてずいぶん読みやすかった。
2019年10月30日に村井さんに塩釜警察からお兄さん死亡の連絡が入ってから、怒涛の数日間が語られる。
スピードを持って語られる事と、兄の別れた妻である加奈子さん、兄と暮らしていた甥の良一くんへの気遣いで、辛辣すぎない語り口がいい。
村井さんがお兄さんを許せて良かった。
それにしても、良一くん、お母さんと別れて7年も経っていたなんて。また一緒に暮らせて良かった。

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2022年04月13日

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家族の死という重いテーマだけど、とても軽快な文でぐんぐん引き込まれて一気に読んでしまった。
家族だけと確執がある身内の死。
途中泣けるシーンもあり、笑いも涙も感動も悲しみもが詰まったいい本だった。

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2022年03月23日

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なんとも切なく哀しい話しだ。

だが現実を考えると悲しみに浸る間もなく、亡くなった後のやることの半端ないほどの多さ…。

そのあと落ち着いた頃にいろいろなことがわかるのだろう。

実際、兄妹とはいえそれぞれが家庭を持つと距離ができると思う。
ましてや遠く離れていたり、ある時期から疎遠になれば音信不通なんてざらにあるのでは…。

しかし同じ両親のもと家族として暮らしていれば思い出もある。

多かれ少なかれ誰しもが別れを経験し、このような突然のお別れもあるのだろうと思った。

ひとりになっても迷惑をかけずに生きていくことを考えてしまう。

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2021年10月31日

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私の50代で亡くなった次兄を思い出した。
この兄と同様にどうしようもないダメな男で、飲み過ぎで糖尿病になって色んなところに借金を作って離婚してしまった。でも優しかったな。自分に優しい分だけ他人にも優しかった。
作者の心情がなんとなく分かる、ちょっと物悲しい内容でした。

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2021年10月20日

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この本以前読んだけど読書メーターに記録がない。思えばこの本が村井さんの初めての本だったな。改めて読み直すと、不仲の兄の突然死、汚部屋の片付け、甥の手続き、ペットの譲渡、火葬…とまさに嵐のように1人の人生を片付けた記録に圧倒された。

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2024年04月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人生の短さについて

疎遠で迷惑だと思ってた兄の死。
兄の部屋はわたしの部屋のような気持ちがした。

これは実話かな?
現実味のある話しでいろんな人に勧めたくなる。

火葬する前に服をきせるかな?わたしだったら。なんて考えたりした。
死ぬにも捨てるにもたくさんのお金がいる。

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2024年02月08日

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ある日突然、疎遠だった兄の訃報を受け、そこから始まる後終いの怒涛の日々が綴られている。
元嫁がしっかり者で頼りになり、この存在は大きかったと思う。

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2023年10月03日

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本書は翻訳家の村井理子さんの体験談で、孤独死した兄を弔うドキュメンタリーだった。疎遠になっていた兄が孤独死したという知らせを、突然に警察から受けてからの5日間を綴ったもの。
お兄さんは離婚していて小学生の子供と2人で住んでいた。両親も亡くなってる場合に、知らせ先は元妻ではなく実妹に来るものなのだと先ず思った。そうか、最後は血縁なのかぁとあらためて感じ入った。
村井さんは兄の元妻と共に、住んでいた住居の片付け、残された小学生の甥っ子の問題(元妻が引き取る)、葬儀への段取りを手際よくこなしていく。それが淡々とした筆致で描かれているのが好きだった。勿論悲しみがないわけではない、時折り彼女らに感情が込み上げて来る場面もあるが、極力抑えられた兄との別れがもの哀しく伝わって来る。別れだけでなく、後に残る者たちの次へのステップが明るい。
『しろがねの葉』を読み終えて引きずっていた脱力感を吹き飛ばしてもらえました。両作ともしなやかな強さを持った女性たちが素敵、とても憧れます。

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2023年07月17日

Posted by ブクログ

「家族」を読んだ際に、特に著者の兄について気になったので、本書を手に取った。本書では、あくまで兄が亡くなったという連絡を受けてから、遺体を引き取り、火葬して、アパートを引き払うという5日間が語られている。

この5日間のなかで、兄や家族との関係や思いが所々に吐露されており、軽やかな文体ながらも語られていることには重苦しい内容だ。著者の兄との関係は複雑だ。憎んでいたものの、最終的に著者は兄に対してもっと手助けをしてあげなかったことに後悔の念を抱いている。家族との在り方に正解なんてない。だからこそ、本書を読んで家族との関係を考えさせられる。

著者の「家族」を読んだ後に、本書を読んだ。そのため、本書を「家族」のサイドストーリーのような感覚で読むことができた。「家族」と併せて読むとより心の残る余韻が深まると思う。

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2022年10月02日

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兄には迷惑をかけられたと言うものの、元兄嫁のフラットな意見を書いていて、作者は公平な人だなと思った。

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2022年01月29日

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思ったより短いが、内容にぐいぐい引き込まれてしまった。ファクションなので、良いも悪いもなくリアルな状況を知る事ができた。どんな人にも良い時と悪い時があり、一人では生きていけないという当たり前の事を改めて考えてしまった。

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2022年01月21日

Posted by ブクログ

疎遠だった兄の突然の死。その後始末のてんやわんやの大騒動。タンタンと事実を連ねた文章の隙間に兄への様々な思いが滲んでいる。
この兄はダメ男だったかもしれないが、元妻はいい人で良かった良かった。

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2021年11月18日

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