無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
一刻もはやく、兄を持ち運べるサイズにしてしまおう。
憎かった兄が死んだ。
残された元妻、息子、私(いもうと)
――怒り、泣き、ちょっと笑った5日間。
「わたくし、宮城県警塩釜警察署刑事第一課の山下と申します。実は、お兄様のご遺体が本日午後、多賀城市内にて発見されました」――寝るしたくをしていた「私」のところにかかってきた1本の電話。それは、唯一の肉親であり、もう何年も会っていなかった兄の訃報だった。第一発見者は、兄と二人きりで暮らしていた小学生の息子・良一君。いまは児童相談所に保護されているという。いつかこんな日が来る予感はあった。金銭的にも精神的にも、迷惑ばかりかける人だった。二度目の離婚をし、体を壊し、仕事を失い、困窮した兄は、底から這いがることなく、一人で死んだのだ。急なことに呆然としている私に刑事は言った。「ご遺体を引き取りに塩釜署にお越しいただきたいのです」
兄は確かに優しいところもある人だった。
わかり合えなくても、嫌いきることはできない。
どこにでもいる、そんな肉親の人生を終う意味を問う。
遺体を引き取り、火葬し、ゴミ屋敷と化している兄のアパートを整理し、引き払う。そして、何より、良一君の今後のことがある。兄の人生を終うため、私(いもうと)、元妻(加奈子ちゃん)、そして息子(良一君)の5日間の修羅場が幕を開ける。
Posted by ブクログ 2023年09月09日
多賀城市に行ってみたくなった。多分数時間、1日にもあれば読み終わる本なのだけれど、内容はとても濃い。著者が直面したことは本当にタフな出来事だ。家族というものにまつわる温かな好意的な側面ではなく、個人を縛り付けるネガティブな呪いのような面に、正面に向き合いざるを得なかった。だからこそ、最後、すべての片...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年03月19日
人ひとりが人生の幕を閉じる…、非常に重いことですが、遺族にとってはその後のお葬式に至るまでのあれやこれやは慌ただしく悲しみに浸ってる余裕はなかったりするものです。それがもし、長年、交流の途絶えた兄で、縁もゆかりもない土地での突然の死だったら。また、残された子どもがいたとしたら…。なかなかヘビーな内容...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年06月09日
この短さに心情まで書いてあるところがすごい
お兄さんが亡くなるまでの経緯が気になるけど
終いのプロセスだけに集中してこれはこれでありかな 2021.04.27
著者の家族を先に読んでこちらを再読
お兄さんの亡くなった年齢に自分が近くなった事とほとんど即死の脳出血に衝撃だった
21年に知りたかったお...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年09月19日
ご両親はすでに亡くなり、唯一残っていたが疎遠だった50代のお兄さんが亡くなった。
妹である著者がその知らせを受けて、
兄を見送り、全てを終えるまでの話。
ひどい落ち込みや悲しみにくれるようなシーンはなく、淡々と出来事や行動が綴られているのだが、それでも伝わってくる感情がある。
これだけで映画にできそ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年08月26日
お兄さんのことは、今までの村井さんのエッセイにちょくちょく出てきていたし、先に『家族』の方を読んだので、「兄」「息子」という視点で捉えていましたが、本作では「父親」としてのお兄さんの姿が目に浮かぶようで、最後はうるっとしました。
妹である村井さんはもちろん、前妻の加奈子さんの頑張りに驚かされますが...続きを読む
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。