【感想・ネタバレ】夜の谷を行くのレビュー

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Posted by ブクログ

面白く読み応えがあった。最初のチラッと読んだらやめられなくなり一気に読んでしまったほど。
連合赤軍、ニュースでしか知らなかったし、リンチや特定の中心人物しか知らなかった。だから末端の西田敬子に焦点をあて描いているのは大変興味深かった。
主人公の西田啓子には1ミリも共感出来ない。共感出来るのは同志だけなんだろうなぁ。
孤独感に苛まれる西田啓子、ラストは鳥肌ものでした。
希望が見えた感じがした。

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2023年02月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

思想や情熱を持って何かを変えようとしていたはずなのに、変わらずに命が失われてしまい、それに加担したことを償いきれないからこそ覆い被せて隠して生きていくしかない。その孤独を生きる主人公の奥底に希望があった。そしてその希望は生まれてきた喜びをいう。それが救いになって、終わったことに満たされたから、今まで読んできた山岳ベースに関しての物語のなかで一番好きかもしれない

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2023年01月15日

Posted by ブクログ

思い出した。桐野夏生は読み出すと止まらない。

連合赤軍事件、興味はあるけど敢えて映画や小説に触れようとはしなかった。メンタルがやられそうだから。
これはそれほど凄惨なシーンがないので読めた。
が、興味が深まり事件についてもっと知りたくなってしまった。

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2022年12月11日

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1971年頃は、大学のバリケードの撤去が始まり、学生たちの全共闘運動も一段落といった風潮だった。
その後、際立った活動をした一つが連合赤軍だった。
山岳ベースで武闘闘争のために訓練を行っていたグループの集団リンチ事件が明るみとなり、凄惨な状況は社会を騒がした。
その後、官憲から逃走したグループは、あさま山荘に籠って銃撃事件を引き起こす。
そして、これらの事件解決後、日本の過激派と呼ばれる極左運動は完全に地下に潜ることになり、日常社会は穏やかになったとの印象が私には遺っている。
社会問題に対してデモ闘争を繰り返しても、鉄壁の官憲の壁は崩すことができず、国会では強行採決が繰り返されていた時代だ。
その後の若者たちの政治的関心は、体制側の見事な管理が功を奏して完璧に希釈され、一見平和的な社会となったような気がする。

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2022年07月08日

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連合赤軍事件。その志向したものと結果の、凄惨なまでの乖離。その乖離ゆえに、大衆のゴシップ的好奇心に”消費”され、その志向したものは捨象され、単純化される。その内部にあった葛藤も、多くの元”兵士”たちのその後の人生も、何もかもが。言語化できない何かがそこにある。その、”言語化できないもの” を物語にすることこそが、文学の役割であろう。改めてその思いを強くする。

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2021年07月23日

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読書会のため改めて文庫本を読み直してみたら…
初読時には創作だと思っていたシチュエーションが丹念な取材、実際の証言に基づいていた事を知り驚愕。満点でも星が足りない‼︎傑作。#八蔵の会

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2021年07月06日

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連合赤軍の浅間山荘事件の「総括」により仲間が次々に死んだ。
山岳ベースから逃げ、途中のバス停で警察に逮捕されたメンバーの西田啓子は五年間の刑期を終え、ひっそりと世間に紛れ生活していた。
ある日突然、元同志の熊谷から連絡が入り、そこからかつて一緒に逃げた人間、政治結婚していた元夫、さらにフリーライターと連絡を取るようになり。
過去と決別したくても、どこまでも過去が追いかけてくる。
自分では縁を切ったから、と言っても、どんどん親戚縁者に困ったことが起きる。
過去を捨てるのは、そして過去と関係ないように生きていくのは、何と難しい。

自分が産まれる少し前の事件で、知らないことがほとんどで、とても興味深く一気に読んだ。

桐野夏生さん、さすがにうまいので、読みやすかった。
こんな風に過去の事件を書いてほしい。

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2020年06月26日

Posted by ブクログ

筆者得意の実在の事件の人物を掘り下げた物語。
人物描写がとても上手い。

自分が生まれる前の事件で名前ぐらいしか知らなかった「浅間山荘事件」と「山岳ベース事件」を思わずWebで調べてしまいました。

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2024年02月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白いという表現は違うのかもしれないが、すごく引き込まれてあっという間に読み終わった。

私はその時代のことも、この事件のことも名前しか知らず、初めて知ることも多かった。

あの時代変革を掲げて自分たちの子どもさえ新な時代の戦士として育てたいという理由もあって山岳ベースにはいった女性たち。
その掲げたことさえもどこにいってしまったのか総括の対象になった妊婦の女性の亡くなり方が切なく苦しかった。

その山岳ベースに入ったうちの1人の女性のその後に焦点をあてたこの物語。

服役した後待っていたのは両親の死、親戚の絶縁、孤独。唯一妹と姪っ子と関係はあるが、そことも溝はある。終始彼女と関わる人との場面は言い争いが絶えない。主人公自身、自分の主張がすごく強いし正しいと思ってる節があるような。元闘争の時の夫婦となっていた男性が前に現れるがそこの場面もなかなか切ない。

彼女が服役後もずっと人の目を気にして、世の中に許しを求めているのは、やはりそれだけ惨殺で残酷で残忍な事件だったから。

ライターという古市。彼だけは彼女に対して穏やかに話す。なぜなのだろうと思いながら最後、啓子は出産して里子にだして、その子が古市だということがわかる。これは希望なのか?それとも新な風穴なのか、それは分からないが。生まれたことを後悔してないという場面はぐっときた。

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2022年11月28日

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連合赤軍事件・・・山岳ベースや裁判ではない、一人の赤軍は女性を「設定」し、細かい細部まで再現ドラマのようにフィクションとして紡ぎ出している。
ラストの衝撃は見事・・サスペンスとしてよくできている。

この5年余り、殆ど国内小説を読まなくなった。余りに私小説過ぎたり、メルヘン臭が強かったりすることもあるのだが
一番は「自分のいる空間」と多少のずれはあるとしても共有する内奥が多すぎて 一体感がありすぎるせいからかも。

これが欧州なりアメリカなりの作品ならば他岸の火事的に俯瞰感覚で読めるのだが。
西田啓子と言う女性、近づいてきた古市、かつての男久間、君塚・・闇から立ち上って来た「妊娠の過去」が。。。
和子との諍いも身内のけんかの域を越えて肉切り包丁で刺し合うような呈をなし、慄きすら覚える。
サスペンスの展開を引っ張るには見事という技かなとも思ったが。

終わってみれば、当初は啓子のモノローグ的論理から始まり、多々の人々とのやり取りも彼女の主観で歪んでいるのかもしれなかった過去の事実。それが思いがけない光の反射で真実かもしれない隠れた部分が陽の目を見せたことは、実像と虚像の織りなす後日の判定・・時の裁き。それこそ、啓子が最も忌んだ「罪を追われ続ける事の」嫌悪なのかもしれない。

面白い☆

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2022年06月18日

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テーマは暗くて陰湿だが、小説ベースで書かれているのでサクサク読めてしまう。怖いもの見たさ知りたさで、子供の頃テレビで観た浅間山荘事件の映像と重なりあい好奇心が止まらない。ああいった学生運動した人って今でも極身近にいるんだろうなぁと考えると何とも複雑な気分。

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2022年06月12日

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本書のストーリーのベースとなっている事件は、ウィキでは「山岳ベース事件」として扱われている。それを引用する。
【引用】
山岳ベース事件とは、1971年から1972年にかけて連合赤軍が群馬の山中に設置したアジト(山岳ベース)で起こした同志に対するリンチ殺人事件。当時の社会に強い衝撃を与え、同じく連合赤軍が起こした、あさま山荘事件とともに新左翼運動が退潮する契機となった。
【引用終わり】

事件の首謀者の1人であった永田洋子は裁判で死刑を言い渡される。ただ獄中で病を得て、死刑執行の前に病死する。それは、2011年2月、東北の大震災の直前であった。
永田が地裁で死刑判決を受けた際の判決文は、下記のように事件の原因を論じている。これも、下記に引用する。
【引用】
被告人永田は、自己顕示欲が旺盛で、感情的、攻撃的な性格とともに強い猜疑心、嫉妬心を有し、これに女性特有の執拗さ、底意地の悪さ、冷酷な加虐趣味が加わり、その資質に幾多の問題を蔵していた。
【引用終わり】
本書の文庫版の解説は、本事件を扱った弁護士の1人が書いている。この弁護士によれば、本事件を上記のような永田個人の資質のせいであるという判決はおかしく、控訴審では、「可能な限り事実を正確に、何が起きたかのかを歴史に刻む」ことを方針として裁判を戦ったということであった。

以下、ネタバレにならないように、本書について書く。
桐野夏生は、本事件に参加していた女性に注目し事件の、1つの側面を捉えなおし、ストーリーをつくっている。裁判ではなく、小説でありフィクションであるので、「可能な限り事実を正確に」というよりは、「この事件の本質」を本小説を通じて明らかにしようとしているのだと思う。まるで良くできたミステリーのような衝撃的な結末であった。

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2022年01月10日

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独善的な啓子に辟易。あんな親戚がいたらゾッとする。赤軍派のリンチ加害者である啓子は親姉妹に迷惑をかけた、わるかった、と言う思いはあるが革命だの正義だのを盾に心からの贖罪がなくイライラした。途中で最後のオチもよめたけど面白い小説だった、筆力だなぁ

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2021年11月21日

Posted by ブクログ

連合赤軍、という名前は勿論聞いたことがあったけれどどんな事件を起こしたのか全く予備知識なく読み始めた。

読む前から、名前からして危険な思想集団で、どこかオウム真理教と重なるような気がしていた。

子供の頃、近所の交番で指名手配犯の顔写真を恐る恐る見ていた記憶が蘇る。
昭和の記憶…。

過去の事件から逃れることはできない。
自分一人だけじゃなくて実家の家族は勿論の事、事件後に産まれた姪にまでに影響を与えてしまうという現実。

犯罪者の暮らしは世間からひっそりと隠れて、息が詰まるような生活だが、ラストに明るい希望が見えた。
あっと驚かされた。

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2021年08月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

山岳ベース事件を元に、その後ひっそりと暮らす主人公のはなし
事件のせいで疎遠になった妹とのやりとり、
とてもリアルで、私は主人公の身勝手さを
感じた。妹もイヤな言い方をするんだけれど、
その気持ちの方が普通というか。

事件の関係者と40年ぶりに連絡を取りはじめる
気持ちの動き、普段の生活の中にある疑心暗鬼、
事件を思い出したく無い気持ちと懐かしむ気持ち、
主人公の感情が伝わる。

実際に起きた事件が元になっているけれど
ラストは小説らしい驚きでよかった

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2021年04月19日

Posted by ブクログ

元犯罪者の女性の老後についてのお話。
最初の硬化した態度から最後の終わり方面白かった。
革命の中で女性たちがやろうとしたことも心に残った

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2021年01月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1971-1972年、連合赤軍が起こしたリンチ殺人(山岳ベース事件)を題材にした物語。末端の女性兵士らに焦点を当て、事件のその後を描く。
12名の死者を出した惨い事件。閉鎖空間でエスカレートする様、周囲の人々が受ける影響、それらが手に取るように分かる。いくら年月が経とうとも消えることはないのだと思った。
事件を背負って生きる一人の物語として興味深く読んだ。啓子が何故ずっと煮え切らない態度だったのか、何故家族にすら分からないと思われているのか、その理由が最後に分かってハッとした。

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2020年12月23日

Posted by ブクログ

最後の1ページでの大どんでん返しにコロッとやられてしまった(-。-;
連合赤軍の閉鎖的な空間で人がおかしくなっていく様子が妙にリアリティがあった。

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2020年12月18日

Posted by ブクログ

4.0もともと興味があるので、後半夢中で読んだ。最後は、あっと驚く。事件を起こした人たちが夢見たことが浮かびあがる。前半は、逆に何も起こらずなかなか読み進めなかった。

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2020年11月25日

Posted by ブクログ

連合赤軍がらみの事件のことはネットで調べた程度の知識しか無かったけれど、ずっと興味はあった。
とくに山岳ベース事件の方は、「総括」と呼んだリンチで仲間が仲間を殺してそれが12人にも及んだいう残忍なもので、その時そこで何が起こっていたのか怖いけれど知りたいような思いがあった。
この本はあくまでも小説なので、事実を基にした物語だという前提を分かっているから、ドキュメンタリー本よりもまずは読みやすいかもしれないと思って手に取ってみた。

主人公は60代の西田啓子。山岳ベース事件の頃20代だった彼女は、「総括」と彼らが呼んだ凄惨なリンチ殺人を目にした後、アジトから逃げ出し逮捕されて、5年の刑期を終えていた。
そういう過去を持つせいで、家族や親戚のほとんどから距離を置かれ、60代になった現在は、実の妹と姪以外の人物とはほぼ付き合わずにつましい生活を送っている。
しかしそんなある日、過去の「仲間」から突然電話があり、啓子を取材をしたいという若い記者の存在を知ったことから静かな暮らしに変化が訪れる。

この西田啓子という人物に実際のモデルがいるのかどうかは分からないけれど、過去を振り返った事件の描写の際に出てくる人物名はほとんど実際のものだった。数人とても有名な人がいるから、ピンと来る人も多いと思う。
だからこの啓子に近い人物も恐らく実際にいるのだと思う。リンチをする側でもされる側でもなく、傍観者としてそこにいた女性。自分がターゲットにならないよう腐心しながら、ターゲットになってしまった人たちを助けられなかった人物。
今まで思っていたこととこの事件の真実は結構違っているのかもしれない、というのが個人的に思ったこと。
あくまで「女たちの目指した革命」という意味でなら、こんな真実があったのか、と驚かされた。作者の桐野夏生さんは実話系小説を多く書かれている方なので尚のこと。

若い頃のこととは言え、一度起こしてしまったことが人生にずっと付きまとうというのもきっと真実なのだと思う。
1人の人間が見たもの、聞いたこと、感じたこと、目指したもの、が正しく他人に伝わることは恐らくほとんど無い。結局真実は、本人にしか分からない。
啓子は孤独な人生だけど、それでも過去を分かち合えたり理解してくれようとする人がいてよかった。終始辛い物語だけど、それだけは救いだった。
そして小説としてはとても面白かった。物語を読んだので、今度はこの事件のドキュメンタリー本も読んでみたくなった。

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2020年11月06日

Posted by ブクログ

浅間山荘事件や連合赤軍の事は
ドキュメンタリーで見た事があったが
女性は永田の事を中心に事件の事を語る
事が多く、山岳ベースで妊娠した女性達が
何故凍える雪山で何を目的とした活動を
しようとしていたのがこの小説で
初めて触れられ、空恐ろしい発想だと
思った。
生き残った啓子の身体の芯には、未だに
え残る当時の微かな火種が残っている。
全て過去を否定する事も出来ず、誰かに
自分のした事を理解して欲しいと言う
狭間で揺れている。
改めてこの事件の悲惨な若者達の最期は
忘れてはならない。

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2024年03月15日

Posted by ブクログ

リンチの描写が全然ないのなんで
ジムのおばぁたちとかめっちゃ想像できるわかりやすぅだったから余計に残念

実は息子でしたみたいな安いやつ急にぶっ込んでくるの萎え

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

昭和の半ば1970年代にもとんでもない事件がいろいろあった。「連合赤軍のリンチ殺人」もそう。「永田洋子」という氏名は忘れられない。この小説はその事件に参加してしまった女性のその後の人生を虚実まじえて描いている。

主人公西田啓子は前期高齢者の仲間入りが間近、事件の秘密を抱え、出所後目立たないように生きていたのに2011年2月「永田洋子」が獄死したことによって、昔かかわった仲間にも居場所を知られてしまい、フリーライターの取材を受けないかと迫られる。それは断るのだが身内にもさざ波が立ち、決別したかった過去がよみがえる。結末はあっけにとられるが、あり得ると思わせる・・・。

「革マル派」「赤軍派」の特殊な団体の異常な事件だけれども、人間が共同社会で生きていくには避けられないことが含まれているのかもしれない。そののちの「オーム事件」でも知識人があり得ない行動をした。その時「なぜそうしたか?」はなまなか解明できるものではない。

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2023年08月21日

Posted by ブクログ

元連合赤軍メンバーの女性を主人公としたお話。リアリティーがあり引き込まれるが途中から飽きてきて流し読みとなってしまった。

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2023年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あれから40年、当事者の心のうちに分け入る試み。あれはどういうことだったかという問いに、通り一遍でなく向き合おうとした作品だと思う。
正直、この本より先に当事者の手記などいろいろ読むべきだったと思う。不幸にも凄惨な事件になってしまったものの、当時の自分たちは大筋で間違っていなかったという主人公の強い思いが理解できなかった。
そこは読者はわかってる前提で描かれているように思う。多少予備知識のある自分でこれだから、知らない人は全くわけのわからない話では無かろうか?

理解されない孤独感でいっぱいの主人公、心労で命を削られた親や人生を狂わされたきょうだい、40年あまりたってなお理解も許しもできない家族や元の仲間たち。このどうしようもなさはリアルなんだろうと思う。

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2022年06月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

連合赤軍連続総括殺人事件の現場に居合わせた主人公が、63歳になりひっそりと暮らす中で2011年永田の死をきっかけのように過去のその時代に次々と遭遇することになる。
それは彼女自体がその事件及び総括しきれなかったことに由来する。
最後の種明かしは蛇足のように思う。
彼女の目を通してもっと自分の関わった事件を総括すべきで、親族の優しさに甘えて自分のエゴを認識できない幼稚さが苦しい。

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2022年04月21日

Posted by ブクログ

多くの言葉では語れぬ山での出来事を抱えて生きている啓子は今もなおまだ夜の谷を行くみたいに無口で流れに従ってその時折に求められる判断を下して生きているが、やがて意外な朝が訪れる。

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2021年12月01日

Posted by ブクログ

連合赤軍の事件は恐ろしさが際立っていて、あまり深く掘り下げて知ろうとしたことはなかった。この本で多少なりとも深く考えることができて良かった。

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2021年10月08日

Posted by ブクログ

以前から気になっていた連合赤軍の事件について調べてみたが、本の影響か特別に残酷な事件だと思えなかった自分が怖い。
当事者が特別に残酷な資質を持っていた訳ではなく、複数の要素が重なれば人は誰でも罪を犯してしまうのではないかと思った。

家族と言えど別々の人間だと認識できれば良いのだが、犯罪者への嫌悪が家族に及んでしまうのは避けられない事のように思える。
主人公自身その事で苦しんできたが、どうにもできないことも事実で、責められて当然なのも事実で、八方塞がりなのが読んでいて辛かった。
罪を犯した後の人生はまさに夜の谷を歩いているようだと思った。

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2020年08月26日

Posted by ブクログ

81年生まれの私はこの事件を当然リアルタイムでは知らないし、付け焼き刃の知識で本書の持つ重みを体感出来たとは到底思わない。しかしながら、今作に登場する連合赤軍側の主要人物たちの罪の意識がやたらと希薄に映ってしまうのは、彼らにとってあの動乱はいくら時が経とうと【犯罪】ではなく【聖戦】のままだからなのだろうか。熱病の様な狂乱の渦中、起きてしまった出来事に誰もが納得する答えなど存在しない様に、私たちは他者の心の奥底を知り得る術を持ち合わせてはいない。作中の東日本震災はあくまで味付け程度の扱いで少しモヤモヤする。

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2020年03月26日

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