【感想・ネタバレ】サイラス・マーナーのレビュー

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Posted by ブクログ

「なりたかった自分になるために、遅すぎるなんてことはない」

先日読んだ『夏の扉』がとてつもなく面白かったので、おかわりです
ここでハインラインではなく訳者の小尾芙佐さんの方をおかわりするってところがもうセンス!

ということでイギリス文学を代表する女流作家ジョージ・エリオットの名作『サイラス・マーナー』です

エリオットの宗教観がどうのとか、彼女の結婚や人生がどうのとか、当時の女性の地位とか時代背景とか、あっしにゃ難しいことはさっぱり分かりませんよ
分かりゃーしませんよ

だけどね旦那
正しい心を持った人たちが幸せな結末を迎える
正しくない心を持った人も最後には改心する
それだけで十分じゃございませんか
それだけで十分人の心を震わせることが出来るんじゃございませんか

そしてこういう物語こそ残していかなきゃならないんじゃないですかね

南極の氷が全て溶けても残ってほしい物語でした(いや南極の氷も残ってほしいけども!)

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2023年12月14日

Posted by ブクログ

ヴィクトリア朝を代表する男性名の女流作家ジョージ・エリオットの代表作の一つ。寓話的な物語に心打たれる傑作。

親友と恋人に裏切られ、信仰と故郷を捨てざるを得なくなるサイラス・マーナー。冒頭から悲劇のどん底に突き落とされる展開に引き込まれ、真面目で純朴なサイラスに愛着がわいた。不幸な境遇ゆえに彼が金貨に執着するようになってしまうのもどことなく共感できる。このまま孤独に人生を終えるかと思われた矢先に起きるサスペンスフルな事件――そこから一気に面白くなってくる。

本作でサイラスの対比となっているのはゴッドフリーだろう。弱点はあるが決して悪人ではない彼の人生の苦悩が、サイラスとは逆の立場から物語の主題に迫っていく。さらに、潔癖なナンシーの家庭生活のあり方が当時の社会通念をよく表現していて、本作の寓話的テーマを陰となって浮かび上がらせている。

寓話的といったが、繊細な心理描写は現代的でもあり、時代的背景もあって、小説として非常に面白い。「めでたしめでたし」で軽くすませられない、ヴィクトリア朝文学ならではの本物の感動があると思う。読後感は最高。

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2023年03月01日

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ネタバレ

確か中学生の教科書に載っていて気になっていたのに今日まで読まず。人間は社会的な動物で、孤独でも一人きりでは生きてはいないし、生きてもいけない。マーナーの若かりし頃の辛さもエピーとの出逢いで幸せになっていく。我が子以上に大切に育てた子の幸せを願う父の愛の深さに涙が出そうになった。すごくきれいな物語。少し心が疲れたときに読み直したいかも。

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2022年10月11日

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光文社古典新訳文庫には本当に助けられる。古典を今息をしている言葉で、というコンセプトどおりだ。本作でそれを感じたのは、たしかに翻訳で田舎ことばなどは使っているが、さほど時代錯誤的ではないし、成長していくサイラスの娘エピーの言葉使いがとてもあたたかみを感じるように表現されているので、共感も強まる。だいぶ前に読んだ当時は、地主ゴッドフリーは嫌なやつでしかなかったが、今回は彼やその妻の苦悩も少しはくみ取れた。子供を育てることで変わったサイラスはもちろん、車大工一家たちや、周囲の人達の情にも胸が熱くなる。

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2022年10月09日

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ドリーさんに会ってみたいなあ。
終わり方も好きだ。古典によくあるように、とても深い。ドリーなんだな。

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2019年09月21日

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友人に裏切られ、免罪をかけられ、婚約者も失ったサイラス・マーナー。神にも人間にも絶望したサイラスを救ったのは何か?

金を蓄えることだけが彼の唯一の救いとなるが、そんな金も盗まれてしまう。孤独で寂しいマーナーからこれ以上何を取れば気が済むのかと言いたくなるほどの不幸。しかし、これを後に本人が、不思議な軌跡だと言う。

エピーという1人の赤ん坊が彼の人生を救った。19世紀は科学の目覚ましい発展(ex. 進化論)によって聖書の非論理的な神話性に疑問を抱く時代であった。著者エリオット自身、もともと福音主義者だったが、22歳に聖書を合理的客観的に解釈する高等批評に触れ、宗教観が一変する。

そんなエリオットが「孤独を救済するのは一体何か」と言う問いにアプローチする中で生まれたのが『サイラス・マーナー』なのかもしれない。

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2022年04月23日

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ジョージ・エリオットが男みたいな名前だけど女の作家であることは知っていた。「サイラス・マーナー」も人の名前だとは思っていたが、何故か女の人の名前だと勝手に思い込んでいた。男の人で、しかも変り者の老人の話とは思いもよらなかった。

しかし、こんな素敵な作家を今まで知らなかったなんて‼️最後がハッピーエンドなのはいかにもヴィクトリア朝だけど、思いもよらぬストーリー展開、人間の心の動き、人物の描き方、いずれも素晴らしい❗️

それにしても、ジェーン・オースティン、ブロンテ姉妹、ヴァージニア・ウルフ、それにこのジョージ・エリオット、イギリスは秀逸な女性作家の宝庫だ。

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2019年11月03日

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親友と恋人に恵まれ幸せに暮らしていたサイラス・マーナー。2人の策略で失意のどん底に。新たな地で孤独の中、毎日機を織り、たまっていく金貨を眺めるのが唯一の楽しみとなっていたサイラス。ある日、心の拠り所の金貨が盗まれ、可愛らしい2歳の女の子がやって来たことで新たな人生が始まる。この時、知らぬ間にサイラスと運命を交差させた村の有力者ゴッドフリー。彼も運命の転換期を迎えた。大事なものを失い、新たに素晴らしいものを手に入れる2人だか、結末は驚くほど違うものだった。作者の宗教観も盛り込まれて深く読ませる作品だった。

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2019年10月29日

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孤独な機織りが主役ということで惹かれて読んだ。宗教観や階級のことをその当時の基準で語りながらも、どこかそれらの空疎さを辛辣に語っている目線が素晴らしい。読みながら思い浮かんだのはクイーンとデビットボウイの歌うUnder Pressure 「愛は古臭い言葉だけど、どうして愛にもう一度チャンスを与えてやらないんだ?」愛って恋愛の愛とは限らない。
この本を書いた時エリオット41歳。
若さと利己心、正義を求める心。老いることと許し。エリオットがこれを書いたのが、今の私の年と同年代だからこそ、その間に立って、どちらも理解できる気がした。

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2019年09月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

時代における女性云々の解説には興味がないが、キリスト教云々には感じることがある。
サイラスが無実の罪を着せられて故郷を去り、後年そこを訪問して事実を知ろうとしたとき、そこはすでになくなっていた。神の下した罰で燃え尽きたソドムの町ように。ダンスタンにも同様である。
パリサイ人のごとき信仰の礼拝堂は跡形もなく、苦しみの後に下された愛と思いやりという最上の恵みはキリストへの信仰を象徴するかのようだ。
しかしながら、読書とは登場人物の悲しみや苦しみにこそ深い共感と追究心がわくもので、幸せになった彼らにはよかったね、という軽い感情程度しかわかぬものなのだな。
喜びにこそ感動が大きくあってほしいのに、情けないものだ。

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2021年07月10日

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